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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 Y20
管理番号 1172764 
審判番号 不服2006-21527 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-26 
確定日 2008-02-25 
事件の表示 商願2005-38677拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「POLO」の欧文字と「ポロ」の片仮名文字を上下2段に表してなり、第20類「美容院用いす,理髪店用いす」を指定商品として、平成17年4月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『POLO』及び『ポロ』の文字を上下二段に横書きしてなるが、米国のデザイナーラルフ・ローレン(Ralph Lauren)のデザインに係る被服、装身具、香水、眼鏡等の商品について長年使用され、周知著名となっている『Polo by Ralph Lauren』の文字からなる商標及びこれと組み合わせて使用されることの多いポロプレーヤーを表した図形商標は、ポロ(Polo)の略称でも呼ばれることからすると、本願指定商品である『美容院用いす,理髪店用いす』に本願商標を使用した場合においても、需要者はこれからラルフ・ローレンに係る前記周知著名となっている商標を想起して、同人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

当審の判断
(1)本願商標と引用標章の類似性の程度について
(ア)本願商標は、「POLO」の欧文字と「ポロ」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなるものである。
他方、原査定において引用した「Polo by Ralph Lauren」の文字商標及びポロプレーヤーを表した図形商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク所在のザ・ポロ/ローレンカンパ二-リミテッドパートナーシップが使用して、同国のファッションデザイナーとして世界的に著名なラルフ・ローレンのデザインに係る商品を、関連会社やライセンシー及び販売店を通して世界的な規模で販売しており、我が国においては、昭和51年に、西武百貨店が請求人とライセンス契約を結び、ラルフ・ローレンのデザインに係る男性用衣料品の取扱いを開始したのを皮切りに、婦人用衣料、ファッション関連商品等についてもラルフ・ローレンのデザインに係る商品が請求人のライセンシー、販売店等を通じ、全国の有名デパートや専門店等において販売されるようになり、今日に至っている。
ラルフ・ローレンのデザインに係るファッション関連商品には、文字商標として、横長四角形中に「Polo」の欧文字を表し、その下部に「by Ralph Lauren」の文字を表した標章、「POLO」の文宇と「RALPH LAUREN」の文字との間にポロプレーヤーの図形を組み合わせた標章、ポロプレーヤーのみの図形標章(以下、まとめて「引用標章」という。)などが使用されてきた。これらの引用標章を付した商品は、ラルフ・ローレンの「ポロ」(POLO、Polo)、あるいは単に「ポロ」(POLO、Polo)と略称され、「ポロ/ラルフ・ローレン」のブランド名で、需要者の間で高い人気を博しており、上記各標章は、そのブランド名と共に、遅くとも本願商標の登録出願時(平成17年4月28日)より前に、ファッション関連商品の分野において、取引者、需要者の間で周知・著名となっており、その周知・著名性は、拒絶査定時(平成18年9月1日)を経て今日まで継続している(なお、ファッション関連商品の分野における「ポロ」、「POLO」ブランドの周知・著名性に関して、これを認めた多数の審決例及び判決例がある。)。
(イ)本願商標と引用標章とを外観について対比すると、本願商標は、文字のみの商標であり、引用標章は、前記のとおり「Polo by Ralph Lauren」の文字やポロプレーヤーの図形を組み合わせたものであるから全体として異なったものとして、見る者に異なる印象、記憶を生じさせるものというべきである。
次に、称呼及び観念についてみると、本願商標は、「スポーツとしてのポロ競技に関連したもの」程度の漠然とした観念が生じ、「ポロ」の称呼を生ずるのに対し、引用標章をその周知・著名性を考慮の外に置いて見たときには、「Polo」の文字及びポロプレーヤーの図形から、「スポーツとしてのポロ競技」程度の観念を生じさせるものにすぎないから、本願商標と引用標章との対比においては、称呼及び観念は両者の類似性を評価する要素としては、強く印象づけるものではないというべきである。
そうすると、本願商標は、時と処を異にして観察した場合でも引用標章とは類似性が高い商標とはいえないものと判断するのが相当である。
(2)引用標章の周知・著名性の範囲について
今日、ファッション関係のデザイナーが、ライフスタイルを提案し、あるいは生活全般を卜一タルにコーディネートするという見地から、ファッション関連以外の商品にデザインの領域を広げ、家具、インテリア用品、寝具、テーブルウエア等々、様々な商品をデザインし、販売する例があることは、知られた事実である。
しかしながら、ファッション関連商品の分野において、引用標章が有する高い識別力,顧客吸引力は,標章自体が有する外観や観念の独創性ないし特異性に由来するというものではなく,むしろ,引用商標がラルフ・ローレンのデザインに係る「ポロ」ブランドの商品に使用され,「ポロ」ブランドの著名化とともに,ラルフ・ローレンの「ポロ」を表示するマークとして定着し,広く知られるようになったという事実によってもたらされたものというべきであるから、ファッション関連商品の分野においては、引用標章の周知・著名性が認められるものであるが、ファッション関連商品以外の本願の指定商品「美容院用いす、理髪店用いす」の分野における周知・著名性については、当審における調査によってもなんら、これを認めるに足りるべき的確な証左は発見できない。
仮に、本願指定商品「美容院用いす、理髪店用いす」が家庭用の椅子等のインテリア関連商品といえるような商品であったとしても、我が国におけるラルフ・ローレンのデザインに係るホームファニシング製品においては「RALPH LAUREN」をプランド名として前面に押し出し、「RALPH LAUREN」の表示を使用して販売されている実情が伺えるところである。
加えて、「ポロ」(polo)の語は、ペルシア起源とし、その後英国に広まった騎乗球技を意味するものであり、ポロ競技のプレーヤーが着用するシャツを「ポロシャツ」と称することもあるなど、「ポロ」の語自体は一般に良く知られた語と認められるものである。
上記事情を総合考盧し、我が国におけるラルフ・ローレンのデザインに係るホームファニシング製品の販売状況に照らすと,引用標章が,本願商標の拒絶査定時において,ファッション関連商品以外のインテリア関連商品やホームファニシング商品の分野においてまで周知・著名性を獲得していたということはできず、かつ、引用標章は、本願商標の指定商品(美容院用いす、理髪店用いす)の分野においてまで周知・著名となっていたものとはいえないから、本願商標の指定商品の分野における引用標章の周知・著名性に基づく商品の出所混同のおそれを認めることはできない。
(3)商品の出所混同のおそれについて
本願商標と引用標章とは、全体として類似性が高いものとはいえず、また、引用標章は、本願指定商品を含むインテリア関連商品やホームファニシング商品の分野においてまで周知・著名性を獲得していたということはできないことは、上記認定のとおりである。
してみれば、ファッション関連商品の分野における引用標章の周知・著名性を考盧に入れても、本願商標を指定商品に使用したときに、当該商品が、ラルフ・ローレン又は同人と密接な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であるかのように誤信され、商品の出所混同が生ずるおそれがあるということはできない。
(4)結語
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2008-01-31 
出願番号 商願2005-38677(T2005-38677) 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (Y20)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 きみえ 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 長澤 祥子
海老名 友子
商標の称呼 ポロ 

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