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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1177791 
審判番号 取消2007-300368 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-03-27 
確定日 2008-04-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4025668号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4025668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成2年11月8日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標について調べてみると、本件商標はその指定商品については、継続して3年以上日本国内において商標権利者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は不使用の商標である。
したがって、本件商標は登録を取り消すべきである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品に包含される「被服」について、本件商標の使用権を許諾されているアディダスジャパン株式会社(以下「アディダスジャパン」という。)により、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内で使用されていたものであるから、本件商標の登録は取り消されるべきものではない。被請求人は、本件商標の使用証拠として、乙第1号証ないし同第14号証(枝番号を含む。)を提出する。
(2)アディダスジャパンの使用権
本件商標の日本国内における使用者の東京都新宿区矢来町77所在のアディダスジャパンは、被請求人による100%出資の子会社である。乙第1号証は、アディダスジャパンの会社案内書を示す。乙第2号証は、被請求人及び子会社から構成されるアディダスグループの2006年度年次報告書に掲載された被請求人子会社一覧を示す。当該一覧の第187頁、アジア地域の欄(通し番号第125番)にアディダスジャパン株式会社(adidas Japan K.K.)の表示が認められる。
また、乙第3号証は、被請求人が作成した公証人の認証付の陳述書を示す。当該陳述書より、1997年1月1日に被請求人はその100%出資の子会社に当たるオランダ国 カーエル アムステルダム 1062 コニンギン ウィルヘルミナップレイン 30所在のオランダ国法人のアディダス インターナショナル ベー ヴェー(adidas International B.V.)(乙第2号証に表示の子会社一覧の第184頁、欧州地域、通し番号第12番)に対して、被請求人が全世界で所有する全ての商標を使用許諾したこと、さらに、1998年10月6日にアディダス インターナショナル ベー ヴェーは、アディダスジャパンに対して、被請求人所有の全商標(本件商標を含む。)を日本国で使用する権利を再許諾したことが認められる。
したがって、アディダスジャパンは、日本国内において本件商標を使用する正当な権原(使用権)を保有することが明らかである。
(3)アディダスジャパンによる本件商標の使用
本件商標を用いた被服(帽子を含む)、シューズ、バッグ等は、2007年の春夏商品として日本国内で販売するため、遅くとも2006年から被請求人、アディダスジャパン、並びにその他のアディダスグループ会社において当該商品の企画、受注、発注、製造が行われていたものであり、2007年4月からアディダスジャパンによって日本国内のアディダスジャパン直営店で販売されている。
乙第4号証は、被請求人によって作成された本件商標使用の被服等を表示した英文商品カタログ「S/S 2007 PRODUCT LINE」(2007年春夏商品ライン)を示す。「S/S」あるいは「SS」といった表示は、「Spring(春)」及び「Summer(夏)」用の商品を意味する記号であり、アディダスグループの商品カタログ、取引書類、交信記録等に用いられているものである。
当該カタログには、Tシャツ、ショートパンツ、ポロシャツ、スウェットシャツ、スウェットパンツ、帽子等の「被服」に包含される商品が表示されている。また、当該カタログの表紙及び各頁の右下に表示された商標は、上段に斜めに傾けた細長台形様図形を等間隔で3本互いに平行に並べてなるものを、中段に独特のレタリングの文字で「adidas」と横書きしたものを、下段には上記「adidas」の文字とは別のレタリングの文字で「EQUIPMENT」と横書きしたものをそれぞれ配置した構成からなるものであり、これより、本件商標(甲第1号証)と社会通念上同一のものと認められる商標が被服に使用されていることが明らかである。
乙第5号証は、乙第4号証に示す英文カタログに基づき、アディダスジャパンが日本国内での販売用に作成した日本文の商品カタログ「Equipment SS 2007」を示す。当該日本文カタログ掲載の品名及び品番(Art.No.)は、先の英文カタログ掲載の品名及び品番に対応している。
