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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y14
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y14
管理番号 1164199 
審判番号 不服2006-9302 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-09 
確定日 2007-09-03 
事件の表示 商願2005-42971拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「身飾品並びにその部品及び付属品」を指定商品として平成17年5月17日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『耳たぶの裏側に飾りを付けるピアス』の意を認識する『Back Pirce』の文字と該文字の下部にその読みを片仮名で『バックピアス』と書してなるものですから、これを本願指定商品中『耳たぶの裏側に飾りを付けるピアス』に使用しても、単に商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので、商標法第56条で準用する特許法第150条第5項の規定により請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。


1.本願商標は、筆記体風に書してなる「Back pierce」の文字(構成中の「B」、「k」及び「p」の文字の端部にちいさな黒円を付してなる)と「バックピアス」の片仮名文字(pierceの下に小さく書してなる)よりなるものであって、この程度の書体、文字の装飾の方法は、普通に用いられる態様の範疇で表示されているといい得るものであるところ、本願商標を構成する「Back pierce」及び「バックピアス」の文字に関して行った証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)「バックピアス」、「バック」、「ピアス」及び「back」の語の有する意味について、辞書等によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「バックピアス」の項に、「(back pierce)耳たぶの後ろから装着するピアス。」の記載。(自由国民社発行 現代用語の基礎知識 2006、1431頁)
(イ)「バック」の項に、「裏、後ろ、背景。」等の記載。(株式会社三省堂発行コンサイスカタカナ語辞典 第3版799頁)
(ウ)「ピアス」の項に、「身体の一部に穴をあけ、金属製の装身具をつけること。また、その装身具のこと。狭義には、耳たぶにつける装身具をさす。」等の記載。(株式会社三省堂発行コンサイスカタカナ語辞典 第3版851頁)
(エ)「back」の項に、「背、背面、後ろ。」等の記載。(株式会社研究社発行 新英和中辞典 115頁)
(2)インターネット情報において、「Back Pierce」及び「バックピアス」の文字が、商品「ピアス(耳たぶの裏側に飾りを付ける、または裏側の留め具部分に飾りが付いているピアス)」について使用されている事実。
(ア)「バリ島雑貨dariBALI k2-u.com(バリ島雑貨K2-U)」のホームページにおいて、新入荷・再入荷商品として、「バックピアス(パール)」11/09、「バックピアス(アメジスト)11/09の紹介があり、「Back Pierce耳元で揺れるパール」、「バックピアスは、キャッチの部分に飾りがついています。」の記載がある。(http://k2-u.com/accessory/backpierce1.htm)
(イ)「楽天ICHIBA」の「She See Sea KAMAKURA(株式会社ステラマリン)」のホームページにおいて、「Tourmaline」の項目に、「ピンクトルマリンスクエアバックピアス(キャッチ)」、「ピンクトルマリンバックピアス(キャッチ)」、「グリーントルマリンスクエアバックピアス(キャッチ)」等の商品写真が掲載されている。(http://item.rakuten.co.jp/sheseessea/c/0000000102/)
(ウ)「真珠の卸屋さん本店(株式会社WSP)」のホームページにおいて、タヒチ黒蝶真珠ピアス・イヤリングの項目に「バックピアス」「バックピアス(ロング)」等の商品写真が掲載されている。また、商品中の「タヒチ黒蝶真珠バックピアス9.0mm/9.2mm」商品説明に「バックピアスとは、キャッチ部分にチェーンとパールがついているもの・・・。」等の記載がある。(http://www.wsp.ne.jp/category/ear_tahichi.html、 http://www.wsp.ne.jp/shop/B014/AvrprrpJ4/syoinfo/63)
(エ)「cafe fragrant olive(株式会社ドリームフィールズ)」のホームページにおいて、「ピンクグラデーション×ピンクゴールドピアス・フィオレヴェント」の商品写真および商品説明として、「やわらかなピンクグラデーションのジュエルをそえて 耳もとに花びらが舞う、華やかなバックピアスに仕上げました。」の記載がある。(http://store.yahoo.co.jp/kinmokusei/p2581.html)
(オ)「楽天ICHIBA」の「AquaJewelry.inc」のホームページに、「雪の結晶特集」として、「ファンタジック!華麗なバックピアス技『ダイヤモンド・スノーブリースピアス』登場」「大きな雪は、バックピアス。キャッチを止める前に、耳の後ろのポストの先にとおして留めるセパレートタイプ。」等の説明および商品写真が掲載されている。また、「これはスゴイ!どんなピアスも”雪ピアス”に『雪の結晶バックピアス』登場!」「お手持ちのスタッドピアスに合わせて使うキャッチ付属のバックピアスをご紹介します。」等の説明および商品写真が掲載されている。(http://www.rakuten.co.jp/aquajewelry/912208/912313/、http://www.rakuten.co.jp/aquajewelry/912208/920033/)
(カ)「jewela(株式会社クリムト)」のホームページに、「18Kホワイトゴールド ダイヤモンド バックピアス」の商品写真および商品説明として「お手持ちのピアスをぱっと華やかにするバックピアス。」等の記載がある。(http://www.klimt.co.jp/SHOP/kp00517.html)
(キ)「楽天ICHIBA」の「Angeloアンジェラ(株式会社マツイ)」のホームページに、「K18コプラチェーンバックピアス」の商品写真が掲載されている。(http://item.rakuten.co.jp/angelo/ap-690/)
(ク)「netprice(株式会社ネットプライスドットコム)」のホームページに、「揺れるクロスに視線集中!新作 クロスチャームバックピアス」として、商品写真および商品説明として「人気のバックピアスからロングデザインの新作が登場」、「『あら?このピアスまるで耳元に浮かんでるみたい?!』と、乙女心をくすぐるバックピアス、ネットプライスでも登場する度に反響大!!そんなバックピアスから、久々にロングデザインの登場ですよ」等の記載がある。(http://www.netprice.co.jp/netprice/fashion1/goods/182222/)
(ケ)「BlueMoon(有限会社ブルテルア)」のホームページに、「ブルートパーズ×ブルークォーツ×K14WGピアス?ツインクロス(ブルーグラデーション)?」の商品写真および商品説明として「スナップとバックピアスが合体したような、個性的なスナップピアス」の記載がある。(http://www.bluemoon-i.com/syousai/SP-0183.htm)
(コ)「楽天ICHIBA」の「Cafe Fragrant Olive」のホームページに、「ラベンダーキュービック×ホワイトゴールドピアス・トワイエ」の商品写真および商品説明として「バックピアスには4ミリの星と、小さくまる?いクリアキュービックの星ひとつ。(中略)シンプルな星のピアスだけを使ったり、バックピアスをはずしてお手持ちのピアスとあわせてもok!」等の記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/kinmokusei/442417/673888/769827/)

