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審決分類 |
審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 039 |
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管理番号 | 1167580 |
審判番号 | 取消2006-30360 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2006-03-17 |
確定日 | 2007-10-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4014730号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4014730号商標の指定役務中、「駐車場の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4014730号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月15日に登録出願され、第39類「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,駐車場の提供,自動車の貸与,船舶の貸与」を指定役務として、同9年6月20日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、また、同年11月28日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定役務中「駐車場の提供」について、本件審判請求の日前3年間継続して、商標権者又はその使用権者の何れによっても使用されていない。 よって、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証の写真を提出し、役務「駐車場の提供」について本件商標を使用している旨述べているが、乙第1号証ないし乙第6号証よりは、被請求人が、役務「駐車場の提供」について、「食品専門館 Lucky」または「食品専門館」、「Lucky」を使用していることが分かる。 一方、本件商標は、「図形+Lucky/ラッキー」の構成であり、図形部分を欠落させた場合には、もはや本件商標と社会通念上同一のものということはできない程にまとまった構成を有している。 しかるに、被請求人が、役務「駐車場の提供」に使用する「食品専門館 Lucky」または「Lucky」は、本件商標中に存在する図形部分が欠落しているものである。 したがって、被請求人が、役務「駐車場の提供」に使用する「食品専門館」の標章はもちろん、「食品専門館 Lucky」または「Lucky」についても、本件商標と社会通念上同一ではないし、被請求人のいう「実質上同一」といえるものでもない。 (3)口頭審理陳述要領書の概要 (ア)使用標章の周知性について、 被請求人は、標章「Lucky/ラッキー」の周知性を主張し、証拠として、該標章が表示されている食品専門館についての折り込みチラシ(第8号証の1ないし乙第8号証の3)を提出しているが、該証拠により証明する内容は、「飲食料品や生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売りの業務において行われる便益の提供」というべき役務についての標章「Lucky/ラッキー」の周知性に止まるものであって、役務「駐車場の提供」について、「食品専門館 Lucky」または「Lucky」の周知性を立証するものではない。 (イ)本件商標と実質的に同一な商標について そもそも、「食品専門館 Lucky」または「Lucky」と本件商標が社会通念上同一であることと、使用標章が周知であることは関係がない。 したがって、被請求人が、新たな証拠を提出して、仮に役務「駐車場の提供」について、標章「Lucky/ラッキー」の周知性を立証したとしても、本件商標と「食品専門館 Lucky」または「Lucky」とが実質的に同一であることの証左にはならない。 (ウ)被請求人提出の「食品専門館 Lucky」または「Lucky」は、本件商標の構成中「Lucky/ラッキー」の文字と共に大きな部分を占める「鳥の図形」が欠落しているものである。 本件商標よりは、図形部分より「トリノズケイ」等の称呼と共に「鳥」の観念が生じ、「Lucky/ラッキー」の文字から「ラッキー」の称呼と共に「幸運」の観念が生じる。 本件商標は、互いに称呼及び観念を異にする図形と文字からなるところ、その図形部分を多少変形して使用するとか、図形部分を移動させて使用するのであれば、社会通念上同一であるといえるが、構成中の図形部分を欠落させるという変更は、本件商標の基本をなす部分の欠落であり、本件商標の識別性に大きな影響を与えるものである。 したがって、「食品専門館 Lucky」または「Lucky」は、もはや本件商標と社会通念上同一であるということができないものである。 (エ)以上のとおり、被請求人は、未だ、本件商標が、その役務「駐車場の提供」について、継続して3年以上日本国内において被請求人又は使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定役務について使用された事実を示していない。 