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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1169039 
審判番号 無効2007-890013 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-02-06 
確定日 2007-11-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4982714号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4982714号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4982714号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年2月14日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同年9月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3187758号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GRAMMY」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第41類「各種音楽の教授並びに音響用及び映像用媒体による音楽及び演劇の記録並びに制作に関する教授,娯楽音楽の演奏の興行の企画及び運営,音楽放送番組の制作,レコ?ド盤及びオ?ディオカセットによる音楽的及び演劇的記録の分野・音楽ビデオの分野・娯楽音楽・テレビジョン及びラジオ用音楽・映画音楽その他音楽の分野・音響及び映像用媒体により音楽及び演劇を記録・制作することのこれら各分野につき賞の授与式典を企画・運営又は開催すること,音楽の演奏・演劇の上演」を指定役務として、同8年8月30日に設定登録されたものである。その後、同18年4月11日に商標権の
存続期間の更新登録がなされているものである。
(2)登録第3215851号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GRAMMY」の文字を横書きしてなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日に登録出願、第41類「レコ?ド盤及びオ?ディオカセットによる音楽的及び演劇的記録の分野・音楽ビデオの分野・娯楽音楽・テレビジョン及びラジオ用音楽・映画音楽その他音楽の分野・音響及び映像用媒体により音楽及び演劇を記録・制作することのこれら各分野における賞の授与式典の企画・運営・開催,音楽の演奏・演劇の上演」を指定役務として、同8年10月31日に設定登録されたものである。その後、同18年5月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(3)登録第3240332号商標(以下「引用商標3」という。)は、「GRAMMY」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類「ラジオ及びテレビジョンによる音楽番組の放送」を指定役務として、同8年12月25日に設定登録されたものである。その後、同18年7月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(4)登録第1996056号商標(以下「引用商標4」という。)は、「GRAMMY」の文字を横書きしてなり、昭和60年8月8日に登録出願、第26類「映写フイルム及び録画済ビデオカセツトテ-プ、その他の写真ポスタ-、その他の印刷物、彫刻、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録されたものである。その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(5)登録第2721065号商標(以下「引用商標5」という。)は、「GRAMMY」の文字を横書きしてなり、1991年2月8日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成3年8月8日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、その後、同18年11月21日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成19年2月21日に、指定商品を第6類「アイゼン,カラビナ,金属製飛び込み台,ハーケン,金属製あぶみ,拍車」、第8類「水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」、第9類「録音済みコンパクトディスク,録音済みテープ,その他のレコード,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ」、第18類「乗馬用具」、第19類「飛び込み台(金属製のものを除く。)」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ」、第21類「コッフェル」、第22類「ザイル,登山用又はキャンプ用のテント」、第24類「ビリヤードクロス」、第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」、第27類「体操用マット」、第28類「縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」及び第31類「釣り用餌」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(6)登録第2681540号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、1991年2月12日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成3年8月12日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年6月29日に設定登録され、その後、同16年4月13日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、同17年3月16日に、指定商品を第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(7)登録第3187759号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第41類「各種音楽の教授並びに音響用及び映像用媒体による音楽及び演劇の記録並びに制作に関する教授,娯楽音楽の演奏の興行の企画及び運営,音楽放送番組の制作,レコ?ド盤及びオ?ディオカセットによる音楽的及び演劇的記録の分野・音楽ビデオの分野・娯楽音楽・テレビジョン及びラジオ用音楽・映画音楽その他音楽の分野・音響及び映像用媒体により音楽及び演劇を記録・制作することのこれら各分野につき賞の授与式典を計画・運営又は開催すること,音楽の演奏・演劇の上演」を指定役務として、同8年8月30日に設定登録されたものである。その後、同18年4月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第82号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)「GRAMMY」商標の著名性について
引用商標1及び2は、現在、請求人が主宰する「グラミー賞」(Grammy Awards)の役務商標である。
グラミー賞は、1958年(昭和33年)に、音楽業界において優れた作品を創り上げたクリエイターの業績を讃えるとともに、業界全体の振興と支援を目的として作られた賞であり、各年度ごとに、表彰の対象として設けられた部門別に受賞者が決定されているものである。
また、引用商標3ないし5は、いずれも音楽関連商品等のマークとして登録され使用されているものである。
引用商標1ないし5を構成する「GRAMMY」の文字(以下まとめていうときは、「『GRAMMY』商標」という。)は、造語であり、その採択の由来は、受賞者にグラモフォン(蓄音機)のレプリカが贈られることから一般にグラミー賞と呼ばれているのである。「GRAMMY」商標は、音楽業界という老若男女を問わず、広くテレビやFM放送等をはじめとする非常な広範囲な分野で使用されている諸事実を客観視すれば、本件商標の出願日前はもちろんのこと、本件商標の査定時において、需要者、取引者は、直ちに「グラミー賞(GrammyAwards)」を起想する程に、米国はもちろんのこと、日本を含む世界各国で周知、著名な商標となっている(甲第9号証ないし同第79号証の7)。
さらに、引用商標6及び7は、前記のとおり、「グラミー賞」受賞者に贈られるグラモフォン(蓄音機)のレプリカの図形商標であり、これらは、「GRAMMY」商標と共に使用された結果、周知、著名な商標となっている。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標は、「CLUB」のローマ字と「GRAMMY」のローマ字と「C」と「G」を結合させた図形の三段構成である。そして、その指定役務は、第43類「飲食物の提供」を主とするものであり、ホストクラブの主体であることは、被請求人が現に使用しているサイト上から明らかである(甲第1号証の3及び4)。
したがって、本件商標の要部は、中段の「GRAMMY」の文字部分にあるというべきである。
そして、本件商標中の要部である「GRAMMY」は、前記(1)で述べたように、世界的に著名な「GRAMMY賞」(グラミー賞)の「GRAMMY」と同一であり、したがって、本件商標と「GRAMMY」商標とは、外観、称呼、観念において類似する。
(イ)出所の混同
「GRAMMY」商標は、音楽業界という広い人的範囲にわたって知られている商標であり、かつ、造語よりなり独創性のある商標である。
したがって、被請求人が、その業務に係るホストクラブに本件商標を使用した場合、社会の広範囲にわたる取引者、需要者が、これを請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係るものと認識する可能性があり、他人の業務に係る商品又は役務と誤認混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標の役務は、引用商標との関係で出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、被請求人が「GRAMMY」商標の世界的著名性に只乗りして、「飲食物の提供」等の役務に使用せんとして取得したものである。
その根拠は、甲第1号証の3ないし6が示すように、被請求人のインターネット上のドメインネームは「grammy.jp」である。この事実は、被請求人が造語である「GRAMMY」商標の周知、著名性を十分に承知の上で採択したものであり、このドメイン名を用いて、ホストクラブの営業を行い、併せて、本件商標を登録したものであることは明白である。
このように、ホストクラブ等において「飲食物の提供」等の役務について、「GRAMMY」商標と同一の文字を要部とする本件商標を使用している現状を正視するならば、請求人が1958年(昭和33年)から50年近くにわたり積み上げて来た「GRAMMY」商標が保有する芸術的・社会的な名声・栄誉・尊敬等をこめた「賞」の誉れが汚されると同時に、請求人が今迄の長年月にわたり築いた信用に只乗りされることで、「GRAMMY」賞そのものが傷つくことは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当するものである。
(4)むすび
以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項により無効とすべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

