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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y44
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y44
管理番号 1179153 
審判番号 不服2006-23578 
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-18 
確定日 2008-05-15 
事件の表示 商願2006- 2345拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「スパセラピスト」の片仮名文字を横書きしてなり、第44類「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」を指定役務として、平成17年5月30日に登録出願された2005-47698に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同18年1月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、「温泉、温泉施設」を意味する語として認識されている「スパ」の文字と「治療・療法の専門家」程度の意味合いとして認識されている「セラピスト」の文字とを結合させた「スパセラピスト」の文字を書してなるところ、全体として「温泉を利用した治療・療法の専門家」の如き意味合いを容易に認識させるものである。ところで、美容業界においては、美と健康の維持・回復・増進を目的として、アロマセラピー(芳香療法)、カラーセラピー(色彩療法)、タラソセラピー(海洋療法)等の各種療法が取り入れられているところ、温浴・水浴によって得られる癒しの効果を美容の他マッサージや治療法に結びつけた療法である「スパセラピー」が存在している事実が認められる。また、スパ施設等でトリートメントを行う治療・療法の専門家を「スパセラピスト」と称している事実も認められる。それらの実情を考慮すると、本願商標を指定役務中「温泉を利用した治療・療法の専門家による美容,温泉を利用した治療・療法の専門家によるあん摩・マッサージ及び指圧」等前記文字に照応する役務に使用しても、これに接する需要者は、単に役務の質(提供者)を表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識できないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「スパセラピスト」の文字よりなるところ、「スパ」の文字と「セラピスト」の文字とが結合されたものと容易に認識されるものである。
そして、その構成中「スパ」の文字についてみると、例えば、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)の「スパ」の項には、「鉱泉。温泉。また、それを利用した保養施設。」、同じく「セラピスト」の項には、「物理療法や心理療法の治療士。」との記載があり、両文字(語)は、広く知られているものといえる。
また、「知恵蔵2006」(朝日新聞社 2006年1月1日発行)の「美容」に関する頁の1012頁に「エステティック」項があり、「美容施術を行う場所をエステティックサロン、技術者をエステティシャンと呼ぶ。最近はスパ(spa)が脚光を浴びている。日本スパ振興協会は、スパを『温浴・水浴療法をベースに自然・伝統療法を総合的に行い、美と健康、くつろぎと癒しを提供する施設』としているが、エステティックサロンと同意で用いられる場合もある。」との記載、「現代用語の基礎知識2006」(自由国民社 2006年1月1日発行)の「美容」に関する頁の1289頁に「スパ」の項があり、「本来は、鉱泉、温泉の意味。最近は主にエステティックと、運動指導、食事療法による肥満解消のための施設をさす。」との記載がある。
さらに、例えば、「自由国民ガイド版 国家試験資格試験全書」(株式会社自由国民社 2007年1月10日発行)の「ビューティー」の314頁には、「海洋療養士(タラソテラピスト)」が「タラソテラピー(海水、海藻、海泥等の海のミネラルを用いての自然療法)を行える療法士指導者の資格。」として記載、及び同315頁には、「フットセラピスト」が「この資格はフットセラピーの基礎知識を学習し、基本操法である表操法・裏操法と自動操法を習得する。取得後は、ボランティア活動をしたり、足操術士を指導できる。」との記載がある。
その上、各種学校においては、美容に関する各種の療法士を養成しており、美容業界においては、それらの資格を持つセラピストが、美顔、マッサージなどを行うサービスを提供しており、そのセラピストがスパ施設においても活動しているといえる。
そして、上記した実情は、以下の各種新聞記事情報、インターネットの情報等から裏付けられるものである。
(1)2000.10.25 毎日新聞東京朝刊 12頁には、「[くらし発見]アロマセラピー(その2止)自分でできる--肩凝りやかぜの予防に」の見だしのもと「IFA(国際アロマセラピスト連盟、本部・イギリス)の認定セラピスト・・・」との記載
(2)2005.09.02 毎日新聞東京朝刊 9頁には、「日タイFTA:合意 消費者にささやかな恩恵 焼き鳥は値下げ?/タイ料理人増える?」の見だしのもと「疲労回復やリラックス効果を提供する『スパ・サービス』で経営者やセラピストの受け入れをタイ側は要求したが、今後の協議に先送りされた。・・・介護士、スパセラピストは2年以内に結論」との記載
(3)2006.02.12 読売新聞大阪朝刊 37頁には、「[輝きはぐくむ]一時保育ボランティア 特技で恩返し ママが先生=兵庫」の見だしのもと「マッサージセラピストの針きゅう師、本田美希子さん(40)(宝塚市)が、うつぶせになった母親たちの肩や腕を優しくもみほぐす。」との記載
(4)2006.05.24 日刊工業新聞 19頁には、「ニッセンリアルエステート、低価格帯スパ1号店を今秋オープン」の見だしのもと「店舗の出店に合わせて施術に携わるスパセラピストの養成学校も運営、人材の自給自足体制を確立し、スパ市場で出店攻勢をかける。」
(5)2006.06.29 繊研新聞 5面には「ワコール アロマと複合で新業態店 秋から『カロロカ』」の見だしのもと「ワコールはエステティックサロンのパスカルコミュニケイションズ(東京、吉川忠久社長)と協業し、インナーウエアとアロマトリートメントの複合型ショップ『カロロカ』を秋から立ち上げる。・・・このため。ボディーコンサルタントの教育プログラムにも力を入れる。通常、インナーウエアの販売教育は数週間かかるが、これに加えアロマ基礎知識、セラピスト養成教育、オリジナル施術教育・・・パスカルの役割は、エステティシャンの人材教育、人材の派遣、アロマ関連グッズの共同開発・提供、エステメニューの開発、店舗運営のメンテナンスを担う。」との記載
