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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y0305
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y0305
管理番号 1172828 
審判番号 不服2006-16644 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-02 
確定日 2008-02-04 
事件の表示 商願2005-85598拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ナノプロテインジェル」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第3類、第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年9月13日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同18年5月30日付け手続補正書により、第3類「ジェル状の家庭用帯電防止剤,ジェル状の家庭用脱脂剤,ジェル状のさび除去剤,ジェル状の染み抜きベンジン,ジェル状の洗濯用柔軟剤,ジェル状の洗濯用漂白剤,ジェル状のかつら装着用接着剤,ジェル状のつけまつ毛用接着剤,ジェル状の洗濯用でん粉のり,ジェル状の洗濯用ふのり,ジェル状の塗料用剥離剤,ジェル状の靴クリーム,ジェル状の靴墨,ジェル状のつや出し剤,ジェル状のせっけん類,ジェル状の歯磨き,ジェル状の化粧品,ジェル状の香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「ジェル状の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,ジェル状の包帯液,胸当てパッド,ジェル状の歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,ジェル状の食餌療法用食品,ジェル状の食餌療法用飲料」と補正されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『ナノプロテインジェル』の文字を標準文字で表示してなるが、指定商品との関係において、『ナノ』の文字部分は、『10億分の1』の意に通じる接頭語で、例えば『ナノテク化粧品』『ナノ粒子』等の用語に用いられているばかりか、化粧品を取り扱う業界において、ナノ技術が化粧品等の製造に応用され([イミダス2006 集英社]第972頁『ナノテク化粧品』の項、同第860頁『ナノ粒子』の項参照)、ナノ化した原材料を使用した化粧品や『ナノ』の語が意味する『10億分の1』のナノテクノロジー(超微細技術)を謳い文句にした各種化粧品等が製造販売されている。また『プロテイン』の文字部分は、『蛋白質』を意味する語であって、化粧品等の原材料として用いられている。さらに『ジェル』の文字部分は『ゼリー状』あるいは『ゼリー状の整髪料や石鹸』の意に通じる語として化粧品の形状又は品質等を表示するために広く用いられており、プロテインを配合したジェル状の化粧品等も取引されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品中の『ナノ技術を用いた、プロテイン入りジェル状化粧品』等に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知を行った。
下記1の(1)ないし(9)の記載によれば、「ナノ」の文字が「10億分の1」の意味を表す語であるとしても、化粧品に係る商品分野においては、「ナノテクノロジー(超微細技術)」を用いて作られる商品について広く使用されているものといえるものであり、かかる化粧品は「ナノ化粧品」と称され、「ナノレベルの超微細技術を用いて作られる化粧品」の意味を表すものとして、需要者等に広く理解されているというべきである。
そうとすれば、「ナノ」の文字は、化粧品に係る商品分野においては、単に「10億分の1」の意味を表すというよりは、「ナノレベルの超微細技術」の意味を表す語として理解されているとみるのが相当である。
また、下記2の(1)ないし(22)の記載によれば、当該分野において、「肌の美白・保湿、肌や髪の補修・保護・保湿」等の効果を有する各種プロテインは、これを配合した化粧品、シャンプー等が流通している実情があり、「プロテイン」が、前記効能を有する化粧品の原材料として、需要者等に広く理解されているというべきである。
