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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1167447 
審判番号 取消2006-30933 
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-08-01 
確定日 2007-10-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4682598号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4682598号商標の指定商品中、第9類「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4682598号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成14年3月5日に登録出願、第9類「電線及びケーブル」をはじめとする別掲に示すとおりの商品を指定商品として、及び第41類に属する別掲に示すとおりの役務及び指定役務として、同15年6月20日に設定登録されたものである。
なお、本商標権については、本件審判請求後の平成18年10月10日に、コナミ株式会社から株式会社コナミデジタルエンタテインメントへ一般承継による本権の移転の登録がなされている。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人の提出する証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る第9類の指定商品中、「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」について、本件商標を使用したものとは認められない。
(ア)乙第2号証の1によれば、ケーブルの側部に印字がなされていることが窺われるとしても、被請求人は、この部分の拡大写真を示さず、乙第2号証の2でケーブル端部のUSB端子部分の拡大写真を示し、乙第3号証の2ないし4でケーブルがアーケードゲーム機本体に接続された状態を示すだけである。
仮に、被請求人の主張どおり、ケーブルに本件商標が使用されているのであれば、ケーブル側部の拡大写真が証拠として提出されてしかるべきであるが、そのような写真は提出されていない。
このことからすれば、乙第2号証の1及び2のケーブル上には、本件商標と社会通念上同一の商標は表示されていないものと考えられる。
(イ)乙第3号証の1ないし4が示す事実は、アーケードゲーム機本体について、本件商標が使用されている事実のみであって、ケーブルに本件商標が使用されている事実は何ら示されていない。
なお、乙第2号証の1及び2が本件商標を付したアーケードゲーム機本体に接続されているとしても、そのことをもって、乙第2号証の1及び2のケーブルに本件商標が使用されたことになるとはいえないことは当然である。
(ウ)乙第4号証について
(a)乙第4号証は、その全体が写しにすぎず、乙第4号証の下部に写っている伝票が真実存在しているか否かが不明である。
このことからすれば、乙第4号証は、被請求人が主張する2003年12月15日に該伝票による取引が行われた事実を証明する証明力を全く持たないというべきである。
また、乙第4号証の日付については、その真実性を裏付ける証拠が何ら提出されていない以上、そもそも、乙第4号証をもって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等が本件請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明する証拠とすることはできないというべきである。
加えて、乙第4号証に存在する日付からすると、2003年12月中旬頃に荷物の発送と受取がなされたにもかかわらず、その判取証明が半年以上を経過した2004年8月23日に送付されていることになるところ、荷物の受取から判取証明の送付までに、このように長期間を要することは不自然である。
(b)乙第4号証のFAX(判取証明)の送付物欄の各記載は、乙第5号証の2(「MONSTER GATE/ONLINE II」のリーフレットの写し)の記載と併せ見れば、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」は「モンスターゲートのオンラインキットの8P仕様(8人プレイ仕様)」を、「PCB UNIT VHUB」は「Vハブを備えたシステム基盤ユニット」を、「CORD,USB」は「USBコード」を、「CABLE,USB」は「USBケーブル」を意味すると理解され、これら4つの機器を並列に記載したものと考えられる。
これら4つの機器の関係は、乙第4号証の記載それ自体からは不明であるが、少なくとも、4つの機器が別個の機器を指すことは明らかである。
そうとすれば、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」と「CABLE,USB」が別個の機器を指すものである以上、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」中の「MONSTER GATE」の記載は、「OL/KIT」のみにかかることとなり、「CABLE,USB」にかかる記載でないことは明らかであるから、「MONSTER GATE」がケーブルに関して使用されているとはいえない。
