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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Y21 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y21 |
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管理番号 | 1167740 |
審判番号 | 無効2007-890055 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2007-04-27 |
確定日 | 2007-11-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4982064号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4982064号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年12月20日に登録出願、第21類「ハチ捕獲器,デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナ ー,シューツリー,コッフェル,ブラシ用豚毛」を指定商品として、同18年8月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人の引用する登録第4879372号商標(以下「引用商標」という。)は、「キャッチャー」の文字を標準文字で表してなり、平成16年9月28日に登録出願、第5類「薬剤」及び第21類「ゴキブリ捕獲器,その他の害虫捕獲器(電気式のものを除く。)」を指定商品として、同17年7月15日に設定登録されたものである。 第3 請求人の主張 請求人は、「本件商標の指定商品中『ハチ捕獲器,およびその類似商品』の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「フマキラー」の文字及び「ハチキャッチャー」の文字を二段に書してなるところ、上段部分の「フマキラー」は、会社の商号の略称であるから、本件商標からは「『フマキラー』の『ハチキャッチャー』」の認識が生ずる。 そうとすれば、本件商標は、下段部分の「ハチキャッチャー」からも単独で「ハチキャッチャー」の認識が生じ、「ハチキャッチャー」と略称されるというべきである。 そして、「ハチキャッチャー」の文字中、「ハチ」の文字部分は、本件の指定商品中「ハチ捕獲器」との関係では、用途表示に相当し、商標の要部は「キャッチャー」の文字部分にある。 そうとすれば、本件商標からは、「キャッチャー」の称呼を生ずる。 一方、引用商標は、「キャッチャー」の文字よりなるものであるから、「キャッチャー」の称呼を生ずる。 そうとすれば、両商標は、「キャッチャー」の称呼を共通にし、称呼及び観念において相紛れるおそれのある類似する商標である。 (2)商標法第4条第1項第16号について 本件商標を、「ハチ捕獲器」以外の「ねずみ取り器」について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。 (3)結論 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号にも違反して登録された商標である。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、「構成する各文字が一様に連なり、その各語に対応する文字の大きさや形態に差異がない場合には、一連に称呼され一体的に観念される」として、本件商標と引用商標とが非類似であると主張する。 また、「その各語に対応する文字の大きさや形態に差異がない場合には、右二つの語のうちの一方が日常使用されない特異な語であるなどその語自体が特別顕著な印象を与えるとか、その称呼が全体として殊更冗長であるなど特段の事情がない限り」とも主張している。 しかしながら、殺虫剤・害虫捕獲器の業界の取引では、前半にその害虫の名前を表示し、その後ろに本来の商標を表示して使用することは、普通に見かけられるものである(甲第3号証)。 そうとすれば、本件は「特段の事情のある場合」というべきであって、「ハチキャッチャー」の「ハチ」は、「蜂用」という用途表示に他ならず、「ハチキャッチャー」は「蜂用の製品」を意味するものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成態様からして、上段の「フマキラー」と下段の「ハチキャッチャー」の文字がそれぞれ独立しても看者の注意を惹くものであることは、これを認めることができる。 また、本件商標中、下段の「ハチキャッチャー」の文字は、これを「ハチ」と「キャッチャー」の文字に分離すれば、前半の「ハチ」の文字は、その音に通ずる文字として、「蜂」「(数字の)八」「鉢」が存在し、後半の「キャッチャー」の文字は、「とらえる人、また、もの。捕手。」の意味を有する外来語として一般に親しまれ使用されているといい得るものである(乙第1号証)。 ところで、文字のみからなる商標の場合には、通常その文字に相応した称呼、観念を生ずるものであるから、たとえ、それが二つの語を結合してなるものであっても、これを構成する各文字が一様に連なり、その各語に対応する文字の大きさや形態に差異がない場合には、右二つの語のうちの一方が日常使用されない特異な語であるなどその語自体が特別顕著な印象を与えるとか、その称呼が全体として殊更冗長であるなど特段の事情がない限り、その商標は原則として一連に称呼され一体的に観念されるものとみるべきである。 これを本件商標中の「ハチキャッチャー」の文字についてみると、該文字は、その構成各文字が同一の書体及び同一の間隔で外観上まとまりよく一体的に構成されていて、これより生ずると認められる「ハチキャッチャー」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、当該「ハチキャッチャー」の文字は、これを構成する「ハチ」と「キャッチャー」の各文字がその意味合いからして、いずれも高い識別力を有するといえるほど特異なものではないこと、これらの文字が一体的に結合されていて、いずれの文字にも分離し難いほど、その結合は強固なものといい得ることや、その称呼もさほど長くないことなどを併せ考慮すれば、かかる構成においては、前半の「ハチ」の文字が請求人主張のような「ハチ(蜂)用の」といった意味合いで商品の用途を表示するものというよりは、むしろこれに接する取引者・需要者をして、その文字の有する意味合いを深く詮索することなく、一連不可分の造語よりなるものと把握、認識されるとみるのが自然である。 他に、本件商標中の「ハチキャッチャー」の文字を「ハチ」と「キャッチャー」の文字部分に分離して観察しなければならないとする格別な事由は見当たらない。 してみると、本件商標中の「ハチキャッチャー」の文字は、その構成文字全体に相応して、「ハチキャッチャー」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。 