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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z38
管理番号 1163912 
審判番号 取消2006-30868 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-07-14 
確定日 2007-08-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4560913号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4560913号商標の「第38類 移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,テレックスによる通信,無線呼出し」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4560913号商標(以下「本件商標」という。)は、「カラナビ」の文字を標準文字で書してなり、平成12年12月21日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,テレックスによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給」を指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件審判請求前3年以内に、本件商標が、商標権者である被請求人によって、日本国内において、その指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,テレックスによる通信,無線呼出し」について使用された事実は発見できなかった。
さらに、登録原簿を見るも、本件商標には専用使用権及び通常使用権のいずれも設定登録されておらず、専用使用権者及び通常使用権者が存在しないものと推定される(甲第2号証)。
したがって、本件商標は、その指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,テレックスによる通信,無線呼出し」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにも使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、登録を取消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)答弁書における被請求人の主張は、本件商標の使用権者により提供されている「カラオケNAVI」なる名称の役務中で、本件商標が役務「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」について使用されている、というものであり、証拠として乙第1号証ないし乙第28号証を提出している。
(イ)そこでまず、「カラオケNAVI」なる名称の役務の内容が詳述されている乙第10号証をみるに、該役務は、「カラオケ施設の提供」に関する情報を移動体電話・電子計算機端末の画面上に表示するサービス、すなわち「カラオケ施設の提供に関する情報の提供」に該当するものであって、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」には該当しないものである。
なぜなら、その情報が移動体電話や電子計算機端末による通信によって提供されるとしても、その通信は「カラオケ施設の提供に関する情報」を提供するにあたり、移動体電話や電子計算機端末による通信を利用したすぎないものであるからである。この点については、取消2000-31004審決(甲第3号証)を参照されたい。
(ウ)してみれば、「カラオケNAVI」なる名称の役務の提供にあたって、使用されていると被請求人が主張する「カラナビ関東」「(URL中の)karanavi」等の文字は、「カラオケNAVI」の文字と同様、役務「カラオケ施設の提供に関する情報の提供」に使用されていると認められることはあるとしても、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」に使用されているとは到底認められないものである。
なお、請求人は、「karanavi」の文字が本件商標と社会通念上同一の商標であると認めるものではないが、ここではその詳細な理由は省略したことを念のため付言する。
(エ)また、「カラナビ・クーポン」の文字が使用されている役務については、被請求人も答弁書において「『カラナビ クーポン』とは、カラオケボックス等のカラオケ事業者が来店した顧客に提供する、特典内容を印刷した『カラナビ』という名称の印刷物(クーポン)又は特典内容が表示された『カラナビ』という名称の携帯画面(電子クーポン)のことである。」と述べているとおり、その役務の実体は、事業者に代わってするクーポン券の発行にあることは明らかである。そして、そのクーポン券が移動体電話や電子計算機端末による通信によって提供されるとしても、その通信はクーポン券を提供するにあたり、移動体電話や電子計算機端末による通信を利用したすぎないものであることは前述と同様である。