(c)なお、被請求人は、この乙第4号証の伝票中の送付物欄に記載されている「CABLE,USB」が被請求人会社の販売する商品として社内登録されている品目コード「1142440000」の品目名であり、この品目コードに対応する実際の商品が乙第2号証及び乙第3号証に示すケーブルであると主張しているところ、乙第2号証の1及び2のケーブルの品目番号が「1142440000」と特定されているならば、ケーブルの特定のためには、その品目番号を用いればよいのであり、それに加えて、「MONSTERGATE」の表示によって、その下方に表示されている「CABLE,USB」に対応する「ケーブル」が特定される必要性は、どこにも存在しない。
(エ)被請求人は、多数のアーケードゲームを販売しており(甲第1号証)、その中には、複数のプレイヤー間で(したがって、複数のゲーム機間で)対戦を行う対戦型のアーケードゲームが「モンスターゲート」以外にも多数存在している(甲第2号証及び甲第3号証等)。
これらのアーケードゲームの中でも対戦型のアーケードゲームにおいては、ゲーム機間(場合によっては、互いに異なる店舗にあるゲーム機間)での通信を実現するために、ゲーム機にUSBケーブルを接続することが必須であると考えられる。
そして、上記のように、被請求人の販売するアーケードゲーム機において、USBケーブルを接続することが常態であるという状況下においては、被請求人がこれら各種のアーケードゲームにおいて用いるUSBケーブルは、ゲームの名称に関わらない汎用のものであって、各種のアーケードゲームに共通のものが用いられるものと考えられる。
したがって、被請求人がゲーム毎にケーブルの商標名を変えているとは、およそ考えられないことである。
現に、乙第2号証の1及び2、並びに乙第3号証の1ないし3からすれば、「モンスターゲート」のゲーム機に接続されているケーブルは、さしたる特徴もないUSBケーブルであって、他のゲーム機にも汎用可能なものであることが明らかである。
(3)以上からすれば、被請求人提出のすべての証拠によっても、被請求人やその通常使用権者がケーブルに本件商標を使用しているとはいえない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について使用しているものであるから、商標法第50条の規定に該当しない。
(1)被請求人会社は、平成18年3月30日付で、コナミ株式会社より会社分割されたものであり、本件商標は、前記会社分割に伴って移転されたものであって、同年9月25日付で会社分割による商標権移転登録申請書を提出しており、商標「MONSTER GATE(モンスターゲート)」の使用に係る商品の製造・販売は、被請求人会社が承継しているから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかの使用に当たる。
(2)被請求人会社は、商標「MONSTER GATE(モンスターゲート)」を乙第5号証に示す商品に使用するとともに、請求人が主張する第9類「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」に属する「ケーブル」(乙第2号証及び乙第3号証)に継続して3年以上使用している。
乙第2号証の1は、前記ケーブルを示す全体写真、乙第2号証の2は、USBコネクタが設けられたケーブルの拡大写真であり、乙第2号証に示すケーブルは、乙第3号証に示すように、各ゲーム機の背面側下部に設けられた接続部に接続されるようになっている。
乙第4号証は、「MONSTER GATE」という商標によって、ケーブル(乙第2号証及び乙第3号証)が本件審判請求の登録前3年以内である平成15年(2003年)12月15日に販売されていた事実を証明するものであり、顧客の要求に応じてケーブル(乙第2号証)が独立した商品として販売された事実を示している。
これは、荷物が最終消費者に確かに届けられた証明として、受取人による捺印、サインなどをもらう商慣行として通常用いられる判取証明である。乙第4号証は、被請求人会社の通常使用権者であるコナミマーケティング株式会社がケーブル(乙第2号証及び乙第3号証)を2003年12月15日に送付先(「ACT長浜」)に配達した証明として、被請求人会社にFAXにより報告されたものである。
乙第4号証は鮮明ではないが、伝票中の送付物欄には下記の記載がなされている。
「MONSTER GATE OL/KIT(8P)
PCB UNIT VHUB
CORD,USB
CABLE,USB
出08OS00354」
この乙第4号証の伝票中の送付物欄に記載されている「CABLE,USB」は、被請求人会社が販売する商品として社内登録されている品目コード「1142440000」の品目名であり、この品目コード「1142440000」に対応する実際の商品が乙第2号証及び乙第3号証に示すケーブルである。
なお、この点に関しては、乙第6号証の陳述書に記載してあるとおりである。