よって、本件商標の指定役務中「駐車場の提供」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 3 被請求人の主張 (1)被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書を提出し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号(枝番号を含む。)を提出した。 (2)本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、その指定役務「駐車場の提供」の識別標識として、商標権者である被請求人によって使用されている。 すなわち、被請求人が運営する店舗「ラッキー 成美店」(所在地:大阪府寝屋川市成美町28-3、以下「成美店」という。)に隣接する駐車場において、遅くとも平成16年8月頃から現在に至るまで、駐車場に設置された看板に本件商標を使用している。 また、同時に、被請求人が運営する店舗「ラッキー 交野店」(所在地:大阪府交野市私部3-6-12、以下「交野店」という。)に隣接する駐車場において、遅くとも平成16年4月頃から現在に至るまで、駐車場に設置された看板に本件商標を使用している。 これらの駐車場は、成美店又は交野店を利用した顧客に対しては所定の利用時間を無料とする一方、成美店又は交野店を利用せずに駐車場を利用する者に対しては利用時間に応じて駐車料金を課金するものであるから、被請求人は「駐車場の提供」を行っているものといえる。 よって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人によって、その指定役務「駐車場の提供」に使用されていたといい得るものである。 (3)平成18年11月28日付けで提出した口頭審理陳述要領書の概要は、以下のとおりである。 (ア)請求人は、被請求人の使用標章が本件商標と社会通念上同一及び実質的に同一という関係にない旨述べている。確かに、本件商標は、「鳥の図形+Lucky/ラッキー」の構成を有している。しかしながら、以下に述べるように、本件商標の要部は「Lucky/ラッキー」の文字部分にあるというべきである。 (イ)被請求人は、昭和36年頃から食料品を主な取扱商品とする店舗を、大阪東部地域を中心に展開している。現在店舗は12店を数え、全店舗に来客用の駐車場を用意して、来客用の用に供している。近年、被請求人は、各店舗の看板や広告に「Lucky」又は「ラッキー」のみからなる標章を表示して、月平均1?2回の頻度で、1回あたり3万枚の新聞折込チラシを配布し(乙第7号証、乙第8号証)、1店舗当たり1日平均約4000人の来客を得ており、「Lucky」又は「ラッキー」の標章は、被請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして当該地域の需要者に広く知られるに至っている。係る事実に鑑みれば、本件商標の構成中、真に自他商品の識別機能を有する要部となりうるのは、「Lucky/ラッキー」の文字部分であり、「鳥の図形」の部分も自他商品の識別機能を発揮する余地は残されてはいるものの、「Lucky/ラッキー」の文字部分との関係において、当該図形部分は付記的部分に過ぎないと解される。 (ウ)そうすると、被請求人が役務「駐車場の提供」に使用する使用標章は、商標の要部でない付記的部分を省略したものであるから、本件商標と実質的に同一又は社会通念上同一と認められる関係にあるというべきである。 (4)平成18年12月18日付けで提出した上申書の概要は、以下のとおりである。 (ア)被請求人が「駐車場の提供」 を行っていることを証明するため、乙第9号証の1及び2を提出する。乙第9号証の1及び2は、ラッキー交野店第一駐車場及び第二駐車場のパーキング売上報告書の写しであり、審判請求登録前3年以内である平成16年2月及び3月の売上明細及び売上合計レシートの写しがそれぞれ記載されている。 (イ)図形部分の商標の使用例について 図形部分の商標の使用例について、乙第10号証及び乙第11号証を提出する。乙第10号証は、被請求人の従業員が着用する制服の写真であり、左胸の部分に図形部分の商標が使用されている。また、乙第11号証は、被請求人の店舗において販売されている商品「落とし紙」の写真であり、商品の包装袋に図形部分の商標が使用されていることが示されている。なお、これらの写真は、平成18年12月8日に、被請求人の従業員である薮内義和が撮影したものである。 (ウ)被請求人と食品専門館「ラッキー」との関係について 被請求人と食品専門館「ラッキー」及び「Lucky」との関係を示すため、乙第12号証並びに乙第13号証を提出する。乙第12号証は、被請求人が営業上使用している封筒であり、被請求人の名称と「Lucky」の文字が併記されている。また、乙第13号証は、被請求人の会社案内冊子であり、表紙に被請求人の名称と「Lucky」の文字が併記されていると共に、第1頁及び別紙には「ラッキー」の文字が記載されている。このように、乙第12号証並びに乙第13号証には、食品専門館「ラッキー」は被請求人に係る業務であることが示されている。 (エ)乙第1号証ないし乙第6号証の写真の撮影者及び撮影日について 乙第1号証ないし乙第6号証の全ての写真は、平成18年6月18日に、被請求人代理人の渥美元幸が撮影したものである。 (オ)被請求人と駐車場管理会社等との関係について 被請求人と駐車場管理会社(株式会社イチネン)との関係を示すものとして、乙第14号証と乙第15号証の1及び2を提出する。