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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y25
管理番号 1176108 
異議申立番号 異議2006-90269 
総通号数 101 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-05-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-06-08 
確定日 2008-03-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第4936457号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4936457号商標の指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),運動用特殊衣服」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4936457号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり「Do-win」と横書きした欧文字と図形との構成よりなり、平成17年8月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。
以下、本件商標の図形部分を「本件図形」という。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも有効に存続しているものである。
(1)登録第1400890号(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:昭和50年6月10日
設定登録日:昭和54年12月27日
更新登録日:平成元年12月19日及び同11年8月10日
指定商品 :第24類に属する商標登録原簿に記載のとおり。
(2)登録第1412880号(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:昭和50年6月10日
設定登録日:昭和55年3月28日
更新登録日:平成6年10月28日及び同12年2月1日
指定商品 :第22類に属する商標登録原簿に記載のとおり。
(3)国際登録第732710号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
国際登録日:平成12年3月18日
国内登録日:平成12年12月8日
指定商品 :第9類に属する商標国際登録原簿に記載のとおり。
(4)登録第1733569号(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:昭和52年7月28日
設定登録日:昭和59年12月20日
更新登録日:平成7年5月30日及び同16年7月13日
指定商品 :第22類に属する商標登録原簿に記載のとおり。
(5)登録第4911559号(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:平成17年5月18日
設定登録日:平成17年12月2日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿に記載のとおり。
(6)登録第4919435号(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(5)のとおり
登録出願日:平成17年6月21日
設定登録日:平成18年1月6日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿に記載のとおり。
(7)登録第3371023号(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲(6)のとおり
登録出願日:平成7年1月30日
設定登録日:平成11年1月8日
指定商品 :第25類「靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」
以下、引用商標7を「引用図形」という場合がある。

