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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20078400 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない Y41
管理番号 1172503 
審判番号 不服2006-28141 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-14 
確定日 2008-01-15 
事件の表示 商願2006- 38126拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「相続税理士ネットワーク」の文字を書してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,資格試験の実施及び資格の認定,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、平成18年4月25日に登録出願されたものである。

第2 当審において通知した拒絶理由
本願商標は、「税理士」の文字を含んでなるところ、「税理士」の語は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」(税理士法第1条)。また、税理士は、(1)税務代理、(2)税務書類の作成、(3)税務相談等を業務としている(税理士法第2条)。
そして、税理士業務を行うことができる者は、税理士試験に合格する等して(同第3条)、日本税理士連合会により税理士名簿に登録された(同第18条及び第19条)者に限られている。
以上のように、税理士を含め国家資格に係るものは、国家が、公共の福祉その他政策上の目的のために、国民の職業選択の自由を制限してでも、一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものである。
つぎに、本願商標の構成中の「相続」の語は、「死亡した人(被相続人)の財産に属した一切の権利義務を一定の親族(相続人)が包括的に承継すること。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑 第五版(電子辞書版)」)と記載されており、相続税に係る納税の義務などが発生した場合、税理士に相談(依頼)し、相続税法などに基づき、税務署に提出する税務書類の作成、または税理士などによる税務代理により処理することが認められている。
そうとすれば、本願商標構成中の「相続税理士」の語は、税理士が行う業務の範囲に、相続に係る税務代理等が含まれていることから、これに接する取引者(依頼者)をして、国家資格を有する者による役務と誤認するおそれがあるものと判断せざるを得ない。
さらに、新聞情報検索及びインターネット情報検索により「相続」、「税理士」、「ネットワーク」の語を検索した結果(別掲「1.新聞情報検索結果」、「2.インターネット情報検索結果」)によれば、税理士による相続などの相談を、ネットワークを通じて行っていることが認められる。
してみれば、本願商標の構成中の「ネットワーク」の語は、「コンピューター・ネットワークの略語」であって、その指定役務との関係では、全体として「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談・税務(相続税)に係る資格試験の実施」などの意を容易に認識させるものと認められる。
よって、このような商標を一私人たる請求人が登録商標として採択使用することは、税理士資格をはじめとする各種国家資格の制度等に混乱を生じさせるおそれがあるもであって、当該制度の秩序維持を害するおそれがあるものと認める。
なお、請求人(出願人)は、原審における商標法第4条第1項第7号の拒絶理由に対する意見書において、「請求人(出願人)が税理士であり、本願商標を登録することについて正当な地位がある」旨述べ、証拠として税理士証票(写し)を提出しており、請求人が、税理士法で規定されている上記の税務業務を行える税理士資格を有する者であることも主張している。
しかしながら、本願商標自体が上記拒絶理由に該当するから、たとえ請求人(出願人)が税理士資格を有しているとしても、上記の請求人(出願人)の主張は採用できない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

別掲
1.「新聞情報検索結果」について
(1)遺産相続、NPOが無料相談 名古屋で設立へ(2005.03.08付け「読売新聞」中部朝刊 36頁)
「弁護士や司法書士ら複数の専門家が必要となる遺産相続などの複雑な手続きについて、無料でアドバイスする非営利組織(NPO)が、6月にも名古屋で設立されることになった。・・・遺産相続の手続きは煩雑で、不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、保険年金は社会保険労務士が担当する。・・・同ネットワークでは、これらの窓口を1本化し、相続に伴う事務的なトラブルを未然に防止しようという。設立後は、無料のセミナーや相談会を開催するほか、個別の相談などにも応じたいとしている。」と記載されている。