5 当審の判断
(1)「GRAMMY」商標の著名性について
甲第9号証ないし同第79号証の7によれば、「GRAMMY」の語は、1958年(昭和33年)に始まり、現在に至るまで継続している米国のレコード界で優れた作詞、作曲、演奏、歌唱など、大きな功績に対して毎年送られる小像(賞)を意味する語であり、請求人が主宰する賞であること、「GRAMMY」の語の由来は、受賞者に蓄音機(グラモフォン)のレプリカを贈呈するところから生まれた俗称であり、2000年現在で、98部門に分かれていること、その授賞式は、テレビを通じて全米はいうに及ばず、我が国においても放送され、かつ、過去の受賞者には、我が国においても著名なアーティスト等が多数受賞し、我が国の音楽関係者をはじめ、一般の需要者の間でも注目を集めていることなどが認められる。
そうすると、「GRAMMY」の語は、「グラミー賞」の意味をもって、請求人が主宰する賞の名称を表すものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の音楽関係者はいうまでもなく、一般の需要者の間にも広く認識されていたものと認められ、その著名性は、本件商標の査定時(平成18年7月11日)においても継続していたものということができる。
(2)出所の混同について
本件商標は、別掲(1)のとおり、上段に「CLUB」の文字をやや小さく表し、その下に「GRAMMY」の文字を大きく表し、さらに、その下に、黒塗り円図形内に「G」と「C」のモノグラムを白抜きで表した図形を配してなるものである。そして、本件商標中の「GRAMMY」の文字部分は、構成上、看者の印象に強く残る部分といえるばかりでなく、請求人が主宰する「グラミー賞」として、本件商標の登録出願前より我が国においても需要者の間に広く認識されている「GRAMMY」の文字と同一の綴り文字よりなるものである。
したがって、本件商標は、その構成中に他人の著名商標を含む商標というべきである。
また、本件商標の指定役務は、前記のとおり、「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」であるところ、そのうち、特に「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育」などの需要者は、役務の性質上、年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広汎な一般消費者、取引関係者が含まれ、その中には、音楽に関心を持つ者も少なくないものと認められる。
そうすると、本件商標に接する需要者は、その構成中の「GRAMMY」の文字部分より、請求人の主宰する「グラミー賞」を直ちに想起又は連想し、本件商標をその指定役務について使用した場合には、該役務が請求人又は請求人と業務上何らかの関係のある者の取扱いに係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標というべきである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標6


(3)引用商標7


審理終結日 2007-09-27 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-16 
出願番号 商願2006-12185(T2006-12185) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Y43)
T 1 11・ 222- Z (Y43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小俣 克巳 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
渡邉 健司
登録日 2006-09-01 
登録番号 商標登録第4982714号(T4982714) 
商標の称呼 クラブグラミー、グラミー、シイジイ 
代理人 島田 義勝 
代理人 水谷 安男 

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