かかる事情を考慮するに、「ナノプロテインジェル」の文字からなる本願商標を、本願指定商品中の「ジェル状の化粧品」に使用する場合には、これに接する需要者等は、全体として「超微細技術を用いた、プロテインを原材料とするジェル状のもの」程度の意味合いを容易に看取し、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認識し、把握するにとどまるから、自他商品の識別標識としては認識しないというべきであって、かつ、上記商品以外の「ジェル状の化粧品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというのが相当である。

1 化粧品の分野において、「ナノ」の語が「ナノレベルの超微細技術(を用いて作られる化粧品)」の意味合いで使用されている事実について
(1)「ホソカワミクロン、ナノ化粧品を発売??肌にハリ・保湿。」の見出しのもと、「ホソカワミクロン(大阪府枚方市、細川益男社長)は、配合成分をナノ(ナノは十億分の一)レベルに細かくした化粧品を発売した。皮膚の中にビタミン類が浸透し、肌にハリを持たせ、保湿効果があるという。」(2005年1月1日付け日経産業新聞17頁)との記事。
(2)「【開拓者】パウダーグリーン社長・保戸塚美枝子さん ナノテクが生み出す美肌」の見出しのもと、「何とか立て直したいと思っていたときに出合ったのが、十億分の一メートルの極微粒子を扱う最先端技術『ナノテクノロジー』です。従来の化粧品は肌の上から浸透して、炎症や乾燥などトラブルを抑えるものが一般的でした。ナノ粒子を活用すれば肌の奥まで成分を浸透させることができます。そこで、ナノ技術を持つ企業と技術協力を結び、ナノ化粧品発売にこぎ着けました。」(2006年4月1日付け産経新聞東京朝刊8頁)との記事。
(3)「ナノ化粧品:「超微粒子」で透明感 安全性は?--122社使用、業界団体が検証へ」の見出しのもと、「超微粒子を売りにしたファンデーションなどの『ナノ化粧品』について、日本化粧品工業連合会(粧工連)は、独自試験などでその安全性を検証していくことを決めた。・・・ナノサイズの物質を扱うナノテクは、次世代を担う新技術として期待されている。化粧品分野ではナノテクを生かした超微粒子を含む製品が80年代後半から登場した。同じ成分でも、粒子がより細かい方が、透明感の高いファンデーションや紫外線予防効果の高い日焼け止めができるという。」(2005年9月20日付け毎日新聞東京夕刊1頁)との記事。
(4)「【東京発】美容業界“ナノ化粧品”花盛り」の見出しのもと、「一メートルの十億分の一、肉眼では見ることのできない小さな世界の単位「ナノ」が、化粧品や美顔器のキーワードとなっている。ナノテクノロジー(超微細技術)の研究が進む化粧品業界では、超微粒子が持つ浸透力やキメ細かさを美肌づくりに生かした“ナノ化粧品”が花盛り。一方、『ナノ粒子のスチームが角質層の奥までグングン浸透』などとうたう美顔器が大ヒットを飛ばしている。ソニープラザ銀座店が『ナノ』とつく化粧品を扱い始めたのは六年前。現在は三百種に増えている。『浸透の良いナノ粒子のミスト化粧水は、エアコンによる乾燥肌対策として、昨夏OLの間で大ブレーク。ナノ粒子のファンデーションは毛穴も隠せると好評です』と広報担当。カネボウ化粧品では『ここ数年で販売促進用語として「ナノ」の認知が広まった』と指摘。同社は平成十五年から日焼け止め『アリィー』の広告に、ハスの葉の水はじき効果をナノテクで再現した『超微粒子ナノバリアパウダー』の文字を入れたところ、対前年比売り上げ43%増を記録。」(2005年5月21日付け産経新聞大阪朝刊23頁)との記事。
(5)「【近ごろ都に流行るもの】ナノテクノロジー 超微粒子、女心に浸透中」の見出しのもと、「■化粧品や美顔器ヒット 商品名やコピーで前面に 一メートルの十億分の一、肉眼では見ることのできない小さな世界の単位『ナノ』が、化粧品や美顔器のキーワードとなっている。ナノテクノロジー(超微細技術)の研究が進む化粧品業界では、超微粒子が持つ浸透力やキメ細かさを美肌づくりに生かした“ナノ化粧品”が花盛り。一方、『ナノ粒子のスチームが角質層の奥までグングン浸透…』などとうたう美顔器が、口コミの威力で大ヒットを飛ばしている。・・・カネボウ化粧品では『ナノテクに踏み込んだ化粧品開発自体は新しいことではないが、ここ数年で販売促進用語として「ナノ」の認知が一気に広まった』と指摘。同社は平成十五年から日焼け止め『アリィー』の広告に、ハスの葉の水はじき効果をナノテクで再現した『超微粒子ナノバリアパウダー』の文字を入れたところ、いきなり対前年比売り上げ43%増を記録。今シーズンも前年同期比88%増と絶好調だ。・・・これらに表記された『ナノ』の意味合いは、最新のナノテク技術のアピールから、単なる『超微粒子』の表現までと、商品によりさまざまだ。そもそもナノテクノロジーとは何なのか。『粒子は小さくなるほど質量あたりの表面積が増え、物質の特性が変化する。ナノレベルにまで超微細化することで引き出される性能を生かしたものづくりを「ナノテクノロジー」と呼びます』とナノテクノロジービジネス推進協議会。『ナノテクが人体や社会に与える影響も検討課題です。ナノテクの安全面についての議論も始まっている』」(2005年5月14日付け、産経新聞東京朝刊26頁)との記事。
