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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効としない Y25
審判 全部無効 外観類似 無効としない Y25
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Y25
管理番号 1177692 
審判番号 無効2007-890096 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-06-19 
確定日 2008-04-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4818522号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4818522号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年1月23日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年11月19日に設定登録されたものであるが、その後、平成18年7月20日の異議の決定(異議2005-90083)により、指定商品中「洋服(「子供服」を除く。),コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての商標登録を取り消すべき旨の決定がなされ、その確定の登録が平成18年10月20日になされているものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第531565号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ENFANT」の欧文字を書してなり、昭和33年3月31日に登録出願、第36類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第531566号商標(以下「引用商標2」という。)は、「アンファン」の片仮名文字を書してなり、昭和33年3月31日に登録出願、第36類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む。)を提出した。
〈理由〉
本件商標は、引用商標1及び引用商標2に類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、その登録は商標法第46条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
1 本件商標の登録を無効とすべき具体的理由について
(1)本件商標について
本件商標は、その外観については、欧文字の大文字「R・K」を、「R」を180度回転させた態様、(以下「逆R・K」という。)と共に、その下方に小さく「R・KIKUCHI」と横一連に記載し、かつその右方に、若干の間隔をおいて、欧文字の小文字「enfant」を、やや丸みのある手書き風の書体にて横一連に記載した構成からなるものである。
そして、本件商標は、前半部分をいずれも大文字かつ角張ったゴシック体で二段にまとまりよく表した外観からなるのに対し、後半部分については、全体を小文字でかつ丸みのある手書き風書体で横一列に表したものであって、前半と後半とで外観構成を著しく異にするものである。しかも、前半部分と後半部分との間には空白部分を設けてなるものであるから、本件商標は外観上一体性がなく、空白部分を境に前半と後半とで外観上分離して認識されるものである。
また、本件商標は称呼上も、全体としての称呼を生ずるとしても、「アールケイアールキクチアンファン」又は「アールケイアールキクチエンファント」とかなり冗長なため、簡易迅速を尊ぶ取引業界においては、途中で区切って一部のみを称呼して取引することが一般的で、空白部分で前後に区切り、前半部分から「アールケイアールキクチ」後半部分から「アンファン」若しくは「エンファント」なる称呼を生ずるとするのが相当である。
(2)本件商標から「アンファン」又は「エンファント」の称呼が生じることについて
ア 一方、本件商標に対する異議2005-90083に係る異議の決定(甲第7号証)においては「『enfant』の文字が、その指定商品との関係において、『子供服』を指称する文字部分といえるから、該文字から生ずる称呼をもって取引に当たることはない」として、本件商標から「アンファン」「エンファント」の称呼は生じないとの判断を示されているが、以下に述べるとおり、「enfant」の文字部分からは直ちに「子供服」の意味が認識されるものではなく、かかる部分も十分自他商品識別力を発揮しうる部分として、「アンファン」「エンファント」なる称呼を生ずるものと思料する。
イ すなわち、この種の服飾業界では、フランス語が商品名等に好んで用いられる実情があるとしても、そもそも我が国におけるフランス語の普及度は英語に比べると相当低く、フランス語であればいかなるものでもその意味合いが容易に認識できるとまではいえないのが実情である。したがって、多少品質表示的な意味合いを想起しえなくもないものであっても、一律に品質表示と判断するのは行きすぎであり、実際の取引の場において使用された場合に、フランス語の意味合いにより商品の品質が直ちに理解できる状況にない限りは、自他商品識別力を有するものとして何らかの称呼を生ずるのが相当であると思料する。
ウ 実際のところ、特許庁では、平成2年審判第1190号審決(甲第8号証)において、「enfant」の文字部分についてはフランス語で「子供」を意味する語であることは認めつつも、「enfant」の部分には自他商品識別力を認め、「アンファン」の称呼を生ずる、との判断を示している。