乙第6号証は、アディダスジャパンのマーケティング担当者が2006年9月8日に2007年春夏用の本件商標使用商品の日本からの発注数をアディダスグループの担当者に連絡したときの電子メールの交信記録を示す。本件商標及びこれを用いた商品ラインは、被請求人、アディダスジャパンをはじめとするアディダスグループでは、本件商標の構成中の「EQUIPMENT」の文字の3文字「EQT」を採って、「EQT」「EQT商標」「EQT商品」といった呼び名で表示されている(乙第4号証の英文カタログの品名にも「EQT」が用いられている。)ことから、当該電子メールの件名には「EQT SS07 Bookings」のタイトルが付されている。
この電子メールの交信記録によれば、アディダスジャパンでマーケティングを担当するカテゴリーマネージメント部の担当者Xは、アディダスグループの担当者Y(所属会社:アディダス ソーシング リミテッド(adidas Sourcing Ltd.)、所属部署:M&S Region Asia Pacific Region、役職:Category Manager,Lifestyle Apparel、乙第2号証の子会社一覧の通し番号第121番)によって2006年9月8日(金)の午後12時35分に送信された2007年春夏のEQT商品の発注数に関する問い合わせに対して、2006年9月8日(金)の午後5時43分に返信し、日本におけるEQT商品のアイテム別の受注数量及び発注数量を記載した一覧表(EQT JPN Order)を送付している。また、当該返信メールの本文中で本商品の発注方法についてYに確認を求めたことが認められる(アディダスジャパンは、日本向け商品を上記のアディダス ソーシング リミテッドに発注している。)。
なお、2006年9月8日(金)の午前12時24分に送信された電子メールにおいて、上記のアディダス ソーシング リミテッドの担当者Y等に対してEQT商品の発注数を報告するよう要請したZは、アディダスグループのアディダス アメリカ インコーポレーテッド(adidas America,Inc.)(乙第2号証の子会社一覧の通し番号第87番)に所属するEQT商品の開発担当者である。
アディダスジャパンの担当者Xの電子メールに添付された日本からの受発注数量一覧表に記載された各商品のモデル、品番、品名(商品名称)、価格は、乙第5号証の日本文商品カタログに表示のものに対応している。
この「EQT SS07」商品、すなわち、本件商標を用いた2007年春夏商品は、アディダスジャパンが全国で運営する直営店(乙第7号証の1)のうち、アディダスパファーマンスセンター札幌エスタ店(乙第7号証の2)、アディダスパファーマンスセンター池袋店(乙第7号証の3)、アディダスパファーマンスセンター名古屋店(乙第7号証の4)、アディダスパファーマンスセンター福岡店(乙第7号証の5)、アディダスコンセプトショップ原宿店(乙第7号証の6)で2007年4月から販売されている。
乙第8号証は、本商品に関する2007年1月1日から2007年6月28日までの日別商品売上集計データ(全21頁)を示す。この集計データ第1頁の冒頭部分(黄色でマーカーした部分)は、2007年4月12日にアディダスパファーマンスセンター福岡店(以下、「福岡店」という。)で下記の1)?12)の商品の売上があった事実を示す。
1)EQTロゴハット、モデル13507、品番616584、売上数量2点
2)EQTロゴハット、モデル13813、品番098990、売上数量1点
3)ロゴスウェットシャツ、モデルN6009、品番233544、2XOサイズ、売上数量1点
4)EQT 102 Shirt(乙第5号証のロングスリーブソリッドTシャツ)、モデルN6014、品番412901、Mサイズ、売上数量2点
5)EQT 108 Shirt(乙第5号証のソリッドTシャツ)、モデルN6036、品番412943、Oサイズ、売上数量1点
6)EQT 108 Shirt(乙第5号証のソリッドTシャツ)、モデルN6036、品番412946、2XOサイズ、売上数量1点
7)EQT 108 Shirt(乙第5号証のソリッドTシャツ)、モデルN6036、品番412946、Oサイズ、売上数量1点
8)EQT 100 Shirt(乙第5号証のロゴTシャツ)、モデルN6043、品番412948、Mサイズ、売上数量1点
9)エンジニアドジップポロシャツ、モデルU8070、品番235939、Mサイズ、売上数量1点
10)エンジニアドジップポロシャツ、モデルU8070、品番241149、Mサイズ、売上数量1点
11)リンガーTシャツ、モデルU8167、品番241623、Oサイズ、売上数量1点
12)トーナルストライプクルー、モデルU8168、品番241625、Oサイズ、売上数量1点
この売上集計データに記載されたモデル、品番、サイズ(カラー名称)、売上金額における商品単価は、乙第5号証の商品カタログの記載に対応する。
乙第9号証の1ないし12は、上記1)ないし12)の各商品の販売時に福岡店が購入者に発行したレシートのデータを表示したものであり、乙第9号証の各枝番号の1ないし12は、それぞれ、1)ないし12)の商品の売上に対応する。また、乙第10号証の1ないし3は、これらのうち、クレジットカードによる購入記録の控えを示す。
なお、乙第8号証の売上集計データの記載中、上記1)、3)、4)、6)の商品に関する売上金額が商品単価及び売上数量と対応していないのは、上記1)は、アディダス直営店で発行しているスタンプカードのポイント還元によって小計1万円の値引きが含まれるため(乙第9号証の1)であり、上記3)、4)、6)は、社員優待割引を利用した購入が含まれるため(乙第9号証の3、4及び6)である。
