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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y0305
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y0305
管理番号 1177977 
異議申立番号 異議2007-900245 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-06-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-05-24 
確定日 2008-04-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5027273号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5027273号商標の指定商品中、第3類「香料類」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5027273号商標(以下「本件商標」という。)は、「Orchid」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年7月24日に登録出願、第3類「香料類」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,人工受精用精液」を指定商品として、同19年2月23日に設定登録されたものである。

第2 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対して平成19年12月10日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件商標は、上記第1のとおり、「Orchid」の欧文字よりなるところ、「Orchid」は、「ラン・蘭」を意味する英語(新英和大辞典 第五版 研究社発行)であり、ラン科植物の花は、「天然香料素材」として一般的に使用されるものであることは広く知られており、本件登録異議申立人の提出に係る甲第1号証「周知・慣用技術集(香料)特許庁発行」における「オーキッド、Orchid」の項、及び、参考資料「株式会社ブロードライン」のインターネット商品販売サイトの掲載記事によっても、商業的対象として、「天然香料素材」について「オーキッド、Orchid」の文字(語)が取り扱われている取引の実状が認められる。
してみれば、本件商標は、その指定商品中の第3類「ランを原材料とする香料類」についていえば、商品の原材料、品質を表すにすぎないものというべきである。
また、本件商標が上記照応する商品以外の第3類「香料類」に属する商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第3類「香料類」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

第3 商標権者の意見
商標権者は、上記第2の取消理由に対し、本件商標は十分に登録要件を満たすものであり、該取消理由書は撤回されるべきであるとして、要旨次のように意見を述べると共に、甲第1号証及び甲第2号証(当審注:甲号証の表示は、乙号証の表示の誤りと認められるので、以下「乙第1号証及び乙第2号証」という。)を提出した。
1 「orchid」は、基本的な単語ではなく難易度の高い英単語であるから、一般によく知られているとはいえない。
したがって、本件商標「Orchid」に接した取引者、需要者は、「Orchid」が「ラン・蘭」の意味であるとは認識せず、商品提供者の商標であると認識する。

2 「周知・慣用技術集(香料)特許庁発行」(甲第1号証)は、技術的側面から香粧品用香料をとらえているものである。
しかも、平成13年6月15日発行に係わるものであって、現在の取引事情を反映していない。

3 「株式会社ブロードライン」のインターネットの商品販売サイトの掲載記事(参考資料)に掲載されているのは、経口摂取用エッセンスであって、「商業的対象として、『天然香料素材』について、『オーキッド、orchid』の文字(語)が取り扱われている取引の実情を示すもの」とはいえない。

4 「コウラン/紅蘭」「ビャクラン/白蘭」など、具体的な蘭名を表示した商標においてすら、品質表示、品質誤認を問題とされることなく登録されている。
したがって、本件商標も品質表示、品質誤認を理由として取消されるべきではない。

5 以上のとおり、本件商標は、特定の意味合いを生じることのない一種の造語商標というべきであって、その指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を具備するものであり、また、商品の品質についても誤認を生じさせるおそれはない。

第4 当審の判断
1 本件商標についてした取消理由の通知(上記第2)は妥当であって、指定商品中、第3類「香料類」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないものであり、これを論駁する商標権者の主張は以下のとおり採用することができない。
(1)商標権者は、「『orchid』は、基本的な単語ではなく難易度の高い英単語であるから、一般によく知られているとはいえない。したがって、本件商標『Orchid』に接した取引者、需要者は、『Orchid』が『ラン・蘭』の意味であるとは認識せず、商品提供者の商標であると認識する。」旨、主張する。
しかしながら、「orchid」の文字(語)は、英語の一般的な辞書である「新英和中辞典(株式会社研究社発行)」(乙第1号証)において、「1 ラン 2 ランの花」と紹介されているばかりでなく、「大辞林第二版(株式会社三省堂発行)」において「洋ラン」、「大辞泉(株式会社小学館発行)」において「洋蘭」及び「コンサイスカタカナ語辞典(株式会社三省堂発行)」において「ラン、洋蘭」と紹介されている。
そうとすれば、「orchid」の文字(語)は、「ラン・蘭」を意味する語として、一般的に認識されているというべきである。

