• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない Y1641
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y1641
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない Y1641
管理番号 1177957 
審判番号 不服2006-24132 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-27 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 商願2005-118715拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ドアーズ」の片仮名文字を横書きしてなり、第16類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定して、平成17年4月1日に登録出願された2005年商標登録願第33591号に係る商標登録出願を分割し、新たな商標登録出願として、同年12月5日に登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、同18年6月26日付けの手続補正書により、第16類「新聞,雑誌」及び第41類「オンラインによる電子新聞の提供,オンラインによる電子雑誌の提供」と補正されたものである。

2 原査定の引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4728776号商標(以下「引用商標」という。)は、「DOORS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年12月18日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,電子出版物」を指定商品として、同15年11月21日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記したとおり、「ドアーズ」の片仮名文字を書してなるものであるところ、「ドアーズ」の語(文字)は、「扉、ドア」等の意味を有する英語として広く知られ親しまれている「DOOR」の複数形である「DOORS」の語の表音を片仮名文字で書したものと容易に理解されるものであり、該文字に相応して「ドアーズ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、前記したとおり、「DOORS」の欧文字からなるものであるところ、この語は、上記したとおり、「扉、ドア」等の意味を表す英語として広く知られ親しまれている「DOOR」の複数形である「DOORS」の語を表したものであるから、該文字に相応して「ドアーズ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本願商標と引用商標との類否について判断するに、上記のとおり、両商標は共に「ドアーズ」の称呼を生じ、「扉、ドア」等の観念を生ずるものであるから、両者は、該称呼及び観念を共通にする類似の商標といわなければならない。
そして、両商標間には、片仮名文字と欧文字という外観における差異のあることは認められるが、「DOOR(S)」の語は、その綴りを含めて我が国において極めて親しまれている英語であることから、この外観における差異が両者の称呼及び観念が同一であって相紛らわしいものであることを凌駕して、これらを明らかに識別することができるものであるということはできない。
(2)次に、両者の指定商品の類否についてみるに、本願商標の指定商品及び指定役務は、上記したとおり、平成18年6月26日付けの手続補正書により、第16類「新聞,雑誌」及び第41類「オンラインによる電子新聞の提供,オンラインによる電子雑誌の提供」と補正されているものである。
他方、引用商標の指定商品には「電子出版物」も含まれており、この「電子出版物」には、後述するように、「ダウンロードによる電子出版物」と「記録媒体に格納した電子出版物」が含まれるものである。
しかして、本願商標の指定商品及び指定役務の中でも、特に、第16類「雑誌」と、引用商標の指定商品中の第9類「電子出版物」に包含されているダウンロードによる電子出版物である「電子雑誌」と称される商品との関係についてみるに、電子雑誌に関しては、最近、多くの新聞(「G-Searchデータベースサービス」による)や各出版社のインターネットホームページにおいて取り上げられており、そのうちの幾つかについてみれば次のように記載されている。