乙第14号証のイチネンパーキングシステム基本契約書は、被請求人の駐車場に株式会社イチネンのパーキングシステムを導入することに関する契約に係るものである。この契約は、システム全体の利用に関する基本契約であり、各店舗にパーキングシステムを設置するにあたっては、店舗別に設置契約がそれぞれ取り交わされている。乙第15号証の1は、ラッキー交野店第一駐車場におけるパーキングシステム設置契約書の写しであり、乙第15号証の2は、ラッキー成美店駐車場におけるパーキングシステム設置契約書の写しである。これらの基本契約及び各店舗別設置契約からみて、被請求人と株式会社イチネンとの関係は、パーキングシステムの利用者と提供者の関係にあるといえる。パーキングシステムは、入退出時刻に基づく料金計算やゲートの開閉、駐車料金の徴収を機械で行うものであり、被請求人は、本システムの導入により、自己が提供する駐車場の管理について利便を図っているのである。 また、乙第2号証の写真に名称が写っている東洋テック株式会社は、パーキングシステムを構成する機械の警備、具体的には、機械に異常が発生した場合に人員を派遣してトラブルに対処する等の業務を行っている。東洋テック株式会社への機械警備の委託は、システムの提供者である株式会社イチネンが行っており、被請求人と東洋テック株式会社は直接の取引関係を有するものではない。 (カ)請求人の口頭審理陳述要領書に対する反論 請求人は、乙第8号証の1?3の証拠により証明しようとする内容は、周知であるかどうかはともかくとして、食料品等を取り扱う小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供ともいうべき役務についての標章「Lucky/ラッキー」の周知性にとどまるものであって、役務「駐車場の提供」についての上記標章の周知性を立証するものでないと主張する。 確かに乙第8号証の1?3は、食料品等の販売広告であり、役務「駐車場の提供」についての上記標章の周知性と無関係のように思える。しかしながら、被請求人が役務「駐車場の提供」を行うにあたっては自己の運営する店舗と併設した営業形態としていること、被請求人の店舗で買い物をした駐車場利用者は一定時間の駐車料金を無料とし、それ以外の利用者には有料である旨を明示していることに鑑みれば、被請求人が行っている役務「駐車場の提供」は、請求人の述べるところの「小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に属するものといえる。とすれば、乙第8号証の1?3 は、役務「駐車場の提供」 についての上記標章の周知性を間接的に立証し得るものといえる。 また、請求人は、使用標章の周知性と使用標章が登録商標と同一かどうかということとの間には関連性がないと主張する。 登録商標の同一の範囲がどの程度であるか、すなわち、登録商標の使用に当たるか否かは、個別具体的な事例に基づいて判断されるべきものである。 ところで、商標が自他商品の識別をその本質的機能としている以上、登録商標の使用であるか否かは識別機能の同一性の観点から判断されるべきと解する。また、商標の構成は、真に自他商品の識別力を発揮する要部と、そうでない附記的部分とに分けて捉えられる場合がある。そして、商標登録時には図形と文字との結合商標と捉えられるものであっても、その後の使用により、文字部分のみからなる標章が周知に至れば、商標の構成中に自他商品の識別力の程度に差が生じ、当該文字部分が登録商標の要部として認識され、図形部分が附記的部分として認識されることもあり得る。 つまり、使用標章の周知性は、識別機能を有する要部の認定に影響を及ぼすものといえるから、使用標章と登録商標との同一性の判断に関連性がないとは限らず、上述のように個別具体的に判断されるべき要素の一つであると考える。 4 当審の判断 (1)商標法50条第1項において「継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品等に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」旨規定している。 (2)当審は、平成18年11月28日に口頭審理を行い、本件商標の図形部分の使用例等について被請求人に上申書の提出を求め、これに対し請求人にも、上申書の提出を促した。 (3)次に、被請求人の提出した乙各号証を検討する。 (ア)乙第1号証ないし乙第6号証について 乙第1号証ないし乙第6号証は、食品専門館「ラッキー 成美店」の駐車場付近、駐車場利用料金に関する立て看板及び広告用の看板の写真6葉であり、「食品専門館 Lucky」、「食品専門館 Luckyをご利用のお客様は入庫より30分無料 以降30分/200円」、「駐車場のみご利用のお客様は30分毎200円」、「21:00?翌9:00 1回300円」及び「P24H」等の表示を確認できる。 (イ)乙第7号証及び乙第8号証は、株式会社讀宣が2006年11月15日に作成した「ラッキー寝屋川店の新聞折込チラシの配布数を記載した文書」、「配布地域を表示した地図」の写し及び新聞折込チラシであり、新聞折込チラシに、食品専門館「Lucky ラッキー」の表示が確認できる。 (ウ)乙第9号証の1及び2は、株式会社イチネンから株式会社大近宛のラッキー交野店第一駐車場及び第二駐車場の売上報告書であり、2004年2月4日?3月1日及び2004年3月1日?4月1日の売上明細及び売上合計報告書の写しである。 (エ)乙第10号証は、被請求人の従業員が着用する制服の写真1葉であり、左胸の部分に鳥の図形が確認できる。