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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109
管理番号 1157567 
審判番号 取消2006-30705 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-06-13 
確定日 2007-04-26 
事件の表示 上記当事者間における登録第2195812号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2195812号商標の指定商品中、「『その他の機械器具で他の類に属しないもの』に属する『保安用機械器具』及び『その他の機械器具』」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2195812号商標(以下「本件商標」という。)は、「APELIO」の文字を書してなり、昭和62年11月19日に登録出願、第9類「産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成元年12月25日に設定登録されたものである。そして、当該商標権は、平成11年12月21日に存続期間の更新登録がされて、その効力は存続中である。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「保安用機械器具、その他の機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実は存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
甲第1号証に記載の態様よりなる本件商標は、請求人の調査によると、商標権者によって継続して3年以上、日本国内において使用された事実はなく、さらに、甲第2号証として提出した商標登録原簿には専用使用権及び通常使用権の登録がされていない。
以上のように、本件商標は、請求に係る商品について、審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていないことは明らかである。
(2)弁駁
被請求人は、平成18年9月11日付けの答弁書において、商標権者が過去3年以内に、商品「金属加工機械器具」に本件商標を使用したと述べて、その資料を提出している。
しかしながら、被請求人の提出した資料をもって、請求人の取り消しに係る商品「保安用機械器具、その他の機械器具」について本件商標が、本件審判の登録前3年以内に使用されたものとは認められない。
請求人の取り消しに係る商品「保安用機械器具、その他の機械器具」と「金属加工機械器具」とは、明らかに非類似の商品である。
被請求人はさらに、平成18年9月11日付けの上申書において、請求人の取消請求の範囲について述べているが、特許庁商標課編の商品類別集に記載の類似商品審査基準、並びに、甲第4号証ないし甲第7号証として提出する閉鎖登録原簿に記載の如く、請求人の取消請求の範囲は明確である(甲第3号証ないし甲第7号証)。
したがって、被請求人の答弁及び提出資料をもって、請求人の取り消しに係る商品「保安用機械器具、その他の機械器具」について本件商標が、本件審判の登録前3年以内に使用されたとは認められない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標は、その指定商品中「第9類 保安用機械器具、その他の機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
該請求の趣旨にある「第9類 保安用機械器具、その他の機械器具」は、取消を求める範囲を示すものであるが、この範囲について請求人に問い合わせたところ、これには「金属加工機械器具」を含める意図はない旨の解答を得た。
しかしながら、審判の請求の範囲は明確で客観的なものでなければならず、請求人の意図により、その範囲が左右されるものであってはならないのは当然である。しかるところ、我が国国語の用法では、「その他」とは「それ以外の」といった意味であり、その直前に記されたものは例示にすぎず、この場合、「保安用機械器具を含めた第9類に属する全ての機械器具」の意となり、これには「金属加工機械器具」が当然含まれることになる。
(2)商標権者(被請求人)は、過去3年以内に、「金属加工機械器具」に本件商標を使用しており、請求は成り立たない。 以下、具体的に説明する。
(3)被請求人は、過去3年以内に、
(ア)レーザー複合機本体に本件商標「APELIO」を付している。
(イ)また、同製品のカタログ上にも本件商標「APELIO」を付して頒布している。
(ウ)さらに、同製品の確定仕様書にも本件商標「APELIO」の文字を付している。
(4)乙第1号証は、レーザー複合機「APELIO」のカタログである。
レーザー複合機は、レーザー光線を利用して、金属の穴あけ、切断等の加工機能を有する機械であり、これは「金属加工機械器具」に該当する。
本カタログの制作は2002年11月(カタログ裏表紙下欄にL-0044/APELIOシリーズ/0211-E-04と記してあるが、「0211」は2002年11月を表している。)であり、現在も顧客に頒布しているものである。
カタログ表紙には、本件商標「APELIO」の標章が付されており、これは、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当する。
さらに、このカタログ掲載の写真を見ると、レーザー複合機本体に本件商標「APELIO」の標章が付してあり、これは商標法第2条第3項第1号の「使用」に該当する。
