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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消200631260 審決 商標
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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z41
管理番号 1164064 
審判番号 取消2006-31602 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-12-27 
確定日 2007-08-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4215790号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4215790号商標(以下「本件商標」という。)は、「日本フードコーディネーター協会」の文字を標準文字で表してなり、平成9年4月17日に登録出願、第41類「食環境及び食文化の研究及び情報交換のための研究会・講演会・講習会・見学会の企画・運営又は開催」を指定役務として、同10年11月27日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 取消の理由
請求人の知る限りにおいて、被請求人が本件商標又は本件商標と社会通念上同一とみなされる商標を、本件審判の請求の登録前少なくとも3年以内に日本国内において、本件商標の指定役務について使用した事実は存在しない。
また、甲第1号証の商標登録原簿写しからも明らかなとおり、本件商標については、使用権の設定はされておらず、別途、本件商標について使用権者が存在する事実も発見できない。
以上によれば、本件商標が、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定役務について使用されていないことは明かである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書において、「本件商標の不使用審判請求登録前3年以上日本の国内において事実上の専用使用権者である権利能力なき社団日本フードコーディネーター協会(以下「日本フードコーディネーター協会」という。)に対し、使用許諾し、使用している。」と主張している。
しかしながら、提出された乙各号証のいずれにも、「日本フードコーディネーター協会」が、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であることは全く示されておらず、乙第1号証ないし乙第13号証は、本件商標が、本件取消審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、使用されていることを証明するものではない。
(2)「日本フードコーディネーター協会」は、甲第3号証として提出する「日本フードコーディネーター協会 設立12年の事業内容」、2枚目、2ないし4行に記載されているとおり、本件商標の登録出願日である平成9年4月17日よりも3年以上も前の平成6年2月22日に設立された団体であり、本件商標の登録出願前から、自己の名称である「日本フードコーディネーター協会」という標章を、本件商標の指定役務である「食環境及び食文化の研究及び情報交換のための研究会・講演会・講習会・見学会の企画・運営又は開催」に使用している。
すなわち、甲第4号証として提出する「JFCAジャーナルVol.2」、平成7年1月24日発行には、「日本フードコーディネーター協会」によって、その設立記念シンポジウムが平成6年10月13日に開催され、食環境及び食文化についての講演が行われたことが示されている。
また、甲第5号証として提出する「JFCAジャーナルVol.3」、平成7年6月5日発行には、日本フードコーディネーター協会によって、平成7年1月に、「第一回研修会『食とアメニティ』」が開催されたことが示されている。
さらに、甲第6号証として提出する「JFCAジャーナルVol.5」、平成7年11月24日発行には、「日本フードコーディネーター協会」によって、平成7年9月に、「第二回研修会『講演とキッチンスタジオ見学会』」が行われたことが示されている
このように、日本フードコーディネーター協会は、本件商標の登録出願前から、自己の名称である「日本フードコーディネーター協会」という標章を、本件商標の指定役務である「食環境及び食文化の研究及び情報交換のための研究会・講演会・講習会・見学会の企画・運営又は開催」に公然と使用しているのであり、そのような「日本フードコーディネーター協会」にとって、被請求人から、本件商標の使用許諾を受ける必要性はないというべきである。
(3)事実、甲第7号証として提出する「日本フードコーディネーター協会」の陳述書に述べているとおり、「日本フードコーディネーター協会」は、被請求人から、本件商標の使用許諾を受けたことはなく、また、現在も受けていない。
(4)なお、被請求人は、答弁書において、被請求人の理事長である廣瀬喜久子が、「日本フードコーディネーター協会」の理事の一人であること、及び「日本フードコーディネーター協会」の設立当時、事務局が被請求人である学校法人誠心学園内に設置されていたことを指摘しているが、これらはいずれも、「日本フードコーディネーター協会」が、本件商標の専用使用権者または通常使用権者であることを証明するものでは有り得ない。
ちなみに、甲第3号証の「日本フードコーディネーター協会 設立12年の事業内容」、3枚目に示されているとおり、「日本フードコーディネーター協会」の事務局は、平成11年6月に東京都文京区白山2-30-3伊藤ビル4階に移転され、さらに、平成15年1月には東京都文京区後楽2-2-21飯田橋ISビル4Fに移転されて、現在に至っている。
