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審決分類 |
審判 判定 その他 属する(申立て不成立) Z37 |
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管理番号 | 1171252 |
判定請求番号 | 判定2007-600074 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 判定 |
2007-10-05 | |
確定日 | 2008-01-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4485999号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 被請求人が役務について使用するイ号標章は、登録第4485999号商標の商標権の効力の範囲に属しない。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4485999号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの文字を書してなり、平成12年4月17日に登録出願、第37類「自動車の整備または修理、二輪自動車の修理または整備」を指定役務として、同13年6月29日に設定登録されたものである。 第2 イ号標章 本件判定請求人(以下「請求人」という。)が役務「自動車の整備または修理」に使用するイ号標章は、「マイカーコンビニクラブ司店」の文字を書してなるものである。 第3 請求人の主張 請求人は、被請求人が役務について使用するイ号標章は、登録第4485999号商標の商標権の効力の範囲に属する。との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。 1 理由の要点 (1)本件商標は、同大、同形、同間隔で、「カーコンビニ倶楽部」と一連一体に表示し、指定役務第37類の各役務、特に「自動車の整備または修理、二輪車の整備または修理」に使用しているものである。 本件商標は、その文字構成より、「カーコンビニクラブ」の呼称を生じ、「車に関する気軽な店舗の集まり」という観念を生ずる。 これに対し、イ号標章は、「マイカーコンビニクラブ司店」の文字からなるものであるから、「マイ」と「司店」を除くと「カーコンビニクラブ」の文字部分より「コンビニクラブ」と同一の呼称を生じ、「私の車に関する気軽な店舗の集まり」という意味で「カーコンビニ倶楽部」の観念を生ずるものである。なお、イ号標章の末尾に付された「司店」との文字は、需要者をして、請求人が全国的に展開する車両整備、修理のフランチャイズチェーンの店舗であることを想起させるものであり、出所の混同を意図したものである。 また、請求人は、本件商標をその表示看板として、赤地に白抜きの文字で使用することが多いから、被請求人もイ号標章を赤地に白抜きの文字を使用しており、外観についても類似する。 両者は、「カーコンビニクラブ」の呼称を共通し、車に関する気軽な店舗の集まりという意味での「カーコンビニ倶楽部」の観念をも共通にし、かつ、外観も類似する標章である。 さらに、本件商標の指定役務第37類「自動車の整備または修理、二輪車の整備または修理」は、イ号標章の使用役務「自動車の整備または修理」とは同一の役務である。 2 判定請求の必要性 (1)本件商標は、翼システム株式会社(以下「翼システム」という。)が商標権者であったが、平成19年3月9日に請求人が、翼システムから譲渡を受け、商標権者となった。 請求人は、平成10年ころより、本件商標の関連商標等について、翼システムからの使用許諾を受け、そして、平成19年3月9日以降は、自ら本件商標権者となり、これらの商標を基本的営業表示として看板、広告に使用し、平成10年ころより、自動車軽板金・塗装修理の店舗のチェーン店を全国的に展開している。 (2)被請求人らの侵害行為 人物A(以下「人物A」という。)は、車両等の修理、軽板金・塗装を業とする企業A(以下「企業A」という。)の代表取締役である。 企業Aをして、平成18年6月以降、平成19年4月12日までの間(実際には現在も継続中) 下記のアないしウのとおり、請求人の商標権を侵害している。 ア 別紙公正証書目録4のとおり、地点A所在、マイカーコンビニクラブ司店において、「マイカーコンビニクラブ司店」なる本件商標に類似した商標を使用している。 