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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2007300159 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 001
管理番号 1160710 
審判番号 取消2006-30417 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-04-05 
確定日 2007-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4392217号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4392217号商標(以下「本件商標」という。)は、「STRUCTURE」の欧文字と「ストラクチャー」の片仮名文字とを二段に書してなり、平成9年1月14日に登録出願、第1類「化学品,原料プラスチック,工業用粉類,高級脂肪酸」を指定商品として、同12年6月16日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品中、『化学品、原料プラスチック』の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
被請求人は、本件商標を日本国内において、その指定商品中「化学品,原料プラスチック」について継続して3年以上使用しておらず、また現在も使用していない。
また、本件商標は、専用使用権者若しくは通常使用権者の登録もなく、使用権者による使用も何ら存在しない(甲第1号証及び甲第2号証)。
さらに、本件商標は、不使用についての正当な理由も存在しない。
よって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「化学品,原料プラスチック」についての登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標権者であるナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレーションの通常使用権者である日本エヌエスシー株式会社により、アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤につき、継続して使用されてきた商標であって、「粘性調整剤」は、取消審判の請求に係る指定商品中「化学品」の範疇に属する商品であると思料するので、以下にその使用状況につき説明する。
まず、乙第1号証として、日本エヌエスシー株式会社により作成され顧客に頒布されている「STRUCTURE 2001 and 3001」(「STRUCTURE」の文字の後に「○」内に「R」記号(以下「登録商標記号」という。)が付されている。)に係るパンフレット写しを提出する。当該パンフレット自体は、2001年に作成されたものであるが、「STRUCTURE」の文字の後に付されている登録商標記号より、「STRUCTURE」の欧文字が商標として表示されており、一方、「STRUCTURE」商標に係る商品が「アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤」又は「増粘剤」(以下「本件使用商品」という。)であることが記載されている。
このパンフレット写しの記載によれば、本件使用商品は、染毛剤やパーマネントウェーブ剤、脱毛剤、ヘカラーなどの粘性調整のために、そうした各種製品に混合される商品である。
「粘性調整剤」の表示は、「類似商品・役務審査基準」に記載されている標準的な表示ではないが、特許電子図書館の商品・役務名リストには、「インキ・塗料製造用増粘剤」、「プラスチック成形のために用いられる化学増粘剤」、「食品増粘剤」等の各種の「増粘剤」の表示が掲載されており、いずれの増粘剤にも01A01の類似群コードが付されている(乙第2号証)。したがって、上記パンフレットに記載されている本件使用商品もまた増粘剤であるから、本件使用商品は、明らかに第1類「化学品」の範疇に属する商品である。
また、乙第1号証に記載されている「STRUCTURE」の文字は、本件商標の英文字部分と同一である。本件商標の仮名文字部分の「ストラクチャー」は、英文字部分の「STRUCTURE」の読みに相当するものであり同一の観念を生ずるものである。したがって、乙第1号証に記載されている「STRUCTURE」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
次に、乙第3号証及び乙第4号証として、上記商品及び商標に係る注文書及び請求書写しを提出する。「注文書」と題されている乙第3号証の1は、株式会社マツモト交商が日本エヌエスシー株式会社宛に商品「ストラクチャー」を注文した注文書に、当該注文書の受取人である日本エヌエスシー株式会社が当該商品の出荷予定日の6月29日を意味する「6/29」及び受注番号である「654566」を「備考欄」の空欄にメモ書きして、注文者である株式会社マツモト交商宛に返信したものの控え書類写しである。
上記書類の右上に、「17.06.24 15:24:08」と記載されていることから、注文書の送付時が、平成17年6月24日15時24分8秒であること、当該書類の右下に「FAX受信連絡2005年6月28日 日本エヌエスシー株式会社」とゴム版で記されていることから、受注者である日本エヌエスシー株式会社が、「ストラクチャー」商品に係る注文を、2005年6月28日に受注したことがみてとれる。
そして、「請求書」と題されている乙第3号証の2は、日本エヌエスシー株式会社が、株式会社マツモト交商宛に、2005年6月30日付けで発送した請求書である。当該請求書中、請求明細の下から2行目は、受注日として「2005/6/28」、受注No.として「654566」、出荷日として「2005/6/29」が記載されているので、これが乙第3号証の1の注文書に対応して、商品を販売し、その代金を請求したものである。
したがって、乙第3号証より、「STRUCTURE/ストラクチャー」商標に係る商品が、本件審判の請求の登録前3年以内の期間中である2005年6月28日に受注され、6月29日に納品され、6月30日付けで当該商品に係る代金が請求されたことは明白である。
乙第4号証は、乙第3号証と同様、本件使用商品に係る「注文書」と「請求書」の組み合わせである。
乙第5号証は、乙第3号証及び乙第4号証の受注者である株式会社マツモト交商のウェブサイトから入手した同社の会社住所に係るウェブページのプリントアウトである。これより、受注者である株式会社マツモト交商が確かに存在する法人であることを証明する。
ちなみに、本件使用商品の販売は、2005年及び2006年のみならず、本件商標の登録以来継続して行われてきたものである。そこで参考までに、2001年及び2002年に発行された本件使用商品に係る請求書写しも、乙第6号証として提出する。
乙第7号証は、本件使用商品に係るラベル見本写しである。これには「STRUCTURE」の欧文字が顕著に表されている。
以上の乙各号証より、本件商標と実質的に同一の「STRUCTURE」又は「ストラクチャー」の商標に係る本件使用商品が、本件審判の請求の予告登録前3年の期間中に受注販売されていたことは明白である。