(5)以上のとおり、被請求人は、本件取消審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件取消審判の請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明していない。
よって、本件商標は、その指定役務のすべてについて、登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件商標の不使用取消審判の請求の登録前3年以上日本の国内において、事実上の専用使用権者である「日本フードコーディネーター協会」に対し使用許諾し、使用している。
(2)本件審判請求において、被請求人の理事長廣瀬喜久子は、1993(平成5)年12月14日フードコーディネーター協会の設立準備会を立ち上げた。平成6年7月、「日本フードコーディネーター協会」は、下記の場所に設立され、発足した。
被請求人(商標権者)は、設立の日から現在も継続して、本協会の副会長として「日本フードコーディネーター協会」の代表理事の一人である。
「日本フードコーディネーター協会」の略称は、「日本」「フード」「コーディネーター」「協会」 の頭文字をとり、「JFCA」とした。


〒144-0056
東京都大田区西六郷1-32-4
学校法人誠心学園内
日本フードコーディネーター協会
(3)被請求人の理事長廣瀬喜久子らは、「日本フードコーディネーター協会」を将来、社団法人にしようと考えていた。
他方、「日本フードコーディネーター協会」は、時代の要請に合致したこともあり、活動範囲が広がったので、廣瀬喜久子は、「日本フードコーディネーター協会」 の類似名称が出てくる場合に備え、「日本フードコーディネーター協会」のために商標登録を決定した。
平成9年当時、「日本フードコーディネーター協会」は、法人格を取得していなかったので、「日本フードコーディネーター協会」を人的及び財政的に支えていた商標権者「学校法人誠心学園」の名称で商標権を登録し、「日本フードコーディネーター協会」に本件商標権の事実上の専用使用権を無償で許諾した。
以後、今日に至るまで、「日本フードコーディネーター協会」は、本件商標を出版物、雑誌、その他PRに使用している。
(4)「日本フードコーディネーター協会」は、平成18年10月3日(火)日本フードコーディネーター協会定例理事会において、NPO法人資格を取得するための申請手続を遂行することを決定した。
したがって、被請求人の理事長廣瀬喜久子は、「日本フードコーディネーター協会」がNPOの法人格を取得した場合には、NPO法人としての「日本フードコーディネーター協会」に被請求人の本件商標を無償譲渡することに決めているが、「日本フードコーディネーター協会」の現会長小池鉄夫個人に本件商標を譲渡する意思はない。
本件商標は、あくまでも社団としての「日本フードコーディネーター協会」に帰属させるべき商標であり、その他のいかなる団体へも又は個人に対しても、使用許諾も譲渡もすることはできないことは、本件商標の登録の経緯からも自明の理である。
(5)請求人小池鉄夫は、「日本フードコーディネーター協会」の現会長として、こうした歴史的経緯を知っているにもかかわらず、「日本フードコーディネーター協会」のNPO法人化の前に商標権を個人として入手しようと企て、法的に成り立たない本件審判請求を被請求人に対し申し立てたものと推測せざるを得ない。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標をその指定役務「食環境及び食文化の研究及び情報交換のための研究会・講演会・講習会・見学会の企画・運営又は開催」について、通常使用権者である日本フードコーディネーター協会が本件審判の請求の登録前3年以内に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出しているので以下検討する。
(1)本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件商標の指定役務について、本件審判の請求登録前3年以内に使用されていることについては、当事者間に争いがない。
当事者は、「日本フードコーディネーター協会」が、本件商標の使用権者であるか否かを争っているので、この点について検討する。
(ア)乙第1号証は、「フードコーディネーター協会記録」である。
そして、同号証によって、次のことが認められる。
1993年(平成5年)12月14日に、被請求人が運営する「東京誠心調理師専門学校」の校長室において、同校の校長及び同校の本部長等が出席の上で、「第1回準備会」が開催され、「コーディネーター協会設立趣意書」等についての話し合いが行われた。
1994年(平成6年)2月17日に、被請求人の本部長等が出席の上で、「フードコーディネーター協会設立準備会理事予定者会」が開催された。
同年3月24日に、被請求人が運営する「東京誠心調理師専門学校」の校長室において、同校の校長及び同校の本部長等が出席の上で、「第2回準備会」が開催された。
同年4月8日に、被請求人が運営する「国際ホテルレストラン専門学校」の校長室において、同校の校長及び同校の本部長等が出席の上で、「打合会」が開催された。
(イ)乙第2号証は、「日本フードコーディネーター協会」の「平成10年度 定例総会資料」であるところ、表紙を含めて3頁目の「5.商標登録申請」項に、「日本コーディネーター協会の商標登録を申請し、その出願費を予備費から費出。」の記載があり、また、表紙を含めて10頁目の「第4号議案 役員の選任と各事業委員の選出 1.新会長就任に伴う新役員構成について」の項に「平成10年4月14日 ・・・(中略)・・・ 副会長 広瀬喜久子氏(再任)」の記載がある。
(ウ)乙第3号証は、「日本フードコーディネーター協会」による、報道関係者宛「平成10年5月11日付、フードコーディネーター 資格認定とテキスト発刊のご案内」であるところ、表紙を含めて2頁目に「●問合わせ先 日本フードコーディネーター協会 東京都大田区西六郷1-32-4 (学)誠心学園内」の記載がある。