したがって、乙号証中に散見される「カラナビ・クーポン」の文字は、例えば役務「役務の提供促進のためのクーポン券の発行,役務の提供促進のためのクーポン券の発行に関する情報の提供」に使用されていると認められることはあるとしても、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」に使用されているとは到底認められないものである。
なお、請求人は、「カラナビ・クーポン」の文字が本件商標と社会通念上同一の商標であると認めるものではないが、ここではその詳細な理由は省略したことを念のため付言する。
(オ)以上のとおり、被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第28号証によっては、本件商標が役務「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」に使用されている事実は何ら立証されていないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第28号証を提出した。
本件商標は、被請求人が本件商標を使用許諾する任意団体「全国カラオケ事業者協会」(以下、本件任意団体とする)により、その請求に係る指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」について、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用されている事実がある。
被請求人はこれを以下の通り立証する。
(1)本件任意団体の存在の証明と本件任意団体が提供する役務の内容の証明
乙第1号証は、本件任意団体が2005年(平成17年)1月1日付けで発行した「JKA10周年記念誌」(抜粋 写し)である。この「JKA10周年記念誌」は、平成16年12月より現在に至るまで、カラオケ業界の近年の業界推移から今後の展望を推し測る経営資料として、カラオケ事業者等に頒布されている。乙第1号証に記載のとおり、本件任意団体は、「マルチメディア通信網に対応したカラオケ産業の総合的な秩序の確立と情報化社会の健全な発展に寄与する」こと等を目的として、「マルチメディア通信網に対応したカラオケ産業に関する調査研究」等の成果を実現するために、「カラオケNAVI」ホームページを運営することで、カラオケ事業者やカラオケを利用する需要者に「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務を提供している。
乙第2号証及び乙第3号証は、乙第1号証が国立国会図書館に蔵書されていることを証明する同図書館ホームページ検索結果及び実際に同図書館に蔵書されている「JKA10周年記念誌」の表紙裏と裏表紙の写しである。
以上のように、乙第1号証ないし乙第3号証により、本件任意団体は、平成6年10月17日に発足し、本件審判請求の予告登録前3年以内である平成17年(2005年)1月に存在していたことが証明される。
また、乙第1号証に記載のとおり、本件任意団体は、法人格を有しない団体であって、「カラオケNAVI」ホームページを運営することで、カラオケ事業者やカラオケを利用する需要者に「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務を提供していることが証明される。
(2)被請求人と本件任意団体との関係の証明
乙第4号証は本件任意団体が発行した被請求人の在職証明書である。これにより、被請求人が、本件商標の出願日である平成12年12月21日以前より現在(在職証明書の日付である平成18年9月15日)まで、専務理事として本件任意団体に在職していることが証明される。また、乙第5号証は被請求人の名刺(写し)である。
以上のように、乙第4号証及び乙第5号証により、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内の期間を含む、平成12年12月21日以前より平成18年9月15日の期間に、本件任意団体に専務理事として在職していたことが証明される。
(3)被請求人が本件任意団体に本件商標を使用許諾している事実の証明
乙第6号証は、本件商標等の商標使用許諾証明書である。これにより、被請求人が本件審判請求の予告登録前3年以内において、本件任意団体に本件商標を使用許諾している事実が証明される。
(4)本件商標と関連登録商標「カラオケNAVI」との関係の説明
乙第7号証は、商標第4560912号(以下「関連登録商標」という。)の商標登録公報である。また、乙第8号証は、関連登録商標の登録原簿である。
本件商標「カラナビ」は、関連登録商標「カラオケNAVI」の称呼「カラオケナビ」の略語である。
日本語では、2つの単語の最初の2文字をつなげた4文字のカタカナ略語が非常に良く使用されること、また、「カラナビ」の音感が良いこと等から、本件商標は、(a)本件商標単独で使用する目的、(b)関連登録商標の略称や愛称としての標章として使用する目的、(c)他社による類似の標章の商標登録出願を防止する目的のために、関連登録商標と同日に商標登録出願されている。