また、登録第4923060号(甲第9号証)及び登録第4923061号(甲第10号証)は、「アンファン/ENFANT」又は「ENFANTS」の文字からなるもので、いずれも「被服」等を指定して、平成17年5月18日に登録出願されたものであるが、自他商品識別力を否定されることなく登録されているのである。
このように特許庁の最近の審決例、審査例を見ても、「アンファン」や「ENFANT」「ENFANTS」の自他商品識別力が認められており、このことから特許庁においても、「ENFANT」「アンファン」の語が実際の取引の場において品質表示として認識される状況にはないと判断していることが、容易に理解できるのである。
エ また、「アンファン」又は「ENFANT」以外にも、品質表示的な意味合いが理解されなくもない語は多数あるが、我が国におけるフランス語の普及度から考えて、その意味合いが直ちに理解されるものではない、と判断された事例は以下の事例をはじめ多数見られる。
不服2002-9251号(甲第11号証)、昭和56年審判第16078号(甲第12号証)、昭和41年審判第9202号(甲第13号証)、昭和57年審判第25579号(甲第14号証)、昭和41年審判第7298号(甲第15号証)、昭和47年審判第6350号(甲第16号証)
オ このように、仮にフランス語の意味合いを理解した場合には品質表示的意味合いを認識しえなくもない商標であっても、自他商品識別力を認められた例が多数存在し、特に「enfant」「ENFANT」若しくは「ENFANTS」の文字については、最近の審査・審判においても自他商品識別力が認められていることを考慮すると、本件商標中の「enfant」部分についても、充分に自他商品識別力を発揮しうる部分として、「エンファント」「アンファン」等の称呼を生じうるものと思料する。
カ さらに、現実の取引の場における「enfant」の使用状況を検討すると、本件商標の指定商品を取扱う分野においては、例えば、以下の子供服に関するウェブサイトに示されるように、商品を子供用・赤ちゃん用・妊婦用等に分類した上で、子供用については「キッズ」「Kids」と表示するものが、多数見当たっているのであるが、その一方で、子供服を意味するために「enfant」又は「アンファン」と表示したものはほとんど見つからないのが実情である。
・「マタニティ・ママ市場」「ベビー市場」と並んで「キッズ市場」「ジュニア市場」と表示した例(甲第17号証)
・「Kids/子供服をお探しの方」「Ladys/婦人服をお探しの方」と表示した例(甲第18号証)
・「ベビー、キッズ、マタニティ」と表示した例(甲第19号証)
そこで、「enfant」が子供服を意味する品質表示語であるとの認識が、服飾業界における一般的認識として存在するのかをさらに調べると、例えば「新・田中千代服飾辞典」(同文書院発行/甲第20号証)においては、そもそも「アンファン」の項目が存在せず(第46頁、第l225頁参照)、「子供服」の項における様々な種類の子供服についても、「ベビー」や「トドラ」等の表示は使用されているものの、「enfant」又は「アンファン」なる表示は一切見当たらないのである(第345頁?第349頁参照)。また、ウェブサイト上で提供される一般的な辞書のデータには、「キッズ」「kids」 を「子供。ファッションなどでいうことが多い。」「子供たち。また、若者たち。『?ファッション』『ストリート?』」との記載(甲第21号証及び甲第22号証)はある一方で、「アンファン」なる語の記載がなく、さらに服飾用語を解説したウェブサイトは多数見当たったものの、「アンファン」を「子供服」の意味であると記載したものは後述の異議決定で示された1件以外には見つからないのである。
なお、本件商標に対する異議2005-90083号の決定における取消理由の欄には、以下の表示が存在することを理由に、「子供服」を指称する語として「enfant」又は「アンファン」の語が使用されている旨指摘されているが、この程度の表示のみから品質表示語と判断するのは無理があるものと思料する。
(a)ファッション用語辞典123(http://www.oxlare.net/fashion/dictionary/d‐fashion.html)における、「フランス語。アパレル業界では『子供用』として扱われます。」との表示
(b)「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」のホームページ(www.princehotels.CO.ip/shopping/karulzawa/pickup/pfashion.html)における、「軽井沢・プリンスショッピングプラザ見やすくレイアウトされた店内には、…ファム(レディス)・オム(メンズ)・アンファン(子供服)のボーダーTシャツ…」との表示
(c)繊研新聞(2005年11月21日付)における「子供服のフーセンウサギの『ソニアリキエル・アンファン』は06年夏、…」との表示
(d)繊研新聞(2004年4月30日付)における「…子供服の『ナイフ・アンファン』、バッグの『ドゥミル』…」との表示
(e)「ひがし灘どっとこむ」のホームページ(http://www.higashinada.com/?jobプラスマイナスshow shop&sid=e94c4afde421809aec2701148178a99d)における、「Marie Enfant(マリーアンファン)輸入子供服のお店、マリーアンファンには新しくママになられる方から、おばあちゃま方まで楽しんでいただけるヨーロッパの子供服が集まっています。 … 」との表示
これら(a)?(d)のうち、「アンファン(enfant )」が「子供用」を意味するとして説明したサイトは上記(a)(甲第23号証)のみであり、また実際に請求人が調べた限りでは、かかるサイト以外に同様の説明を記載したものは見当たらない。したがって、このような1件の語句説明のみをもって「enfant」「アンファン」が「子供服」の意味で一般に知られているとは考えにくいのである。