3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、登録異議の申立の理由を要旨以下のように述べ、その証拠として甲第1ないし34号証を提出している。
(1)本件図形と引用商標1ないし7とは、外観が類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標は、申立人が長年にわたり商品「運動靴、運動用特殊靴」について使用してきた結果、日本を含む世界で広く知られた商品等表示(引用商標1ないし3と同じ)に類似するため、本件商標がその指定商品について使用された場合、申立人会社の商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 当審において通知した取消理由通知(要旨)
本件商標は、別掲(1)のとおり、文字と図形の組み合わせからなるところ、本件商標を構成する文字と図形とを常に一体不可分のものとして、認識・把握しなければならない格別の事由は見いだし得ないから、それぞれ独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものといえる。
他方、引用商標7は、別掲(6)のとおり、図形のみからなるものである。
そして、本件図形と引用図形とは、別掲(1)及び(6)のとおり、いずれも肉太の流れるような線を、その左下の底辺から三本の太線を右上に向かって次第に合流させ一本のまとまった太線になるように描いた図形といえるものであり、両者は、左下底辺から三本の太線の角度、切れ込み度合いがほとんど同一といえ、全体として酷似するものである。
してみれば、本件図形と引用図形とは、これを時と所を異にして離隔的に観察した場合には、外観において彼此相紛れるおそれが極めて高い類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標と引用商標7とは、外観において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」に属する「靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)及び運動用特殊衣服」と引用商標の指定商品とは同一又は類似する商品と認められるものである。
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中の上記商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見(要旨)
商標権者は、異議申立書及び前記4の取消理由通知に対し、意見書及び上申書において乙第1ないし9号証(枝番を含む。)を提出し、意見を要旨以下に述べている。
(1)本件商標と引用商標7との対比について
ア 外観について
本件図形と引用図形とは、いずれも左下の底面から三本の線を右上に向かって次第に合流させ一本のまとまった線になるように描いた図形であるが、本件図形は、三本線中、左の線がやや下側からはじまるのに対し、中央の線は少し上方よりはじまり、右の線はさらに上方より右上に向かうため、三本の線は斜めに伸び、一本のまとまった線の終点部分は、先細りになり、鋭角に切れているので、スマートで全体としてスピード感がある、繊細な印象を持つが、引用図形はいずれも三本線も同一始点から始まり、一本のまとまった線の終点部分は、そのまままっすぐに線が終わっており、始点から終点まで肉太の線でずっしりと描かれているため、全体として非常に力強く重厚印象を持つものである。
このように、本件図形と引用図形とは、印象が相違するので、両商標の間で相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標には、図形のすぐ上に、図形と合わせてやや斜体にされ、図形との間を狭くして一体感を高め、縦と横の長さを調節して、全体として安定感を保つように構成した「Do-win」と横書きした欧文字があるので、一般消費者は、全体が同時に目にはいり、「ドゥーウィン」という商品なのだと把握・認識される。
このように、「Do-win」と図形とが一つの形状として把握され、分離して把握されるという特段の事情は、本件商標内にはみあたらないので、本件商標と引用商標7とは、形状が異なるので、外観上異なる商標である。
イ 称呼及び観念について
本件商標中の文字部分は、商標権者「クン シャン ドゥーウィン スポーツ グッズ カンパニー リミテッド社」の会社名の一部であり、また、辞書に掲載の語であることから、会社名「ドゥーウィン」と「勝ちとろう」の観念が生じる。
また、本件商標からは「ドゥーウィン」の称呼が生ずるが、引用商標7は、単に図形商標であるので、称呼も観念も一切生じない。
(2)本件商標と引用商標7との商品の対比について
申立人の会社は、80年代より商品の生産を開始した、中国有数のプロスポーツメーカーであり、プロの運動用品生産企業として、中国オリンピック協会に独占的な運動靴供給者となっていおり、中国スポーツ用品ブランドへの貢献を認められ、高く評価されている。本件商標を付した商品は、ジョギングシューズやウエイトリフティングシューズ等の運動用特殊靴のほか、運動用ジャージやランニングシャツ等の運動用特殊医療など多技にわたり、中国国内でプロが使用する運動用品に付されて販売されている。
一方、引用商標7の権利者である「株式会社コマリヨー」は、フットウェア直輸入・卸商社であり、スニーカーなどの取り扱いはあるものの、キャラクターサンダルなどの機能性やデザインを重視した街中で使用するようなカジュアルな靴を取り扱っているが、引用商標7を付した靴は取り扱っていない。
このように、申立人と引用商標7の権利者とは、取り扱う商品の消費者のターゲットが全く違うから、本件商標と引用商標7との間で、出所の誤認混同は生じない。
(3)本件商標を付した商品について
本件図形を商品の側面にアレンジしラインとして使用してはいるが、通常の商標の使用実体の範囲以内であり、舌部(ベロ部分)には、本件商標と同一のものを付したり、「Do-win」の文字を舌部(ベロ部分)にいれ、本件図形と文字とを、靴に一緒に付して、文字と図形部とを一体不可分のものとして使用している。
シューズには、本件商標とほぼ同一の欧文字と図形とを一体に使用したタグをつけ、側面には本件図形をデザインとしてつけているが、すぐ上には文字が入った飾りタグをつけている。また、マジックテープでシューズを固定する箇所にも文字が入っているので、少し目をやれば、側面の本件図形が目に入る。
このように、本件商標においては、文字部分と図形部分とを一体不可分に使用しているところ、分離して把握されるという特段の事情は、本件商標内には見あたらない。
(4)ラインが付されている商品について
ラインの図形が多数商標登録されていること、そして、様々なデザインのラインを付したシューズやジャージなどの運動着が取引されているが、いずれの場合にも、ラインのみを見て購入する消費者は、そのブランドの愛用者やファン若しくはシューズが好きな消費者に限られる。
一般的な消費者は、商品のタグや舌部(ベロ部分)に付されている会社ロゴや会社名を確認し、商品を購入しているはずである。
したがって、消費者は図形部分の周知性ではなく、シューズに付された文字(会社名)と図形部分を一体のものとして把握するので、本件商標においても一体不可分に使用しているので、分離して把握されるという特段の事情は、見当たらない。
(5)結論
本件商標は、文字と図形とが一体不可分の結合商標であり、図形部分のみを比較しても本件商標と引用商標とは、非類似である。
また、消費者のターゲットが全く違うから、本件商標と引用商標との間で、出所の混同は生じない。
そして、消費者は会社ロゴや会社名を確認するので、図形部分の周知性ではなく、文字と一体として把握する。
本件商標も、文字部分と図形部分とを、一体不可分に使用している。