(ア)読売新聞の2007年6月2日付け東京朝刊33頁には、「[雑誌の曲がり角](5)出版社もネットで発刊(連載)」の表題のもとに、「パソコン画面の中に現れた7冊の雑誌。下のボタンをクリックすると、江戸文化の粋や昭和の郷愁、田舎暮らしなどさまざまな話題を掘り下げた記事のページが紙のようにふわりとめくれる。デザインも縦書きの文章も、紙の雑誌と変わらない。1日、小学館が本格的に始めた電子雑誌『スーク』だ。『昔、売ります』『ダーウィンのひ孫』など小雑誌に分かれ、毎月280ページをネットで配信。すべて読むには、月787円が必要だ。『ずっと紙の雑誌に親しみパソコンも扱うようになった中高年の世代に、出版社が培ってきたノウハウや編集力で生活を潤わせる情報を届けたい』。・・・雑誌専門サイトを運営する富士山マガジンサービスも2月から、ネットで既刊誌の電子版の有料配信を始めた。現在、『ニューズウィーク日本版』『ダカーポ』など出版社から提供を受けた40誌近くを扱う。今のところ値段は紙の雑誌と同じだ。・・・主婦の友社では、1984年から刊行してきた女性誌『エフ』を昨年6月に休刊。代わりに同誌の電子版を始め、今年2月からは有料の仕組みも取り入れた。・・・アシェット婦人画報社の電子女性雑誌『エル・オンライン』は無料路線を貫き、会員12万人の広がりを武器に、衣料や化粧品の広告で採算を取る。11年前、『エル・ジャポン』誌のPR用にスタート。03年から編集部を独立し利益を伸ばしてきた。毎日7、8本更新される記事は、『ネットを見る人が親しんでいる』横書きのままだ。川上雅乃編集長は、『記事の質にこだわってきたのが成功の一番の理由。ただ、玉石混交の情報があふれるネットの世界で、紙の雑誌エル・ジャポンのブランドへの信頼が背景にあったことも大きい』と分析する。」旨、記載されている。
(イ)毎日新聞の2007年3月5日付け東京朝刊25頁には、「電子雑誌:生き残りかけ模索 読者開拓で波及期待--最新事情」の表題のもとに、「・・・ニュース誌やファッション誌、無料の週刊マンガ誌--。既刊・新刊、有料・無料を問わず、インターネットを通じて流通する電子雑誌が昨年から増えてきた。検索機能や音声・動画との連動、読者限定の掲示板などネットならではの付加価値を売り物にしている。『今年は雑誌の電子出版元年』と言う専門家もいる。電子版は雑誌不振の救世主になれるのか。最新の電子雑誌事情を探った。・・・雑誌を含む電子書籍の流通には、読者がパソコンなどに書籍データを保存して閲覧する『ダウンロード方式』と、専用サイトに接続して閲覧し、保存できない『ストリーミング方式』がある。・・・小学館で電子雑誌を担当するネット・メディア・センターの岩本敏執行役員は強調する。同社は電子書店との間で続けていた閲覧ソフトの調整にもめどがつき、今夏までに月刊マンガ誌などの電子版を出す。さらに6月1日には7種類のライフスタイル誌をまとめた電子雑誌『SooK(スーク)』を創刊する。今後も電子版を増やしていくつもりだ。・・・自社サイトでのストリーミングより、電子書店を通じたダウンロード販売を原則とし、既存の雑誌の場合は紙媒体と同じ価格にする。・・・電子書籍の市場規模も急拡大している。メディア関連企業のインプレスR&Dのインターネット生活研究所によると、05年度の電子書籍の市場規模は94億円で前年度の約2倍。02年度は10億円だった。今後も電子書籍市場の成長が見込まれるという。電子雑誌が増える傾向にあるのを受け、新聞や雑誌の発行部数を認証する日本ABC協会は、早ければ08年上期の統計から、雑誌の発行部数を紙と電子版を合わせたものとして計算する。米国では既に電子版も発行部数にカウントされている。・・・紙の雑誌に加え、2月から電子雑誌の販売も本格的に始めた富士山マガジンサービスの西野伸一郎社長は、書籍を含むネット通販大手『アマゾンジャパン』の立ち上げにかかわった。雑誌販売の需要もあると考え02年7月、同社を創業し、定期購読を中心に国内初の雑誌に特化した電子書店経営に乗り出した。取り扱い雑誌と出版社数は当初の10倍を超える約2450誌、約750社に増えた。・・・」旨、記載されている。
(ウ)産経新聞の2007年1月7日付け東京朝刊3頁には、「国会図書館、HP集め本腰 ネット上の雑誌・文献 次代に残す」の表題のもとに、「・・・近年、インターネットの普及で出版物にも大きな異変が起きてきた。これまで紙媒体で出版されてきたものが、ネット上の情報に置き換わる動きが加速してきたからだ。国会図書館で調査したところ、これまで定期的に納本されてきた雑誌のうち、すでに約300タイトルが紙媒体からネット上に移行。・・・」旨、記載されている。
(エ)eBookJapanのホームページ(http://www.ebookjapan.jp/shop/)によれば、「パソコンにダウンロードしていますぐ楽しめる 2007/11/9毎週金曜日更新 電子書籍販売数:18339点」とあり、2007年11月2日付のニュースリリースには、「?『週刊コミックバンチ』創刊300号発売を記念?イーブックジャパン、漫画雑誌『週刊コミックバンチ』の作品を一斉発売」の表題のもとに、「株式会社 イーブック イニシアティブ ジャパンと株式会社新潮社は、漫画雑誌『週刊コミックバンチ』(発行・発売 株式会社新潮社、編集 株式会社コアミックス)の通巻300号発売を記念して、特設サイトを11月2日(金)よりイーブックジャパン内(http://www.ebookjapan.jp/)に開設します。大ヒット作品『蒼天の拳』、『エンジェル・ハート』など18作品103冊を11?12月に販売開始。すでに販売している作品とあわせ、計34作品208冊を配信します。『週刊コミックバンチ』は2001年に創刊。単行本の累計部数が1400万部を突破した大ヒット作品『エンジェル・ハート』(北条司)、巨匠・原哲夫&武論尊が自ら『北斗神拳』の封印を解き渾身の筆致で描く『蒼天の拳』(原哲夫 監修:武論尊)をはじめとして、『天の覇王 北斗の拳 ラオウ外伝』(原案:武論尊・原哲夫 作画:長田悠幸)、『ブレイブ・ストーリー?新説?』(原案:宮部 みゆき 漫画:小野洋一郎)、『レストアガレージ251』(次原隆二)、『内閣権力犯罪強制取締官財前丈太郎』(漫画:渡辺保裕 原作:北芝健)など数々の話題作を世に送り出してきました。・・・」旨、記載されている。
