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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 審判 全部申立て 登録を維持 Y2930 |
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管理番号 | 1162697 |
異議申立番号 | 異議2007-900066 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-02-05 |
確定日 | 2007-08-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5000931号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5000931号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5000931号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成18年1月20日登録出願、第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同18年11月2日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人社団法人氷温協会(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下(1)及び(2)のとおりである。 (1)登録第1487248号商標(以下「引用商標1」という。)は、「氷温」の文字を横書きしてなり、第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和52年6月14日登録出願、同56年11月27日に設定登録され、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品を第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載の商品とする書換登録が平成14年1月16日になされたものである。 (2)登録第2598598号商標(以下「引用商標2」という。)は、「氷温熟成」の文字を縦書きしてなり、第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年7月29日に登録出願、同5年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品を第1類、第5類、第29類、第30類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録が平成16年3月31日になされたものである。 3 登録異議申立の理由の要点 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本件商標の構成中「氷温熟成」の文字は、全体として「氷温」で熟成させたものの意味合いを容易に看取させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、全体として、その指定商品がその製造工程において上記氷温処理を施した「氷温食品」であることを認識させるにすぎず、自他商品識別機能を有しないものである。 したがって、本件商標は、これをその指定商品中、氷温処理を施した商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、氷温処理を施した「氷温食品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第6号について 氷温技術や氷温食品の普及は公益法人である申立人の活動に主に帰すものであり、その法人名称に含まれる「氷温」は、公益に関する事業であって、営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものであるところ、「氷温」の文字をその構成中に含む本件商標は、これと同一又は類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、商標権者が、日本ハム株式会社であり、その構成中に「氷温」の文字を有しているが、これは引用商標1及び引用商標2に相当し、株式会社氷温の保有する特許権に抵触し、これをその商標権者が実施した場合、その製造工程において上記氷温処理を施した「氷温食品」と認識し、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、取引者・需要者の商取引の秩序を混乱させ、社会公益の利益に反することとなり、ひいては公の秩序を乱すおそれがある。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について 引用商標1は、昭和52年に登録出願、同56年に登録され、現在では、株式会社氷温が権利者となり、第29類、第30類、第31類及び第32類を指定商品としており、山根昭美博士が設立した株式会社氷温研究所、社団法人氷温協会(以下、「申立人」という。)及び氷温学会の諸活動を通じて広く普及活動が行われているものであるところ、本件商標は、引用商標1「氷温」をその構成の一部に使用した構成となっているため、商標権者とは他人の株式会社氷温の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。 また、「氷温」及び「氷温熟成」の文字は、第29類、第30類に限らず、広く食品関連、流通関連の類においても登録商標となっており、これまで、20年間以上にわたり申立人のところに所属する多数の会員企業が使用し続けている。また、申立人が認定する氷温食品は、平成19年1月現在で、440品目にまで達しており、大手メーカー製造によるパン、納豆、かつお節をはじめ、認定氷温食品は、日本全国で遍く販売されており、それらの商品には、「氷温」「氷温熟成」が登録商標であることが明記されており、今や、食品関連業界、食品流通業界においては、「氷温」「氷温熟成」の文字は、著名な登録商標として広く認識されているほか、冷熱機械業界や需要者の間にも広く浸透している。 してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である「氷温」及び「氷温熟成」と同一又は類似の商標であり、商標権者とは他人の株式会社氷温の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。 (5)以上、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第6号、同第7号、同第10号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1) 申立人の提出した証拠から、以下の事実が認められる。 (ア)平成5年審判第15404号審決において、「氷温」の文字は、食品の細胞を凍らせないマイナス温度領域を表す語であって、食品の熟成にも利用されていること、及び第32類「うどんのめん、そばめん、中華そばめん 即席うどんめん 即席そばめん 即席中華そばめん そうめん」との関係において「氷温熟成」の文字は、商品の品質、加工方法を表示したにすぎないものであると認定、判断している。(甲第4号証) (イ)株式会社氷温は、特許第2515157号(【発明の名称】生鮮食品の低温貯蔵法)、第3177032号(【発明の名称】活魚類等の無水加圧保存方法及びその容器)、第3655713号(【発明の名称】氷温加工食品の製造方法)、第3787171号(【発明の名称】氷結点以下の温度帯における食品等の未凍結保存方法)を所有している。 (ウ)「氷温」の文字は、氷温技術の創始者である山根昭美博士が、未凍結温度領域を定義し命名したものであり、昭和52年に登録出願し、昭和56年に登録商標として登録(商標登録第1487248号)(引用商標1)されている。(甲第2号証) この登録商標は、現在では、株式会社氷温が権利者となっており、第29類、第30類、第31類および第32類を指定商品としている。 (エ)第29類、第30類以外の商品を指定商品とする「氷温」及び「氷温熟成」の文字からなる登録商標が複数存在する。(甲第5号証) (オ)農文協発行の「氷温貯蔵の科学」12頁に、「『氷温』は(株)氷温研究所の登録商標です。」の記載及び目次中には、「氷温熟成」の文字の記載がある。