(6)「株式会社ガイア」の「光触媒の最新情報ブログ」において、「富士経済、調査報告書『2006 ナノテクノロジー関連市場の現状と将来展望』を発刊(光触媒ニュース)」の見出しのもと、「1.ナノ化粧品 2005年 160億円 2020年予測240億円(平均成長率 2.7%) ナノ化粧品は、ナノ粒子、ナノエマルジョン(乳化)、ナノカプセルなどの微粉体技術により、UVカット、美白、アンチエイジングなどに効果があるとされる。微粉体技術は様々な製品への展開が比較的容易と見られる。化粧品メーカー各社は今後も新たな製品の市場投入を続けられる。ナノ化粧品は消費者に受け入れられつつあり、市場拡大が見込まれる。」(http://gaea-world.livedoor.biz/archives/50314603.html)との記述。
(7)「ケンコーコム」の「ナノ化粧品」の見出しのもと、「『エクラブラン スーパーナノエッセンス』は、ナノ乳化技術により100ナノ以下の極超微粒子がお肌の奥に素早く浸透するサロン仕様美容液です。」「『プラチナグレイス 30g』は、プラチナナノコロイド(白金ナノコロイド)を濃度3%含有したクリームです。ナノテクノロジーにより、プラチナを10億分の2サイズにナノ化。」「『ナノボーテ PFエッセンス(プラセンタとフラーレン配合の美容液) 30ml』は、これ1本でうるおいのある透明感を実感。フラーレンとプラセンタを配合した美容液です。分子の細かいナノ粒子フラーレンがお肌に浸透。」「『コエンザイムQ10+スーパーヒアルロン酸化粧水 120ml』は、ナノ化されたコエンザイムQ10と、スーパーヒアルロン酸を配合した化粧水です。」「『ファンタピュア GPエッセンスジェル30ml』は、純金10ナノメートル以下(1億分の1メートル)の、超微粒子にした金コロイド溶液を配合した美容液です。さらにプラチナを2ナノメートル(10億分の2メートル)にした白金コロイドをプラスしました。」(http://www.kenko.com/product/seibun/sei_781015.html)との記述。
(8)「『ナノ化粧品』とは?」の見出しのもと、「水の分子(クラスター)をナノ化(最小単位の細かい粒子)にすることによって皮膚への浸透力を最大限に高める化粧品のことです。」(http://www.rara.haru.gs/new-5.htm)との記述。
(9)「prussian」の「ナノ化粧品シリーズ」の見出しのもと、「細胞の隙間まで浸透する超粒子 ナノホワイトスキンケアシリーズは、ナノテクノロジーの技術で、有効成分をナノ化して配合したスキンケアシリーズです。ナノというのは大きさを表す単位のことで、1mを”1”とすると、10億分の一の大きさ、すなわち10-9の大きさになります。・・・ナノ化する前の通常化粧品の粒子がナノ化後には、超微粒子になっていることが分かります。お肌の細胞間より、微粒子化することで、お肌の奥まで浸透する最新技術のスキンケアシリーズです。」(http://www.prussian.co.jp/shop/peau/index.html)との記述。
2 化粧品の分野において、各種プロテインが「肌の美白・保湿、肌や髪の補修・保護・保湿」等の効果を有するものであり、かつ、当該分野において、各種プロテインを原材料とする商品が流通している事実について
(1)「【新商品 プレゼント】ヌウからスキンケア製品」の見出しのもと、「シルクプロテインを原料にしたスキンケア製品『Noeud(ヌウ)』のトライアルキットを5人に シルクプロテインは美白、保湿、エイジングケアなどに優れることで知られる。繭をスーパーイオン水のみで抽出した『ヌウ』は、100%天然に近いシルクタンパク質の効果で、素肌本来の美しさをよみがえらせる。リラックス効果の高いイランイランなどの天然精油も配合した。泡状洗顔料(6800円)、化粧水(7900円)などの4種類で、11月から販売を開始。」(2006年11月8日付け、FujiSankei Business i.12頁)との記事。