なお、請求人は、「『ハチ捕獲器』との関係で、本件商標中の『ハチキャッチャー』の文字は、前半の『ハチ』の文字が『ハチ用の』といった意味合いで商品の用途表示であるから、要部は『キャッチャー』の文字にある。」と主張するが、「ハチ」の文字は、その音に対応する文字として、「蜂」のほか、「(数字の)八」「鉢」の文字も一般に親しまれ使用されているところからみれば、「ハチキャッチャー」と一連に表してなる構成においては、これに接する取引者・需要者をして、前半の「ハチ」の文字を捉え、「ハチ(蜂)用の」商品であることを表したものと、直ちには特定し難いものである。 したがって、本件商標中の「ハチキャッチャー」の文字は、一体不可分のものとして捉えるべきであるから、その構成中後半の「キャッチャー」の文字が独立しても自他商品の識別機能を果たすものであることを前提として、本件商標と引用商標とが類似するとする請求人の主張は、その前提において失当なものといわざるを得ない。 その他、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても類似のものとすべき事由は見いだせない。 加えるに、被請求人所有の登録商標「ハチゾロゾロ」に対する異議申立事件の異議決定(乙第2号証)において、引用商標「ゾロゾロ」「ZORO ZORO」との類否に関連して、「本件商標は、『ハチゾロゾロ』の文字からなるものであるところ、その構成各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもってまとまりよく一連に表されたものである。かかる構成態様の本件商標は、そのいずれかの部分を分離抽出して、当該部分より生ずることのある称呼、観念をもって取引に資されるとすべき特段の理由は認められないから、特定の観念を生ずることのない一連の造語よりなるものとして看取されるというのが相当である。そして、構成文字に相応した「ハチゾロゾロ」の称呼も、格別冗長でもなく、一気に称呼し得るものである。してみると、本件商標は、「ハチゾロゾロ」の称呼のみを生ずるものというべきである。」との認定、判断がなされているものである。 (2)商標法第4条第1項第16号について 請求人は、「本件商標は、『ハチ捕獲器』との関係で、その構成中の『ハチ』の文字が『ハチ用』というように商品の用途表示であるから、これを指定商品中の『ハチ捕獲器』以外の商品(特に、ネズミ取り器)に使用するときは、商品の品質の誤認が生ずるものである。」旨主張する。 しかしながら、本件商標は、上記(1)で被請求人が主張するように、その構成中の「ハチキャッチャー」の文字が特定の意味合いを有しない一連不可分の造語よりなるものであって、かつ、その前半の「ハチ」の文字が「ハチ(蜂)用の」の意味合いで商品の用途を表したものとして直ちに把握、理解されるとはいい難いものであるから、これをその指定商品中「ハチ捕獲器」以外の商品(例えば、「ネズミ取り器」)に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれのないものといわなければならない。 5 当審の判断 本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、「フマキラー」の文字と「ハチキャッチャー」の文字は二段に書されているばかりでなく、「フマキラー」の文字は、「ハチキャッチャー」の文字の約2分の一の大きさで書されていることよりすれば、「フマキラー」の文字と「ハチキャッチャー」の文字は外観上分離して把握し得るものである。 そして、本件商標の構成文字全体より生ずる「フマキラーハチキャッチャー」の称呼は極めて冗長であり、また、「フマキラー」の文字部分は被請求人の略称であるから、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、本件商標は、単に「ハチキャッチャー」と略称され称呼される場合も決して少なくないというべきである。 そうとすれば、本件商標は、構成文字全体から「フマキラーハチキャッチャー」の称呼を生ずる他に、「ハチキャッチャー」の文字部分から「ハチキャッチャー」の称呼をも生ずるというのが相当である。 そこで、「ハチキャッチャー」の文字部分についてみるに、それぞれの構成文字は、同じ書体、同じ大きさ及び同じ間隔で、外観上一体に表されている。 そして、「ハチキャッチャー」の文字部分より生ずる「ハチキャッチャー」の称呼はよどみなく、一気一連に称呼し得るものである。 さらに、「ハチキャッチャー」の「ハチ」の文字(語)は、「八」、「蜂」、「鉢」の意味を有する多義的な語であって、いずれの意味合いにおいても一般に使用されている用語であるから、取引者、需要者が、当該文字から、直ちに「蜂」の意味を連想、想起するとまではいい難い。 そして、他に、「ハチキャッチャー」の文字部分中の「キャッチャー」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。 そうとすれば、「ハチキャッチャー」の文字部分は、「ハチ」の語と「キャッチャー」の語を連結した語として取引者、需要者に認識、把握されるというよりは、特定の意味合いを有さない一種の造語でとして取引者、需要者に認識、把握されるというのが相当である。 したがって、「ハチキャッチャー」の文字部分からは、単に「キャッチャー」の称呼及び観念が生ずることはないものといわなければならない。 他方、引用商標は、前記第2のとおり「キャッチャー」の文字よりなるものであるから、「キャッチャー」の称呼及び観念を生ずるものである。 してみれば、本件商標から単に「キャッチャー」の称呼及び観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする請求人の主張は、採用することができない。 その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき理由は、見いだせない。 また、本件商標中の「ハチキャッチャー」の文字部分を一種の造語と見るべきであることは、上記のとおりであるから、これをその指定商品のいずれについて使用しても、商品の品質の誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第16号のいずれにも違反してなされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2007-09-06 |
結審通知日 | 2007-09-11 |
審決日 | 2007-09-25 |
出願番号 | 商願2005-119394(T2005-119394) |
審決分類 |
T
1
12・
26-
Y
(Y21)
T 1 12・ 272- Y (Y21) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前山 るり子 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 岩本 和雄 |
登録日 | 2006-08-25 |
登録番号 | 商標登録第4982064号(T4982064) |
商標の称呼 | フマキラーハチキャッチャー、フマキラー、ハチキャッチャー |
代理人 | 舘石 光雄 |
代理人 | 萼 経夫 |
代理人 | 為谷 博 |
代理人 | 成合 清 |