乙第4号証に示す判取証明は、商標の使用に該当する取引書類等に該当するものであって、その判取証明中に表示される「MONSTER GATE」は、乙第5号証に示す商品のみならず、乙第2号証及び乙第3号証に示す「ケーブル」についても使用されている。
けだし、乙第4号証の伝票の送付物欄に記載の「MONSTER GATE」の表示によって、その下方に表示されている「CABLE,USB」に対応する「ケーブル」が被請求人会社並びに通常使用権者の使用に係る商品として特定され、販売されているからである。
そして、乙第4号証に記載の商標「MONSTER GATE」は、本件商標「MONSTER GATE/モンスターゲート」と同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、社会通念上同一である。
(3)請求人の弁駁に対する再答弁
(ア)請求人は、「被請求人は、取消請求に係る商品について、本件商標を使用していると答弁するが、不当である。」と主張するとともに、「しかしながら、被請求人の提出する証拠によっても、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品(第9類「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」)について、本件商標を使用したとは認められない。」として縷々理由を述べているが、請求人の主張は、いずれも失当である。
(イ)請求人は、「被請求人の主張どおり、ケーブルに本件商標が使用されているのであれば、ケーブル側部の拡大写真が証拠として提出されてしかるべきであるが、そのような写真は、証拠提出されていない。」と述べている。
しかしながら、これは、商標の使用がケーブルという商品自体に直接表示されていなければ、商標の使用とならないというが如き主張であって、到底認められるものではない。
けだし、商標法第50条第1項及び第2項における登録商標の「使用」とは、同第2条第3項各号に規定されている「使用」であるところ、同条同項各号では、商品自体に対する直接的な使用(同項第1号及び第2号)と、広告・価格表・取引書類における使用(同項第8号)とを区別して規定しており、少なくとも、乙第4号証として提出した判取証明は、前記「取引書類」に該当することは明白であるから、商標法第50条第2項において要求される「登録商標の使用をしていること」の証明としては、前記乙第4号証で必要かつ十分なものである。
そうとすれば、被請求人は、取引書類としての乙第4号証の判取証明を提出したものであり、さらに、その取引の対象となっている商品であるケーブルを乙第2号証の1及び2として提出し、そのケーブルの使用態様として乙第3号証の1ないし4を提出しているのである。
乙第3号証の1ないし4の使用態様からして、ケーブル(乙第2号証の1及び2)が破損・断線等した場合には、被請求人の顧客(アミューズメント施設等)の要求に応じて、被請求人が個別にケーブル(乙第2号証の1及び2)を販売することは当然のことである。
しかして、乙第4号証の判取証明は、後述のように第三者が発行したものであって、その証明力は十分であり、ケーブル(乙第2号証の1及び2)を指して、「MONSTER GATE」と称して取引がなされていることが端的に表されている以上、商標法第50条第2項における使用証明の要求に対しては、この乙第4号証で必要かつ十分なものであるが、この乙第4号証を裏付ける証拠として、乙第2号証、乙第3号証、乙第5号証(いずれも枝番を含む。)を提出しているものである。
したがって、請求人が「乙第3号証の1ないし5が示す事実は、アーケードゲーム機本体について、本件商標が使用されている事実のみであって、ケーブルに本件商標が使用されているとの事実は、何ら示されていない。」及び「被請求人が本件商標の使用の証拠としているのは、唯一、乙第4号証のFAX(判取証明)の送付物欄の記載のみである。被請求人は、それ以外に、本件商標の使用の事実を証する証拠を一切提出していない。」と述べ、乙第4号証以外は使用証拠でないとしているのは、失当である。
(ウ)請求人は、「乙第4号証は、その全体が写しにすぎず、乙第4号証の下部に写っている伝票が真実存在しているか否かが不明である。このことからすれば、乙第4号証は、被請求人が主張する2003年12月15日に該伝票による取引が行われた事実を証明する証明力を全く持たないというべきである。」と述べている。
しかしながら、この請求人の主張は、判取証明という商慣行を全く理解していないものといわざるを得ない。
乙第4号証の判取証明は、配達業者が荷物を送付先に配達を行って、「配達業者用控えの伝票」に送付先の受取人の受領印を受けて、配達業務を完了し、また、配達が完了したことを証明するために、配達業者が前記受領印の捺印された「配達業者用控えの伝票」を発送日等の所定情報とともに、ファクシミリで報告したものである。
すなわち、配達先の受領印が捺印された伝票を所有し、送付日を記載したのは、配達業者という第三者であって、また、ファクシミリによる報告である以上、「配達業者用控えの伝票」部分が写しとなることは当然であり、写しであることだけをもって、証明力が否定されるいわれは全くない。
したがって、乙第4号証は、会社が行う取引があったことを示す証拠として十分に成立しており、前記請求人の主張は、客観的かつ合理的理由を伴わないものであるから、その証明力が何ら否定されるものではない。
