• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y0116
管理番号 1172905 
審判番号 不服2006-65036 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-07 
確定日 2007-12-04 
事件の表示 国際登録第834198号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第1類「Adhesives for industrial use.」及び第16類「Adhesives for stationery,household and do-it-yourself purposes.」を指定商品として、2004年4月1日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2004年8月17日を国際登録の日とする立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、瓶の立体的な形状からなるものであるところ、これは、普通に用いられる接着剤の容器の形状を表示したにすぎないものと認められるから、本願商標を指定商品について使用したときには、単に指定商品の容器であることを認識させるにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)立体商標(制度)について
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいは、その商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、色彩等が施されていても、それは、前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有しているにすぎない場合には、これに接する取引者・需要者は、当該商品等の形状を単に表示したものであると認識するに止まり、たとえ、その形状が、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないものと解するというのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは適切でないというべきである。
そうとすれば、商品等の形状と認識される立体的形状よりなる商標については、長年にわたる使用の結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)本願商標の識別力について
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、本願の指定商品である「家庭用の接着剤」等との関係においては、たとえ、下辺部を広くし、中央部にふくらみを持たせ、上辺部が斜めに形成されているとしても、容器のキャップと思しき部分を下にして、容器全体を逆さに立てた如き立体的な形状は、一見して接着剤の容器であると認識されるものであり、格別に特異な形状を表したとはいえないものである。
すなわち、接着剤そのものが粘着性でゲル状であることが多いことから、キャップ部分を上にした場合、接着剤を塗布することができるようになるまでにやや時間が掛かるため、接着剤を直ちに使用できるように、キャップ部分を下にして逆さに立て、さらに、転倒を防ぎ、安定化するように、キャップ部分の形状について、下辺部を広く、大きくした形状の商品が多く出向っている実情がある。
また、商品の容器にさまざまな色彩が施されることも普通に行われており、シルバー、黒、赤を施した本願商標の色彩が、取引者・需要者の注意を引くために一般に用いられる方法の範囲を超えるものであるということもできない。
このことは、本願指定商品を取り扱う分野において、下記(ア)ないし(キ)のように、商品の容器にさまざまな色彩を施したり、容器の形状を、逆さに立てるような形状にすること等が一般的に行われている事実を見出すことができることからも、明らかである。
(ア)不易糊工業株式会社のホームページに、「アトフィスグルー」の商品紹介として、「今までにない新機構の液状のり」の説明と、黄色と赤色で着色され、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。また、商品の説明に、「●はやい 少なくなってもすぐに出てくるスタンバイ型容器。」の記載がある。(http://www.fueki.co.jp/30_products/seihin_p01_02.html及びhttp://www.fueki.co.jp/30_products/seihin_02_01.html)
(イ)不易糊工業株式会社のホームページに、「エコエッグ」の商品紹介として、「でんぷんから生まれた新液状のり」の説明と、青色と白色で着色され、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.fueki.co.jp/30_products/seihin_02_03.html)
(ウ)セメダイン株式会社のホームページに、「木工用」及び「木工用速乾」の商品紹介として、「酢酸ビニル樹脂を水に分散(エマルジョン化)した水系接着剤です。」の説明と、白色、赤色及び黄色で着色され、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.cemedine.co.jp/product/domestic/adhesive/woodwork.html)
(エ)株式会社パイロットコーポレーションのホームページに、「スーパーグルースタンド」の商品紹介として、青色で着色され、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.pilot.co.jp/products/stationary/office/super_glue/index.html)
(オ)ヤマト株式会社のホームページに、「さかだち/NA-60(60ml)」の商品紹介として、「・のりが常にスポンジキャップに接触している状態なので、スポンジキャップの乾燥を防ぎ、のりが少なくなっても、すぐに塗れます。」の説明と、赤色、黒色及び黄色で着色され、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.yamato.co.jp/item/arabicyamato/index.html)
(カ)サンエックス株式会社のホームページ中の、「月刊アイテム通信」2004 3月号に、「のり(スリム)、のり(注射器風)、のり(ネコの手)」の商品紹介として、「スタンドタイプで使いやすい!」の説明と、本体部分に様々な色彩の絵が書かれ、キャップ部分が青色及び白色で着色された、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.san-x.co.jp/item/it0403_01.html)
(キ)コニシ株式会社のホームページに、青色、黄色及び赤色で着色された「ボンド木工用プレミアム」及び、緑色、黄色及び赤色で着色された「ボンド紙用プレミアム」の商品紹介として、逆さに立てた商品の形状が紹介されている。(http://www.bond.co.jp/product_detail/P3346-04467.html及びhttp://www.bond.co.jp/product_detail/P3418-04617.html)
上記よりすれば、本願指定商品との関係において、本願商標をその指定商品について使用しても、接着剤の容器の形状を普通に用いられる方法で表した標章のみからなる商標というべきであって、取引者・需要者は、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと理解するに止まるから、結局、本願商標は、自他商品を区別するための標識としての識別力を具有しないというのが相当である。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、本願の立体的形状は、全体として一体的に構成されており、容器の形状として認識できず、特定の商品或いはその包装容器の形状を想起し得ないものであって、かつ、本願商標に付されている色彩は、出願人が自他商品識別機能を発揮させる目的で意識的に採択し、使用しているものであるから、自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は上記3(2)の認定のとおり、自他商品を区別するための標識としての識別力を具有しないものであるから、請求人の主張は、採用することはできない。
(イ)請求人は、過去の登録例を挙げ、また、複数の外国において本願商標の保護が認められているから、本願商標の登録を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、過去の登録例は、商標の構成等において本件とは事案を異にするものであり、その判断が本件の判断を左右するものではなく、本願商標については上記認定のとおりであるから、請求人の主張は、採用することはできない。
また、外国において登録されている事実は、日本国における登録要件の審査にあたり、影響を及ぼすものではなく、このことは、東京高裁平成12年(行ケ)第427号判決、同16年(行ケ)第216号判決においても判示されているところである。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2007-07-05 
結審通知日 2007-07-13 
審決日 2007-07-24 
国際登録番号 0834198 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y0116)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 鈴木 新五
海老名 友子
代理人 河原 正子 
代理人 江崎 光史 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