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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y0928 |
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管理番号 | 1159086 |
異議申立番号 | 異議2005-90534 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2005-10-07 |
確定日 | 2007-05-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4878479号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4878479号商標の登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4878479号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATARI」の欧文字と「アタリ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成15年6月13日に登録出願、第9類「スロットマシン」及び第28類「パチンコ器具・その他の遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定商品として、同17年7月8日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由の要点 1 引用商標 登録異議申立人「アタリ インタラクティブ インコーポレイテッド」(以下「申立人」という。なお、申立人は、企業形態に幾度かの変遷を経て現在に至っているが、前身の企業をも含めて「申立人」と総称する。)が引用する登録第1628239号商標は、「ATARI」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年7月12日に登録出願、第24類「家庭用テレビゲームおもちや、その他本類に属する商品」を指定商品として、同58年10月27日に設定登録され、その後、平成6年6月29日及び同15年10月28日の2回にわたって商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、同17年5月23日に指定商品中「遊戯用器具、ビリヤード用具」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消す旨の商標権一部取消し審判の確定登録がされ、かつ第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用ビデオゲームおもちゃ,家庭用ビデオゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた記録媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムカセット,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及び第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,液晶画面付き電子ゲームおもちゃ,おもちゃ」を指定商品とする書換の登録が同18年2月15日にされたものである。 同じく登録第2623464号商標は、「ATARI」の欧文字を横書きしてなり、平成3年6月20日に登録出願、第11類「電子計算機〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む)〕その他の電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同6年2月28日に設定登録され、その後、同16年2月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、第9類「電子計算機〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープを含む)〕,その他の電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,磁心,抵抗線,電極」を指定商品とする書換の登録が同18年2月1日にされたものである。 同じく登録第2663784号商標は、「アタリ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成3年6月20日に登録出願、第11類「電子計算機〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープを含む)〕その他の電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同6年5月31日に設定登録され、その後、同16年5月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、第9類「電子計算機〔中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープを含む)〕,その他の電子応用機械器具,配電用又は制御用の機械器具」を指定商品とする書換の登録が同18年4月12日にされたものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。 