(2)商標権者は、「『周知・慣用技術集(香料)特許庁発行』(甲第1号証)は、技術的側面から香粧品用香料をとらえているものである。しかも、平成13年6月15日発行に係わるものであって、現在の取引事情を反映していない。」旨、主張する。
しかしながら、甲第1号証では、「処方例」のような技術的な内容だけではなく、「〔使用例〕1.精油は商業的にはなく、調合品が香料用に使われる。2.モディファイされたオーキッド調合香料は普通、1%濃度でシングルフラワーオーデコロンに使われている。3.化粧品で、オーキッド調合香料はローションやクリームフレグランスとして役立つ。またオーキッドは石鹸用香料に重要である。」のように、香料「オーキッド」(orchid)が使用されている取引の実情をも紹介されている。
したがって、甲第1号証は、技術的側面から香粧品用香料をとらえているものであるとの請求人の主張は採用しない。
また、当該「周知・慣用技術集(香料)特許庁発行」が、発行されてから、香料「オーキッド」(orchid)の取引の実情が変わったとする格別な事情は認められないばかりでなく、別掲記載の事実より、現在も「オーキッド」(orchid)が香料として使用されている実情が認められるから、現在の取引事情を反映していないとの請求人の主張は採用しない。

(3)「株式会社ブロードライン」のインターネットの商品販売サイトの掲載記事(参考資料)に掲載されているのは、経口摂取用エッセンスであって、「商業的対象として、『天然香料素材』について、『オーキッド、orchid』の文字(語)が取り扱われている取引の実情を示すものとはいえない。」旨、主張する。
しかしながら、当該参考資料は、食品香料(フレーバー)の実例であるから、香料「オーキッド」(orchid)の取引の実情を示すものである。
したがって、商標権者の主張は、採用しない。

(4)商標権者は、「『コウラン/紅蘭』『ビャクラン/白蘭』など、具体的な蘭名を表示した商標においてすら、品質表示、品質誤認を問題とされることなく登録されている。したがって、本件商標も、品質表示、品質誤認を理由に取り消されるべきではない。」旨、主張する。
しかしながら、過去になされた審査例は個別的、具体的に判断が示されているものであるところ、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有してないことは、上に述べたとおりであるから、この点についても、商標権者の主張は採用しない。

2 以上のとおり、「Orchid」の文字(語)は、香料類に関する分野においては、「ランを原材料とする香料類」についていえば、商品の原材料、品質を表すにすぎないものというべきである。
また、本件商標が上記照応する商品以外の「香料類」に属する商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中、第3類「香料類」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
そして、本件商標の登録に係るその余の指定商品については、「Orchid」の文字(語)が、直ちに香料類と同様に認識し使用されているような状況は窺えないものであって、その登録を取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。


別掲

(1)「boncuk(ぼんじゅ)」のウエブサイト(http://www.boncuk.jp/fotop.html)に「フレグランスオイルは、手軽な香りのオイルです。」「オーキッド(蘭)・・・Orchid 」「華の女王、蘭の気品の高いフローラル」「価格:550円」の記載がある。

(2)「KOK」のウエブサイト(http://www.kok-design.jp/SHOP/EF-SEB-FLSO.html)に「香水の街、フランス・グラース産の香料と、植物から採れるオイルを使用した植物性ソープです。」「クローゼットの中などに忍ばせて、フレグランスとしてもおすすめです。」「■Orchid/オーキッド(上品で華やかなランの香り)」の記載がある。

(3)「Aladdin」のウエブサイト(http://nethome.shopping-search.jp/cgi-bin/search.cgi?asp=29&dsp=op&cat=0200000000&key=%A5%AA%A1%BC%A5%A4%A5%F3%A5%DA%A5%EA%A5%A2%A5%EB)に「ゲラン オーキデ アンペリアル クリーム」「ゲラン オーキデ アンペリアル クリームは、ゲランから登場した高級マルチアンチエイジングクリーム。4種類の不朽の花(オーキッド)から有効成分を抽出した『インペリアル オーキットエキス』配合。」の記載がある。

(4)「iBeauty Store」のウエブサイト(http://www.ibeautystore.com/detail/detail.asp?pid=41058)に「ディメーター オーキッド コロンスプレー 120ml」「『オーキッド』=『蘭』の香り。艶やかで大輪の蘭は、フレグランスによく登場する香りでもあります。栽培が難しく、高価なことで知られ、稀少品種になると一株何十万円もするものも。華やかな香りが印象的。大人の気品溢れる香りです。」の記載がある。
異議決定日 2008-03-12 
出願番号 商願2002-62358(T2002-62358) 
審決分類 T 1 651・ 272- ZC (Y0305)
T 1 651・ 13- ZC (Y0305)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 杉山 和江泉田 智宏 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 渡邉 健司
岩崎 良子
登録日 2007-02-23 
登録番号 商標登録第5027273号(T5027273) 
権利者 小林製薬株式会社
商標の称呼 オーキッド 
代理人 大島 泰甫 
代理人 後藤 誠司 
代理人 小原 順子 
代理人 稗苗 秀三 

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