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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y09
管理番号 1166126 
審判番号 不服2006-9450 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-11 
確定日 2007-10-11 
事件の表示 商願2005-52243拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「GPS EXPRESS」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年6月10日に登録出願されたものである。そして、その指定商品については、原審における同18年1月25日付け手続補正書及び当審における同年8月14日付け手続補正書により、最終的に「ナビゲーション装置,GPSを利用したナビゲーション装置,自動車用ナビゲーション装置,鉄道車両用ナビゲーション装置,その他の陸上の乗物用ナビゲーション装置,携帯電話あるいは簡易型携帯電話機によるパケット通信のための通信カード用スロットを備えたナビゲーション装置 」に補正されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2203096号商標は、「Express」の欧文字を書してなり、昭和61年5月29日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後同12年3月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第2266334号商標は、「EXPRESS」の欧文字を書してなり、昭和62年10月21日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年9月21日に設定登録され、その後同12年11月14日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
以下、まとめて「引用商標」という。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので、商標法第56条で準用する特許法第150条第5項の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した、証拠調べ通知の要旨は、以下のとおりである。

1.「GPS」の語の有する意味について、辞書等によれば、以下の事実がある。
(1)「GPS」の項に、「全地球測位システム。人工衛星の発する電波によって、地球上の現在位置を正確に測定するシステム。カー‐ナビゲーション‐システムに使用する。」の記載がある(株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版)。
(2)「GPS」の項に、「アメリカ国防総省が開発した人工衛星を利用した全地球規模の測位システムで、全地球上において高度、位置を高精度に測定できる。(中略)もともとは軍用のシステムだったが、精度を落とした信号は一般ユーザーでも利用できるようになったことから、カーナビ等に幅広く利用されている。」の記載がある(自由国民社発行 現在用語の基礎知識2006)。
2.新聞記事情報において、「GPS」の文字が、「ナビゲーション装置、自動車用ナビゲーション装置」等に使用されている事実。
(1)「視覚障害者に安心な移動用端末を実験 NEDOが愛知万博会場で実施」の記事中に「この端末は、全地球測位システム(GPS)付き携帯電話とセットで使う。GPSや赤外線、FM電波などを使って自分の位置を把握し、自動車のナビゲーション装置のように音声や画面で道案内をしてくれる。」の記載がある(読売新聞 2005年3月17日 中部朝刊9頁)。
(2)「クジラの旅を追跡(ののちゃんの自由研究 朝日NIEスクール)」の記事中に、「プローブは、クジラが潜った深さ、水温、泳ぐときの速さなどを記録します。こうしたデータは、クジラが息をするために海面近くに浮かび上がったときに、まとめて電波で観太くんに送ります。同時に、車のナビゲーション装置にも使われる全地球測位システム(GPS)で、クジラがどこにいるかをつかみます。こうした情報は、千葉工業大学のアンテナに届き、コンピューターの中にたまります。」の記載がある(朝日新聞 2002年5月3日 東京朝刊32頁 東特集F)。
(3)「カーナビ誤作動問題 問い合わせ1万2000件」の記事中に、「人工衛星などからの信号で位置を割り出す全地球測位システム(GPS)を使ったカーナビゲーション装置などの一部が誤作動を起こした問題で、メーカー4社に対するユーザーからの問い合わせは、今月22日から27日までの6日間で約1万2000件に達したことが、30日、通産省のまとめでわかった。」の記載がある(読売新聞 1999年8月31日 東京朝刊38頁)。
3.インターネット情報において、「GPS」の文字が、「ナビゲーション装置、自動車用ナビゲーション装置」等に使用されている事実。
(1)ポータルサイト「goo」の「WindowsCE FAN」のホームページにおいて、2005年9月7日(水)版「ついにボーダフォンにもGPSナビゲーション対応端末が登場」の見出しの下、トピックスの内容として「ボーダフォンは、GPSナビゲーションに対応した3G(第三世代)携帯電話の新端末「V903T」(東芝製)を、10月上旬より発売すると発表した。」「同端末のGPSナビゲーション機能は海外ローミング先でも利用が可能で、これは世界初となる。」の記載がある。(http://www.wince.ne.jp/snap/cnBoard.asp?PID=1629)
(2)NTT DoCoMoのホームページにおいて、「GPS・位置情報サービス」の見出しの下、「ドコモでは、さまざまなGPS・位置情報サービスをご用意しています。」の記事及び「GPS機能とは GPS機能とは、人工衛星を利用して位置を割り出すシステム:Global Positioning System (全地球測位システム) の略称です。」の記載がある。また、「GPSナビゲーション(GPSナビiアプリ)」の見出しの下、「目的地を指定するだけでルートを検索し、GPS機能と連動して行き方をリアルタイムに案内できるサービスです。『GPSナビゲーション』に対応したiアプリにより提供されます。」の記載がある。(http://www.nttdocomo.co.jp/service/gps/)(http://www.nttdocomo.co.jp/service/gps/navi/)
(3)(株)毎日コミュニケーションズのマイコミジャーナルのホームページにおいて、「Nokia、カーナビ装置『Nokia 330』を欧州市場に投入 2006/10/31」の見出しの下、「フィンランドのNokiaは10月30日(現地時間)、パーソナル・カーナビゲーション装置「Nokia 330 Auto Navigation」を発表した。GPSとタッチスクリーン式の3.5インチ液晶パネル、音声ガイド機能を備え、欧州全体の地図がプリインストールされた形で販売される。(中略)同社はPDA型デバイス「Nokia 770」向けにGPSと地図ソフトをセットにしたカーナビ化キットを販売しているが、Nokia 330はよりカーナビ機能に特化した製品となっている。」の記載がある。(http://journal.mycom.co.jp/news/2006/10/31/102.html)
(4)(株)ナップスの「RidingArt NAPS」のホームページにおいて、「バイク用ナビ!?GPSナビゲーション」の見出しの下、「GPSアンテナをスッキリ収納し、シンプルデザイン簡単操作の全く新しいポケットサイズのモバイルナビ。まるでカーナビのような性能でありながら、GPSナビとしては驚きのコストパフォーマンス。」の記載がある。(http://www.naps-jp.com/html/mio/)
以上のような事実を総合的に勘案すると、本願商標を構成する「GPS EXPRESS」の文字中「GPS」の文字部分は、「ナビゲーション装置」の品質(機能)を表示するものとして一般的に使用されているものであり、本願指定商品との関係においては、商品の品質を表示したものと認識されるものである。