イ 別紙公正証書目録1のとおり同店舗近隣(同視地点A付近)の野立て看板において、同じく「マイカーコンビニクラブ司店」なる本件商標権に類似した商標を使用している。 ウ 別紙公正証書目録3のとおり、同店舗近隣(同視地点A付近)の別の野立て看板においても、同じく「マイカーコンビニクラブ司店」なる本件商標権に類似した商標を使用している。 (3)人物Aは、以前も、その店舗において、カーコンビニ倶楽部及び翼システムの商標権を侵害する看板を使用させていたため、カーコンビニ倶楽部は、平成14年1月8日、同年4月16日及び同15年12月25日の3回に及び、企業Aに対し、同社(実態は人物A)が翼システムの商標権を侵害していること、その侵害行為が商標法違反の犯罪に該当することを警告したにも関わらず、その侵害行為を止めないため、カーコンビニ倶楽部は、平成16年7月7日、警察署に相談をした。 これに対し、人物Aは、その行為を反省して、商標権侵害行為を止めたため、被害者関係者は、それ以上、刑事責任追及をすることを止めた。 しかしながら、人物Aは、再び、上記のような新カーコンビニ倶楽部の商標権侵害行為を繰り返すものであり、その故意が明らかであるばかりか、著しく悪質であるとして、請求人は、被請求人について、平成18年9月25日、警察署に告訴をしたところ、同警察署から判定請求をすべき旨依頼を受けた。 3 イ号標章の説明 被請求人らは、平成18年6月ころより、地点A付近において、「マイカーコンビクラブ司店」の文字からなるイ号標章を付した看板を使用して、車両の整備、修理業を行っている。 請求人は、平成10年ころより、車の整備、修理業において、本件商標の使用を開始し、その後も継続して使用して現在に至っている。 本件商標は、請求人らが、長年使用し、テレビ、ラジオその他マスコミにおいて、広告宣伝活動を行った結果、平成13年ころまでには、全国において、請求の業務にかかる役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っているものである。 4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明 (1)本件商標は、同大、同形、同間隔で、「カーコンビニ倶楽部」とー連?体に表示し、指定役務第37類の各役務に使用するもので、特に「自動車の整備または修理、二輪車の整備または修理」に使用しているものである。 本件商標の称呼は、その文字構成より、「カーコンビニクラブ」の呼称を生じる。これ以外の称呼が生じることは無い。また、本件商標の意味合いは、車に関する気軽な店舗の集まりという観念を生ずる。 これに対し、イ号標章は、甲号証に示すように、同大、同形、同間隔で、「マイカーコンビニクラブ司店」と一連一体に表示されてなる。イ号標章の称呼は、「マイカーコンビニクラブ司店」の文字部分より「マイカーコンビニクラブツカサテン」の呼称を生じる。この称呼は、冗長となり、「司店」は区分され、称呼の対象外である。また、イ号標章の意味合いは、「自分の車に関する気軽な店舗の集まり」という観念を生ずる。 (2)両者の対比 ア 外観について 両者共に、構成する文字形態が同大、同形、同間隔で構成されるゴシック調で共通している。特に文字数がおおく冗長な構成となっているところから、片仮名構成の「カーコンビニ」は同一構成のものとなっている。片仮名「マイ」は2文字で特徴とは言えないし、後半の漢字の「倶楽部」を片仮名「クラブ」で意図的に表示したものである。最語尾の「司店」は土地名であることから顕著性が無いし、これらのことを総合すると両者は外観で類似している。 請求人は、本件商標をその表示看板として、赤地に白抜きの文字で使用することが多いところ、被請求人もイ号標章を赤地に白抜きの文字で使用しており、外観についても明白に類似し、出所の混同を生じるおそれがある。 イ 称呼について イ号標章の初頭の「マイ」は、「自分の」の意味合いで使用されているもので顕著性を持たない。更に、イ号標章の語尾に付された「司店」の文字は、場所を表すもので、商標の特徴とは言えない。従って、イ号標章の要部は、「カーコンビニクラブ」に存在することは明白である。即ち、イ号標章の「マイ」を除くと、商標の称呼は、同一と言える。 ウ 観念について 本件商標の意味合いは、「車に関する気軽な店舗の集まり」という観念を生ずる。これに対して、イ号標章の意味合いは、「自分の車に関する気軽な店舗の集まり」という観念を生じ、同じ範疇の意味合いである。「司店」は消費者をして、請求人が全国的に展開する車両整備、修理のフランチャイズチェーンの店舗であることを想起させるものであり、出所の混同を意図したものである。 