以上のように、乙第7号証及び乙第8号証により、本件商標と関連登録商標とは、互いに補い合って「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務について使用される商標であることが証明される。
(5)本件商標と関連登録商標の使用の証明の1
(ア)乙第9号証は、本件任意団体のホームページのトップページである。そして、乙第10号証は、「カラオケNAVI」のホームページを普及させるために、本件任意団体が同ホームページ開設当時に作成し、現在も適宜配布しているパンフレットであり、その見開きページには、「カラオケNAVIでお店をアピール!」、「Web版(パソコン) カラオケNAVIは店舗の写真やピーアールを掲載し、初めてのお客様にも店舗の雰囲気を伝え来店しやすくすることができます。また、会社や家の近くに『こんな良いお店があったんだ』といった発見になったり、サラリーマンの方が接待や打ち上げの場所を探すときに、地図やカラナビ・クーポンなどが集客の『カギ』になります。」、「カラナビ・クーポンとは? カラナビ・クーポンとは、カラオケNAVIを見て来店されたお客様に、独自のサービスを提供していただくシステムです。カラナビ・クーポンの掲載は、お店の集客アップにつながります。」、「モバイル版(インターネット対応携帯電話) 今や携帯電話でインターネットはあたりまえ!携帯電話だから見たい時にすぐ見れるモバイル版は、『今から歌いに行こう!』という時でも手軽にお店の情報を見てもらうことができたり、お店の場所がわからないお客様でも、地図を見ながら歩けるので、迷うことなくお店に来ていただけます。」、「カラオケNAVIは顧客来店促進の決め手! どうせ歌うなら、『カラナビ・クーポン』がある店!カラオケNAVIは、お客様にダイレクトに店舗アピールをします。」等と記載されている。
このように、乙第9号証及び乙第1号証により、この「カラオケNAVI」ホームページはパーソナルコンピュータと携帯電話との両方からアクセス可能なホームページであり、本件任意団体が2001年6月から現在まで管理運営していることが証明される。
また、乙第10号証には、「カラオケNAVI」ホームページのURLは、本件商標の片仮名の文字の表示をローマ字の文字の表示に変更した「karanavi」をドメインとする「http://www.karanavi.net」であることが広告されており、これはパーソナルコンピュータと携帯電話との両方からアクセス可能なホームページであって、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務が提供されていることが広告されている。
以上のように、本件任意団体が2001年6月から現在まで管理運営している「カラオケNAVI」ホームページの「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に関する広告に、ローマ字の文字の表示「karanavi」という本件商標と同一である(商標法第50条第1項)標章を付して、同ホームページ開設当時から現在にかけて適宜配布していた行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第8号)。
さらに、乙第10号証における「カラナビ クーポン」とは、カラオケボックス等のカラオケ事業者が来店した顧客に提供する、特典内容を印刷した「カラナビ」という名称の印刷物(クーポン)又は特典内容が表示された「カラナビ」という名称の携帯画面(電子クーポン)のことである。
本件任意団体は、これらのクーポンの特典内容の情報を、2001年6月から現在まで管理運営しているパーソナルコンピュータ及び携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページで提供している。本件任意団体の当該業務は「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当するため、当該役務に係る広告に本件商標を付して、同ホームページ開設当時から現在にかけて適宜配布していた行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
(イ)乙第11号証は、本件任意団体が管理運営する「カラオケNAVI」ホームページのトップページである。なお、ホームページアドレスは、http://www.karanavi.netとなっている。そして、乙第12号証は、本件任意団体が管理運営する「カラオケNAVI」インターネット対応携帯電話用ホームページのトップページである。
このように、乙第11号証、乙第12号証及び乙第1号証により、この「カラオケNAVI」ホームページはパーソナルコンピュータと携帯電話との両方からアクセス可能なホームページであり、本件任意団体が2001年6月から現在まで管理運営していることが証明される。
また、この乙第11号証及び乙第12号証の「カラオケNAVI」ホームページは、URLが本件商標の片仮名の文字の表示をローマ字の文字の表示に変更した「karanavi」をドメインとする「http://www.karanavi.net」であるパーソナルコンピュータと携帯電話との両方からアクセス可能なホームページであり、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務が提供されている。