(2)法の職人協力し相談ネット 紛争解決に12業種結集(2002.06.29付け「共同通信」)
「法律に絡む仕事に就いているさまざまな人のつながりを生かして市民が幅広く効率的な法律相談を受けられるようにと、東京・新宿の弁護士を中心に税理士、司法書士、不動産業者ら十二業種が協力した「まちかど・法律ネットワーク(略称まち・NET)」が発足した。ほかに参加しているのは、弁理士、調査事務所、建築士、ビル管理業者、土地家屋調査士、開発情報業者らで、いずれも都内で独立して営業する地元に根付いた“法律の職人”たち。今後、医師や社会保険労務士らが加わる予定という。・・・遺産相続など複雑な相談だと内容に応じて弁護士、税理士、不動産業者らが同席してまとまったアドバイスを受けられるという。」と記載されている。

2.「インターネット情報検索結果」について
(1)「相続税相談所」(http://www.tokyocity.jp/)
「相続税専門の税理士が直接相談を承ります。」及び「相続税無料相談」の欄には、「相続税相談所では、相続・遺産分割・遺言等・相続税の申告・相続財産の評価・納税方法・相続税の還付に関する相談を無料でお受けしております。」と記載されている。
(2)「相続相談センター」(http://cssc.co.jp//soudan/index.php)
「ご相談をお受けしている項目」の欄には、「相続後(申告・登記等)、相続前(贈与・遺言・養子縁組・生前対策・土地有効利用等)」、「全国ネットワーク」の欄には、「相続相談センター全国ネットワーク一覧」が記載されている。
(3)「相続手続支援センター」(http://www.souzoku-tetsuzuki.com/support/index.html)
「サポート内容」の項には、「同支援センターは相続関係の相談窓口を一本化することを目的に設立されました。まずは、無料相談を行い、必要に応じて別途、弁護士や税理士や行政書士などの専門家と共同で手続きを代行し、重複する手続きなどを省き、1箇所で手続きを全て完了することが出来、依頼者の負担を軽減することができます。」と記載されている。

第3 当審の拒絶理由に対する意見の要点
(1)本願商標「相続税理士ネットワーク」はあくまでも請求人が創造した造語であり、社会一般に通用する特定の固有観念を有するものではない。
また、「相続税理士」という名称の資格もない。「相続税理士」という用語が社会一般で使用されている事実もない。請求人である天野隆(公認会計士、税理士、行政書士)が主宰する株式会社FPステーションだけが使用している商標であるため、本願商標「相続税理士ネットワーク」は意味不確定の用語である。このため、請求人は本書に添付の参考資料1記載のように、「FPステーション相続税理士ネットワーク」の内容を解説している。本願商標「相続税理士ネットワーク」は請求人独自の商標であり、しかもその意味内容も請求人独自のものであるため、わざわざ解説しなければ理解できない商標である。
(2)しかも、本願商標「相続税理士ネットワーク」には役務を表わす用語が一切含まれていない。このため本願商標「相続税理士ネットワーク」からは「国家資格を有する者による役務」という意味合いは生じない。
(3)前記第2の拒絶理由では、税理士による相続などの相談がネットワークを通じて行われている事実の存在、「ネットワーク」の語が「コンピューター・ネットワークの略語」であること、から、直ちに、本願商標「相続税理士ネットワーク」はその指定役務との関係から、「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談、税務(相続税)に係る資格試験の実施」などの意を容易に認識させる、と決め付けている。
しかし、本願商標「相続税理士ネットワーク」には「税務(相続税)」「相談」「資格試験」という用語は一切存在しない。それにも拘らず前記拒絶理由のように解釈することは、特定の観念を有しない造語商標である「相続税理士ネットワーク」に、審判官が正当な理由もなく「税務(相続税)相談」とか「税務(相続税)に係る資格試験」という意味合いを強引にこじつけて本願商標本来の意味とは全く異質なものに作り上げた勝手な歪曲解釈である。
(4)前記第2で指摘する「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談」は実在しない。仮に存在したとしても世の中には「相続税理士」という用語自体が存在しないため、それは「相続税理士ネットワーク」とはいわれていない。
また、前記第2の拒絶理由(2)で指摘する「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)に係る資格試験の実施」もない。「税理士による税務(相続税)に係る資格試験の実施」とはなる資格試験とは如何なるものであるか理解できないし、そのような意味不明な資格試験が社会に存在するとは思われない。また、「コンピューター・ネットワークを利用する・・・試験」とはどのようなものかも理解できないし、そのような試験が「コンピューター・ネットワーク」で実施できるのであるか疑わしい。