次に、商標権者と通常使用権者である日本エヌエスシー株式会社との関係を説明する。まず、商標権者は、米国ニュージャージー州に本社を置くナショナルスターチアンドケミカル社(National Starch and Chemical Co.)が使用又は実施する全ての工業所有権を管理・維持するために設立された法人である。
ナショナルスターチアンドケミカル社は、食生活材、機能性材料、建築材料、生活産業材などの各種の商品につき、全世界で事業を展開するNSCグループの本社であって、現在はICI社の傘下となっている。
資本関係からすれば、商標権者は、ニュージャージー州に所在するIndopco,Inc.の子会社であり、Indopco,Inc.は、Ergon Investments International Limitedが所有する ICI American Holdings Inc.の子会社である。
他方、通常使用権者は、上記Ergon Investments International Limitedが所有するICI Japan Holdings B.V.の100%子会社である(乙第8号証)。ちなみに、Ergon Investments International Limitedは、ICI社(ICI plc)の子会社である。
つまりは、資本関係からすれば、通常使用権者と、商標権者とでは、ICI社を頂点とする曾孫会社同士の関係となっている。
ただ、上記のような複雑な資本関係は外部からすれば無縁な話であり、世間一般的には、日本エヌエスシー株式会社のウェブサイトにおいて説明されているとおり(乙第9号証)、「日本エヌエスシー株式会社は、米国ニュージャージー州に本社を置くナショナルスターチアンドケミカル社(National Starch and Chemlcal Co.)の日本におけるグループ会社」として認識されている。
そして、元々、商標権者は、米国ニュージャージー州に本社を置くナショナルスターチアンドケミカル社(National Starch and Chemical Co.)を頂点とするNSCグループが使用する一切の商標権を維持管理するために設立された法人であることからすれば、NSCグループに所属する各法人は、グループ会社の一員として当然に商標権者名義で権利取得された商標を使用する権利を許諾されている関係にある。
以上のとおり、本件商標と社会通念上実質的に同一の「ストラクチャー」及び「STRUCTURE」は、本件商標の登録以来継続して、「化学品」の範疇に属する本件使用商品につき、通常使用権者である日本エヌエスシー株式会社によって使用されてきたものである。
してみれば、本件商標が今日に至るまで継続して3年以上日本国内において「化学品,原料プラスチック」のいずれの商品についても使用されていないという請求人の主張は全くの失当である。

第4 当審の判断
1 乙各号証について
(1)乙第1号証は、第1頁の右上に「日本エヌエスシー株式会社」の表示と、「STRUCTURE 2001 and 3001」(「STRUCTURE」の文字の後に「登録商標記号」が付されている。)の表題のある商品パンフレット写しと認められるところ、該登録商標記号が付されている「STRUCTURE」の文字は、本件商標の上段の「STRUCTURE」の欧文字と同一綴り字で構成されており、本件商標の下段の「ストラクチャー」の仮名文字部分はその読みに相当するものといえるものであるから、乙第1号証に記載されている「STRUCTURE」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえるものである。
また、該パンフレット写し中に、商品に関する記述として、「アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤」又は「増粘剤」であって、染毛剤やパーマネントウェーブ剤、脱毛剤、ヘアカラーなどの粘性調整のために、各種製品に混合される商品である旨の記載が認められ、これらの商品に関する説明表示と、乙第2号証に「化学品」の範疇に属する商品として挙げられている、「インキ・塗料製造用増粘剤」、「プラスチック成形のために用いられる化学増粘剤」、「食品増粘剤」等の各種の「増粘剤」の商品表示としての採用例、さらに、「商品及び役務の区分解説(特許庁商標課編)」の第1類の「化学品」に関する解説よりすると、被請求人の使用している「アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤」又は「増粘剤」は、本件商標の指定商品中「化学品」の範疇に属する商品というのが相当である。
(2)乙第3号証及び乙第4号証は、商品の注文書及び請求書の写しであるところ、乙第3号証の1は、株式会社マツモト交商が日本エヌエスシー株式会社宛への注文書と認められるものであり、その商品名の欄に「ストラクチャー」の表示、また、「備考欄」の空欄に06/29、654566のメモ書きが認められ、これに対応したものと推認さられる乙第3号証の2の日本エヌエスシー株式会社が株式会社マツモト交商宛への請求書に、出荷日の欄に「2005/06/29」、「受注NO.」の欄に「654566」の表示が認められる。
また、乙第4号証及び乙第6号証は、乙第3号証と同様、本件使用商品に係る「注文書」と「請求書」の組み合わせと認められる。
(3)乙第8号証及び乙第9号証よりすると、日本エヌエスシー株式会社は、商標権者であるナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレーショとでは、ICI社を頂点とする曾孫会社同士の関係と認められるものである。
2 上記乙各号証を総合すれば、被請求人の通常使用権者と認められる日本エヌエスシー株式会社が、本件商標と社会通念上同一と認められる「STRUCTURE」の文字からなる商標を本件の指定商品中「化学品」の範疇に属する商品「アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤」について、少なくとも2005年6月29日に使用していたと認め得るところである。
そして、請求人は、前記第3の被請求人の答弁に対し、何等弁駁するところがない。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「アクリル樹脂系エマルジョン型粘性調整剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、「化学品,原料プラスチック」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-01-23 
結審通知日 2007-01-26 
審決日 2007-02-07 
出願番号 商願平9-2136 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (001)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 幸一赤星 直昭大橋 信彦 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 石田 清
山本 良廣
登録日 2000-06-16 
登録番号 商標登録第4392217号(T4392217) 
商標の称呼 ストラクチャー 
代理人 中里 浩一 
代理人 神林 恵美子 
代理人 武田 正彦 
代理人 川崎 仁 
代理人 滝口 昌司 

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