また、請求人は、「しかしながら、これらの日付について、その真実性を裏付ける証拠が何ら提出されていない以上、そもそも乙第4号証をもって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等が本件請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明する証拠とすることはできないというべきである。」と主張する。
しかしながら、前述のとおり、乙第4号証の判取証明は、ケーブルを送付先に配達した本人である配達業者自身が発送日を明らかにし、かつ、送付先の受領印が捺印された「配達業者用控えの伝票」を報告しているものであるから、取引があったことを示す証拠として十分に成立している。
そうである以上、コナミマーケティング株式会社がケーブル(乙第2号証)を顧客であるACT長浜に対して送付したこと、すなわち取引が実際に行われたことが、乙第4号証の判取証明自体によって、これ以上のさらなる裏付け証拠を要することなく、客観的に確認することができる。
なお、乙第4号証(判取証明)に関し、被請求人は、乙第4号証(判取証明)の発行者(配達業者)が正しく発行したものであるとの証言をその発行者(配達業者)自身に求めることも可能であるが、前記のとおり、乙第4号証(判取証明)自体により既に十分に証明されているものと確信しているため、その必要はないと考える。
さらに、請求人は、「なお、上記日付からすると、2003年12月中旬ころに荷物の発送と受取がなされたにもかかわらず、その判取証明が半年以上を経過した2004年8月23日に送付されていることになるところ、荷物の受取から判取証明の送付までに、このように長期間を要することは、不自然である。」と述べている。
しかしながら、「2003年12月15日」の商品の発送に対して、「2004年8月23日」に判取証明のファクシミリによる報告を受けた点に関しては、コナミ株式会社が配達業者に対して判取証明の発行依頼を行った時期が関係しているだけであって、判取証明としての成立性に何ら不自然なことはない。
(エ)請求人は、「乙第5号証の2の上記記載からすると、乙第4号証の『MONSTER GATE OL/KIT(8P)』の記載中、『OL/KIT(8P)』とは、定格消費電力が2230Wの『オンラインキットの8P仕様』を意味すると理解される。(具体的には、ゲーム機本体を意味するものと考えられる。・・・)。」と主張するが、これは請求人において誤った推測をしているにすぎない。
乙第4号証の送付物欄の「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」の記載は、「MONSTER GATE」のように本件商標を表し、その後に、ローマ字の2字「OL」、及びスラッシュ(/)を介して「KIT(8P)」の文字を表している。このローマ字の2字「OL」については、乙第5号証の2の商品のように「MONSTER GATE」がオンライン版であるという、いわゆるバージョン表示を意図しているものの、このローマ字の2字「OL」自体が特段自他商品識別標識として機能しているものではない。オンライン版の「MONSTER GATE」のキットを送付するものであることを明らかにするために、スラッシュ(/)を介在させて「KIT(8P)」の文字を表示しているのである。
しかして、乙第4号証の送付物欄では、前記オンライン版の「MONSTER GATE」のキットとしての送付物を列挙しているのであって、それが「PCB UNIT VHUB」、「CORD,USB」、及び「CABLE,USB」である。
したがって、請求人は、「『MONSTER GATE OL/KIT(8P)』の記載中、『OL/KIT(8P)』とは、定格消費電力が2230Wの『オンラインキットの8P仕様』を意味すると理解される。(具体的には、ゲーム機本体を意味するものと考えられる。・・・)。」と強弁しているが、そのようなゲーム機本体を意味するものではなく、乙第4号証中の「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」の部分は、まさしく「MONSTER GATE」という本件商標が「CABLE,USB」に対して商標的に使用されている部分なのである。
請求人は、この点に関し、誤った推測を前提として種々述べているが、上述のとおり、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」の部分が機器を指すものであるとしている点で失当である。
(オ)請求人は、被請求人主張の矛盾理由として、「被請求人において、乙第2号証の1及び2のケーブルの品目番号が『1142440000』と特定されている以上、ケーブルの特定のためには、その品目番号を用いればよいのであり、それに加えて、『MONSTER GATE』の表示によって、その下方に表示されている『CABLE,USB』に対応する『ケーブル』が特定される必要性は、どこにも存在しない。このことからしても、『MONSTER GATE OL/KIT(8P)』中の『MONSTER GATE』の記載が『CABLE,USB』に全く関係のない記載であることは明らかである。」と述べている。