そのような資格試験が存在とすると仮定しても「相続税理士ネットワーク」という用語がこれまで社会に存在していないため、そのような相談や資格試験を「相続税理士ネットワーク」といっている事実もない。
要は、本願商標「相続税理士ネットワーク」は、審判官が指摘する「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談、税務(相続税)に係る資格試験の実施」を表示する用語として普通に使用されているものではない。
(5)上記(1)、(2)の意見で主張したとおり、本願商標自体は審判官指摘のように「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談、税務(相続税)に係る資格試験の実施」などの意を容易に認識させるものではないため、その商標を公認会計士、税理士、行政書士の資格を有する請求人本人が使用する場合は勿論のこと、請求人が主宰する関連企業が使用する場合であっても、前記2の拒絶理由で指摘するような誤認は生じない。
(6)本件商標を請求人に独占させても「相続」「税理士」「ネットワーク」の用語の他人による使用が制約されるわけではない。制約されるのは、世の中に存在せず、使用されたこともなく、請求人の造語である「相続税理士ネットワーク」のみである。この商標を登録する(独占使用を認める)ことによりその使用が制約されたとしても、何ら、社会秩序、税理士制度、相続制度が混乱し、弊害が生ずることはない。
(7)従って、本願商標は商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)に該当しない。
(8)請求人による本願商標の使用について
本書に添付の参考資料1に記載されているように、請求人は本願商標「相続税理士ネットワーク」を請求人が独自に認定している登録第4998033号商標「相続名義変更パートナー」、登録第5058718号商標「相続名義変更アドバイザー」(いずれも請求人が代表を務める関係機関の登録商標)の活用システムの名称として使用しており、拒絶理由通知で指摘する「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)相談」にも、「コンピューター・ネットワークを利用する税理士による税務(相続税)に係る資格試験の実施」に使用もしていない。
本願商標「相続税理士ネットワーク」を使用しているのは、請求人と、請求人が代表を務める関係機関のみであって、他の者は使用していない。このため、本願商標「相続税理士ネットワーク」は請求人の使用実績によって、既に世の中において前記システムの名称として認識され、自他役務識別力を発揮している。
(9)指定役務の内容表示と思われる商標の登録例
「日本教育ネットワーク」(商標登録第3349360号)
「税研海外税務ネットワーク」(商標登録第4837128号)
「次世代経営戦略ネットワーク」(商標登録第4749900号)
「全国社外取締役ネットワーク」(商標登録第4771376号)
「プロ家庭教師ネットワーク」(商標登録第4667210号)
(10)結び
上記(1)ないし(9)の各理由のとおり、本願商標「相続税理士ネットワーク」は前記のように既に使用されているが、公序良俗が混乱している事実は一切ない。従って、本願商標「相続税理士ネットワーク」は商標法第4条第1項第7号に該当せず、登録されて然るべき商標である。

第4 当審の判断
(1)「東京高等裁判所、平成10年(行ケ)第289号判決、平成11年11月30日判決言渡」によれば、「1 取消事由1(『士』の有する意味の誤認)について (1)乙第17号証(昭和47年4月30日発行『角川国語辞典』20版)、乙第18号証(昭和47年10月16日発行『広辞苑』第2版)及び乙第19号証(昭和53年10月5日発行『学研漢和大字典』)によれば、末尾に『士』の付された語の通常の意味は、『一定の資格や特別の職業をもつ人』、『一定の資格を持った者』、『一定の職業、または資格のある人』などといったものであり、その用語例として、『弁護士』、『栄養士』、『学士』、『代議士』等が挙げられていることが認められる。
ここにいう一定の資格に何が含まれるかについては、格別の制限が付されていないから、形式的には、国家資格(法令に根拠を有するもの)、民間資格(それ以外のもの)のいずれをも含み得ることになる。
しかし、末尾に『士』の付された名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、したがってまた一般国民にとって知られている度合いの大きいものの多くは、上記『弁護士』、『栄養士』、『学士』をはじめ、税理士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士など国家資格に係るものであり(なお、前記『代議士』は、原告主張のとおり衆議院議員の俗称であって、法令に基づく名称ではないが、衆議院議員が法令に基づく地位であることは明らかであるから、国家資格に係る名称であることに変わりはない。)、しかも、その状態が古くから続いてきていることは、当裁判所に顕著である。