以上のように、本件任意団体が2001年6月から現在まで管理運営している「カラオケNAVI」ホームページの役務は「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」である。このような「カラオケNAVI」ホームページに、ローマ字の文字の表示「karanavi」という本件商標と同一である(商標法第50条第1項)標章を映像面に表示する行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第7号)。
また、乙第11号証及び乙第12号証における「カラナビ クーポン」とは、カラオケボックス等のカラオケ事業者が来店した顧客に提供する、特典内容を印刷した「カラナビ」という名称の印刷物(クーポン)又は特典内容が表示された「カラナビ」という名称の携帯画面(電子クーポン)のことである。
また、乙第12号証における「カラナビ北海道」、「カラナビ東北」、「カラナビ北陸」、「カラナビ関東」、「カラナビ中部」、「カラナビ関西」、「カラナビ中国」、「カラナビ四国」、「カラナビ九州」の「カラナビ」とは、「北海道」、「東北」、「北陸」、「関東」、「中部」、「関西」、「中国」、「四国」、「九州」の各地域で営業するカラオケボックス等のカラオケ事業者を検索して、カラオケ事業者に来店する顧客にカラオケ事業者の情報を提供するサービスの標章である。
本件任意団体は、2001年6月から現在まで管理運営しているパーソナルコンピュータ及び携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページで、クーポンの特典内容の情報及びカラオケ事業者の情報を提供している。本件任意団体の当該業務は「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当するため、当該役務の提供に当たり、「カラオケNAVI」ホームページの映像面に本件商標を表示して、「カラオケNAVI」ホームページ開設当時から現在にかけて提供していた行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第7号)。
また、この乙第11号証及び乙第12号証の「カラオケNAVI」ホームページは、URLが本件商標の片仮名の文字の表示をローマ文字の表示に変更した「karanavi」をドメインとする「http://www.karanavi.net」であるパーソナルコンピュータと携帯電話との両方からアクセス可能なホームページであり、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務が提供されている。
このような、本件任意団体が2001年6月から現在まで管理運営しているパーソナルコンピュータ及び携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページにおいて提供される、歌詞のインタラクティブ配信とカラオケのストリーム形式によるインタラクティブ配信は、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当する。このような「カラオケNAVI」ホームページに、ローマ字の文字の表示「karanavi」という本件商標と同一である(商標法第50条第1項)標章を映像面に表示する行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第7号)。
(6)本件商標の使用の証明の2
乙第13号証は、本件任意団体が社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)から許諾を受けた音楽著作物利用許諾書(インタラクティブ配信)(写し)である。そして、乙第14号証は、JASRACが発行した音楽著作物の使用料規程(抜粋 写し)である。
乙第13号証及び乙第14号証により、本件任意団体が管理運営しているパーソナルコンピュータ及び携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページで、「移動体電話による通信,電子算機端末による通信」の役務に該当する歌詞のインタラクティブ配信とカラオケのストリーム形式によるインタラクティブ配信を行うための許諾書に、ローマ文字の表示「karanavi」という本件商標と同一である(商標法第50条第1項)標章を付する行為は、本件審判請求の予告登録前3年における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第8号)。
(7)本件商標の使用の証明の3
乙第15号証は、JASRACから本件任意団体に送付された音楽著作物便用料の請求書(写し)である。これによると、「移動体電話による通信」の役務に該当する歌詞のインタラクティブ配信を行ったことにより受領した請求書に、本件商標と補い合う関係にある関連登録商標が付されている。これは、携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページが、本件任意団体によって管理運営されていた事実を示すものである。即ち、この事実は、前記(5)及び(6)で述べた、「カラオケNAVI」ホームページが本件任意団体により2001年6月から現在まで途切れなく管理運営していたことを示すものであり、本件商標が本件審判請求の予告登録前3年に「使用」されていたことを示すものである(商標法第2条第3項第7号、商標法第2条第3項第8号)。