しかしながら、第1に、品目コードを設けているのは、被請求人会社の社内管理の必要のためであって(乙第6号証)、個別に品目コードを付することによる取扱商品の特定など、いかなる方法で社内管理を行うかは被請求人会社内の問題である。
したがって、顧客との取引に際して、品目コード「1142440000」とは別に、本件商標「MONSTER GATE」によって商品が特定されていても、何らの矛盾も存在しない。
第2に、顧客との取引の現場では、仮に品目コード「1142440000」を対外的に顧客に対して表示したとしても、単なる数字の羅列にすぎないため、自他商品識別力を発揮できるものでないことは明らかであり、これとは異なる自他商品識別標識としての商標が必要であって、これこそが本件商標「MONSTER GATE」なのである。
したがって、被請求人会社が、「CABLE,USB」について、品目コード「1142440000」を付して取扱商品の社内管理を行っていることと、実際の取引の現場において、本件商標「MONSTER GATE」を使用していることとの間には、何らの矛盾は存在せず、請求人の主張は失当である。
(カ)被請求人は、請求人提出の甲第1号証ないし甲第3号証に係る商品を取り扱っていること自体を特段争うものではない。
しかしながら、請求人は、「そして、上記のように被請求人の販売するアーケードゲーム機において、USBケーブルを接続することが常態であるという状況下においては、被請求人が、これら各種のアーケードゲームにおいて用いるUSBケーブルは、ゲームの名称に関わらない汎用のものであって、各種のアーケードゲームに共通のものが用いられるものと考えられる。」とし、さらに、「現に、乙第2号証の1及び2、並びに乙第3号証の1ないし3からすれば、『モンスターゲート』のゲーム機に接続されているケーブルは、さしたる特徴もないUSBケーブルであって、他のゲーム機にも汎用可能なものであることが明らかである。」と主張している。
請求人が何故にこのような主張をしているのか、理解しかねるものであるが、そもそもケーブル(乙第2号証の1及び2)が汎用品であるか否かを問わず、被請求人とその顧客との間で、「MONSTER GATE」と称して取引がなされている以上、これはケーブル(乙第2号証の1及び2)に対する本件商標「MONSTER GATE」の使用に該当するものである。
また、請求人は、「被請求人がゲームごとにケーブルの商標名を変えているとは、およそ、考えられない」とも述べているが、本件商標「MONSTER GATE」がケーブル(乙第2号証の1及び2)に対して使用されていることは、乙各号証によって立証されているものであって、ゲームごとにケーブルの商標名を変えているかどうかは、本件審判においては、全く関係のないことである。
(4)むすび
以上のとおり、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていた事実が乙各号証から明らかであるから、請求人の本件商標に対する登録取消の請求は成り立たない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に該当しないことは明白である。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲に示すとおり、「MONSTERGATE」の欧文字(冒頭の「M」と後半の「G」及び末尾の「E」は、他の文字より若干大きく表されている。)をやゝデザイン化して大きく表示するとともに、その中央部分の下部に、両脇に剣様の図柄を配した盾様の5角形状の図柄を表示し、「GATE」の文字部分の下部であって、剣様図柄の右側部分に「モンスターゲート」の片仮名文字を小さく配した構成よりなるものであるところ、被請求人は、取消請求に係る商品中に属する「ケーブル」について本件商標を使用している旨主張し、その事実を証明するものとして、乙第2号証の1ないし乙第6号証を提出している。
そこで、乙各号証をみるに、乙第2号証の1及び2は、ケーブルの写真であり、乙第3号証の1ないし4は、該ケーブルがゲーム機に取り付けられている状態を示す写真である。
乙第4号証は、コナミマーケティング株式会社がケーブル等を2003年12月15日に送付先(「ACT長浜」)に配達した証明として、コナミ宛てに報告された判取証明のFAX送付票(FAX送信日として2004/08/23の日付がある。)の写しであり、伝票中の送付物欄には、鮮明ではないが下記の記載が認められる。
「MONSTER GATE OL/KIT(8P)
PCB UNIT VHUB
CORD,USB
CABLE,USB
出08OS00354」
乙第5号証の1は、「コナミ年鑑2002-2003」の写しであり、乙第5号証の2は、「MONSTER GATE/ONLINE II」のリーフレットの写しであり、乙第5号証の3は、「KONAMI/AMUSEMENT/MACHINE/CATALOGUE/2001」の写しであり、いずれにも、モンスターゲートのゲーム機についての説明が記載されている。
乙第6号証は、コナミマニュファクチャリング&サービス株式会社の担当者の陳述書であり、乙第4号証の判取証明の送付物欄に記載されている「CABLE,USB」の表示は、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの取扱商品の品目名であり、品目コード「1142440000」を付して社内管理を行っており、この品目コードは、乙第2号証及び乙第3号証の「ケーブル」を示すものとして取り扱われている旨記載されている。