なお、カタログの表紙の「APELIO」 の文字の下に「SERIES」の比較的小さな文字が置かれているが、これはレーザー複合機にもいくつかのバリエーションがあって、「APELIO」は、それらを包括した商品群の名称として使用されていることを示すものである。
(5)乙第2号証ないし乙第4号証は、確定仕様書である。これは商品の仕様を確定する書面であり、顧客が自分で、あるいは、販売員が顧客を面接しながら、仕様の細部について「要・否」等を選択・記入し、これをもとに納入する商品の仕様を確定するものである。
確定仕様書は、商標法第2条第3項第8号の取引書類であり、その上部に「APELIO」の文字が付してある。これは商標の「使用」に該当する。
(6)乙第2号証は、金沢市の有限会社山上工業に販売した際に作成された確定仕様書(写し)である。作成は平成16年4月17日である。
(7)乙第3号証は、長野県飯田市の株式会社ウスイに販売した際に作成された確定仕様書(写し)である。商品の納入先は、工場のある飯田市中村とされている。作成は平成16年1月7日である。
(8)乙第4号証は、神戸市西区の有限会社すがい鉄工所に販売した際に作成された確定仕様書(写し)である。作成は平成15年9月30日である。
以上の乙第2号証ないし乙第4号証は、いずれも過去3年以内に作成したものである。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、商標権者(被請求人)は、本件審判請求の登録前3年以内の時期に、商品「金属加工機械器具」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用し、当該商品について同時期に、取引を行ったと推認し得るものである。
(2)本件審判請求の趣旨の記載に徴すれば、請求人は、本件商標の指定商品中の「保安用機械器具、その他の機械器具」について登録の取消を求めているものである。
ところで、本件商標は、上記1のとおり、商標法施行令(平成3年政令第299号による改正前のもの。)第1条に係る商品の区分第9類の「産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
そして、同施行令に基づく商標法施行規則第3条別表では、商品の区分 第9類に属する商品を「産業機械器具」「動力機械器具」「風水力機械器具」「事務用機械器具」「その他の機械器具で他の類に属しないもの」「機械要素」の大概念で分類し例示しており、そのうちの「その他の機械器具で他の類に属しないもの」については、中概念として「一 暖冷房装置および冷凍機械器具」「二 商業またはサービス業用器械器具」「三 保安用機械器具」「四 その他の機械器具」に分類し、それぞれに属すべき商品を例示している。
これらに照らして、前記請求の趣旨をみれば、請求人は、前記「その他の機械器具で他の類に属しないもの」のうちの、「三 保安用機械器具」及び「四 その他の機械器具」に係る商標登録の取消を求めていると解するのが相当である。
この点、被請求人は、我が国国語の用法では、「その他」とは「それ以外の」といった意味があり、その直前に記されたものは例示にすぎず、この場合、「保安用機械器具を含めた第9類に属する全ての機械器具」の意となり、これには「金属加工機械器具」が当然含まれると主張する。
しかし、請求の趣旨はもとより、その理由において「指定商品中」と明示していることからみて「中」が誤記とはいえず、前記施行規則の例示及び様式15(第14条関係)「審判請求書」に係る〔備考〕2に示す「商標法第50条第1項の規定により指定商品又は指定役務の一部について審判請求をするときは、・・・」の記載方法からしても、前記のとおり解することができるから、被請求人の主張は採用し得ない。
(3)商標法第50条第1項の規定による商標登録の取消しの審判請求があった場合、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、本件商標の使用を証明するか、その使用をしていないことの正当理由を明らかにしない限り、それに係る登録の取消を免れないものである(第50条第2項)。
そして、被請求人が本件商標を使用したと主張し立証する「金属加工機械器具」は、前記施行規則の例示おいて「産業機械器具」に属すべき商品でああって、取消請求に係る指定商品には含まれないものである。そうすると、被請求人は、取消請求に係る指定商品についての使用あるいは不使用の正当理由を明らかにしたとはいえず、他に、これを認め得る証拠はないから、本件商標は、その指定商品中、「『その他の機械器具で他の類に属しないもの』に属する『保安用機械器具』及び『その他の機械器具』」について、その登録の取消を免れないものである。
(4)したがって、本件商標は、指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、商標法第50条に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-02-23 
結審通知日 2007-03-01 
審決日 2007-03-14 
出願番号 商願昭62-129250 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (109)
最終処分 成立  
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 鈴木 新五
山口 烈
登録日 1989-12-25 
登録番号 商標登録第2195812号(T2195812) 
商標の称呼 アペリオ 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
代理人 岩崎 幸邦 
代理人 三好 秀和 
代理人 伊藤 正和 

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