また、上記(b)については、「アンファン」の後に「(子供服)」との記載があるが、仮に「アンファン」が「子供服」の意味合いで一般的に親しまれ用いられているのであれば、敢えて「子供服」との説明的記載を付する必要はないはずである。それにもかかわらず、「(子供服)」との記載があるのは、かかる表示を掲載した者自身も、「アンファン」が必ずしも「子供服」の意味合いで理解されるか否かが不明であると認識しているからにほかならないと思料する。しかも2006年9月の時点では、該当アドレスのウェブサイトには上記表示は掲載されておらず、むしろ、「…レディス、メンズ、キッズと取り揃えております」として、「子供服」の意味で「キッズ」を使用している例が見られるのであり(甲第24号証)、ごく最近のウェブサイトにおけるファッション関連の記事においても専ら「キッズ」の語が使用され、「アンファン」の語は見当たらないのである(甲第25号証)。
そして、(c)(d)については、「ソニアリキエル・アンファン」 「ナイフ・アンファン」のいずれも、商品の一商標として表示されているものであり、その付近に記載されている「子供服の…」との文言によってはじめて、商品が子供服であることは推測されるにしても、これより直ちに「アンファン」が「子供服」の意味として使用され、認識されていると断定することはできないと思料する。
さらに、(e)(甲第26号証)については、「Marie Enfant」「マリーアンファン」はあくまでも全体でひとつの店名として表したものと理解するのが自然であり、「Enfam」「アンファン」の部分が「子供服」を意味するために表示され、またそのような意味で実際に理解されているとはいえないものと思料する。
したがって、服飾業界における「enfant」「アンファン」の上記使用状況からすれば、「子供服」の一商標として、その一部に「enfant」又は「アンファン」が採択される場合もあるとしても、あくまでも漠然と「子供」の愛らしいイメージが想起されるにとどまるのであって、ここからさらに進んで「子供服」を意味する語として一般的に認識され使用されている状況に至っているとまではいえないものと思料する。
キ 以上述べた点を総合して考慮すると、本件商標中、「enfant」の文字部分については、それ自体独立して十分自他商品識別力を発揮し得るものであり、かかる部分を「アンファン」と称呼して取引される場合もあるものと思料する。また観念については、フランス語に精通した者であれば「子供」の意味を理解しうるとしても、漠然と子供のイメージを想起する程度にとどまり、「子供服」との意味合いまでは認識されないものと思料する。
(3)引用商標1及び引用商標2について
引用商標1は「ENFANT」の文字からなり、これより「アンファン」又は「エンファント」の称呼を生じる。
引用商標2は「アンファン」の文字からなり、これより「アンファン」の称呼を生じる。
また引用商標1及び引用商標2の観念については、フランス語に親しみのない者にとっては観念など到底生じないのであり、フランス語に精通した者ですら、「子供」という意味を理解しうるにとどまり、漠然と子供のイメージを想起する程度にすぎないのであって、「子供服」との意味合いまでは認識されないものと確信する。
(4)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否
ア 指定商品の類否
以上より、本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否を検討すると、先ず、本件商標の指定商品「子供服」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品中「被服」に含まれるため、本件商標と引用商標は指定商品において類似する。
イ 本件商標と引用商標1の類否
称呼については、本件商標から生じうる「アンファン」又は「エンファント」の称呼と、引用商標1から生じる「アンファン」又は「エンファント」の称呼が共通し、観念については、いずれの商標もフランス語に精通したものであれば、「子供」の観念を生ずるため、観念も共通する。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観は多少異なるものの、称呼、観念において類似するため、両商標をそれぞれの指定商品に使用した場合には互いに相紛らわしく、出所混同のおそれがあるものと思料する。
よって本件商標と引用商標1は類似する。
ウ 本件商標と引用商標2の類否
称呼については、本件商標から生じうる「アンファン」の称呼と、引用商標2から生じる「アンファン」の称呼が共通し、観念については、いずれの商標もフランス語に精通したものであれば、「子供」の観念を生ずるため、観念も共通する。
したがって、本件商標と引用商標2とは、外観は多少異なるものの、称呼、観念において類似するため、両商標をそれぞれの指定商品に使用した場合には互いに相紛らわしく、よって、本件商標と引用商標2は類似する。
エ 以上より、本件商標は、引用商標1及び引用商標2に類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず、これに違反して登録されたものである。
2 むすび
以上述べたとおり、本件商標は、引用商標1及び引用商標2のいずれにも類似し、商標法第4条第1項第11号に違反するものとして、その登録を無効にされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、左側からゴシック体で「逆R・K」、その下に同じ幅で二分の一程度の大きさの「R-KIKUCHI」の文字を書し、その右側に一字程度の間隔をおいて、太字筆記体風の「enfant」を配してなるものである。