(2)「【ニュースリリース】美白効果のある日焼け止め『リゾア』シリーズ5種6品」の見出しのもと、「『同 ホワイトニング UVプロテクター EO』は、紫外線カット効果(SPF50+、PA++)をもつ日焼け止めローション。美白有効成分のビタミンC誘導体や、肌にうるおいを与えるシルクプロテインを配合。」(2006年1月31日付け、FujiSankei Business i.17頁)との記事。
(3)「紫外線カットでより白く 日焼け止めの『リゾア』シリーズ発売へ/コーセー」の見出しのもと、「中心商品の薬用ローション「ホワイトニング UVプロテクター EO」(60グラム)は高い紫外線カット効果(SPF50+、PA++)に加え、ビタミンC誘導体配合による美白効果と、天然たんぱく質『シルクプロテイン』によるうるおい効果がある。」(2006年1月30日付け、読売新聞東京朝刊6頁)との記事。
(4)「『ホワイティスト』全面刷新 化粧水など13品を発売/コーセーコスメニエンス」の見出しのもと、「20-30歳代を対象にした『青のホワイティスト』と、40-50歳代の『赤のホワイティスト』の2つの商品系列に分かれ、どちらも美白有効成分の『ビタミンC誘導体』と、保湿効果がある『真珠プロテイン』を配合した。」(2005年2月22日付け、読売新聞東京朝刊11頁)との記事。
(5)「鐘紡、9月に新ファンデーションを発売」の見出しのもと、「新製品は、アクアレシチンに加えてアクアプロテインを新たに配合、2つの生体関連成分の相互作用によって肌に水分を抱き込み、潤いを持続させる。」(1992年8月13日付け、化学工業日報3頁)との記事。
(6)「ルナソル、肌のバリア機能を強化する3品発売(いんふぉめーしょん)」の見出しのもと、「『インヴィゴラスウォーター アイエッセンス デイ』『同アイエッセンス ナイト』の二種の目元用美容液で、目の下のクマ、乾燥による小じわなどに対応。またミルク『同ミルクAE』で顔全体をケアする。ブランド共通成分、クローブ、フェンネル、シルクプロテイン、アクアセリン120のほか、角質層の働きを整えるナイアシンBなどを配合。」(2002年10月9日付け、化学工業日報4頁)との記事。
(7)「エスティローダー、新美容液を発売、継続効果と肌の凹凸を瞬時カバー」の見出しのもと、「このほか、酵素チロシナーゼの活性を阻害し、色むらを予防・改善しするブドウ・クワ・ユキノシタ・オウゴンの四種の植物混合エキス、エラスチンとコラーゲンの生成を促進するホエイプロテインなどを配合。」(2000年8月29日付け、化学工業日報4頁)との記事。
(8)「化粧品材料 毛髪内部の空洞修復・ヘアケア(企画記事)」の見出しのもと、「花王は、髪の美しい見え方には毛髪内部の空洞を満たすことが重要であることを見いだし、リンゴ酸を中心とした新成分プロテインA2を開発した。この成分は、ドライヤーによる過度の加熱などにより発生した毛髪内部の空洞を修復するとともに、その発生を予防する。」(2001年2月27日付け、化学工業日報6頁)との記事。
(9)「ヤクルト、女性用頭髪化粧品を発売(いんふぉめーしょん)」の見出しのもと、「また、トリートメントは洗い流す必要のないもので、毛髪と類似した組成をもち、優れた適応性と保湿力で毛髪を保護するシクロプロテインを配合した。」(1994年7月1日付け、化学工業日報4頁)との記事。
(10)「【新商品】ヘアケア商品『エクストラケア』」の見出しのもと、「加水分解成分『マクロプロテイン』『ミクロプロテイン』を配合。・・・価格はシャンプー、コンディショナー各945円。」(2006年10月13日付け、FujiSankei Business i17頁)との記事。
(11)「【クローズアップ】気になる商品 ”東洋流”ヘアケア商品」の見出しのもと、「『東洋』をコンセプトに開発された、シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア商品が若い女性たちの人気を集めている。・・・アジエンスでは、こうした日本人の髪質に合わせるため、髪を補修する成分として大豆や真珠プロテイン(タンパク質)、保湿成分の朝鮮ニンジンエキスなどを配合。」(2005年4月3日付け、産経新聞東京朝刊4頁)との記事。
(12)「【ニュースリリース】日本リーバのカラーヘアケア製品」の見出しのもと、「カラーヘア特有のダメージをケアして、あざやかなカラーを維持するためのシャンプー、コンディショナー。・・・『ファインカラー』シリーズは、髪の内部に『プロテイン・リペア』が深く浸透し、ダメージ部分を集中的に補修・保湿する。」(2004年8月24日付け、FujiSankei Business i27頁)との記事。
