• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
管理番号 1161034 
異議申立番号 異議2006-90557 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-11-06 
確定日 2007-07-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第4975598号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4975598号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4975598号商標(以下「本件商標」という。)は、「BATEAU MOUCHE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年2月2日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月5日に登録査定、同年8月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)申立人使用商標(標章)の周知・著名性
登録異議申立人コンパニー デ バトー ムーシュ(以下「申立人」という。)は、パリ・セーヌ川の観光遊覧船サービスを営む企業で、クルーズサービスを提供している会社である。申立人のクルーズは創業以来57年間に亘り1億人以上の人々が利用している。会社名でありサービス名(商標)としても使用している 「BATEAUX-MOUCHES」はセーヌ川クルーズの代名詞にもなるほどの著名性を獲得している(甲第2号証及び第6号証)。そして、パリを訪れる日本人は一年平均70万人である(甲第8号証)。したがって、パリを訪れる多くの日本人はパリ観光の代表的アイテムの一つであるセーヌ川クルーズの存在を知っており、その代表的クルーズ会社の会社名であり商標でもある「BATEAUX-MOUCHES」を知っている状況にあると言いえる。因みに、「BATEAUX-MOUCHES」は仏和辞典にも掲載されているほど著名なセーヌ川クルーズの会社名及びサービス名(商標)としても著名である(甲第2号証)。
(2)本件商標と申立人名称及び申立人使用商標(標章)との類似性
本件商標は「BATEAU MOUCHE」からなるのに対し、申立人会社の通称および使用商標(標章)は 「BATEAUX-MOUCHES」である。両商標は、ともに「バト一ムッシュ」と発音し、「BATEAU」及び「BATEAUX」はともに「舟」の意味、「MOUCHE」「MOUCHES」はともに「ハエ(蝿)」の意味を有するフランス語であり、それらの各単語は複数と単数表記の差異のみである。また、「BATEAU MOUCHE」は、本来リヨンのムッシュ地区で建造された平底川舟程の意味を有するものであったが、近時は「セーヌ川の遊覧船」の意味で使用されている語句である(甲第2証及び第3号証)。 また、「BATEAUX-MOUCHES」は申立人の周知・著名なセーヌ川クルーズ(遊覧船)名である(甲第2証及び第6号証)。したがって、両商標は、称呼において同一であり、また、観念において類似又は混同するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性
「BATEAUX-MOUCHES」は、申立人の提供サービスマークとしてフランス国はもとより、日本を含む多くの国の人々に広く認識されている商標である。世界的な商品・サービス・情報などのグローバル化となっている現代社会にあって、周知・著名な商標を目印として商品の購買・サービスの提供を受ける傾向が高まっている。このような状況下にあって、本件のように周知又は著名な商標と殆ど同一な商標が使用されていた場合、たとえ対象となるサービス又は商品が相違していても上述した経済・社会状況の下では、周知・著名な商標と酷似する商標を付した商品又はサービスは、周知・著名な商標の提供者又はその者と何らかの関係がある者の提供に係わる商品又はサービスと理解・認識するというのが相当である。
申立人使用の「BATEAUX-MOUCHES」商標が申立人提供サービスの商標として周知・著名性を獲得している事実は上述の通りであり提出証拠によっても明らかである。また、フランス語独特の綴りである本件商標を採択するのにあたっては辞書・インターネット情報等で確認するのが一般的と云い得ることであるから「BATEAUX-MOUCHES」の存在を出願人は当然知り得たと容易に推測できることである。
したがって、本件商標をその指定商品に採択することは偶然の一致とは到底認めがたく、出願人は本件商標出願に際しフリーライドによる図利目的又はライセンス契約の強要など不正の目的を有していたと推認できるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
申立人は、会社名としてまた提供サービスの商標として「BATEAUX-MOUCHES」を長年にわたり継続使用しており、その標章は世界の人々に周知・著名となっているものである。そして、出願人がその事実を認識していたことは提出の証拠によって十分推認できるところであり、その申立人の商標と殆ど同一の本件商標の権利化を図る出願人の行為は、申立人の商標を剽窃して図利目的のための商標出願といえるものであって、公正な商取引慣習に著しく反するものである。
したがって、かかる出願により登録された商標を指定商品に使用することは社会公共の利益に反し、また、国際信義に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性
「BATEAUX-MOUCHES」は申立人提供のサービスを表象する商標として、わが国を含め多くの国々の人々の間で広く認識されるに至っている商標である。そして、本件商標は、申立人の使用する商標と殆ど同一の類似するものである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、これを指定商品に使用した場合には、当該商品が申立人の提供に係る商品、または、申立人と経済的又は組織的に関連がある者の商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずる商標である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(6)結論
本件商標は、その出願時において、商標法第4条第1項第19号、同第7号及び同第15号に該当していたものであるから、取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)引用商標(標章)の周知・著名性について
申立人は、「BATEAUX-MOUCHES」の商標(標章)が申立人の業務に係るクルーズサービスの提供について使用され、需要者の間に広く認識されていたものであり、また、申立人の商号の略称としても広く知られていたものである旨主張している。しかしながら、申立人が提出している証拠は、クラウン仏和辞典(甲第2号証)、ロワイヤル仏和中辞典(甲第3号証)、旅行ガイドブック(甲第3号証ないし甲第6号証)、申立人クルーズの予約インターネット抜粋写(甲第7号証)、パリ観光統計報告書抜粋(甲第8号証)のみにすぎず、その内容もクラウン仏和辞典に「Bateaux-mouches」が記載されているものの、ロワイヤル仏和中辞典には記載されていないこと、また、旅行ガイドブックに掲載されているのみで、広告宣伝の規模・頻度等が一切不明であること等から、これらの証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、「BATEAUX-MOUCHES」商標(標章)が申立人の業務に係る役務を表示する商標として、または、申立人の商号の略称として我が国または外国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと到底認めることはできない。
その他、引用商標が広く一般に知られていることを認めるに足りる証拠はない。
(2)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
引用商標(標章)は、申立人の業務に係るクルーズサービスの提供について使用され、本件商標の登録出願前より我が国または外国において周知・著名でないこと前記認定のとおりである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、当該商品が申立人の提供に係る商品、または、申立人と経済的又は組織的に関連がある者の商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じさせるおそれはないから、商標法第4条第1項第15号に違反するものではない。また、本件商標権者における「不正の目的」の有無を判断するまでもなく、本件商標は
商標法第4条第1項第19号に違反するものでもない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
引用商標(標章)は、申立人の業務に係るクルーズサービスの提供について使用され、本件商標の登録出願前より我が国または外国において周知・著名でないこと前記認定のとおりである。よって、本件商標は申立人の商標を剽窃して図利目的のための商標出願であって、公正な商取引慣習に著しく反するものであると認められない。
また、本件商標は、構成前記1のとおりであって、その構成自体が矯激、卑隈、差別的な印象を与えるような文字からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとは認められず、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標又は国際信義に反する商標とは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-06-14 
出願番号 商願2006-8231(T2006-8231) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (Y18)
T 1 651・ 271- Y (Y18)
T 1 651・ 22- Y (Y18)
最終処分 維持  
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
津金 純子
登録日 2006-08-04 
登録番号 商標登録第4975598号(T4975598) 
権利者 小泉アパレル株式会社
商標の称呼 バトームーシュ、バトームッシュ 
代理人 坂上 正明 
代理人 北村 修一郎 
代理人 曾我 道照 
代理人 曾我 道治 
代理人 岡田 稔 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