そうすると、先ず、本件商標は、「逆R・K」とその下の「R-KIKUCHI」の文字及び「enfant」の文字全体より、「アアルケイアアルキクチアンファン」の称呼を生ずるものである。
次に、本件商標は、その構成中の「逆R・K」部分と「enfant」の文字部分とが一字程度の間隔を有するとしても、両部分とも太字で視覚上印象が強くまとまりのよい部分といえるから、該「逆R・K」部分と「enfant」の部分より、「アアルケイアンファン」の称呼をも生ずるというのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中の「R-KIKUCHI」が小さく表しされているとしても、人名の省略表記と認識されるといえるものであるから、該「R-KIKUCHI」の部分より、単に「アアルキクチ」の称呼をも生ずるというのが相当である。
ところで、本件商標をその指定商品「子供服」との関係においてみるに、「子供服」等を取り扱うアパレル業界においては、いわゆるファッション商品にフランス語が用いられてきており、「enfant」、「アンファン」の語についても、「子供、児童」等を意味する平易なフランス語、及びその外来語として、ファッション商品関係の取引者、需要者に相当程度理解されていることは、請求人の提出に係る甲第23号証の「ファッション用語事典123」及び各フランス語辞典からも窺えるところである。
そして、アパレル業界では、「enfant」、「アンファン」の語が、「子供用」として使用され、また、本件指定商品との関係においては、「子供服」を指称する語として、さらに、子供服を取り扱う店名の一部について使用されていることが窺いし得るところである。
そうとすると、本件商標は、全体としてまとまりのよいこと、また、構成中の視覚上印象の強い部分は太字で書された上記「逆R・K」部分と「enfant」の文字部分であり、「R-KIKUCHI」部分は人名の省略表記と認識されるといえること、及び本件商標の指定商品「子供服」との関係においてみると、「enfant」の文字部分が「子供服」を指称する語として、ファッション商品関係の取引者、需要者に相当程度理解されていることを総合すると、子供服を取り扱うファッション商品関係の取引者、需要者が、本件商標の右側の「子供服」を指称するフランス語の「enfant」の文字部分のみを殊更抽出分離して、該「enfant」の文字部分をもって、取引に当たるとはいい難いものである。
したがって、本件商標は、上記したとおり、文字全体より「アアルケイアアルキクチアンファン」の称呼、「逆R・K」部分と「enfant」の文字部分より「アアルケイアンファン」の称呼、及び「R-KIKUCHI」の部分より「アアルキクチ」の称呼を生ずる特定の観念を有しない商標というのが相当である。
2 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は、それぞれ前記第2のとおり、「ENFANT」又は「アンファン」の構成よりなるものであるから、「アンファン」の称呼及び「子供」の観念を有するものである。
3 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
上記1のとおり、本件商標が「アアルケイアアルキクチアンファン」、「アアルケイアンファン」又は「アアルキクチ」の称呼を生ずる特定の観念を有しない商標であるのに対し、引用商標1及び引用商標2は「アンファン」の称呼及び「子供」の観念を有するものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、音構成、構成音数が明らかに異なる称呼上類似しない商標であり、観念上は比較することができないものである。また、外観においては、別掲及び前記第2のとおりであって、判然と区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
4 請求人の主張
請求人は、本件商標の構成中の「enfant」の文字部分からは直ちに「子供服」の意味を認識するものではなく、かかる部分も自他商品識別力を発揮し得る部分として、「アンファン」「エンファント」の称呼を生ずる旨主張し、先例審決、登録商標例、及び先例異議決定例とその証拠について種々述べ、甲第7号証ないし甲第26号証を提出している。
しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについては、商標の構成態様、その指定商品の関係、取引の実情等の関係を総合して判断すべきであり、本件については、上記のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
5 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効にすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲
本件商標

審理終結日 2008-01-29 
結審通知日 2008-02-01 
審決日 2008-02-22 
出願番号 商願2004-9499(T2004-9499) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (Y25)
T 1 11・ 261- Y (Y25)
T 1 11・ 263- Y (Y25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川 きみえ
石田 清
登録日 2004-11-19 
登録番号 商標登録第4818522号(T4818522) 
商標の称呼 アアルキクチアンファン、アアルケイアンファン、アアルキクチ、キクチ、アアルケイ、エンファント 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 

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