エ 役務について、 本件商標は、指定役務第37類の各役務、特に「自動車の整備または修理、二輪車の整備又は修理」に使用するもので、イ号標章と同一役務である。 オ まとめ 両者は、「カーコンビニクラブ」の部分で呼称を共通し、更に「車に関する気軽な店舗の集まり」という意味合いで観念を共通にする類似の標章である。 また、本件商標の指定役務第37類「自動車の整備または修理、二輪車の整備または修理」は、イ号標章の使用役務「自動車の整備または修理」とは同一の役務である。 以上により、イ号標章は、登録第4485999号の商標権の効力の範囲に属するものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の判定を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び同第2号証を提出した。 イ号標章は、以下の諸点に鑑みるとき、本件商標と同一又は類似とはいえず、本件商標の商標権を侵害しているものではない。 (1)外観の比較 本件商標は、「カーコンビニ倶楽部」であり、イ号標章は、「マイカーコンビニクラブ司店」であり、イ号標章は、「マイ」が付加されており、しかも、「倶楽部」の部分は「クラブ」とカタカナ書きされており、相異している。 また、本件商標は、「コンビニ」の「ビ」の濁点部分が、2つの眼で表現され、また、「カー」の「一」の長音部分が、スパナで表現されているもので、文字表現だけでなく、図形も組み合わされた結合商標であり、2つの眼とスパナは、需要者の目を引きつけ(とりわけ、眼の部分)、本件商標を特徴づける主要部分であり、需要者を長期間印象づけ、営業標識としての訴求力をもつ部分である。 これに対して、イ号標章は、こうした図形的な装飾は一切施しておらず、いわゆる離隔的観察においても、外観の印象として、全く異なるものである。 また、本件商標は、赤で着色されているものであるのに対し、イ号標章は、赤地又は黄地に白抜きで文字表現がなされているもので(甲第1号証ないし第3号証)、実際に使用されている状況も全く異にしているものである。 以上、外観から判断した場合、本件商標とイ号標章は全く異なっているもので、需要者がその営業の同一性を混同するような類似性は全くないものである。 (2)称呼の比較 本件商標は、「カーコンビニクラブ」と呼称され、イ号標章は「マイカーコンビニクラブツカサテン」と呼称される。イ号標章の「マイ」は「カー」との結びつきが強く、「マイ・カー」と切断されたものではなく、「マイカー」として一連一体の語句として、不可分に結合し、和製英語化して称呼されるものである。「カー」という語句は、日本語として使用される場合、「カー」と単独で使用される用例は少なく、他の外来語と複合して和製英語化するものである(たとえば、カーステレオ、カークーラー、カーオーディオ等々。乙第2号証398頁)。 したがって、発音としてのまとまりでみた場合、本件商標は、(カー)+(コンビニクラブ)ではなく、(カーコンビニ)+(クラブ)と分解される。これに対して、イ号標章は、(マイカー)+(コンビニクラブ)と分解され、発音上のまとまりとしても異なっている。 (3)観念の比較 本件商標は、日本語にすると、「車に関する便利な店の組織」ということが観念される。 しかしながら、イ号標章を構成する「マイカー」という語は、既に和製英語化して日本語となっており(乙第1号証1311頁、乙第2号証2375頁)、「マイカーに関する便利な店の組織」という観念を生じる。 前述のように、「カー」という語は、車一般で、何らの性格付けもなされていない、物理的な存在としての「車」そのものしか意味しないが、「マイカー」という語は、物理的な存在である車そのものを意味するだけでなく、さらに、具体化し、「マイホーム」という語と同様、各個人が自分自身の車を持つという、文化水準的、所得水準的にみた豊かさの表れとしたニュアンスを色濃く持ちながら、和製英語化したものであり、単に「カー」に「マイ」がついたというものではなく、「カー」と「マイカー」は観念としても全く異なっているものである。 したがって、本件商標の観念が、役務との関連で需要者として想定される対象は、個人のみならず、商用車など企業活動用の車を保有するような企業、法人をも含む無限定のものであるのに対し、イ号標章が、商標の観念上需要者として想定する対象は、マイカーの保有者、すなわち、商用車などの企業活動上の車を排除し、自家用車を持つ個人ということであり、その対象も異にするものである。 (4)全体観察 判例上、外観、観念又は称呼の類似は、出所の誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、3点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情によって何ら商品、役務の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできないとされており(平成9.3.11最判、「小僧ずし」判決など)、本件で、仮に称呼において類似する余地があるとしても、前述のとおり、外観、観念、とりわけ、前述の通り、外観において、本件商標とイ号標章は著しく相違しており、役務の出所の誤認混同を生ずるおそれはないものというべきである。 第5 当審の判断 本件商標は、別掲のとおり、赤字で「カーコンビニ倶楽部」の文字(なお、「カー」の「一」の長音部分が、スパナで表現され、「ビ」の濁点部分が、2つの眼で表現されている。)を横書きしてなるところ、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、外観上まとまりよく一体的に表してなる構成よりなるから、かかる構成においては、その構成全体に相応して、「カーコンビニクラブ」の称呼を生ずるとみるのが相当であり、また、商標の類否判断の要素としての観念とは、多くの取引者、需要者がその商標自体から直ちに一定の意義を想起させるものであることを要するものというべきであるから、本件商標は、その構成全体にとして特定の語義を有しない一種の造語とみるのが相当である。 他方、イ号標章は、「マイカーコンビニクラブ司店」の文字を横書きしてなり、各文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、外観上まとまりよく一体的に書してなる構成よりなるところ、その構成中後半の「司店」の文字部分は、愛知県豊田市の司町を指称し、自己の取扱いにかかる役務の提供の場所を表すものであるから、それ自体のみでは自他役務の識別力を有しないものである。 してみれば、イ号標章における自他役務の識別標識力を有する文字部分は、構成中の前半部分「マイカーコンビニクラブ」の文字部分にあるといわざるを得ない。 そうとすると、イ号標章は、その構成文字の全体に相応した「マイカーコンビニクラブツカサテン」の一連の称呼を生ずるほか、「マイカーコンビニクラブ」の称呼をも生ずるものであり、また、前記のとおり、商標の類否判断要素としての観念とは、多くの取引者、需要者がその商標自体から直ちに一定の意義を想起させるものであることを要するものというべきであるから、イ号標章は、その構成全体として特定の語義を有しない一種の造語とみるのが相当である。 そこで、本件商標から生ずる「カーコンビニクラブ」の称呼とイ号標章から生ずる「マイカーコンビニクラブ」の称呼を比較すると、両者は、語頭部分において「マイ」の音の有無という顕著な差異を有するものであり、その差異が称呼全体に及ぼす影響が極めて大きいことから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が異なり称呼上十分に区別し得るものである。 また、本件商標とイ号標章は、前記のとおり、いずれも造語よりなるものであるから、観念においては比較できないものである。 さらに、本件商標とイ号標章の構成は、別掲又は前記のとおりであるから、外観上明らかに区別し得るものである。 したがって、本件商標とイ号標章は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、役務「自動車の整備または修理」について使用するイ号標章は、登録第4485999号商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
判定日 | 2007-12-27 |
出願番号 | 商願2000-40575(T2000-40575) |
審決分類 |
T
1
2・
9-
YB
(Z37)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉本 克治、深沢 美沙子 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 津金 純子 |
登録日 | 2001-06-29 |
登録番号 | 商標登録第4485999号(T4485999) |
商標の称呼 | カーコンビニクラブ |
代理人 | 池田 伸之 |
代理人 | 浅井 岩根 |
代理人 | 浅井 岩根 |
代理人 | 池田 伸之 |
代理人 | 南 敦 |