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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 003
管理番号 1162487 
審判番号 取消2006-30202 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-02-14 
確定日 2007-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4167659号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4167659号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4167659号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年11月5日に登録出願、第3類「一般クリーム,乳液類」を指定商品として、同10年7月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。

1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者によって指定商品について使用された事実がない。また、専用使用権者又は通常使用権者も存在しない。さらに、本件商標が使用されないことについて正当な理由もないと思われるので、本件商標の商標登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の要点
(1)本件不使用取消審判請求の経緯について
請求人は、平成17年5月11日付けで、第3類に属する商品を指定商品として、商標「SURYA」について、商標登録出願を行った。同時に、調査の結果、本件商標が過去三年間以上日本国内において使用されていないものと確信し、本件審判を請求した。
(2)商標の態様について
本件商標は、若干変形した「Surya」の英文字と「スーリアμ」の文字から構成されている。「スーリアμ」部分は「Surya」より小さい文字で書かれており、また、英文字「y」の下に延びた部分の下端と高さを同じくして配置されていることから、「スーリアμ」部分が「Surya」の内側に入り込んでいるとの印象を与えるものであり、本件商標は、両者が密接な関係を有する、一体不可分の態様となっている(甲第1号証)。
これに対して、被請求人が、通常使用権者が使用していると主張する商標(以下「使用商標」という。)は、カタカナ「スーリヤ」から構成されるものか、英文字「SURYA」から構成されている。
両者を比較すると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえるものではない。したがって、被請求人が主張する、使用権者による商標の使用は、本件商標の使用には該当しない。
(3)使用権者について
被請求人は、「平成17年6月1日より、ナジャペレーネ株式会社との間で商標使用許諾契約を結んでいる」と述べているが、ナジャペレーネ株式会社(以下「ナジャペレーネ社」という。)は、請求人との間で、請求人の製品である「スーリヤヘナクリーム」等の販売に関する代理店契約を結んでおり、これらの製品を日本国内において販売している(甲第2号証ないし甲第5号証)。
ナジャペレーネ社は、請求人の代理店でありながら、請求人に何ら了承を得ることなく、請求人の製品を販売する目的で、被請求人との間で商標使用許諾契約を結んでおり、この行為は請求人の商標権の取得に先んじて自己の利益を保全するためのものと考えられ、適正なものではない。
なお、請求人は、ヘナを原材料とした髪染用クリーム、シャンプー、コンディショナー等を「SURYA」の商標を附して全世界的に販売しており(甲第6号証)、この商標は、請求人の製品を表示する商標として世界的に周知である。
(4)指定商品についての使用について
被請求人は、使用権者であるナジャペレーネ社が「スーリヤ」の名称にて商品販売の実績を有している、と述べているが、ナジャペレーネ社が販売している商品は、上述のとおり、「ヘアケア製品」である。
しかしながら、本件審判請求に係る指定商品は、「一般クリーム」及び「乳液類」であり、被請求人及び/又は使用権者は、本件審判請求に係る指定商品のいずれについても本件商標を使用しているものではない。
また、被請求人と使用権者との間の使用許諾契約には、「その指定商品中『ヘアケア類』で使用を許諾する」と記載されているが、本件商標に係る指定商品は、「一般クリーム」及び「乳液類」であり、「ヘアケア類」なる商品は含まれていない。したがって、被請求人はそもそも自己の登録商標の権利範囲に含まれない商品について、ナジャペレーネ社に使用許諾を与えているものであり、この契約そのものが商標法(第25条及び第31条)に規定する使用許諾には該当しない。
上記事実より、被請求人の「被請求人との契約による通常使用権者が存在し、本件審判請求日より3ケ月以前の使用実績がある」との主張は、商標法第50条第2項に規定する「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求にかかる指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていること」の証明には該当しない。
(5)不使用の正当理由について
被請求人が本件商標を使用していないことについて十分な理由であるとしている、販売先である株式会社オノジュウ(以下「オノジュウ社」という。)が民事再生法の適用を受けたこと、及び、商品イメージの回復の待機は、商標法第50条第2項但し書に規定する「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」には該当しない。
(6)まとめ
上述のとおり、被請求人は平成13年に商品の製造販売を取り止めており、本件審判が請求された同18年2月14日の時点において、既に、継続して三年以上の期間が経過している。また、被請求人が主張する商標の使用は、商標権者及び/又は使用者が指定商品について本件商標を使用するものではなく、本件審判請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明したものとも認められない。
さらに、指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由もない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものであることは明らかである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)通常使用権者による使用
被請求人は、平成17年6月1日より、ナジャペレーネ社との間で商標使用許諾契約を結んでおり、商標使用料の支払いを受けている(乙第1号証、乙第2号証及び乙第10号証)。そして、現にナジャペレーネ社において「スーリヤ」の名称にて商品販売の実績を有している(乙第3号証)。
(2)商標権者(被請求人)が現在本件商標を使用していない経緯
被請求人は、平成8年8月14日より「ビューティークリニック びねん」の名称にて化粧品製造業の許可を受け、同月19日にスーリアμの製造届書を広島県に提出の上、スーリアμ他を製造、オノジュウ社を通じて販売していた(乙第4号証ないし乙第7号証)。
その後、平成13年のオノジュウ社の民事再生に伴い、商品の名称について、イメージの悪化という状態が発生し、スーリアμを含め該当商品の製造を取り止めた。以降、被請求人は、継続して、オノジュウ社から債権の返還を受けている現状(乙第8号証ないし乙第10号証)で、商品イメージは、未だ回復に至ってない。
このような理由により、商品イメージの回復を待つため、被請求人は現在、本件商標を使用した商品の製造を行っていない。
(3)まとめ
以上より、本件商標には被請求人との契約による通常使用権者が存在し、本件審判請求日より3ケ月以前の使用実績がある。かつ、被請求人が現在本件商標を使用していないことについての十分な理由も存在するため、被請求人は本件商標を継続して使用する権利を有している。