6 当審の判断
(1)商標権者は、平成19年2月23日付けの前記4の取消理由通知に対し、同年6月6日付けの意見書及び同年7月25日付けの上申書を提出し、意見を述べているので、以下検討する。
ア 商標権者について
商標権者は、中国オリンピック委員会から、中国オリンピックに関係するマークと公式呼称及び専門用語の使用を認められていたこと、また、寄付行為等により、栄誉証書等の授与を受けていたこと、さらに、中国国内の複数のスポーツ大会に関係し、特殊マークの使用承認や、スポンサー等になっていたこと、複数の雑誌に広告を掲載したこと及び運動靴や各種のスポーツウェア等を扱っていることから、スポーツ競技者用の商品を主に扱っていることが認められる。
しかし、中国国内において行われているスポーツ競技大会の回数やそれらに関係した回数、雑誌等の発行部数及び広告・宣伝を行った回数・期間、商品の取り扱い量等が明示されていないものであり、商標権者が需要者・消費者にどの程度知られているかは不明である。
イ 本件商標について
本件商標と同一又は社会通念上類似の範囲の態様の商標を、商標権者のホームページ、運動靴及びスポーツウェア等に使用していることは認められる(乙第3、4、6及び7号証)。
しかし、乙3号証の11中の、雑誌表紙には「Do-win」及び「多威」の文字のみのであり、ゼッケンには本件図形と「多威」の文字とであり、また、乙3号証の13「商標の意味」の標題の頁には「多威(ドーウェイ)が登録した商標は、本件図形、Do-win、多威の三つである。」との記載等があり、商標権者の会社ビルと思われる写真が掲載された頁中の建物の壁面には「Do-win」及び「多威」の文字はあるが、本件図形の掲載はされていないし、運動靴、リストバンド、ヘッドバンド及び靴下等の商品の広告が掲載された各頁には、「Do-win」の文字又は本件図形のどちらかしか付されていない商品、あるいは、本件商標と社会通念上同一又は類似であるとは考え難い態様で表された標章が付された商品も多数掲載されている。
ウ 商品の出所について
上記「商標の意味」の文中には「多威(ドーウェイ)は、陸上競技専用シューズの生産を頼りに発展して大きくなったのである。」との記載及び中国オリンピックに関係したこと、複数のスポーツ大会に関係したこと並びに運動靴や各種のスポーツウェア等を扱っていることからして、もっぱらスポーツ競技用の商品を中心に扱っていることは認められる。
しかし、通常この種の商品は、多くの場合、競技者用から一般用まで同一ブランドで生産・販売等を行っていると考えられるものであり、商標権者が一般用の生産や販売等を一切行っていないという証左もなく、また、引用商標7の権利者が、競技者用の商品を一切扱っていないとの証左もない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1に記載のとおりの構成からなり、「Do-win」の文字部分より「ドゥウイン」の称呼が、「勝ってください」程度の観念が生ずるが、その図形部分からは、特定の称呼も何らの観念も生じないものであることから、全体としては「ドゥウイン」の称呼、「勝ってください」の観念を生ずるといえるものである。
これに対し、引用商標1ないし7は、前記2に記載のとおりの構成からなり、特定の称呼、何らの観念も生じないものである。
そして、本件商標と、引用商標1ないし6とを比較するに、引用商標1ないし7は、何ら特定の称呼も観念も生じないものであるから比較することが出来ないものであり、また、互いの外観も異なることよりすれば、非類似の商標であると認められる。
ところで、商標権者は、前記4において「本件商標は、文字部分と図形部分とを分離して把握されるという特段の事情なく、一体不可分の商標であり、一体不可分に使用している。」旨述べているが、本件商標の使用状況は、上記イのとおりであり、本件図形と「Do-win」の文字とを、本件商標の構成態様とは異なる使用が多々行われていることが認められ、その他文字部分と図形部分とを分離して把握されるとすべき特段の事情は見い出し難く、その主張は採用できない。
そこで、本件商標と引用商標7との類否について検討するに、上記のとおり、引用商標7は称呼も観念も生じないものであるから、称呼と観念については比較することが出来ないものではあるが、前記4に通知した理由のとおり、本件図形と引用商標7とは、外観において類似する商標であると認められる。
したがって、本件商標と引用商標7とは、類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」に属する「靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)及び運動用特殊衣服」と引用商標7の指定商品とは同一又は類似する商品と認められるものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、本件商標が引用商標1ないし3に類似するため、本件商標がその指定商品について使用された場合、申立人会社の商品と混同を生ずるおそれがあると申し立てるが、本件商標と引用商標1ないし3とは、上記のとおり非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者がこれより申立人を直ちに連想・想起させるとは思われず、申立人又は申立人の使用に係る商品であるかのように、その出所について誤認・混同をするおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)結論
以上検討したとおり、本件商標と引用商標7とは類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標7の指定商品とは互いに類似する商品と認められるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に該当するものというべきであるから、この理由により、結論掲記の指定商品については、商標法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものとし、その余の指定商品については、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)本件商標(登録第4936457号商標)


別掲(2)引用商標1及び2(登録第1400890及び1412880号商標)


別掲(3)引用商標3(国際登録第732710号商標)


別掲(4)引用商標4及び5(登録第1733569及び4911559号商標)


別掲(5)引用商標6(登録第4919435号商標)


別掲(6)引用商標7(登録第3371023号商標)


異議決定日 2007-11-07 
出願番号 商願2005-78867(T2005-78867) 
審決分類 T 1 651・ 261- ZC (Y25)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 有水 玲子 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川 きみえ
石田 清
登録日 2006-03-10 
登録番号 商標登録第4936457号(T4936457) 
権利者 クン シャン ドゥーウィン スポーツ グッズ カンパニー リミテッド
商標の称呼 ドゥウイン、ウイン、ダブリュウアイエヌ 
代理人 木村 吉宏 
代理人 安彦 元 
代理人 林 信之 
代理人 小谷 武 

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