また、末尾に『士』の付された名称のうち、国家資格に係るものは、国家が、公共の福祉その他政策上の目的のために、国民の職業選択の自由を制限してでも、一定の能力を有すると判定された者に限って 定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなる。これに対して、民間資格は、上記のような必要に基づくものでも、法令に根拠を有するものでもなく、したがってまた、対世的かつ排他的な地位ないし権限の付与を伴うものでもない。このように、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性において比較にならない相異がある。
これらの事情の下では、一般国民は、末尾に『士』の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると理解することが多いのは当然のことである。」旨記載されているところ、本願商標構成中にも「士」の文字を有することから、本願商標を本願指定役務に使用した場合には、国家資格を有する者の取り扱いに係る役務であると理解されることも多いものとみるのが相当である。
(2)つぎに、本願商標構成中の「相続税理士」の語は、その構成中に「死亡した人(被相続人)の財産に属した一切の権利義務を一定の親族(相続人)が包括的に承継すること。」の意味を有する「相続」の語と「税理士法に従い、顧客の依頼により税務代理・税務書類の作成などを業とする者。」の語意を有する「税理士」の語を結合したものであること(以上、株式会社岩波書店発行「広辞苑 第五版(電子辞書版)」による)を容易に認識、把握されるものであるところ、「相続」と「税理士」は、相続税に係る納税の義務などが発生した場合、税理士に相談(依頼)し、相続税法などに基づき、税務署に提出する税務書類の作成、または税理士などによる税務代理により処理することが認められていることなどから、密接な関係を有していることが認められる。
また、上記第2のとおり、税理士業務を行うことができる者は、税理士試験に合格する等して(同第3条)、日本税理士連合会により税理士名簿に登録された(同第18条及び第19条)者に限られている。
(3)さらに、構成中の「ネットワーク」の語は、請求人の提出の参考資料1によれば、「相続税理士ネットワーク」の語を請求人の提供する役務のホームページのタイトルとして使用されていることからも明らかなように、「ネットワーク」の語は、役務を提供する手段として使用されていることが明らかであり、また、上記第2の2.「インターネット情報検索結果」について(1)「相続税相談所」(http://www.tokyocity.jp/)(2)「相続相談センター」(http://cssc.co.jp//soudan/index.php)(3)「相続手続支援センター」(http://www.souzoku-tetsuzuki.com/support/index.html)によれば、同様にインターネットを通じて相続税に関する相談を行っていることが明らかである。
(4)また、本願商標は、上記(2)のとおり、「相続」と「税理士」が密接な関係を有することが明らかであり、また、インターネットを通じて行われている税理士試験のための講座(http://www.o-hara.ac.jp/best/zeirishi/index.html、http://www.hj.sanno.ac.jp/cgi-bin/WebObjects/108411de0d5.woa/wa/read/108fc8d8ef3/?index_view=108954abed8&content_view=108d2cf4f01、http://www.daiei-ed.co.jp/course/course-zeirishi.html、http://shikakuz15.blog118.fc2.com/参照)が多数開講されていることが認められる。
そして、税理士法第6条には、「第6条 税理士試験は、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に定める科目について行う。
一 次に掲げる科目(イからホまでに掲げる科目にあつては、国税通則法 その他の法律に定める当該科目に関連する事項を含む。以下『税法に属する科目』という。)のうち受験者の選択する三科目。ただし、イ又はロに掲げる科目のいずれか一科目は、必ず選択しなければならないものとする。
イ 所得税法
ロ 法人税法
ハ 相続税法
ニ 消費税法 又は酒税法 のいずれか一科目
ホ 国税徴収法
ヘ 地方税法 のうち道府県民税(都民税を含む。)及び市町村民税(特別区民税を含む。)に関する部分又は地方税法 のうち事業税に関する部分のいずれか一科目
ト 地方税法 のうち固定資産税に関する部分
