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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y43
管理番号 1164276 
異議申立番号 異議2004-90270 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-05-10 
確定日 2007-08-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第4746664号の1の1商標、同第4746664号の1の2商標及び同第4746664号の2商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4746664号の1の1商標「飲食物の提供但し、ラーメンの提供を除く但し、カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供を除く」及び同第4746664号の2商標「ラーメンの提供」の登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の登録第4746664号の1の2商標「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」についての登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4746664号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年4月1日に登録出願され、「SUMIRE」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成16年2月6日に設定登録されたものである。その後、分割移転の結果、登録第4746664号の1の1商標は、「飲食物の提供但し、ラーメンの提供を除く但し、カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供を除く」、同第4746664号の1の2商標は、「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」、同第4746664号の2商標は、「ラーメンの提供」を指定役務として登録されているものである。

2 登録異議申立の理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、札幌市豊平区中の島にて、ラーメン店「すみれ」を経営しており、「すみれ」の標章を用いてラーメンを提供している。当該ラーメン店は、行列ができる美味しい店として、北海道のみならず全国的に有名となっている。
そして、申立人が「ラーメンの提供」の役務に使用している「すみれ」の標章は、わが国の需要者間に広く知られるに至っており、そこからは、「スミレ」の称呼が生じ、「すみれの花」の観念が生ずる。
一方、本件商標は、「SUMIRE」と横書して構成されるから、「スミレ」の称呼が生じ、「すみれの花」の観念が生ずる。
そうすると、本件商標と申立人使用の標章は、称呼及び観念を共通にするものである。
また、本件商標の指定役務と引用標章の指定役務は、共通にするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審における取消理由の要旨
当審における平成17年1月21日付け取消理由の要旨は、下記のとおりである。

(1)本件商標は、前記1のとおりである。
(2)申立人の提出に係る各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、北海道豊平区中の島において、昭和39年にラーメン店「すみれ」を創業して以来、「すみれ」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)を役務「ラーメンの提供」について使用している(甲第2号証)。
(イ)同店のラーメンは、濃厚なスープとコシのある麺を特徴とし、その評判が広まり、各種雑誌等で人気のあるラーメン店として紹介されると共に、テレビ番組においても取り上げられるようになった(甲第8ないし第26号証)。これら各種雑誌等はいずれも本件商標の登録出願日前に発行されたものである。
(ウ)1994年3月6日に、全国各地のラーメンを飛行機に乗らずに食べに行けることをコンセプトとして全国各地の選りすぐりのラーメン店を集めた「新横浜ラーメン博物館」が開業したところ、その開業当初から申立人のラーメン店「すみれ」は、該施設に入店し営業を継続しており、人気を博している(甲第3及び第4号証)。
(エ)2000年4月には、日清食品株式会社及び株式会社セブンーイレブン・ジャパンとタイアップして申立人のラーメン店「すみれ」の味を再現したカップ麺を発売し(甲第5号証)、さらに2004年には、株式会社おやつカンパニーと提携し、同店の味を菓子で再現すべくラーメン状の菓子を発売した(甲6号証)。同店では、同店で提供するラーメンの味をそのまま家庭で賞味できるとしてパックした商品も販売している(甲第7号証)。
(オ)同店は、消費者の人気ラーメン店ランキングにおいても常に上位に位置している(甲第28号証)。
(カ)同店の看板、のれん、どんぶりには引用標章と同一の「すみれ」の文字が表示されている(甲3号証の1、甲第13第15、第18ないし第20、第22、第24号証)ほか、インターネット、雑誌等の紹介記事においても「すみれ」の文字又は「すみれ」及び「純蓮」の文字を併記した表題の下に同店のラーメンが紹介されている(甲第3、第4、第8ないし第21号証)。
(3)以上の認定事実によれば、引用標章は、遅くとも本件商標の登録出願時には既に申立人がラーメンの提供について使用する商標として、取引者、需要者間に広く認識されていたものというべきである。
そして、本件商標は、その構成文字に相応して「スミレ」の称呼を生ずるものであるから、「スミレ」の称呼を生ずること明らかな引用標章とは、称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定役務には、引用標章の使用に係る役務たる「ラーメンの提供」が包含されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 商標権者の意見の要旨
本件商標の商標権者は、平成17年3月11日付分割登録申請書の提出により本件商標権を分割し、a)「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」b)「ラーメンの提供」c)「上記を除く飲食物の提供」の3商標権とした。
そして商標権者は、上記a)の「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」について争い、残余部分については取消理由を争わないこととした。
さらに、取消理由通知に対し、引用標章「すみれ」及びその称呼「スミレ」は、「飲食物の提供」一般について旧来より多用され、慣用商標又は識別力を喪失ないし識別力希釈化された標章であり、商標法第3条第2項の趣旨により特定の使用態様で識別力を獲得した標章であり、その使用態様は「すみれ」の文字単独ではなく、「札幌」ないし「純連」の文字と併用されて識別力を獲得したものであり、上記より商標法第4条第1項第10号の規定において引用される商標は、「すみれ」単独ではなく「札幌」又は「純連」のいずれかの語との結合商標というべきである。
商標法第3条第2項の趣旨により識別力を獲得した標章は、称呼の同一性のみをもって商標の類似を論ずるべきではなく、しかも、少なくとも「札幌」又は「純連」のいずれかの語と相まって全体観察により類否を論ずるべきであるから、この点からも称呼上類似ということはできず、さらに、本件商標はアルファベットの文字よりなる「SUMIRE」と表記され、外観上全く別異のものである。
本件商標及び引用標章は、「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」と「ラーメンの提供」とは、それぞれの分野において、商標法第3条第2項の趣旨に則り個別に識別力を獲得したものであるから、互いに混同を生じることはない。
上記の主張に基づけば、少なくとも「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」について、本件商標は引用標章と非類似であるから、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものでなく、その登録は維持されるべきである。

5 当審の判断
平成17年1月21日付けで通知した前記3の取消理由に対する商標権者の意見は、前記4のとおり、「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」以外の残余の部分については取消理由を争わない旨述べている。
そうすると、「ラーメンの提供」に使用して広く知られている引用標章「すみれ」の文字と類似する本件商標の登録中、「飲食物の提供但し、ラーメンの提供を除く但し、カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供を除く」(登録第4746664号の1の1)、「ラーメンの提供」(同第4746664号の2)については、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
しかしながら、「ラーメンの提供」や「中華料理の提供」を含まない「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」は、共に飲食物の提供であったとしても、一般にカフェ・レストランにおける飲食物の提供とラーメンの提供とはその内容を異にするものであり、欧文字よりなる本件商標より、ラーメンの提供で広く知られている「すみれ」を連想又は想起するとはいい難く、通常の注意力をもってしても互いに相紛れるものとはいえない。
したがって、本件商標の登録中、その余の「カフェ・レストランにおける飲食物(ラーメンを除く。)の提供」(登録第4746664号の1の2)については、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-07-10 
出願番号 商願2003-25804(T2003-25804) 
審決分類 T 1 651・ 25- ZC (Y43)
最終処分 一部取消  
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 小田 明
寺光 幸子
登録日 2004-02-06 
登録番号 商標登録第4746664号の1の1(T4746664-1-1) 
権利者 株式会社バルニバービ
商標の称呼 スミレ、スマイアー 
代理人 西津 千晶 
代理人 北村 光司 
代理人 樋口 豊治 

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