(13)「シルクから生まれた多機能タンパク質 セリシン 保湿作用など発揮 肌に優しく」の見出しのもと、「下着や化粧品、シャンプーなどに『シルクプロテイン配合』をうたった商品が、次々に登場している。シルクプロテインとは、絹糸に含まれるタンパク質のこと。実は『セリシン』と『フィブロイン』の二種類があることは、あまり知られていない。絹織物の精錬企業や広島大学などの研究の結果、このうちのセリシンは、保湿性や抗酸化作用など、人間に有用な機能を持つことが分かってきた。・・・『セリシン』の機能を明らかにしようと、産学共同での研究も進んでいる。セーレンは広島大学などと共同研究を進め、保湿作用のほか、活性酸素を抑える抗酸化作用や、日焼けなどによるメラニンの生成を抑えるチロシナーゼ阻害作用、肌の細胞を活性化しターンオーバー(再生)を促進する、などの効果があることを発見。」(2004年2月16日付け、産経新聞大阪朝刊28頁)との記事。
(14)「【フラッシュ】」の見出しのもと、「『セレブ スムーズシャンプー/モイストコンディショナー/』は、頭皮活性エッセンス(ペパーミントプラスビタミンE)配合。普段の洗い方で、簡単にマッサージ効果が得られる。地肌保湿成分(卵白プロテイン)でうるおいを与え、いきいきと健やかな髪に導く。抜け毛、細毛の予防に。」(2002年9月18日付け、産経新聞大阪夕刊4頁)との記事。
(15)「[情報クロスロード]プレゼント」の見出しのもと、「ウエラジャパンが、小麦プロテインを新配合し補修効果が加わった『ウエラ ジェントルケア』シャンプー&コンディショナー&トリートメント(3300円)を。」(2002年4月18日付け、毎日新聞東京夕刊9頁)との記事。
(16)「マーケットEye 話題のシャンプー 痛んだ髪にエエヨウ」の見出しのもと、「同商品は、昨年9月にシャンプー(300ml、希望小売価格780円)やヘアコンディショナー、今年3月にムースなどスタイリング商品を、従来のアミノ酸以外にも栄養を加えて全18種類をリニューアル発売。全品に保湿・補修効果のある小麦からとったプロテイン(タンパク質)、ビタミンEを豊富に含む小麦はい芽油、保湿力の強い海草抽出成分を配合。」(1999年7月8日付け、東京新聞朝刊18頁)との記事。
(17)「〈新製品〉【ヘアケア】」の見出しのもと、「2タイプのヘアスプレー・・・保湿成分アミノプロテインと紫外線防止剤を配合し、ダメージから髪を守る。」(1994年8月1日付け、Pharmaweek13頁)との記事。
(18)「ナチュラルプロテインシリーズ」の見出しのもと、「ナチュラルプロテインシリーズでは、大地の恵み(小麦プロテイン・大麦発酵エキス・大豆エキス)が失われた髪のたんぱく質とうるおいを補いダメージヘアをすこやかに整え、髪の輝きを取り戻します。全品小麦プロテイン配合で髪や地肌にやさしいから、髪のダメージが気になる方はもちろん、ご家族全員でご使用いただけます。」「ナチュラルプロテイン リペアリンス 小麦由来プロテインが傷んで開いたキューティクルを保護しながら、大麦発酵エキスが傷んだ髪に浸透。・・・●植物性プロテイン(小麦由来)配合=植物性毛髪保護成分」「ナチュラルプロテイン トリートメント・・・●植物性プロテイン(小麦由来)配合=植物性毛髪保護成分」(http://www.orbis.co.jp/small/1451010/)との記述。
(19)「ロゴナ コンディショナー・プロテイン商品説明」の見出しのもと、 「小麦フスマから得られたプロテインがさらさらヘアを。白樺、コムギフスマ、ベタインなどが髪を整えます。」(http://www.organic-cosme.co.jp/shopping/item/42/)との記述。
(20)「プロテインのチカラで、髪イキイキ♪」の見出しのもと、「ナチュラル ヘア トリートメント(ウィズ エッグプロテイン・260g)・・・卵に含まれる天然成分が、髪に必要なプロテインと適度な油を与えるトリートメントパック。卵白プロテイン、卵黄油(うるおい成分)が傷んだ髪に浸透し、しっとりしなやかな髪に仕上げるパックタイプのトリートメントです。」(http://www.cosme.com/product/ItemDetail-1000001628.html)との記述。
(21)「化粧品 > スキンケア > 原液・高濃度」の見出しのもと、「DHCプロティンジェル」「しっかりうるおうのに、肌表面はサラサラ。ポリグルタミン酸配合の新しい保湿ジェル」(http://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=602)との記述。