2 商標法第4条第1項第15号 本件商標は、申立人の商標として世界的に周知・著名な引用商標と類似の商標であるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、該商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 3 商標法第4条第1項第19号 本件商標は、申立人の世界的に周知・著名な引用商標と類似の商標であり、申立人と何等の関係も持たない第3者の本件商標の使用がその名声の毀損等を招くことは必定であるから、客観的には不正の目的をもって使用をするために出願したものといわざるを得ないものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 4 商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、申立人がその商品について使用する、未登録周知商標と類似する。引用商標は、本件商標の登録出願時において、申立人の商品を表示する商標として、日本においても需要者の間に広く認識され、周知となっている。そして、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似する。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 5 申立人は、証拠方法として、甲第1ないし第472号証(枝番を含む。)を提出している。 第3 本件商標に対する取消理由 当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成18年7月6日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。 1 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)申立人は、世界各国において、「ATARI」の欧文字からなる商標を数多く登録しているばかりでなく、我が国においても、「家庭用テレビゲームおもちゃ」あるいは「電子計算機」等を指定商品とする「ATARI」の欧文字からなる商標や「アタリ」の片仮名文字からなる商標(登録第1628239号商標、登録第2623464号商標、登録第2663784号商標)を所有している(甲第131及び第467ないし第469号証)。 (2)申立人は、1972年6月に、ノーラン・ブッシュネルにより設立された「ATARI Incorporated.」により始まり、世界初の業務用ゲーム機「Computer Space」に続き開発されたピンポンをビデオゲーム化した業務用ゲーム機「PONG」を発売し、これが大ヒットとなり、これによりビデオゲームの歴史が始まったともいわれている(甲第2ないし第10号証)。 1977年には、現在の家庭用テレビゲーム機の原型となる「ATARI VCS」を発売、全米で2500万台を販売し、当時のアメリカの家庭の三軒に一軒が購入した計算になる程のヒット商品となり、これは、その後の任天堂のファミリーコンピュータやスーパーファミコン、ソニーのプレイステーション等の家庭用ゲーム機における基本スタイルを形作ったものである(甲第13ないし第18号証)。 (3)1982年には、ソフトメーカーの乱立等により、いわゆる「アタリ ショック」が到来し、申立人の業績は急速に悪化したが、事業の分離・売却、吸収などにより、引き続きゲーム機及びソフトの開発・販売は継続され、1989年には、申立人は、世界初のカラー液晶画面式携帯用ゲーム機「LYNX」を開発し(甲第24ないし第26号証)、2002年には、アメリカにおいて、携帯電話機メーカーと提携して、携帯電話向けに「ATARI」の名作ゲームの世界的な配信を開始した(甲第30ないし第32号証)。 (4)申立人は、1999年及び2003年等に開催された世界最大のゲーム見本市「Electronics Entertainment Expo」において、「ATARI」を家庭用ゲームレーベルとして、再び大々的に使用することを発表するとともに、「PONG」や「ミサイルコマンド」等のゲームを「プレイステーション」や「NINTENDO64」用ソフトとして発売し(甲第5号証)、「ENTER THE MATRIX」等多くのゲームソフト作品を展示した(甲第50ないし第53号証)。 (5)申立人は、我が国においても、1977年末には、家庭用テレビゲーム機「ATARI VCS」の販売を同機種用のゲームソフトとともに開始しており(甲第19ないし第22号証)、1990年には、カラー液晶画面式携帯用ゲーム機「LYNX」の販売も行っている(甲第24ないし第26号証)。 また、「ATARI」の業務用ゲームを今のコンピュータ上で実行する為の変換・移植用ソフトも多数販売されており(甲第54ないし第58号証)、2001年には、往年の「ATARI」の名作ゲームを集めたゲーム集「アタリ アーケードヒッツ」の1及び2が相次いで発売された(甲第61及び第62号証)。2002年12月には、任天堂のゲームキューブ用ソフト「ゴジラ怪獣大乱闘」、2003年1月には同ゲーム用ソフト「斑鳩」、2003年5月にはソニーのプレイステーション用ソフト「グランプリチャレンジ」などが発売されており、これらには、いずれも「ATARI」の商標が使用されている(甲第109ないし第130号証)。 また、2002年の夏には、申立人の日本子会社が第20回日本アルペンラリーのメインスポンサーとなったことで、同大会は、「第20回V-RALLYインターナショナル日本アルペンラリー」という「V-RALLY」の名前を冠した大会となり、これに併せて、「ATARI」の商標が付された同ゲームソフトの広告宣伝も一層大々的に行われた(甲第88ないし第92号証)。 2002年6月5日には、申立人の日本子会社は、「ATARI 2002 Party」と銘打ったプロモーションイベントを開催し、「ATARI」ブランドを強力に推し進めることと、日本でのゲーム制作を強化していくことを明らかにし、「ATARI」ブランドの下でリリースされる作品を公開した(甲第34ないし第46号証)。 