(3)これらの新聞記事やインターネット情報によれば、電子書籍の市場規模は、近年急拡大しており、国会図書館に納本される雑誌のうち紙媒体からネット媒体に移行したものも増えており、新聞や雑誌の発行部数を認証する日本ABC協会は、早ければ08年上期の統計から、雑誌の発行部数を紙と電子版を合わせたものとして計算するまでに至っていることが認められる。そして、電子雑誌の中には、ストリーミング方式ばかりでなく、電子書店を通じたダウンロード販売を原則とするものもあり、題号(商標)を含めて既刊誌の電子版として販売しているもの、デザインや文章のスタイルも紙の雑誌と変わらないように制作し、値段も紙の雑誌と同一にしているもの等も見受けられ、また、想定している需要者も専らネットから情報を得ているような顧客ばかりでなく、紙の雑誌に親しんできた人々をもその対象としていることが窺われる。
上記のごとき取引の実情を踏まえてみれば、本願商標の指定商品及び指定役務中の第16類「雑誌」と引用商標の指定商品中の「電子出版物」に包含されているダウンロードによる電子出版物である「電子雑誌」とは、同一の主体により制作・販売されることも多く、その内容も共通にすることも多く、需要者をも共通にすることも多いことから、互いに類似の関係にある商品と認められるものである。
そして、このことは、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準[国際分類第9版対応]」の第9類「電子出版物」には、「26A01」の類似群コードが付与されており、これは、第16類の「雑誌、新聞」を含む「印刷物」の類似群である「26A01」と同一の類似群コードである。また、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説[国際分類第9版対応]」の第9類「電子出版物」の項には、「この概念には、ダウンロードによる電子出版物、記録媒体に格納した電子出版物が含まれる。」と解説されているところである(なお、本願商標及び引用商標が出願された当時に適用されていた[国際分類第8版対応]版についても、上記各商品についての類似群コード及び解説は同じである。)。
してみれば、少なくとも、本願商標の指定商品及び指定役務中の第16類「雑誌」は、引用商標の指定商品中の第9類「電子出版物」と類似するものといわなければならない。
(4)請求人は、請求の理由において、「第9類に属する商品は、『科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具』である。・・・本件商標の指定商品及び指定役務が前記のとおりであり、第9類に属する商品とは全く異なっているばかりでなく、主たる需要者層においても共通するところがない。」と主張しているが、請求人の主張する「第9類に属する商品」の記載は、商標法施行令第1条で定める別表の、第9類の区分の表示と認められるところ、同第1条では、「各区分に属する商品又は役務は、・・・国際分類に即して、経済産業省令で定める。」とある。そして、商標法施行規則第6条で、各区分に属する商品又は役務について別表のとおり定め、その別表第9類には、「二十九 電子出版物」が例示されていることから、「電子出版物」が第9類に属することは明確であり、この「電子出版物」と、本願商標の指定商品中の第16類「雑誌」とが類似することについては前記のとおりであるから、請求人の上記主張は、理由がない。
また、請求人は、判例を引用して主張しているが、本願商標についての類否の判断は、前記のとおりその指定商品に属する商品の取引の実情を踏まえた上で判断しており、また、判例の中には、事案を異にするものもあることから、これについての請求の主張も、理由がない。
(5)したがって、本願商標と引用商標とは、「ドアーズ」の称呼及び「扉、ドア」等の観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品及び指定役務中には、引用商標の指定商品と類似する商品を含むものであるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-02-29 
結審通知日 2008-03-07 
審決日 2008-03-18 
出願番号 商願2005-118715(T2005-118715) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y1641)
T 1 8・ 264- Z (Y1641)
T 1 8・ 263- Z (Y1641)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 敦子小川 きみえ 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 伊藤 三男
酒井 福造
商標の称呼 ドアーズ 
代理人 河野 敬 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