第4 当審の判断
1 通常使用権者による本件商標の使用について
(1)被請求人は、通常使用権者が本件商標を使用している旨主張し、その立証証拠として、乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第10号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証は、被請求人と通常使用権者との間の本件商標使用許諾契約書の写しと認められるところ、該契約書において本件商標の使用の許諾がされている商品は「ヘアケア類」であり(第1条)、また、通常使用権者が使用しているとする商品も「ヘナクリーム」もしくは「ヘナパウダー」(乙第2号証)という、頭髪用染料(ヘアカラー)、あるいは、シャンプー、コンディショナーであるが、これらの商品は、いずれも、本件商標の指定商品である第3類「一般クリーム,乳液類」とは、相違するものというべきである。
(2)更に、上記証拠において、通常使用権者が使用しているとする商標は、普通に用いられる方法で書された「スーリア」の片仮名文字及び「SURIYA」が、それぞれ独立して表記されているものである(乙第3号証)のに対し、本件商標は別掲のとおり、若干変形した「Surya」の欧文字を大きく横書きし、その「ur」の文字部分の下に「スーリアμ」と小さく表し、該文字が恰も「Surya」の文字の内側に入り込んでいるような印象を与える形で構成されている点に特徴を有するものである。
そして、両商標のかかる構成の相違を考慮すれば、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であるとは、言い得ないものである。
その他、通常使用権者が、本件商標をその指定商品について使用していることを認めるに足る証拠はない。
(3)してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、通常使用権者によってその指定商品について使用されているということはできない。
2 被請求人による本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る乙第4号証ないし乙第7号証によれば、被請求人は、平成8年8月14日より「ビューティークリニック びねん」の製造所名称で、広島県知事より化粧品製造業の許可を受け、同月19日に、「スーリアμ」を販売名とする「一般クリーム・乳液」について製造届書を同知事に提出したこと、また、平成9年3月12日から同11年12月16日まで、計4回、オノジュウ社に「スーリアμ」及び「スーリアμフェイス」の品名の商品を納品していることが認められる。
しかしながら、上記納品書(乙第7号証)には、納品された商品の内容及び納入者に関する記載がないため、これら証拠のみをもって、被請求人が本件商標をその指定商品に使用したことを十分に証明したものということはできない。
加えて、乙第6号証は、商品の包装容器及び包装箱の写真であり、包装箱には本件商標と社会通念上同一と認められる「Surya」の欧文字と「スーリアμ」の文字を二段に書してなる商標が付されていることが認められるが、同じく、該包装箱には、微小な文字で「ダイエット健康食品」及び「60錠」といった表示も認められるところであり、その他、商品の内容、製造・販売者名、製造日等に関する明確な表示も見いだし得ないものであるから、これも被請求人の主張を立証するものとしては採用することはできない。
そして、そもそも、これらの証拠は、本件審判の請求の登録前3年以内における事実を証するものでないことは言うまでもないことであり、その他、被請求人が、本件商標をその指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に、使用していることを認めるに足る証拠はない。
してみれば、本件商標は、被請求人によってその指定商品について使用されているということはできない。
(2)次に、被請求人は、平成13年のオノジュウ社の民事再生に伴い、商品の名称について、イメージの悪化という状態が発生し、「スーリアμ」を含め該当商品の製造を取り止め、現在に至るもその商品イメージは未だ回復に至ってないことを理由として、商標法第50条第2項ただし書に規定する「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」に該当すると主張している。
しかしながら、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」があるというには、商標権者において登録商標を使用できなかったことが真にやむを得ないと認められる特別の事情がある場合に限られると解すべきところ(平成17年12月20日知財高裁判決 平成17年(行ケ)第10095号)、被請求人の主張は、オノジュウ社の民事再生と本件商標のイメージ悪化及び本件商標の長期にわたる使用の停止の関係を明確に示しておらず、かかる主張のみでは、それが上記条項に規定する「正当な理由」に該当するものであるということをはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品について使用していることを立証したものとは認められず、かつ、その不使用について、商標法第50条第2項ただし書に規定する「正当な理由」があったと認めることもできない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2007-05-31 
結審通知日 2007-06-06 
審決日 2007-06-19 
出願番号 商願平8-124945 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (003)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 勉 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
青木 博文
登録日 1998-07-17 
登録番号 商標登録第4167659号(T4167659) 
商標の称呼 スーリア、スーリアミュー 
代理人 柏原 三枝子 

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