(8)本件商標の使用の証明の4
乙第16号証は、カラオケボックス等のカラオケ事業者から本件任意団体宛てにファクシミリで送付されたカラオケNAVI掲載申し込み用紙(写し)である。この乙第16号証の1枚目は、「連絡年月日 平成16年11月5日」(ファクシミリの日付は04/11/08)にカラオケ事業者から本件任意団体に本件任意団体が管理運営する「カラオケNAVI」ホームページの「カラナビ・クーポン」の掲載内容の変更を申し込んだ内容であり、「店舗名」、「所在地」、「電話番号」と共に、「カラナビ・クーポン(該当するものに○印をつけて下さい) ★カラナビ・クーポンは、カラオケNAVIを見て来店した顧客に提供するサービスです。原則として、常に提示できるサービスをご記入下さい。」と記載され、当該カラオケ事業者から「10.ワン・フード・サービス(ピラフ類orチャーハン類から1品サービス)」のサービスを提供することを「カラナビ・クーポン」として掲載することを申し込む内容が記載されている。
また、乙第16号証の2枚目は、「連絡年月日 2004年12月4日」(ファクシミリの日付は04/12/04)にカラオケ事業者から本件任意団体に本件任意団体が管理運営する「カラオケNAVI」ホームページの「カラナビ・クーポン」への新規掲載を申し込んだ内容であり、「店舗名」、「所在地」、「電話番号」と共に、「カラナビ・クーポン(該当するものに○印をつけて下さい)」に「7.室料」につき「※2時間以上ご利用で1時間無料」のサービスを提供することを「カラナビ・クーポン」として掲載することを申し込む内容が記載されている。
この乙第16号証における「カラナビ クーポン」とは、カラオケボックス等のカラオケ事業者が来店した顧客に提供する、特典内容を印刷した「カラナビ」という名称の印刷物(クーポン)又は特典内容が表示された「カラナビ」という名称の携帯画面(電子クーポン)のことである。
この乙第16号証は、本件任意団体が管理運営しているパーソナルコンピュータ及び携帯電話用の「カラオケNAVI」ホームページで、「カラナビ」という標章を使用してクーポンの特典内容の情報及びカラオケ事業者の情報を提供するための取引書類である。
また、本件任意団体によるクーポンの特典内容の情報及びカラオケ事業者の情報の提供は「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当する。
このように、当該役務を提供するための申込用紙である乙第16号証に本件商標を付する行為は、本件審判請求の予告登録前3年を含む期間における本件商標の「使用」に該当するものである(商標法第2条第3項第8号)
(9)請求人等及び被請求人等の情報について
請求人の情報に関する乙第17号証ないし乙第25号証を精査すると、乙第21号証の検索結果「3」(以下「他社関連商標登録出願」という。)を行った出願人(以下「他社関連商標登録出願人」という。)は、他社関連商標登録出願の拒絶理由を解消するために、他社関連商標登録出願人の取引先である請求人に本件審判請求を依頼したことが推認される。
また、被請求人の情報に関する乙第26号証ないし乙第28号証は、コンピュータさえあれば容易に検索可能な内容である。
請求人の情報に関する乙第23号証の拒絶理由通知書の内容と、乙第25号証のニュースリリースとを見ると、他社関連商標登録出願人は大規模な新規事業を行うにも関わらず、当該新規事業に関するサービス名を保護する他社関連商標登録出願に関して、必要な出願前先願調査の実施を行わなかった可能性があること、又は拒絶理由を受けても不使用取消審判を請求すれば事足りると考えた可能性があることを被請求人及び本件任意団体は憂慮している。
被請求人及び本件任意団体は、他社関連商標登録出願人に、他社関連商標登録出願の出願前に必要な出願前先願調査を行わなかった、及び本件審判請求前の本件商標の使用の事実の調査を行わなかった等の重大な瑕疵があり、そもそも本件審判請求が請求されるべきものではない事件であったと考える次第である。
被請求人及び本件任意団体は、請求人に対して、本件審判請求に係る本件商標に関して、無用の争いを好むものではないことを申し伝えると共に、本件審判請求の取り下げを条件に請求人の意向を受け入れる準備があることを申し伝える。
(10)まとめ
以上述べたように、乙第1号証ないし乙第28号証によって、被請求人が、請求に係る第38類の指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」について審判請求の予告登録前3年以内に本件商標の使用をしている事実は明白である。

4 当審の判断
被請求人は、乙第1号証ないし乙第28号証を提出し、被請求人が、請求に係る第38類の指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」について審判請求の予告登録前3年以内に本件商標の使用をしている旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみるに、乙第10号証のパンフレットによれば、「カラオケNAVI」なる名称の役務の内容が記載されており、その役務は「カラオケ施設の提供」に関する情報を移動体電話又は電子計算機端末の画面上に表示するサービス、すなわち「カラオケ施設の提供に関する情報の提供」であると認められるものである。
