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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y30
管理番号 1162682 
異議申立番号 異議2006-90296 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-06-23 
確定日 2007-07-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第4952891号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4952891号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第4952891号商標(以下「本件商標」という。)は、「ESTER-C」の欧文字と「エスターシー」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成16年12月2日に登録出願、第30類「穀物類を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状又はカプセル入りの加工食品」を指定商品として、同18年5月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項16号、同項19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由(要旨)
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出した甲各号証及び申立ての全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)「ESTER-C」の文字からなる申立人の商標が、平成13年10月31日に登録出願され(商願2001-97883号)、第5類「ビタミン及びミネラルを成分とする粉末状・顆粒状・錠剤状の薬剤」を指定商品として、平成17年9月30日に審決され、同年12月16日に登録第4915114号商標として設定登録されていること(甲第5号証及び甲6第号証)。
申立人又は申立人の関係者は、「ESTER-C」又は「Ester-C」あるいは「エスターシー」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)を、少なくとも平成15年3月18日(甲第5号証中の「手続補足書の写し」の提出日)以前にサプリメントや肌用の化粧品に使用していたこと(甲第5号証A1ないしA12)。
(2)引用標章の中の「ESTER-C」は、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ等40カ国で商標登録がなされており、2002年の世界各国に対する原料売上額はおよそ、US$26,000,000、広告費は、およそUS$6,000,000であったこと(甲第6号証B1及びb1)。
(3)「日経ヘルス サプリメント事典2006年版」(2006年3月1日 日経BP社発行)の38頁に「エスターC」の表題の下に「体に吸収しやすいように加工されたビタミンC。…米インター・カル社が開発、世界各国で利用されている。」(米インター・カル社は、申立人の前身の名称の略)と掲載されていること(甲第12号証及び甲第2号証)。
(4)「日経ヘルス」(2002年12月号)の30頁に「吸収効率のいいのは、カルシウムで中和したタイプをさらに改良した『エスターC』という特許成分。また最近米国では、脂溶性タイプの人気が高い。…」、また31頁に「Ester-C」のラベルが貼附されている現物の瓶容器の写真とともに、「エスターC(個人輸入で)」の見出しの下に「アスコルビン酸カルシウムをベースに、マグネシウムなどの微量ミネラルも含む特許成分。…」と掲載されていること(甲第8号証)。
(5)「健康産業新聞」(2006年6月7日)に、「脂溶性ビタミンC『エスターC』を拡販」の見出しの下に、「(株)ヒロエンタープライズ(東京都江東区・・・)はこのほど脂溶性ビタミンCサプリメント『エスターC』の登録商標を取得。さらに、自社ウェブサイトとは別に『エスターC』専用サイトを開設し、拡販に注力している。…同品は、『米国の健食市場ではもっともポピュラーな製品のひとつとして知られている』とのことで、全米で流通している。このたび同社では、食品分野での『エスターC』の登録商標を取得。事実上独占販売が可能となった。代表取締役の…氏は、『米国の有名ブランドなので、取得できたことは大きな意味がある』とコメントしている。…」という記事と、「ビタミンCのスーパースター/脂溶性ビタミン『ESTER-C』/(エスタ-Cは弊社の登録商標です)」の見出し下に、「ESTER-C」の文字等が表示されている瓶容器の写真、その下に「(60粒・3,800円)」の表示等がある広告が掲載されている(甲第15号証)。
(6)下部に「06/10/18」の表示のある本件商標の商標権者の提供するインターネット上のホームページのプリントアウトに、瓶容器の中央部の拡大写真とともに「脂溶性ビタミン/エスターC」などの記載と「エスターC」について紹介されている(甲第23号証)。
2 これらの事実を総合すると、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、米国はもちろん、我が国の薬剤、サプリメント及び化粧品の取引者、需要者の間で広く認識され、周知・著名であったとみるのが相当である。
3 そして、本件商標は、前記1のとおり、「ESTER-C」、「エスターシー」の文字からなるのに対し、引用標章は「ESTER-C」、「Ester-C」あるいは「エスターシー」の文字よりなるものであるから、本件商標の「ESTER-C」、「エスターシー」と、引用標章の「ESTER-C」、「エスターシー」とは、同一の構成文字よりなり、「エスターシー」の称呼を共通にする類似の商標というべきものであり、また、本件商標の指定商品「穀物類を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状又はカプセル入りの加工食品」は、引用標章が使用されている「薬剤、サプリメント」と同一又は類似の商品ということができる。 さらに、前記したとおり引用標章が「薬剤、サプリメント」に使用され、本件商標の登録出願前より米国はもちろん、我が国においても周知・著名であったこと、「ESTER-C」、「エスターシー」の語が一般に知られた既成語とはいえないものであること、本件商標の指定商品「穀物類を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状又はカプセル入りの加工食品」は「薬剤、サプリメント」と生産者、販売場所、需要者を共通にし、かつ、近時の大型ドラッグストア等においては、医薬品、健康食品(サプリメント)、化粧品等が同一店舗内にて普通に販売されていること等を総合すると、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものであったといわなければならない。
4 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当であって、本件登録は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-06-05 
出願番号 商願2004-114131(T2004-114131) 
審決分類 T 1 651・ 25- Z (Y30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 福島 昇藤平 良二藤村 浩二 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川きみえ
石田 清
登録日 2006-05-19 
登録番号 商標登録第4952891号(T4952891) 
権利者 株式会社ヒロエンタープライズ
商標の称呼 エスターシー、エスターシイ、エスター、エステル 
代理人 佐藤 明子 

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