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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消2007300061 審決 商標
取消200631602 審決 商標
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 006
管理番号 1160721 
審判番号 取消2006-30960 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-08-03 
確定日 2007-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4135438号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4135438号商標の指定商品中、「金属製ねじ、金属製リベット」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4135438号商標(以下、「本件商標」という。)は、「NSグリップ」の文字を横書きしてなり、平成8年12月13日に登録出願、第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製金具,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製包装用容器,金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製セメント製品製造用型枠,キー,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,コッタ,金属製ビット,金属製ボラード,カナ床,金属製締付金具,金網」を指定商品として、平成10年4月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定商品中、「金属製締付金具」に分類される「金属製ねじ、金属製リベット」については継続して3年以上日本国内において使用してない。
また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、また通常使用権者として本件商標を使用しているものも存在しない。
したがって、本件商標は継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、上記商品につき使用されてないものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人は、本件商標登録後、商標権者のニスコ建設株式会社(以下「ニスコ建設」という。)が株式会社エヌエスコンストラクション(以下「エヌエスコンストラクション」という。)に社名変更し、その後、本件商標を株式会社ニスコ(以下「ニスコ」という。)に譲渡し、現商標権者がニスコである旨述べている。しかし、本件商標の商標権移転登録申請書は平成18年10月16日付でされたものであり、この申請日は本件審判事件の予告登録日以降のものである。したがって、商標権者がニスコとなるのは、平成18年10月16日以降であり、本件審判事件の予告登録日以前の商標権者はエヌエスコンストラクション(社名変更日が不明のため、ニスコ建設の場合も)である。本件審判事件の予告登録日以前には、ニスコは商標権者でも、専用使用権者でも、通常使用権者でもないのであり、その上、ニスコが通常使用権を有していることを窺わせるものもまったくない。しかも、被請求人が本件商標について商標権移転登録申請書を提出していることからも明らかなように、ニスコはニスコ建設とはもちろんのこと、エヌエスコンストラクションともまったく別の法人であることも明白である。
これらを総合してみると、ニスコは、本件審判事件の予告登録日以前には本件商標の商標権者でも、専用使用権者でも、通常使用権者でもない上に、商標権者エヌエスコンストラクション(または、ニスコ建設)とはまったく別法人であり、例え、ニスコが本件商標を使用している事実があったとしても、本件商標の一部取消しを免れる根拠にはなり得ない。
イ 仮に、本件審判事件の予告登録日以前に存在していたニスコが本件商標の通常使用権を有していたとしても、被請求人が提示する商標の使用説明書によっては、本件商標の一部取消しは免れ得ない。
まず、乙第1号証には、仮設鋼材挟締金具「NSグリップ」の商品カタログが開示されているが、この商品カタログの使用日が不明である。
また、仮に、この乙第1号証が本件審判事件の予告登録日以前に使用されたものとしても、この乙第1号証を含め、被請求人が提示する乙各号証には本件商標の「NSグリップ」を使用した仮設鋼材挟締金具が開示されているのみである。被請求人は、この挟締金具にボルトが使用されていることから、挟締金具への使用が金属製ネジヘの使用となると誤認したものと推察する。 この誤認を証明するように、乙第1号証の第9頁の特長欄に、金具に使用されるボルトが「NSGボルト」と説明され、同号証第10頁にも「NSグリップ」の製造工程として、NSG本体とNSGボルトの製造工程並びに組み立て工程が説明されている。また、同号証の第12頁および同第13頁にも金具に使用されるボルトに「NSGボルト」を使用していることが開示されている。
さらに、乙第2号証をみると、その第2頁の施工工種名納入品名欄に、挟締金具(NSグリップ)とあることから、「NSグリップ」を挟締金具に使用したことが証明されるにすぎず、金属製ネジについての本件商標の使用を証明するものではない。
しかも、乙第3号証をみると、その第1頁の品名・形状・寸法欄に、NSグリップI-40型とあり、また、乙第4号証の規格欄に、I-55型,90型,130型とあり、これらは、乙第1号証の第12頁から挟締金具の型式名であることは明白である。
よって、仮に乙第1号証が証拠資料となり得たとしても、乙各号証が挟締金具に本件商標を使用したことを証明するにすぎず、被請求人のいう「金属製ネジ」に本件商標を使用したことを証明するものではない。
ウ 以上、被請求人の答弁の理由は、本件審判事件の予告登録日以前には何らの権利も有さない第三者による本件商標の使用を根拠とするもので、到底本件商標の取消しを免れる理由にはなり得ないばかりか、仮に被請求人が提示する乙各号証に係るニスコが何らかの権利を持つものであって、乙各号証が有効としても、乙各号証は挟締金具に本件商標が使用されたことを証明するにすぎず、請求人のいう指定商品「金属製ねじ・金属製リベット」に使用したことを到底証明するものではない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
本件商標の登録後、ニスコ建設は、エヌエスコンストラクンョンと名称を変更した。また、その後、エヌエスコンストラクションは、本件商標を使用する挟締金具を取り扱う「NSG事業部」をニスコに営業譲渡した。したがって、現商標権者はニスコである。