(甲第6号証A) (カ)「氷温学会ニュース No.37 2006年6月夏季号」(社団法人氷温協会発行)の目次には、「最新の氷温研究情報」の記載がある。(甲第6号証B) (キ)「氷温ニュース No.142 2006 6・7月号」(社団法人氷温協会発行)最終頁には、「氷温技術を用いた氷温食品及び氷温関連機器類の製品の安全・衛生及び品質基準を守るため、当協会の品質規格に基づき合格した製品についてのみ認定証を発行しています。(認定申請手続き等の問い合わせ先:(社)氷温協会」の記載がある。(甲第6号証C) (ク)「氷温科学 No.7 2004.12.1」(氷温学会発行)の目次には、「氷温技術を用いた鰹節の高品質化について」の記載及び51頁には、「『氷温』は(株)氷温研究所の登録商標です。」の記載がある。(甲第6号証D) (ケ)「社団法人 氷温協会 定款」には、「第3条 本協会は、農畜水産物の高鮮度化及び高付加価値化を図るため、氷温技術の普及啓発、調査研究等に関する事業を行って、・・・農林水産業の活性化及び地域経済の発展に寄与することを事業の目的とする。」の記載がある。(甲第9号証) (2)本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について (ア)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の図形と「ニッポンハム」の文字部分は、明らかに自他商品の識別標識としての機能を発揮する要部といえるものであるから、構成中の「氷温熟成」の文字について自他商品の識別力の有無を検討するまでもなく、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。 (イ)本件商標は、別掲のとおり図形の右横に「ニッポンハム」の片仮名文字を横書きし、その下に「氷温熟成」の文字を書してなるところ、その構成中の「氷温」の文字は、「摂氏零度以下から食品が凍り始める直前までの温度領域。この温度帯で生鮮品の貯蔵などを行う。」を、また「熟成」の文字は、「物質を適当の温度に長時間放置して化学変化を行わせること。」を意味する語(いずれも「広辞苑」)として知られているとしても、これらを一連に表してなる「氷温熟成」の文字が、その指定商品との関係において、必ずしも商品の品質を表示したものであると認識され、また、商品の品質を表示するためのものとして、取引上、普通に使用されているものとは認め難いものである。 そして、申立人は、「氷温熟成」の文字からなる商標が、商品の品質、加工方法を表示したにすぎないものとされた審決例(甲第4号証)を提出しているが、登録査定時(平成18年9月25日)において、指定商品との関係において、「氷温熟成」の文字が直ちに商品の品質を具体的に表示するためのものとして、取引上普通に使用されていると認めるに十分なものということはできない。 してみれば、本件商標の構成中の「氷温熟成」の文字は、その指定商品との関係において、商品の品質を表示するものとはいえないものであるから、本件商標は、これをそのいずれの商品に使用しても商品の品質について誤認を生じさせるおそれのないものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しないものである。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第6号、同第7号、同第10号及び同第15号該当性について 異議申立人は、引用商標1「氷温」及び引用商標2「氷温熟成」を引用して、本件商標が商標法第4条第1項第6号、同第7号、同第10号、及び同第15号に該当するとしている。 (ア)商標法第4条第1項第6号及び同第7号について 本件商標は、別掲のとおり構成中に「氷温熟成」の文字を有してなるところ、該文字は、上段の「ニッポンハム」の文字に比べてやや大きめに表されているものであるから、構成中の「氷温熟成」の文字のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るとみるのが相当である。 そして、その構成中の「氷温熟成」の文字は、同書・同大・等間隔で一体的に表されているものであり、また、これより生ずると認められる「ヒョウオンジュクセイ」の称呼もよどみなく一気に称呼し得るものであるから、これを一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当であり、該文字をさらに「氷温」と「熟成」とに分断して「氷温」の文字のみに着目するとみなければならない特段の事由は見出せないものである。 そうすると、本件商標は、構成中の「氷温」の文字部分のみをもって取引に資されるとはいえないものであるから、「氷温」の文字からなる引用商標1とは、外観、称呼、及び観念のいずれにおいても非類似の商標とみるのが相当である。 また、申立人の提出した証拠から、申立人である社団法人氷温協会が、氷温技術の普及啓発によって、農林水産業の活性化及び地域経済の発展に寄与することを事業の目的として認可された公益法人であることが認められるとしても、その著名性を裏付ける証拠は認められないものであり、かつ、本件商標中の「氷温熟成」と「氷温」の文字とは非類似のものであるから、本件商標は、公益に関する事業であって、営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標ということはできないものである。 また、申立人が申立書中に記載した特許登録番号から、株式会社氷温が氷 温加工食品に関する特許権を有していることは認められるとしても、「氷温」及び「氷温熟成」の文字のみで該特許権を表す語として認められたわけではないから、本件商標は、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標ということはできないものである。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者間の商取引の秩序を混乱させ、社会公益の利益に反することとなり、ひいては公の秩序を乱すおそれもないものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号及び同第7号に該当しないものである。 (イ)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について 申立人の提出した証拠から、引用商標1及び引用商標2が株式会社氷温の登録商標であることは認められるが、その使用の範囲、規模等の事実が明らかではなく、該証拠をもって、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標1及び引用商標2が株式会社氷温の業務に係る商品について使用する商標として我が国の取引者、需要者間に広く認識されていると認めることはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標1及び引用商標2を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が株式会社氷温あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同15号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第6号、同7号、同10号、同15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2007-07-25 |
出願番号 | 商願2006-4000(T2006-4000) |
審決分類 |
T
1
651・
21-
Y
(Y2930)
T 1 651・ 22- Y (Y2930) T 1 651・ 272- Y (Y2930) T 1 651・ 271- Y (Y2930) T 1 651・ 25- Y (Y2930) T 1 651・ 13- Y (Y2930) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤村 浩二 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 津金 純子 |
登録日 | 2006-11-02 |
登録番号 | 商標登録第5000931号(T5000931) |
権利者 | 日本ハム株式会社 |
商標の称呼 | ニッポンハムヒョーオンジュクセー、ニッポンハム、ヒョーオンジュクセー、エヌエッチ、エヌエイチ |
代理人 | 鳥居 和久 |
代理人 | 東尾 正博 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 須藤 政彦 |