第4 請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「GPS EXPRESS」の欧文字よりなるところ、その構成中の「GPS」の語は「全地球測位システム。人工衛星の発する電波によって、地球上の現在位置を正確に測定するシステム。」を意味する語として一般に親しまれているものであって、補正後の本願指定商品との関係では、該文字部分は、単に商品の品質を表示したものと理解されるとみるのが相当であり、自他商品識別力としての機能は果たし得ないか、極めて弱いものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成中の後半部の「EXPRESS」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を果たし得る部分というべきであり、これに接する取引者、需要者は、該文字部分より生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「ジイピイエスエクスプレス」の称呼を生ずるほか、単に「エクスプレス」の称呼をも生ずるものであり、該文字部分からは「急行、急行列車、速達便」等の観念を生ずるというのが相当である。
なお、請求人は、本願構成中の「GPS」と「EXPRESS」の文字は同書・同大・同色で表示され、一体性が強く「ジイピイエスエクスプレス」の称呼のみが生ずる旨主張するが、構成中の「GPS」と「EXPRESS」の間には1文字程度の間隔を有するため、外観上分離して認識される場合もあり、さらに「GPS」の文字は、補正後の本願指定商品との関係では、前記証拠調べに記載されているとおり、商品の品質(機能)を表わすものとして知られているものである。
そして、本願商標は全体として良く知られた成語ではないものであって、他に本願商標を必ずしも一体のものとして把握しなければならないとする特別の事情も見いだせないものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
他方、引用商標は、前記第2のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に照応してそれぞれ「エクスプレス」の称呼を生ずるものであり、「急行、急行列車、速達便」等の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「EXPRESS」の文字部分においてその外観が類似し、さらに、「エクスプレス」の称呼及び「急行、急行列車、速達」等の観念を共通にする類似の商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似するものである。
なお、請求人は、本願から一連の称呼のみ生ずるとして、本願商標と引用商標とは非類似とされるべきであるとして登録例を挙げて述べているが、商標の類否については個別具体的に検討され判断されるべきものであるところ、登録例として挙げられている商標はいずれもその構成態様、指定商品との関係等について、本件とは事案を異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-08-09 
結審通知日 2007-08-14 
審決日 2007-08-29 
出願番号 商願2005-52243(T2005-52243) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 海老名 友子
小畑 恵一
商標の称呼 ジイピイエスエクスプレス、ジイピイエスイクスプレス、ジイピイエスエキスプレス、エクスプレス、イクスプレス、エキスプレス 
代理人 橋本 剛 
代理人 鵜澤 英久 

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