(2)上記において認定した乙第5号証の1ないし3によれば、図形を含む「MONSTER GATE」あるいは「モンスターゲート」の商標がゲーム機の商標として表示されており、乙第3号証の1ないし4によれば、取消請求に係る商品中に属する「ケーブル」がゲーム機の背面側下部に設けられた接続部に接続され使用されている状態にあることを認めることができる。
そして、乙第4号証によれば、被請求人の通常使用権者と推認し得るコナミマーケティング株式会社は、2003年12月15日に、ACT長浜宛てに、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」、「PCB UNIT VHUB」、「CORD,USB」及び「CABLE,USB」を発送したものと認めることができる。
しかしながら、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、取消請求に係る商品中に属する「ケーブル」について、本件商標が使用されていたものとは認められない。
すなわち、第2号証の1によれば、ケーブルの側部に印字がなされていることが窺われ、被請求人は、乙第2号証の2としてUSB端子部分の拡大写真を提出してはいても(この部分に本件商標は表示されておらず)、ケーブル側部の拡大写真を提出していないため、該部分に如何なる文字が印字されているのか確認することができない。
乙第3号証の2ないし4は、ケーブルが「MONSTER GATE」の商標の表示されているアーケードゲーム機本体に接続された状態を示す写真であり、これらによれば、乙第2号証のケーブルがゲーム機用のケーブルであることは認められるとしても、ゲーム機本体に「MONSTER GATE」の商標が表示されているからといって、そのことの故に、ゲーム機に接続されているケーブルについてまで、本件商標が使用されているものと認めることはできない。
次に、乙第4号証の伝票中の送付物欄の記載と併せて乙第5号証の2を見ると、乙第5号証の2には、次のような記載がある。「モンスターゲート オンライン II?時空のフォークロア・・・」、「オンラインユニット・・・」、「ステーションユニット・・・」、「専用カード券売機・・・」、「POPユニット・・・」、「消費電力/8P仕様・・・定格消費電力-2230W/4P仕様・・・定格消費電力-1340W」。
乙第5号証の2の上記記載からすると、乙第4号証の送付物欄の「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」の記載中、「OL/KIT(8P)」とは、定格消費電力が2230Wの「オンラインキットの8P仕様(8人プレイ仕様)」を意味すると解される。
また、「PCB UNIT VHUB」の文字における「PCB」は、「printed circuit board」の略であって、システム基盤を意味し、「VHUB」の文字は、ハブ(LANで使われる集線装置)の一種と解されるから、全体として、「PCB UNIT VHUB」とは、「Vハブを備えたシステム基盤ユニット」を意味するものと解される。
そして、「CORD,USB」、「CABLE,USB」は、それぞれ、「USBコード」と「USBケーブル」を意味するものと解される。
以上を総合してみれば、乙第4号証の伝票中の送付物欄の記載は、「モンスターゲートのオンラインキットの8P仕様」、「Vハブを備えたシステム基盤ユニット」、「USBコード」、「USBケーブル」という4つの機器が併記されているとみるのが相当である。
そうとすれば、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」と「CABLE,USB」が別個の機器を指すものである以上、「MONSTER GATE OL/KIT(8P)」中の「MONSTER GATE」の記載は、「OL/KIT」のみにかかるものというべきであり、「CABLE,USB」にまでかかる記載とみるのは困難である。
してみれば、乙第4号証によっても、「MONSTER GATE」の商標が「ケーブル」に使用されていたものとは認められない。
さらに、乙第5号証の1ないし3のリーフレット等については、図形を含む「MONSTER GATE」あるいは「モンスターゲート」の商標のもとに掲載されているのはゲーム機のみであり、「ケーブル」は掲載されていない。
また、乙第6号証の陳述書によれば、乙第4号証の判取証明の送付物欄に記載されている「CABLE,USB」の表示が被請求人の取扱商品の品目名であって、品目コード「1142440000」が付されて社内管理され、その品目コードが乙第2号証及び乙第3号証の「ケーブル」を示すものであるとしても、そのことにより、該ケーブルに本件商標が使用されていた事実が明らかになるものでもない。