(6)2006.11.28 朝日新聞東京地方版/長野 26頁には「(企業探検)女性経営者編:4 サーティースリー 丸田好美さん/長野県」の見だしのもと「・・・仕事帰りや週末にエステを学んだ。30歳の時に退職し、翌年、長野市内に小さなエステサロンを開設した。・・・フットセラピスト、エステティシャンなどの資格を持つ。」との記載
(7)株式会社BABジャパン(http://www.bab.co.jp/therapist/tl/back/thera25/thera25.html)のホームページには、「セラピスト/Therapist BABジャパン」の見だしのもと「セラピスト2006 6月号(絶賛発売中)」との記載、及び「第1特集」(http://www.bab.co.jp/therapist/tl/back/thera25/1sp.html)には、「スパ・セラピスト」「はやる!愛される!私たちのスパ・スタイル」、「スパ施設の増加にともない、スパ・セラピストになりたい人たちが増えてきました。温浴・水浴を備え、全身へのトリートメントを行うスパ・セラピストたちは、どのような知識を得て、何に注意し、施術をしているのでしょうか?」との記載
(8)Spa pedia/スパ用語百科事典(http://spapedia.spaz.jp/96)のホームページには、「Spa Therapist スパ セラピスト」の見だしのもと「鍼灸指圧マッサージ師などの国家資格者や、アロマセラピーなどの自然・伝統療法資格取得者、エステティシャンなどの資格取得者が、SPA施設でトリートメントや接客などを行う場合、総称してSpa Therapistと呼ばれます。」との記載
(9)日本タラソテラピスト学院(http://www.j-thalasso.com/course/spa01.html)のホームページには、「コース・カリキュラム」として「スパセラピストI科(初級セラピスト)」、「3ケ月でスパで活躍するアシスタントセラピストとして必要な知識を、理論を中心に基礎から丁寧に指導します。」との記載
(10)タカラ・インターナショナルエステティックカレッジ(http://www.takarabelmont.co.jp/esthecollege/spa.htm)のホームページには、「CIDESCO認定 スパセラピストコース」との見だしのもと「スパセラピストコースでは、スパの歴史や衛生、カウンセリング、スクラブやピーリングも学びます。修了時には、CIDESCO認定スパセラピストの試験を受けることができます。」との記載
(11)Forest Spaセラピストカレッジ(http://www.forestspa.net/)のホームページには、「あなたの目的で選べる スクールコースセレクト」の中に「スパセラピスト養成 本科コース」との記載
(12)ヴィーナスアカデミー(http://www.s-venus.com/course/index.html)のホームページには、「学科・コース紹介」として「スパセラピスト/アロマテラピーやエステティック、カウンセリング等、多岐にわたる実践的な技術と理論が求められる。美容と健康のための複合施設のスパにて、心身のストレスケア、ビューティケアなど、お客様の目的に合ったサービスを提案する仕事。ストレス社会においてはニーズの高い職種である。」との記載
以上よりすると、エステティックに関するカレッジ、学院等においては、スパセラピストを養成する学科やコースを設けており、美容関係の業界においては、資格のある各種のセラピストが存在し、エステティックサロンやスパにおいて、心身の疲れや美容のためにマッサージ等を行っているといえる。
さらに、美容と健康のための複合施設であって、温浴・水浴を備えているスパにおいて、心身のストレスケア、ビューティケアなど、顧客の目的に合ったサービスを提供するための専門知識を有している者を「スパセラピスト」と称している事実、及び職種の一つとして認識されていると認められる。
そうとすれば、「スパセラピスト」の文字よりなる本願商標は、これをその指定役務中、温浴・水浴を備えているスパ施設における前記専門知識を有する者による美容及びマッサージについて使用した場合、役務の質、提供者を表示するものと認められ、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人(出願人)は、本願商標より「温泉を利用した治療・療法の専門家」であると直感するとはいえないし、「温泉」の意味を有する「スパ」の語と、「治療の専門家」の意味を有する「セラピスト」の語を結合したこと自体に顕著性があると主張している旨述べ、登録例を示している。
確かに、原審における拒絶理由においては、「本願商標より、『温泉を利用した治療・療法の専門家』の如き意味合いを容易に認識する。」と認定している。
しかしながら、「美容業界においては、美と健康の維持・回復・増進を目的として、各種療法が取り入れられているところ、温浴・水浴によって得られる癒しの効果を美容の他マッサージや治療法に結びつけた療法である『スパセラピー』が存在している事実」及び「スパ施設等でトリートメントを行う治療・療法の専門家を『スパセラピスト』と称している事実」を示した上での認定であり、上記のとおり、「スパセラピスト」の文字(語)は、その業界において、「温浴・水浴を備えているスパにおいて、心身のストレスケア、ビューティケアなど、顧客の目的に合ったサービスを提供するための専門知識を有している者」の意味合いを有するものとして使用されていることからすると、自他役務の識別標識としての機能を有しないとみるのが相当であり、また、登録例は、構成文字やその指定商品又は指定役務において本願商標とは、事案を異にし、それらの登録例があるとしても、上記意味合いで使用されている事実を否定することはできないものである。
そして、本願商標については、上記認定のとおりであるから、その主張は、いずれも採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-02-19 
結審通知日 2008-02-26 
審決日 2008-03-31 
出願番号 商願2006-2345(T2006-2345) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y44)
T 1 8・ 13- Z (Y44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小畑 恵一 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 豊田 純一
寺光 幸子
商標の称呼 スパセラピスト 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 
代理人 山本 典弘 

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