また、乙第11号証は、被請求人の店舗において販売されている商品「落とし紙」の写真1葉であり、商品の包装袋に鳥の図形が使用され、「ラッキーはと」、「鳥の図」及び「スーパーマーケット ラッキー」の表示が確認できる。 (オ)乙第12号証は、被請求人が営業上使用している封筒であり、被請求人の名称と「Lucky Pantry」の文字が併記されている。また、乙第13号証は、2006年2月16日現在の被請求人の会社案内であり、表紙に被請求人の名称と「食品館 SUPERMARKET Lucky」及び「Pantry Best Food Square」の文字が併記されている。 (カ)乙第14号証は、2003年12月10日付けの被請求人と株式会社イチネンのパーキングシステムを導入することに関する基本契約書の写しである。乙第15号証の1は、平成16(2004)年1月21日付けのラッキー交野店第一駐車場におけるパーキングシステム設置契約書の写しであり、乙第15号証の2は、2004年8月1日付けのラッキー成美店駐車場におけるパーキングシステム設置契約書の写しである。 (3)以上の乙各号証を総合して勘案するに、被請求人は、自己の業務に係るスーパーマーケット「ラッキー 成美店」及び「ラッキー 交野店」に併設して行っている役務「駐車場の提供」に、「食品専門館 Lucky」の標章(以下「使用標章」という。)を使用していることが確認できる。 (4)しかして、本件商標は、別掲のとおり「円輪郭内に四つ葉のクローバーを嘴にくわえた鳥と思しき図形」とその右側に「Lucky」と「ラッキー」の各文字を二段に書してなるものであり、それぞれ独立して自他役務の識別機能を有するものといえる。 (5)ところで、図形と文字との結合された商標において、その結合が、いずれを主要部分とし、いずれを補助的(付記的)部分とするかとの判断を不能ならしめるほど分かち難いものであるときは、その商標の文字部分のみを抽出して、それを商標として使用したとしても、それは当該商標の使用には該当しないと判断するのが相当である(昭和55年(行ケ)第337号・東京高裁昭和57年9月30日判決参照)。 そこで、本件商標と使用標章とを比較すると、使用標章は、前記のとおり、文字部分のみからなるものであり、本件商標の主要な部分である「円輪郭内に四つ葉のクローバーを嘴にくわえた鳥と思しき図形」部分を欠いているものである。 そうとすると、本件商標と使用標章は、社会通念上同一のものということはできない。 以上のとおり、使用標章をもって、本件商標についての使用と認めることはできない。 (6)さらに、被請求人は、他に本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人又は使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定役務について使用していたことを客観的に認めるに足りる証拠を提出していない。 (7)なお、被請求人は、「商標が自他役務の識別をその本質的機能としている以上、登録商標の使用であるか否かは識別機能の同一性の観点から判断されるべきと解する。また、商標の構成は、真に自他役務の識別力を発揮する要部と、そうでない附記的部分とに分けて捉えられる場合がある。そして、商標登録時には図形と文字との結合商標と捉えられるものであっても、その後の使用により、文字部分のみからなる標章が周知に至れば、商標の構成中に自他役務の識別力の程度に差が生じ、当該文字部分が登録商標の要部として認識され、図形部分が付記的部分として認識されることもあり得る。つまり、使用標章の周知性は、識別機能を有する要部の認定に影響を及ぼすものといえるから、使用標章と登録商標との同一性の判断に関連性がないとは限らず、個別具体的に判断されるべき要素の一つであると考える。」旨主張している。 しかしながら、本件商標中の「円輪郭内の四つ葉のクローバーを嘴にくわえた鳥と思しき図形」部分も、付記的部分として認識されるものではなく、それ自体も出所識別機能を十分に果たす部分であり、本件商標と使用標章が、社会通念上同一と認められないこと前記のとおりであるから、この点についての被請求人の主張は採用できない。 (8)したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人又は使用権者のいずれによっても、その取消請求に係る役務について使用されていたと認めることはできないものであり、また、使用していないことについて正当な理由があるものとも認められないから、商標法第50条の規定に基づき、本件商標の指定役務中「結論掲記の役務」についての登録は、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2007-08-20 |
結審通知日 | 2007-08-23 |
審決日 | 2007-09-11 |
出願番号 | 商願平4-186561 |
審決分類 |
T
1
32・
11-
Z
(039)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 井岡 賢一、山本 敦子 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
伊藤 三男 岩崎 良子 |
登録日 | 1997-06-20 |
登録番号 | 商標登録第4014730号(T4014730) |
商標の称呼 | ラッキー |
代理人 | 渥美 元幸 |
代理人 | 玉田 修三 |