二 会計学のうち簿記論及び財務諸表論の二科目(以下『会計学に属する科目』という。) 」と記載から明らかなように、「相続税法」が選択科目となっていることから、本願商標は、その指定役務中の例えば「知識の教授,資格試験の実施及び資格の認定,セミナーの企画・運営又は開催」との関係では、「コンピューターネットワークを利用する(相続)税理士による相続に関する知識の教授,(相続)税理士試験ための模擬試験の実施,(相続)税理士になるためのセミナーの企画・運営又は開催」の意を容易に認識、理解させるものであり、国家資格を有する相続を専門に行う税理士又は相続税理士による役務でを連想、想起することがあることを否定することはできないものと認められる。
(5)請求人が提出している意見書に添付の参考資料1「FPステーション相続税理士ネットワーク」の内容解説について
本願商標を使用しているホームページへは、株式会社 FPステーション(http://www.fpstation.co.jp/accountant/top.php)から当該ホームページの右下の相「続税理士ネットワーク」の「詳しくはこちらから」から至る「FPステーション 相続税理士ネットワーク」(http://www.fpstation.co.jp/accountant/static_contents/company_policy/network.html)での解説では「全国には相続税の申告は無いけれど相続手続について困っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。私共にはこのようなお客様からのお問い合わせやご相談が、地域を問わず多く寄せられます。しかし、私共でお手伝いさせていただくには地域的な限界もあります。そこで、全国の会計事務所の先生方とネットワークを組み、先生方に株式会社FPステーション・税理士法人思援のノウハウを活用いただき一緒に相続の手続で困っているお客様のお役に立つことを目的としたのが、この『FPステーション・相続税理士ネットワーク』」と記載されている。
この記載に徴すれば、相続手続に関する相談業務を行っていること、また、参考資料1の「『FPステーション・相続税理士ネットワーク』の料金体系と将来像」の見出しの下に「通信教育『相続名義変更アドバイザー』養成講座」、「会計士・税理士以外の方 認定試験」の記載から、請求人は、「相続名義変更の手続に関する知識の教授・認定試験」を行っていること、を窺い知ることができる。
(6)税理士業務と名称の使用制限について
税理士業務については、
第五十2条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
とされている。
また、名称の使用制限については、
第五十3条 税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
2 税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
3 税理士会及び日本税理士会連合会でない団体は、税理士会若しくは日本税理士会連合会又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
4 前三項の規定は、税理士又は税理士法人でない者並びに税理士会及び日本税理士会連合会でない団体が他の法律の規定により認められた名称を用いることを妨げるものと解してはならない。
と記載されている。
(7)以上の事実からすれば、本願商標は、「相続税理士ネットワーク」の語を表示してなるところ、請求人は税理士であって、ネットワークを通じて税理士が行う業務の範囲に含まれる相続名義変更の手続に関する知識の教授・認定試験の実施等に使用するものであるが、上記の通り「税理士」の語が法的に「業務の範囲、名称が使用制限」されているにもかかわらず、税理士として行う当該役務に、何ら商標法以外の法的に規制、制限されないものを商標として排他的、独占的に使用することを認めることは、税理士に関連した新たな国家資格であるかのように、税理士資格をはじめとする各種国家資格の制度等に混乱を生じさせるおそれがあるものであって、一般国民が誤信する場合があることを否定できないから、このような商標を登録することは、国家資格に対する一般国民の信頼を損なうものであり、社会公共の利益に反するものであって穏当でないといわざるを得ない。
(8)したがって、上記第2の拒絶の理由は妥当なものと認められるので、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-11-06 
結審通知日 2007-11-13 
審決日 2007-11-28 
出願番号 商願2006-38126(T2006-38126) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (Y41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 手塚 義明 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 岩本 和雄
鈴木 修
商標の称呼 ソーゾクゼーリシネットワーク、ソーゾクゼーリシ 
代理人 小林 正治 

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