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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y43 |
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管理番号 | 1158920 |
審判番号 | 不服2006-196 |
総通号数 | 91 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-01-04 |
確定日 | 2007-05-21 |
事件の表示 | 商願2005-45470拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類「飲食物の提供,おでんの提供,たこ甘露煮の提供,鯨料理の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、平成17年5月24日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において、以下の(1)及び(2)に示す登録商標を引用し、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定、判断し、本願を拒絶したものである。 (1)登録第3004365号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年7月2日登録出願、第42類「アルコール飲料を主とした飲食物の提供,日本料理の提供」を指定役務として、平成6年9月30日に設定登録され、その後、同16年10月5日に商標権存続期間の更新登録がされているものである。 (2)登録第4852260号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成16年8月6日登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同17年4月1日に設定登録されたものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成中央部の文字は、いわゆる変体仮名で、「古」に由来する「こ」を示すものである。 請求人は、「古」の変体仮名は、使用されなくなってから100年以上が経過し、現在では読み方を知る人が非常に限られており、本願商標の指定役務の需要者はもとより、一般の需要者においてさえ、その読み方を知る人はほとんどいないから、本願商標は「タ ウメ」、「タ バイ」の称呼のみ生ずる旨主張している。 しかしながら、明治33年の「小学校令施行規則」により平仮名の統一がされ、それに採用されなかった仮名文字(「変体仮名」)が、一般には使用されなくなったとしても、原査定説示のとおり、筆文字で表す場合には、変体仮名はいまだ親しまれた表現であり、書道はもとより、和菓子類の表示、呉服店の名称、和食を主とした飲食店の名称等にもしばしば使用されていることは顕著な事実であり、就中、本願指定役務に関連する業界において、「こ」を示すものとして該「古」の変体仮名を使用している名称や、あるいは、「古」を示し、これより「こ」の称呼を生ずるものとして使用している事実が多数存在することは、以下のインターネット検索情報からも首肯される。 ア) http://www.vesta.dti.ne.jp/~toritako/及び http://www.vesta.dti.ne.jp/~toritako/contents/top.html 和食店(鳥料理)の名称として「鳥多古」(「多」も変体仮名)の表示 イ)http://www13.ocn.ne.jp/~takotomi/top01.htm 和食店(天ぷら、鍋料理)の名称として「多古富」(「多」も変体仮名)の表示 ウ)http://blogs.dion.ne.jp/a_sign_bar/archives/3641478.html#more 和食店(割烹、深川めし)の名称として「みや古」の表示 エ)http://www.kyoto-tv.com/udon/miyako/miyako.html及び http://blog35.fc2.com/k/kyotokamonasu/file/20051210004155.jpg 和食店(めん処)の名称として「みや古」の表示 オ)http://www.kikumasamune.co.jp/guide/list/548/miyako.html 和食店の名称として「みや古」の表示 カ)http://www.wagashi.or.jp/tokyo/shop/0703.htm 和菓子店(だんご)の名称として「追分だん古本舗」(「古」には濁点が付されている。)の表示 キ)http://www.awamori.co.jp/awa-camp.html 酒類(泡盛古酒)の商品表示として「古酒」の表示 ク)http://homepage2.nifty.com/Gat_Tin/kanji/sikeika.htm 竹輪の商品表示として「あ古竹輪」(「古」には濁点が付されている。)の表示 そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成全体より「タコウメ」及び「タコバイ」の称呼を生ずることは十分にあるものというのが相当である。 なお、請求人は、アンケート調査の結果を資料として提出し、本願の指定役務の需要者はもとより、一般の需要者においても本願商標を「タコウメ」と読むことができないと旨主張するが、該アンケート調査は所定の条件の下で行われたものとして、その有効性を直ちに否定するものではないが、本願商標の指定役務中、特に引用各商標と抵触する役務に関連する業界において、変体仮名がいまだ親しまれている事実があることを考慮すれば、本願商標より「タコウメ」及び「タコバイ」の称呼を生ずることは、上記のとおりであるから、該アンケート調査結果のみをもって、かかる認定を覆すことはできない。 そして、本願商標は、既成の親しまれた意味合いを有する語を表したものとはいえないから、特段の観念を生ずるものではない。 (2)引用商標1について 引用商標1は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して「タコーウメ」、「タコーバイ」の称呼及び「幸せの多い梅」といった観念を生ずるというのが相当である。 (3)引用商標2について 引用商標2は、別掲3のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して「タコウメ」の称呼を生じ、特段の観念は生じないというのが相当である。 (4)本願商標と引用商標1との類否について 本願商標より生ずる「タコウメ」の称呼と引用商標1より生ずる「タコーウメ」の称呼とを対比すると、両者は「タ」、「コ」、「ウ」、「メ」の配列音を同じくし、その差異は、第2音の「コ」の音に長音を伴うか否かであるところ、この「コ」の音に伴う長音は、「コ(ko)」の母音「o」に吸収され、一体化されて発音される場合が多いといえるから、該長音の有無の差異が両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるものというのが相当である。 してみれば、本願商標と引用商標1とは、観念において比較すべくもなく、外観において相違するとしても、称呼において類似の商標であり、かつ、本願の指定役務と引用商標1の指定役務とは同一又は類似の役務をその指定役務中に有するものである。 (5)本願商標と引用商標2との類否について 本願商標と引用商標2とは、ともに「タコウメ」の称呼を共通にするものである。 してみれば、本願商標と引用商標2とは、観念において比較すべくもなく、外観において相違するとしても、称呼において類似の商標であり、かつ、本願の指定役務と引用商標2の指定役務とは同一又は類似の役務をその指定役務中に有するものである。 (6)結論 そうすると、本願商標は引用商標1及び引用商標2と、それぞれ、互いに商標を類似とし、かつ、本願の指定役務と引用各商標の指定役務とは同一又は類似の役務をその指定役務中に有するものである。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標) 別掲2(引用商標1) 別掲3(引用商標2) 色彩については原本参照 |
審理終結日 | 2007-03-16 |
結審通知日 | 2007-03-19 |
審決日 | 2007-04-04 |
出願番号 | 商願2005-45470(T2005-45470) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(Y43)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今田 三男 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
小林 薫 青木 博文 |
商標の称呼 | タコウメ、タコバイ |
代理人 | 富樫 竜一 |