(22)「TOP>infomation>シャンプー&コンディショナー>スプレー&スタイリング」の見出しのもと、「クリスクリステンセン シックンシッカー ボリューム プロテイン ジェルタイプ(227グラム)2,520円(税込) たんぱく質不足を補い、すばらしいボリュームを作り出します」 (http://www.wan-o-wan.com/?mode=cate&cbid=9415&csid=8)との記述。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点)
「ナノ」又は「NANO」の語と、識別力を欠くか識別力の薄弱な語とを結合した商標が、多数登録され併存していることから、「ナノ」「NANO」の語は、実際には「ナノレベルの超微細技術」というような厳密な意味をもつ語とも品質表示とも一般には理解されておらず、なんとなく先端技術を感じさせる肯定的イメージを与えるために用いられているに過ぎないと解すべきである。
また、「プロテイン」と「ナノ」の語とを結合させた言葉は存在しない。
さらに、本件通知書で指摘された使用例において、「プロテイン」の語の使用例では、いずれも「シルク」などのタンパク質の原料名と共に表示されているように、「プロテイン」という一般的な語が現実に特定の商品の品質表示として理解されることはないから、本願商標は、商品の品質表示とはなり得ない。
本願商標は、「ナノプロテインジェル」ないし「ナノプロテイン」が、全体として意味のない造語を形成していると見るべきである。

第5 当審の判断
1 本願商標は、上記第1のとおり、「ナノプロテインジェル」の片仮名文字を普通に用いられる方法で表してなるものである。
そして、上記第3の1の(1)ないし(9)に記載の事実によれば、近時、「ナノテクノロジー(超微細技術)を用いた化粧品」が一般に製造されており、これらの化粧品が「ナノ化粧品」と称されて販売されている事実を認めることができる。
そうとすれば、「ナノ」の語は、化粧品分野において、「ナノテクノロジー(超微細技術)」の意味を表す語として理解されているというのが相当である。
また、「プロテイン」の語は、「たんぱく質」(岩波書店「広辞苑 第五版」)を指す語として広く知られており、上記第3の2の(1)ないし(22)に記載の事実によれば、各種のプロテインを原材料とする化粧品が、「肌の美白・保湿、肌や髪の補修・保護・保湿」等の効能を有するものとして、一般に流通している事実を認めることができる。
さらに、「ジェル」の語は、「(1)ゲル.コロイド溶液が流動性をなくして凝固した状態.ゼリー状の.(2)ゼリー状の整髪料.ディップローション.」(集英社発行「イミダス編集部編 imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」)の意味を有する語であり、このことは請求人も認めるところである。
そうとすると、本願指定商品が、「化粧品」を含んでいることよりすれば、「ナノ」、「プロテイン」及び「ジェル」の文字を一連に表した構成よりなる本願商標「ナノプロテインジェル」に接する取引者、需要者は、「ナノテクノロジー(超微細技術)を用いた、プロテインを原材料とするジェル状の商品」であることを表したものと理解するにとどまるというのが相当であり、これをその指定商品中、例えば、「ナノテクノロジー(超微細技術)を用いた、プロテインを原材料とするジェル状の化粧水・ヘアーリンス」等に使用するときは、単に商品の品質を表したものと認識するにすぎず、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認められる。
また、本願商標を、「ナノテクノロジー(超微細技術)を用いた、プロテインを原材料とするジェル状の商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
2 なお、請求人は、上記第4に記載の旨主張するが、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるべきものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)から、たとえ、仮に、本願商標を構成する「ナノプロテインジェル」及びその構成中の「ナノプロテイン」等の文字が、本願指定商品中の「化粧品」の分野において、商品の品質を表すものとして現実に使用されている事実が見当たらないとしても、そのことが直ちに、原査定の認定を覆す根拠となるものではなく、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、「本件通知書で指摘された使用例において、『プロテイン』の語の使用例では、いずれも『シルク』などのタンパク質の原料名と共に表示されているように、『プロテイン』という一般的な語が現実に特定の商品の品質表示として理解されることはないから、本願商標は、商品の品質表示とはなり得ない。」旨主張する。