(エ)乙第4号証は、「日本フードコーディネーター協会」事務局による「平成10年度第2回理事会 理事審議報告書」であるところ、表紙を含めて4頁目に「2号議案 協会運営について」の項に「1)事務局運営の拠点・・・(中略)・・・事務局の経済的な自主運営について ・協会設立以来、誠心学園には事務局の場所提供のみならず、職員の全面協力、印刷代、原稿料、事務局員給与等立替払いを含め多大なお世話をかけている。(金額換算で最低2000万円)」の記載がある。
(オ)乙第8号証の表紙を含めて2頁目は、2006年(平18年)12月5日11:00ないし12:00に開催された「日本フードコーディネーター協会 正副会長会議議題議事録」であるところ、「議題2 法人化に向けて」の項で「・・・(前略)・・・また、『日本フードコーディネーター協会』の商標登録について次のような結論を得た。
『日本フードコーディネーター協会』の商標登録は、平成9年(1997)4月17日に学校法人誠心学園(当審注:被請求人)より出願され、平成10年(1998年)4月17日に登録されている。日本フードコーディネーター協会の名称は、設立以来ずっと使われ、発足当初は誠心学園にあった事務局も、文京区白山、同後楽と移転するなど変遷を重ねてきたが、現在も『日本フードコーディネーター協会』の商標権利者は、学校法人誠心学園にある。これを今回のNPO法人設立を期に協会に移譲してもらうべく、小池会長より広瀬副会長に依頼したところ、『個人としては使って頂いていいが、学校法人誠心学園として、理事達の意見も聞いた上で、改めて返答する』旨の発言があった。」旨の記載があり、署名人の欄に「小池鉄夫」と署名があり、署名年月日の欄に「2006年12月11日」と手書きで記載され、捺印の欄に「小池」の印が押されている。
(カ)乙第8号証の表紙を含めて3頁目ないし6頁目は、2006年(平18年)12月5日13:00ないし15:00に開催された「日本フードコーディネーター協会 定例理事会議事録」であるところ、「第2号議案 法人化に向けて」の項で「(4)『日本フードコーディネーター協会』の名称について 現在、当協会が名称としている『日本フードコーディネーター協会』の商標登録は、学校法人誠心学園にあるが、今後NPO法人申請が認証され、移行した場合は『日本フードコーディネーター協会』の名称は、当協会にら帰属するものと考えており、この件に関しては、広瀬副会長より何らかの説明・回答が得られることになっている。」との記載がある。
(2)前記(1)で認定した事実及び答弁書における被請求人の主張よりすれば、次の事実が認められる。
(ア)被請求人は、「日本フードコーディネーター協会」設立の準備段階より参加しており、同協会設立後は、被請求人の理事長が同協会の副会長となっている。
(イ)本件商標についての商標登録出願の費用は、「日本フードコーディネーター協会」の予備費から支出された。
(ウ)被請求人は、「日本フードコーディネーター協会」に対して事務局の場所の提供等を行っており、最低2000万円を支出してる。
(エ)「日本フードコーディネーター協会」の法人化にあたって、被請求人から、「日本フードコーディネーター協会」への本件商標の譲渡が同協会内での課題となっている。
以上の事実よりすれば、仮に、本件商標に関する使用許諾契約が書面でなされていないとしても、商標権者と「日本フードコーディネーター協会」との間において、通常使用権についての黙示の許諾があったといわざるを得ない。
この点に関して、請求人は、「『日本フードコーディネーター協会』は、被請求人から、本件商標の使用許諾を受けたことはなく、また、現在も受けていない。」旨主張している。
しかしながら、前記で認定した事実よりすれば、「日本フードコーディネーター協会」は、自ら本件商標を使用するために、本件商標に係る商標登録出願の費用を支出したこと、及び被請求人は「日本フードコーディネーター協会」に使用させるために本件商標登録を取得したことが推測し得るものであるから、請求人の主張は採用できない。
(3)甲第9号証は、「日本フードコーディネーター協会」の発行している冊子であるところ、本件商標の通常使用権者である同協会が、2006年(平成18年)10月14日に、本件取消審判の請求に係る指定役務に属する「東京『視察・見学研究会』の開催」及び「『食とマーケッティング発想』の講演会」を行ったことが認められる。
(4)結論
本件商標の通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、その指定役務について、本件審判の請求の登録(登録日、平成19年11月27日)前3年以内に日本国内において、使用していたというべきである。
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定役務についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-03 
結審通知日 2007-07-09 
審決日 2007-07-20 
出願番号 商願平9-106922 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 信彦 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 渡邉 健司
鈴木 修
登録日 1998-11-27 
登録番号 商標登録第4215790号(T4215790) 
商標の称呼 ニッポンフードコーディネーターキョーカイ、ニッポンフードコーディネーター、フードコーディネーターキョーカイ、フードコーディネーター 
代理人 新明 一郎 
代理人 須磨 光夫 

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