2003年2月には、株式会社ドワンゴとの業務提携により、日本においても携帯電話向けゲーム配信を開始し(甲第93ないし第99号証)、2003年9月には、株式会社セガと業務提携して、日本における販売網の一層の強化を図っている(甲第105ないし第107号証)。 そして、申立人の活動状況は、上記した甲各号証以外にも、我が国における新聞・雑誌等において、1979年当時から最近に至るまで盛んに取り上げられており(甲第138ないし第435号証)、特に、2002年の春以降は、全世界で累計販売本数700万本を記録したラリーゲーム「V-RALLY」シリーズを中心に、「ATARI」ブランドの下でのゲームソフトの宣伝・広告が大々的に展開されている(甲第63ないし第83号証)。 2 上記した認定事実によれば、申立人は、世界初の業務用ゲーム機を製作するとともに、今日の任天堂のファミリーコンピュータやスーパーファミコン、ソニーのプレイステーション等の家庭用ゲーム機の原型となった「ATARI VCS」を製作した企業として広く知られており、「ATARI」の標章は、申立人のハウスマークとして、また、ゲーム機器及びそのソフトについて使用する商標として、アメリカを始めとする海外において広く知られているばかりでなく、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたものと認められる。そして、その著名性は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても継続していたものということができる。 3 しかして、本件商標は、前記のとおり、引用商標と同じ「ATARI」の欧文字とその読みである「アタリ」の片仮名文字からなるものである。 そして、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る業務用及び家庭用ゲーム機との関係をみるに、例えば、遊技機大手のサミーとゲーム大手のセガが持ち株会社方式で経営統合を行い、ゲームメーカーのナムコは平成7年にパチンコ関連事業に進出し、コナミも1999年にパチンコメーカー向け液晶ゲーム機器の販売を開始しているように、近年、ゲーム業界とパチンコ業界は、相互にそれぞれの業者が新規参入したり、経営統合するなどの例を数多くみることができる。これらは、近年、パチンコに液晶画面がついた機種が主流となり、パチンコのゲーム性がより高くなったことによるものといわれている(甲第437ないし第453号証)。更に、パチンコの実機を家庭用ゲームソフトに移植することも通常行われているところであり、そのゲームソフトのメーカーにはゲーム業界、パチンコ業界、相互の企業が名を連ねている(甲第454号証)。 そうとすれば、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る業務用及び家庭用ゲーム機とは、少なからぬ関連性を有するものといわなければならない。 4 してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。 第4 商標権者の意見の要旨 前記第3の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べている。 1 申立人の標章「ATARI」について (1)過去に申立人の標章「ATARI」が広く知られていたことを重視して、その著名性が継続しているとしているところ、現時点においてもなお著名であるとした判断は誤っている。 申立人の過去のビデオゲームの販売等の経緯より、標章「ATARI」が著名であるとしているが、ビデオゲーム界における商標「ATARI」は、過去には著名商標の地位を保有していたが、既に著名性を逸失していたというべきである。 申立人の主張は、1983年当時の事実であって、そのあとも引き続いて新作のビデオゲームを続々と発売し、ヒットしたという事実もない。 そして、2000年以降になって申立人が「ATARI」ブランドの再構築に着手したものであるが、「アタリショック」において凋落したブランド価値がどのような努力によって再度著名性を獲得するに至ったかについては、全ての証拠をもってしても判断することはできない。 いったん獲得した著名性がその後に逸失することは経験則及び多数の実例が語るところであって、申立人の自己の商標に対する評価は、過去の実績によるところが大きく、現在もその著名性が維持されているとするには根拠が希薄である。 (2)ゲーム機「LYNX」は発売されたものの、対抗するゲーム機メーカーの機種の人気に及ばず、販売実績を上げることができずに撤退している。 これは、日本国内においては「ATARI」がその周知性の価値を既に失ったことを裏付けるものである。 (3)2000年ごろからの「ATARI」ブランドの復活を目指した一連の活動も、過去の「ATARI」ブランドのイメージを利用する活動であって、これらの活動によって「ATARI」が著名になったという事実は見出せない。 現在のビデオゲーム市場においては、特に家庭用では販売するゲーム機で動作するゲームソフトを多数のゲームソフト開発メーカーがゲーム機メーカーの承認の元に販売しているのが実情であり、需要者は単に機種を重視してゲームソフトを購入しており、ゲームソフトの開発会社が使用する商標の重要性はあまり高くない。 また、アタリジャパン株式会社も、2003年において、社員数わずか9名、売上見込みは8億円にすぎず、ゲーム業界全体からすると極めて小さいシェアを有するのみである。 (4)申立人の歴史からすると、1970年代には米国において非常に高いシェアを誇っていたので、その当時のいわゆるゲーム世代にとっては記憶に残っているブランドであることは否定しないが、当時のゲーム世代は現在では既に50歳代半ばを過ぎており、現状においては需要者の立場を離れてしまっており、現時点のゲーム世代にとっては、仮に「ATARI」というビデオゲームソフトの名前を知っていたとしても、新興ブランドとしての理解しかもっていないものである。 