乙第11号証の1ないし6は、福岡店の店舗外観及び店内の商品陳列を示す写真である。
乙第12号証ないし乙第14号証は、上記1)、2)、5)、6)、7)の商品と同一品番の商品又は色違いもしくはサイズ違いの商品の写真である。
乙第12号証の1ないし8は、上記1)及び2)のEQTロゴハット(帽子)の色違い商品(ブラック)の写真を示す。本商品のクラウンの正面に縫い付けられたラベル(乙第12号証の1、3、4及び8)、並びに本商品に付された紙製下げ札(乙第12号証の4及び6)には、上段にオリーブ色で斜めに傾けた細長台形様図形を等間隔で3本互いに平行に並べてなるものを、中段に黒色のレタリングの文字で「adidas」と横書きしたものを、下段にオリーブ色で上記「adidas」の文字とは別のレタリングの文字で「EQUIPMENT」と横書きしたものをそれぞれ配置した構成からなる商標が表示されていることが認められ、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることが明らかである。
乙第13号証の1ないし11は、上記5)のEQT 108 Shirt(ソリッドTシャツ、グレイ)と同じ品番の商品の写真を示す。本商品の背裏に縫い付けられたラベル(乙第13号証の3)、袖付けの部分に縫い付けられたラベル(乙第13号証の4及び11)、本商品に付された紙製下げ札(乙第13証の6及び7)には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていることが認められる。
乙第14号証の1ないし8は、上記6)及び7)のEQT 108 Shirt(ソリッドTシャツ、ホワイト)のサイズ違いの商品(Mサイズ)の写真を示す。本商品の袖付け部分に縫い付けられたラベル(乙第14号証の1及び3)、本商品に付された紙製下げ札(乙第14証の5)には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていることが認められる。
なお、これらの写真は、福岡店における2007年春夏商品のバーゲンセールの開始後に撮影されたため、乙第13号証及び同第14号証に示す商品の値札には値下げ後の価格が赤色又は赤色ラベル上に表示されているが、2007年4月12日の販売日における正規価格は紙製下げ札に黒色で記載されたとおりであり、乙第5号証、同第6号証に表示された価格に対応する。
以上、乙第1号証ないし同第15号証より、被請求人から本件商標に関する使用権を許諾されたアディダス インターナショナル ベー ヴェーから再使用許諾を受けたアディダスジャパンが、本件商標と社会通念上同一の商標を使用した帽子、Tシャツ、ポロシャツ等の被服を本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において販売していたことが明らかである。
(4)結語
本件商標は、本件商標の使用権者のアディダスジャパンによって、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品に包含される「被服」に使用されていたものであるから、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、したがって、本件商標の登録は取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第14号証(枝番号を含む。)によれば、例えば、下記の如く、被請求人の通常使用権者と認められる者が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品「被服」について使用していたものと認められる。
乙第9号証の5は、商品「Tシャツ」の販売時(2007年4月12日)に福岡店(通常使用権者の直営店)が購入者に発行したレシートのデータであって、それは要証期間内であり、該レシート上の「0881938820294」及び「EQT 108」が乙第13号証の5及び6の商品「Tシャツ」の下げ札に記載されているものと一致し、乙第13号証の7の下げ札に表示されている商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と認められる。
これに対して、請求人は、何ら弁駁するところがない。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「被服」について使用をしていたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2008-02-21 
結審通知日 2008-02-26 
審決日 2008-03-10 
出願番号 商願平2-126129 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 酒井 福造
伊藤 三男
登録日 1997-07-11 
登録番号 商標登録第4025668号(T4025668) 
商標の称呼 アディダス、エクイプメント、アディダスイクイップメント 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 
代理人 佐久間 剛 

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