しかしながら、「プロテイン」の語は、「蛋白質」を意味する語として広く親しまれた語であって、「シルクプロテイン」等、各種プロテインが化粧品の原材料として多数使用されていることよりすれば、単なる「プロテイン」の表示であっても、各種プロテインを総括的に表した同じ性質のものとして把握され、取引者、需要者をして、いずれも商品の原材料として理解、把握されるとみるのが相当である。
そして、商品「化粧品」の原材料として、「プロテイン」のみが記載されている事実も、別掲(1)ないし(8)のとおり認められるから、請求人のこの主張は採用することができない。
さらに、請求人は、他の登録例を挙げて、本願商標が登録適格性を有する旨主張するが、請求人が挙げた登録例は、本願商標とは商標の態様等を異にするものであり、これらをもって本願商標における判断の基準とすることは適当でないから、請求人のこの主張も採用することができない。
4 したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】新聞記事情報及びインターネットのホームページにおいて、「化粧品」の分野で、「プロテイン」のみの表示が、商品の原材料として記載されている事実
(1)「資生堂、『ウーノ』クリーム整髪料を08年春発売、長髪化傾向に対応」の見出しのもと、「また、髪のバサツキを抑える狙いから保湿性を与えるアミノ酸と補修・保護に役立つプロテインやスターチも配合した。」(2007年12月4日付け、化学工業日報11頁)との記載がある。
(2)「【新商品】ヘアトリートメント『エッセンシャル ダメージケア ヘアパック』」の見出しのもと、「アミノ酸やグルゴースを含む天然成分の『高純度ハニー&プロテイン』を配合。」(2007年8月30日付け、FujiSankei Business i.17頁)との記載がある。
(3)「資生堂、ツバキに新ライン、髪浸透補修成分を配合」の見出しのもと、「・・・シャンプー、コンディショナーが550ミリリットルで、900円台。ヘアトリートメントが200グラムで、900円台。・・・アミノ酸誘導体とプロテインからなる浸透補修成分『ツバキアミノ』が、毛髪内部のすみずみまで浸透し、・・・」(2007年6月7日付け、化学工業日報5頁)との記載がある。
(4)「〈連載〉ウォッチング『ハトリ薬局』”健康と美”をサポート、若い主婦層のニーズ吸収」の見出しのもと、「同時に、それとは別に化粧品のコーナーで『硬い髪用』や『プロテイン配合』といった普及サイズながら1000円以上という高価格帯のシャンプー、リンス類を揃えているのも自店の客層を意識してのことだ。」(1993年4月26日付け、Pharmaweek3頁)との記載がある。
(5)「目のまわりのシワ、くま 男性だって気にしてます トリートメント化粧品発売」の見出しのもと、「また、プロテインが皮膚にハリを与える。」(1999年12月3日付け、産経新聞東京朝刊23頁)との記載がある。
(6)「ポーラ化粧品、ヘアケア製品を大幅に拡充」の見出しのもと、「スフィンゴ脂質とコラーゲン誘導体をバランス良く配合したMP(モイスチュア&プロテイン)コートにより、髪の水分をコントロール、たん白質を補給、髪の老化を防ぐ。」(1988年1月27日付け、化学工業日報3頁)との記載がある。
(7)「リペアトリートメント(ファイテン)【3f 12】」の見出しの上、「プロテイン配合のリペアトリートメントは傷んだ髪の進行を防ぎ、枝毛、切れ毛を防ぎます」(http://www.kiraribeauty.jp/3f/12ripeatori-tomento.htm)との記載がある。
(8)「プログノ 368プロテインヘアークリーム」の見出しのもと、「髪の主成分タンパク質(プロテイン)を高濃度に含有しているヘアクリームで・・・」(http://www.propia.co.jp/shopping/item.html)との記載がある。

審理終結日 2007-12-05 
結審通知日 2007-12-06 
審決日 2007-12-19 
出願番号 商願2005-85598(T2005-85598) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y0305)
T 1 8・ 272- Z (Y0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
岩本 和雄
商標の称呼 ナノプロテインジェル、ナノプロテイン 
代理人 大島 厚 

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