(3)以上のとおり、被請求人の答弁(再答弁を含む。)の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判請求の登録(平成18年8月21日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を取消請求に係る「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」のいずれかに使用した事実を証明したものということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の第9類「電線及びケーブル並びにそれに類似する商品」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

注:色彩については、原本を参照されたい。

本件商標の指定商品及び指定役務
第9類「電気通信機械器具,ダウンロード可能な携帯電話機用のゲームプログラム,パーソナルコンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・CD-ROM・デジタルバーサタイルディスク-ROM・デジタルバーサタイルディスク-RAM,ダウンロード可能なパーソナルコンピュータ用のゲームプログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機用のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・CD-ROM・デジタルバーサタイルディスク-ROM・デジタルバーサタイルディスク-RAM,ダウンロード可能な業務用テレビゲーム機用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・CD-ROM・デジタルバーサタイルディスク-ROM・デジタルバーサタイルディスク-RAM,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用のゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ(送受信機能付き携帯用液晶画面ゲームおもちゃを含む。)用のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ(送受信機能付き携帯用液晶画面ゲームおもちゃを含む。)用のゲームプログラム,スロットマシン,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ダウンロード可能な音楽,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ダウンロード可能な映像,電子出版物,電子出版物の映像を記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・CD-ROM,オゾン発生器,電解槽,ロケット,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,検卵器,電動式扉自動開閉装置,耳栓」
第41類「電子計算機端末又は移動体電話による通信を用いて行うゲームの提供,テレビゲーム機(家庭用及び業務用を含む。)による通信を用いたゲームの提供,電子計算機端末又は移動体電話による通信を用いて行うゲームに関する情報の提供,オンラインによる音楽の提供,オンラインによる画像の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,ゲーム機械器具を備えた遊戯場の提供,スロットマシン場の提供,ビリヤード場の提供,カラオケ・ビデオカラオケ施設の提供,その他の娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその付属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,図書の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,家庭用テレビゲーム機の貸与,業務用ビデオゲーム機の貸与,その他の遊戯場機械器具の貸与,遊園地用機械器具の貸与,書画の貸与,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,キャラクターショーの企画・運営又は開催,声優イベントの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,献体に関する情報の提供,献体の手配,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」


審理終結日 2007-08-20 
結審通知日 2007-08-23 
審決日 2007-09-04 
出願番号 商願2002-16879(T2002-16879) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三澤 惠美子澁谷 良雄 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 寺光 幸子
鈴木 新五
登録日 2003-06-20 
登録番号 商標登録第4682598号(T4682598) 
商標の称呼 モンスターゲート 
代理人 森本 晋 
代理人 羽切 正治 
代理人 生田 哲郎 

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