2.以上のような事実を総合的に勘案すると、本願商標を構成する「Back pierce」及び「バックピアス」の文字は、「耳たぶの裏側に飾りを付けるピアス」又は「耳たぶの後ろから装着するピアス」を表示するものとして一般的に使用されているものであり、本願商標の構成文字全体からは、上記意味合いを容易に認識、理解させるものと認められる。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中の上記品質の商品に使用するときには、単に商品の品質を表示したものと認識され、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品について使用するときには、品質を誤認させるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当するといわなければならない。

第4 請求人の意見の要旨
本願商標は、普通に用いられる態様の範疇で表示されているものとはいい難く、全体をもって、創造にかかる特徴的な図形商標と、「バックピアス」の文字との組合せからなる商標として把握されるものであり、特別顕著性、自他商品識別力を有するものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

第5 当審の判断
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、構成中に大きく書された欧文字部分は、やや図案化されているものの、その右下に書された「バックピアス」の文字と相俟って「Back pierce」の文字を書き表したものと容易に認識できるものである。
また、後半の「pierce」の文字の下部に小さく書された「バックピアス」の片仮名文字は、その欧文字の片仮名表記であると認識されるというのが相当であって、本願商標は「バックピアス」の称呼を生ずるものといえる。
そして、「Back pierce」及び「バックピアス」の語は、前記第3の証拠調べ通知によれば、「耳たぶの裏側に飾りを付けるピアス」又は「耳たぶの後ろから装着するピアス」(以下、「耳の裏側に付けるピアス」という。)を表示するものとして一般に知られ、使用されている語であると認められるものであって、これよりは「耳の裏側に付けるピアス」の観念を生ずるというのが相当である。
請求人は、本願商標構成中の「Back Pierce」の文字が、単なる太字の筆記体ではなく、帯体で流れるような字体でデザイン的に描かれたものであって、さらに、不規則に小さな丸円を散りばめたデザインや、「B」と「P」の縦線の下に丸円が描かれた部分が、デザイン文字の中に図形的な要素を組み込んで、本願商標の全体を構成していることから、本願商標は、普通に用いられる態様の範疇で表示されているものとはいい難いものであり、特別顕著性、自他商品識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、「Back Pierce」の文字をスクリプト書体風の文字で表し、構成中の「B」、「k」と「p」の文字の下端に小さな丸点を付してなるものであるところ、本願指定商品の分野においては、この程度の文字の装飾をもって、格別特異な字体であるとはいうことができないものであって、構成中の右下部に小さく書された「バックピアス」の文字とも相俟って、これに接する取引者・需要者は、無理なく「バックピアス」の称呼及び「耳の裏側に付けるピアス」の観念を認識するというのが相当であり、本願商標の装飾的要素を含めた外観が、本願商標より自然に生ずる称呼及び観念以上に強く印象に残るものとはいうことができない。
また、図案化された文字商標については、「商標は字体等外観により目に訴えて、商品を区別させる作用を営むだけでなく、一般口頭の注文の場合を考えて明らかなように、音によってその商品を指示し、他の商品と区別するに使われ、また観念によって記憶されるものであるから、ひとり字体等の外観ばかりではなく、称呼、観念において、指定商品をそのままに表しているような商標は、やはりこれに特別顕著性ありとして、これを登録して排他的使用権を与えるに適さないものと解さなければならない。」(東京高裁昭和29年(行ナ)第35号判決参照)と、判示されているところである。
これを本願商標についてみると、本願商標から「バックピアス」の称呼を生ずること及び「耳の裏側に付けるピアス」の観念を生ずることは上記のとおり明らかであり、これを本願指定商品中の当該品質の商品について使用したときには、商品をそのまま表していると認識されるというのが相当であるから、本願商標を特別顕著性、すなわち自他商品の識別標識としての機能を有するとすることはできない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
してみれば、「Back pierce」及び「バックピアス」の文字よりなる本願商標は、これに接する取引者・需要者をして、全体として「耳の裏側に付けるピアス」の意味合いを有するものであると容易に認識、理解されるというのが相当であり、これを本願指定商品中の上記品質の商品に使用するときは、単に商品の品質(形状、種類)を表示したものと認められ、自他商品を識別するための標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。
そして、前記商品(「耳の裏側に付けるピアス」)以外の「身飾品並びにその部品及び付属品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


審理終結日 2007-07-12 
結審通知日 2007-07-13 
審決日 2007-07-24 
出願番号 商願2005-42971(T2005-42971) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y14)
T 1 8・ 13- Z (Y14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 海老名 友子
橋本 浩子
商標の称呼 バックピアス、バック 
代理人 菅原 正倫 

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