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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y09
審判 全部申立て  登録を維持 Y09
審判 全部申立て  登録を維持 Y09
審判 全部申立て  登録を維持 Y09
管理番号 1159128 
異議申立番号 異議2006-90571 
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-11-06 
確定日 2007-06-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第4977416号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4977416号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4977416号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成15年12月12日に登録出願、第9類「給食システムに関するプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子出版物」を指定商品として同18年8月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和63年8月4日に登録出願、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として平成6年9月30日に設定登録され、その後、同16年4月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年3月30日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする書換登録がされている登録第2694460号のほか、これと同一の構成からなる登録第4157386号、同第1196921号、同第1499855号、同第1636681号、同第1663111号、同第1838770号、同第1892585号、同第1893736号、同第1893754号、同第2363729号、同第3043178号、同第3331871号及び同第4611583号、「adidas」の文字からなる登録第526914号、同第879215号及び同第1231281号並びに「アディダス」の文字からなる登録第2199878号、同第2671516号、同第2695086号、同第4033362号及び同第4037240号の各商標である。
以下、これらを一括して「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、引用商標中の登録第2694460号商標(以下「引用商標1」という。)及び同第4157386号商標(以下「引用商標2」という。)と類似し、かつ、引用商標1及び2に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時には取引者、需要者間に広く認識されていたものであり、本件商標は、引用商標と類似するものであって、その指定商品の需要者には一般消費者も多く含まれることから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標は、申立人の周知著名な引用商標と類似するものであり、申立人と何らの関係を有しない商標権者によってその指定商品に使用されると、引用商標の出所表示機能が希釈化され、そのブランドの財産的価値が毀損され、申立人は経済的・精神的な損害を被るおそれがある。また、商標権者は引用商標の著名性について認識しながら本件商標を登録出願したものと推認され、本件商標は不正の目的をもって使用するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)本件商標は、申立人の著名商標の名声、顧客吸引力にフリーライドし、その出所表示機能を希釈化するものであり、その登録及び使用は、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神に反し、国際信義に反するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、それぞれに黒い輪郭線で縁取りし色彩を付して大きく顕著に表された文字部分は、かなり図案化されているものの、その右上に小さく書された「アジダス」の文字と相俟って、「Aji・DAS」の文字を表現したものと容易に認識し理解されるものである。そして、これらの文字自体は、親しまれた観念を有する成語を表したものとは認められないから、本件商標は、全体として特定の既成観念を有しない一種の造語からなるものというのが相当であり、上記文字に相応した「アジダス」の称呼を生ずるものといえる。
他方、引用商標1及び2は、別掲(2)のとおり、やや図案化された「adidas」の文字からなるところ、申立人の提出に係る証拠によれば、申立人がスポーツ用品について使用する商標として、「アディダス」と称呼されて世界的に周知著名となっているものといい得るものであり、これよりは「アディダス」の称呼を生ずると共に、スポーツ用品の製造販売会社として著名な申立人「アディダス社」の観念を想起せしめるものというべきである。このことは、本件商標の指定商品に係る取引者、需要者の間にあってもいえる。
しかして、本件商標から生ずる「アジダス」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「アディダス」の称呼とは、同音数からなり、第2音が「ジ」と「ディ」と相違するのみであるから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感音調がかなり近似したものとなることは否めない。
しかしながら、本件商標と引用商標1及び2とは、上記のとおり、外観において明らかに相違し、それぞれの全体から受ける印象が極めて異なるものであり、また、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標1及び2はスポーツ用品の製造販売会社として世界的に知られた著名な「アディダス社」の観念を生ずるものであるから、両商標は観念においても明らかな差異を有するものである。
ところで、商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用される商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。また、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、前記3点のうちその1において類似するものでも、他の2点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない(最高裁第三小法廷、昭和43年2月27日判決参照)。
これを本件についてみるに、上記のとおり、本件商標と引用商標1及び2とは称呼において近似するところがあるとしても、外観及び観念において著しく相違しており、両商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、また、本件商標の指定商品の取引実情等に鑑みると、互いに誤認混同するおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、申立人がスポーツ用品について使用する商標として取引者、需要者間に広く認識されているものといえるが、引用商標は上記(1)にいう引用商標1及び2を含むものであり、本件商標と引用商標1及び2とは、上記(1)のとおり、相紛れることのない非類似の商標であって、別異のものである。そして、このことは他の引用商標についても同様にいえるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
申立人は、本件商標に接する取引者、需要者は、著名な引用商標に依拠し、これを真似し、もじったパロディとして認識理解するおそれが高く、本件商標は引用商標の著名性にフリーライドしその出所表示力を希釈化するものである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、その指定商品「給食システムに関するプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」との関係からすれば、「Aji・DAS」の表記は、当該プログラムの内容たる「給食」との関連で「味・出す」に通ずるといえなくもないのであって、引用商標に依拠したパロディであるとか、引用商標の著名性にフリーライドするものとまではいえず、むしろ引用商標とは全く別異のものとして認識し把握され、引用商標を連想、想起するようなことはないとみるのが自然であるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記のとおり、引用商標とは類似しない別異のものであり、その指定商品に使用しても、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはなく、出所の誤認混同を生ずるおそれもないものであるから、仮に本件商標の商標権者が引用商標の周知著名性について認識していながら本件商標を登録出願したものであるとしても、それをもって直ちに不正の目的により使用をするものであるということはできない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記のとおり、引用商標とは類似しない別異のものであって、引用商標のパロディと看者に直感させることもなく、引用商標の名声、顧客吸引力にフリーライドしたり、その出所表示力を希釈化するものともいい難いのみならず、本件商標の登録及び使用が社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものでもなく、公正な取引秩序を害したり、国際信義に反するものともいえない。また、本件商標の構成自体は、きょう激、卑わい、差別的もしくは他人に不快な印象を与えるようなものではなく、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるものとはいえない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲

(1)本件商標





(2)引用商標1及び2


異議決定日 2007-06-05 
出願番号 商願2003-110766(T2003-110766) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (Y09)
T 1 651・ 26- Y (Y09)
T 1 651・ 22- Y (Y09)
T 1 651・ 271- Y (Y09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄木住野 勝也 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川 きみえ
石田 清
登録日 2006-08-11 
登録番号 商標登録第4977416号(T4977416) 
権利者 株式会社富士マルコス
商標の称呼 アジダス 
代理人 柳田 征史 
代理人 青木 篤 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 

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