そして、被請求人が前記役務の「カラオケNAVI」の提供にあたって使用していると主張する、乙第10号証のパンフレット、乙第11号証の「カラオケNAVI」のホームページ、乙第12号証の「カラオケNAVI」のインターネット対応携帯電話用ホームページ及び乙第13号証の音楽著作物利用許諾書中の「http://www.karanavi.net」、「info@karanavi.net」及び「カラナビ関東」等の文字に含まれる「karanavi」及び「カラナビ」の文字は、前記役務の「カラオケNAVI」の文字と同様、カラオケ施設の提供に関する情報を移動体電話又は電子計算機端末による通信を利用して提供する役務に使用されているといえるものであって、「移動体電話による通信、電子計算機端末による通信」に使用されているとは認められないものである。
また、乙第10号証のパンフレット、乙第11号証の「カラオケNAVI」のホームページ、乙第12号証の「カラオケNAVI」のインターネット対応携帯電話用ホームページ及び乙第16号証のカラオケNAVI掲載申し込み用紙には、「カラナビ クーポン」及び「カラナビ・クーポン」の文字が使用されており、該「カラナビ クーポン」及び「カラナビ・クーポン」の文字が使用されている役務について、被請求人は「『カラナビ クーポン』とは、カラオケボックス等のカラオケ事業者が来店した顧客に提供する、特典内容を印刷した『カラナビ』という名称の印刷物(クーポン)又は特典内容が表示された『カラナビ』という名称の携帯画面(電子クーポン)のことである。」と述べているように、その役務は、事業者に代わってするクーポン券の発行にあるといえるものであり、該クーポン券が移動体電話や電子計算機端末による通信によって提供されるとしても、その通信はクーポン券を提供するにあたり、移動体電話や電子計算機端末による通信を利用したにすぎないものである。
そうすると、前記乙各号証中に使用されている「カラナビ クーポン」及び「カラナビ・クーポン」の文字は、例えば役務「役務の提供促進のためのクーポン券の発行、役務の提供促進のためのクーポン券の発行に関する情報の提供」に使用されていると認められることはあるとしても、「移動体電話による通信、電子計算機端末による通信」に使用されているとは認められないものである。
さらに、被請求人は、前記「カラオケNAVI」で提供されている「歌詞のインタラクティブ配信」及び「カラオケのストリーム形式によるインタラクティブ配信」は、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当する旨、前記乙第11号証及び乙第12号証に加え、乙第13号証の音楽著作物利用許諾書(インタラクティブ配信)、乙第14号証の音楽著作物の使用料規程(抜粋)及び乙第15号証の音楽著作物使用料の請求書によって主張しているが、そもそも、乙第13号証ないし乙第15号証は、音楽著作物に関する利用許諾、使用料規程及び請求書であり、前記の配信は、例えば「ストリーム形式によるインターネットを利用したカラオケの楽曲の提供」であって、「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信」の役務に該当するものとは認められないから、前記被請求人の主張を採用することはできない。
そして、本件商標を請求に係る指定役務に使用していたことについて、前記認定を覆すに足りる証拠は見出せない。
してみれば、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標がその請求に係る指定役務について、被請求人又は通常使用権者により使用されていたことを証明する証拠とはなり得ないものであるから、本件商標は、被請求人又は通常使用権者により、継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務について使用していなかったものといわなければならない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,テレックスによる通信,無線呼出し」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-06-14 
結審通知日 2007-06-20 
審決日 2007-07-03 
出願番号 商願2000-142026(T2000-142026) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z38)
最終処分 成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 森山 啓
岩崎 良子
登録日 2002-04-19 
登録番号 商標登録第4560913号(T4560913) 
商標の称呼 カラナビ 

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