また、現商標権者たるニスコは、本答弁書を提出する前段階として、平成18年10月16日付にて、本件商標権に係る登録名義人表示変更登録申請書及び商標権移転登録申請書を提出している。
現商標権者のニスコは、現在も継続して本件商標を挟締金具(金属製金具)に使用している。
その証拠として、乙第1号証で、NSグリップの商品カタログを提出した。
また、地下鉄第13号線土木工事において使用する商品「NSグリップ」に関する株式会社奥村組からの注文書及び株式会社奥村組への見積書を乙第2号証として提出した。
さらに、地下鉄第13号線及び業平橋工事で使用する「NSグリップ」に関する株式会社奥村組への納品書(控)及び請求書(控)及び株式会社奥村組からの支払い通知を乙第3号証として提出した。
また、山九株式会社が東電姉ケ崎工事で使用する「NSグリップ」のニスコに対する発注書及び返納書、この返納に対するニスコからの引取検収書を乙第4号証として提出した。
また、SCT高速道路で使用する「NSグリップ」に関する新日本製鐵株式会社への出来高報告書兼請求書と新日本製鐵株式会社とニスコとの覚書を第5号証として提出した。
上述のように、本件商標の商標権者は、現在も継続して本件商標を金属製金具に使用している。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 商品カタログ(乙第1号証)によれば、その表紙に、仮設鋼材挟締金具「NSグリップ」の表示があり、下段に「株式会社ニスコ」の記載がある。
同12頁には、「NSグリップの仕様一覧」として、8つの型が掲載されており、鋼材を挟む本体部を1つないし3つのボルトによって締め付ける構造のものであることが示されている。そして、同頁の下段には、「NSGボルト」として、上記に用いるボルトの写真及び寸法等が掲載されている。
同14頁には、「NSグリップの取り扱い上の注意」が掲載されており、その最上部の欄には、「NSGボルトは先端部が鋼材に食い込むことで威力を発揮します。」「NSGボルトに替えて普通のボルトを使用することは絶対にさけて下さい。」「当社製品にはNSGのマークが入っています。」との記載がある。
また、下段の欄には、「NSグリップは、取付けに際し、鋼材の先端がNSG本体の一番奥に接するように取付けてからNSGボルトを締め付けて下さい。」との記載がある。
イ 注文書及び納品書等(乙第2号証及び同第3号証)によれば、ニスコが、株式会社奥村組から平成17年6月6日に注文を受け、同年12月31日に「NSグリップ」を納品したことが認められる。
ウ 発注書及び返納(要請)書(乙第4号証)によれば、ニスコに対して、山九株式会社から平成17年11月30日に「NSグリップ」についての注文があったこと、同年12月12日に「NSグリップ」の返納がされたことが認められる。
エ 出来高報告書兼請求書及び覚書(乙第5号証)によれば、ニスコと新日本製鐵株式会社との間で、平成17年4月13日に、「NSグリップ」の取引について合意がされ、同18年6月分として、ニスコから前記会社へ「NSグリップ」の納品をしたことが認められる。
オ これらによれば、ニスコは、本件審判請求の登録前3年以内の時期に、本件商標と社会通念上同一のものと認め得る商標を表示した商品(挟締金具)について、現に取引を行ったと推認されるものである。
カ その一方で、ニスコに本件商標権の移転登録がなされたのは、本件審判請求の予告登録後の平成18年10月27日であり、また、予告登録前に前権利者(株式会社エヌエスコンストラクション)の専用使用権者又は通常使用権者であったことを窺わせる証左は、見出せないものである。
(2)ところで、商標法第50条第1項に基づく取消審判の請求があったときは、被請求人が、その取消請求に係る指定商品について、当該登録商標の使用をしたことを証明するか、あるいは、不使用について正当な理由があることを明らかにしない限り、当該指定商品に係る商標登録の取消しを免れないものである(同条第2項)。
そして、本件審判において、請求人が、本件商標の指定商品中「金属製ネジ及び金属リベット」について商標登録の取消を求めていることは、請求書の記載に照らし明らかである。
(3)「ネジ」は、物をしめつけるための螺旋状の溝のあるもの(広辞苑2064頁参照)であり、「リベット」は、ボルトの軸部にねじのないもの(商品大辞典111頁参照)であるから、「金属製ネジ」及び「金属リベット」は、いずれも前記のネジあるいはリベットで金属製のものを指称すると解されるところ、上記(1)において、ニスコが本件商標の使用をしたと認められる商品は、被請求人提出の証拠によれば、鋼材をボルトを用いて締め付ける「挟締金具」であるとするのが相当である。
そして、当該商品は、金属製金具、あるいは金属製締付金具の一に該当するものであるとしても、乙第1号証に示されたその仕様等によれば、ボルトを用いる構造ではあるけれども、ボルトそのものでもなく、「金属製ネジ」及び「金属リベット」に属すべき商品とは認められないと判断すべきものである。
なお、上記「挟締金具」に用いられるボルトについては、「NSGボルト」と表示するものであり、これは本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであるから、ボルトに本件商標が使用をされているとはいえない。
(4)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、「金属製ネジ」及び「金属リベット」のいずれについても使用をされていたとは認められず、また、他にこれを認め得る証拠はく、さらに、その不使用についての正当な理由に関する主張及び立証はない。
加えて、前述のとおり、被請求人が本件審判請求の予告登録前に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者であったことを窺わせる証左も見出せないものである。
したがって、本件商標は、取消請求に係る指定商品「金属製ネジ及び金属リベット」について、継続して3年以上日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をしていないものに該当するといわざるを得ないから、商標法第50条により、その登録の取消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-04-17 
結審通知日 2007-04-20 
審決日 2007-05-10 
出願番号 商願平8-141000 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (006)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 久我 敬史
鈴木 新五
登録日 1998-04-10 
登録番号 商標登録第4135438号(T4135438) 
商標の称呼 エヌエスグリップ 
代理人 久門 享 
代理人 久門 知 
代理人 久門 保子 

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