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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35 |
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管理番号 | 1157341 |
審判番号 | 取消2006-30983 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2006-08-09 |
確定日 | 2007-04-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4656958号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4656958号商標(以下「本件商標」という。)は、「さくら」の文字を横書きしてなり、平成14年4月12日に登録出願、第35類「財務書類の作成,会計帳簿の記帳の代行,その他の財務に関する事務の処理,税務書類の作成」を指定役務として、同15年3月28日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の指定役務中『会計帳簿の記帳の代行及びこれに類似する役務』及び『その他の財務に関する事務の処理及びこれに類似する役務』について登録を取り消す。」との審決を求めると申し立て、その理由として、「本件商標は、その指定役務中の本件審判請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。」旨述べた。 3.被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)本件商標は、通常使用権者であって、商標権者が代表を務める税理士法人さくらにより「会計帳簿の記帳の代行及びこれに類似する役務」及び「その他の財務に関する事務の処理及びこれに類似する役務」について過去3年以内に使用されている。 (イ)NTT西日本発行の「デイリータウンページ名古屋南西部版」(乙第1号証:掲載情報は2006.5.1現在。)には、ややデザイン化された「さくら」の文字が商標として使用され、かつ、税理士法人としての会計業務・税務業務を行っている旨が記載されている。 これらのことから、「さくら」の商標が、税理士法人としての会計業務・税務業務について、過去3年以内に使用されたことは明白である。 なお、税理士法人の業務の範囲は、税理士法により、「税理士は、税理士業務のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。」旨の規定がある。このことよりすれば、(タウンページの広告記事において)広告主が税理士法人であって、「税務業務・会計業務を行っている」旨の広告が掲載されていれば、需要者には、当然に当該広告が対象としている提供役務の範囲内には、税理士法で許容された「会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務」までも含まれていると受け止められるものである。 (ロ)税理士法人さくらの定款(乙第2号証)第2条(2)及び(3)には、「会計帳簿の記帳の代行、その他財務に関する事務を行うこと」を(同法人の)目的とすることが定められている。また、同第3条には、法人の名称を「税理士法人さくら」と称する旨が記載されている。 これらのことからも、乙第1号証に記載されている「会計業務」の中、すなわち、通常使用権者が「さくら」の商標の下に提供する役務の範囲には、税理士法で許容されている「会計帳簿の記帳の代行、その他財務に関する事務」が含まれていることは明白である。 (ハ)通常使用権者である税理士法人さくらが、顧客と交わした業務委任契約書の写し(乙第3号証の1ないし乙第3号証の5)において、各契約書の第1条には「税務に関する委任の範囲は次の項目とする。」として、「6.甲(注:業務委任者である顧客)の総勘定元帳及び試算表の作成。(中略)8.確定決算財務書類の作成。」が記載されている。また、上記5通の契約書の契約日は、それぞれ、平成15年1月10日、同17年1月10日、同年5月16日、同年6月23日及び同18年3月24日である。 このことからも、乙第1号証に記載されている「会計業務」の中には、税理士法で許容され、かつ定款にも記載の「会計帳簿の記帳の代行、その他財務に関する事務」が含まれていること、通常使用権者である税理士法人さくらは、顧客である委任者に対し、過去3年以内に、現にそのような役務を提供していることは明白である。 なお、本件指定役務及び定款中で使用されている「会計帳簿」の語に代えて、上記各契約書では「総勘定元帳及び試算表」とあるが、「総勘定元帳」とは会計帳簿の基幹となる元帳のことである(乙第4号証:「税理士業務に関する損害賠償責任(税理士の専門家責任)とその対応[増補改訂版]」より、「(1)業務契約書/記帳代行を含む例」の写し)。 (ニ)税理士法人さくらの業務案内(乙第5号証)の表紙には、ややデザイン化された「さくら」が商標として使用され、かつ、税理士法人として会計業務・税務業務を行っている旨が記載されている。 (2)以上のとおり、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本商標権の通常使用権者である税理士法人さくらは、本件請求に係る指定役務について登録商標を使用しているので、その指定役務に係る登録商標は取り消されるべきではない。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る証拠及び主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (イ)NTT西日本発行の「デイリータウンページ名古屋南西部版」(乙第1号証:掲載情報は2006.5.1現在。)に掲載された税理士法人さくらの広告記事には、ややデザイン化された「さくら」の文字が商標として使用され、かつ、税理士法人としての会計業務・税務業務を行っている旨が記載されている。 (ロ)税理士法人さくらの定款(乙第2号証)第2条(2)及び(3)には、「会計帳簿の記帳の代行、その他財務に関する事務を行うこと」を(同法人の)目的とすることが定められている。また、同第3条には、法人の名称を「税理士法人さくら」と称する旨及び社員として本件商標権者の氏名が記載されている。 (ハ)税理士法人さくらが、国内の顧客と交わした業務委任契約書の写し(乙第3号証の1ないし乙第3号証の5)において、各契約書の第1条には「税務に関する委任の範囲は次の項目とする。」として、「6.甲(注:業務委任者である顧客)の総勘定元帳及び試算表の作成。(中略)8.確定決算財務書類の作成。」が記載されている。「総勘定元帳」とは会計帳簿の基幹となる元帳を意味する(乙第4号証)。また、上記5通の契約書の契約日は、それぞれ、平成15年1月10日、同17年1月10日、同年5月16日、同年6月23日及び同18年3月24日である。 (ニ)税理士法人さくらの業務案内(乙第5号証)の表紙には、ややデザイン化された「さくら」が商標として使用され、かつ、税理士法人として会計業務・税務業務を行っている旨及び本件商標権者が同法人の代表者であることが記載されている。 (ホ)上記乙第1号証及び乙第5号証において表示されている「さくら」の文字は、本件商標と社会通念上同一といい得るものである。 (2)以上の認定事実によれば、被請求人は、通常使用権者である税務法人さくらが、本件審判の請求の登録(平成18年8月28日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中「会計帳簿の記帳の代行」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認め得るところである。 (3)そして、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。 (4)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により請求に係る役務について取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-19 |
結審通知日 | 2007-02-23 |
審決日 | 2007-03-06 |
出願番号 | 商願2002-30169(T2002-30169) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y35)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 三澤 惠美子 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
青木 博文 鈴木 雅也 |
登録日 | 2003-03-28 |
登録番号 | 商標登録第4656958号(T4656958) |
商標の称呼 | サクラ |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 江間 路子 |