2 本件商標権者について 申立人は、本件商標の元の権利者である小出氏が「株式会社アタリ」の取締役であり、株式会社アタリは「ナツメ株式会社」の関連会社であることから、小出氏が「ゲーム業界においてカリスマ的なブランドとして周知・著名な引用商標『ATARI』『アタリ』を知らないはずがない」として、さらに権利者が引用商標の信用にただのりし、不正な利益を得んとしていると主張しているが、これは、引用商標「ATARI」あるいは「アタリ」が現在において著名であるとの前提で行っているものである。 むしろ、本件商標権者は、ビデオゲーム業界における「ATARI」の歴史を知悉しているからこそ、その周知性は過去のものであり、そのグッドウイルは喪失したと理解、確信し、使用する商標を選択したのである。 3 業務の関連性について 近年、ゲーム業界とパチンコ業界は、相互にそれぞれの業者が新規参入したり、経営統合するなどの例を数多くみることができるとして、「本件商標の指定商品と申立人の業務に係る業務用及び家庭用ゲーム機とは、少なからぬ関連性を有するものといわなければならない。」とし、本件商標の取消理由として商標法第4条第1項第15号を適用しているが、パチンコ機あるいはパチスロ機の側からゲーム業界に参入するのは容易であるかもしれないが、その逆は容易ではないのが実情である。 ナムコやコナミのパチンコ業界への参入は、「パチンコメーカー向け液晶ゲーム機器への参入」であり、パチンコ台そのものを製造するのではなく、近年広く普及している液晶型パチンコ機の液晶部と、その動作を掌るプログラムについての参入である。 4 以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。 第5 当審の判断 本件商標は、前記第1のとおり、「ATARI」及び「アタリ」の文字を二段に横書きしてなるところ、前記第3の取消理由は妥当なものであって、著名な引用商標「ATARI」と類似する本件商標を、その指定商品について使用するときは、その商品があたかも申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係ある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。 そして、これに対し、商標権者は、「申立人が提出した証拠及び主張から、過去の実績は認められるものの、相当年月の経過によって過去の周知性は喪失し、いったん喪失したグッドウイルが完全に回復できたような事実はなく、仮に、最近の申立人の活動が『ATARI』の標章の周知度に何らかの寄与をしたとしても、ビデオゲームにおける周知性が推測できる程度であり、非類似商品である本件商標の指定商品にまで出所の混同が生じるまでには周知度は及んでいない」旨主張している。 しかしながら、前記第3の取消理由で示すとおり、引用商標「ATARI」は、申立人のハウスマークとして、また、ゲーム機器及びそのソフトについて使用する商標として、アメリカを始めとする海外において広く知られているばかりでなく、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたものと認められる。 それは、申立人の業績が急速に悪化した「アタリ ショック」後に、幾度かの企業形態の変遷を経て現在に至る過程においても、ゲーム機及びソフトの開発・販売を継続して行い、「ATARI」の名作ゲームを携帯電話向けに世界的な配信(2002年)をするなど「ATARI」の商標が継続的に使用されていたこと、世界最大のゲーム見本市(1999年及び2003年等に開催)において、「ATARI」を家庭用ゲームレーベルとして、大々的に使用することを発表するとともに、「プレイステーション」や「NINTENDO64」用ソフトとして多くのゲームソフトを展示、発売したことなどの事実が認められる。 そうすると、「ATARI」の著名性は、過去にいったん喪失したものとはいい得ないばかりか、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても継続していたものということができる。 また、業務の関連性については、遊技機大手のサミーとゲーム大手のセガが持ち株会社方式で経営統合を行い、相互に事業補完することにより、「パチンコ・パチスロ」、「ゲームソフト」、「アミューズメント」等の幅広い分野のエンタテインメント事業を手掛けていることがみられる例などから、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る業務用及び家庭用ゲーム機とは、少なからぬ関連性を有するものといわなければならない。 してみれば、本件商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これより上記引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-03-29 |
出願番号 | 商願2003-49265(T2003-49265) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(Y0928)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 木村 一弘 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
澁谷 良雄 久我 敬史 |
登録日 | 2005-07-08 |
登録番号 | 商標登録第4878479号(T4878479) |
権利者 | 株式会社アタリ |
商標の称呼 | アタリ |
代理人 | 村木 清司 |
代理人 | 松原 伸之 |
代理人 | 濱田 俊明 |
代理人 | 松嶋 さやか |
代理人 | 高部 育子 |
代理人 | 橋本 千賀子 |