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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Y091641
審判 一部申立て  登録を維持 Y091641
審判 一部申立て  登録を維持 Y091641
審判 一部申立て  登録を維持 Y091641
管理番号 1155801 
異議申立番号 異議2006-90335 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-07-21 
確定日 2007-03-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第4945303号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4945303号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4945303号商標(以下「本件商標」という。)は、「CRIME &」、「INVESTIGATION」及び「NETWORK」の文字を三段に横書きしてなるものであり、2004年10月22日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成17年4月20日に登録出願、第9類、第16類、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年4月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第815515号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2002年12月6日カナダ国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、第16類、第25類、第28類、第41類及び第42類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2003年6月6日に国際登録、そして、我が国において平成18年10月13日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由の要旨
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に該当すると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、大文字からなる英文字「CRIME &」と「INVESTIGATION」と「NETWORK」を上下三段に表現したものである。本件商標の構成態様からは、「クライムアンドインベスティゲーションネットワーク」や「クライムインベスティゲーションネットワーク」の称呼がでるが、これらは極めて冗長であり、取引の迅速性が要求される商品・役務取引社会においてはこのような称呼は現実的ではなく一般には考えられない。
本件商標の構成態様においては、上段から下段に向かって称呼されるため、上段の「CRIME」および「&」の構成要素と中段の「INVESTIGATION」が称呼上最も重要である。しかしながら、この称呼「クライムアンドインベスティゲーション」も依然として冗長であり、「&」は単に「CRIME」と「INVESTIGATION」を結んだ表現にすぎないので実際は「&」の称呼は省略され「クライムインベスティゲーション」と一般に称呼される。
本件商標の構成態様から、それぞれの構成要素である「CRIME」、「INVESTIGATION」及び「NETWORK」が単独で称呼されるようなことは考えられない。
引用商標は、やや長方形からなる黒の地色のなかに大きく表された「CSI:」の文字とその下に大文字から成る英文字「CRIME SCENE INVESTIGATION」を表したものである。この引用商標の構成態様からも「クライムシーンインベスティゲーション」の称呼もでてくる。しかしながら、迅速な商取引が要求される商品・役務取引社会においてはこのような称呼は冗長であり、現実的ではない。一般にはこのような冗長な称呼は考えられない。
本件商標の構成要素「CRIME SCENE INVESTIGATION」において「SCENE」は特に強い意味をもたず、また発音においても「CRIME」と「INVESTIGATION」の中間において特に力強く発音されることもないことから一般の商取引においては「クライムインベスティゲーション」の称呼をもって商取引されるものと考えるのが自然である。この引用商標においては、「シーエスアイ」の称呼の他に、「クライムインベスティゲーション」をもって称呼されることも十分に考えられる。
このような次第で、本件商標と引用商標は称呼において同一の類似商標である。
国際商標登録を所有する申立人は日本国内においてディストリビューターを介してこの商標を数年来にわたり書籍やテレビ放送番組において広範囲に使用してきた。「CRIME SCENE INVESTIGATION」はまた「科学捜査班」の意味においても広範囲にわたり使用されてきた(甲第3号証ないし甲第13号証)。
これらのことは、インターネットサイト,DVDカセットの販売の種類(シリーズ)、過去数年間にWOWOW放送で連日のように放映されてきたことからすれば明らかである(甲第14号証ないし甲第18号証)。「CRIME SCENE INVESTIGATION」を重要な構成要素とする申立人の商標は刑事もののテレビ番組として今日まで親しまれてきている。
このような次第で、本件商標の構成要素である「CRIME & INVESTIGATION」も、また申立人に係る商標の構成要素「CRIME SCENE INVESTIGATION」からも、本件商標や申立人に係る商標の対象とする商品や役務の一般の需要者層レベルを考えれば、日本語の意味としての「科学捜査班」は容易に理解できるところである。また、日本語においても「科学捜査班」という名称が広く使用されてきたことからも、両商標は観念においても類似する商標である。
申立人の商標の著名性からすれば、申立人の商標の出所表示機能は本件商標によって稀釈化される。また、本件商標の存在は申立人に係る商標の重要な構成要素「CRIME SCENE INVESTIGATION」の名声を明らかに毀損するものである。
申立人の著名商標において「CRIME SCENE INVESTIGATION」も重要な商標の構成要素を成していることを考えれば、本件商標が申立人の商標と記憶上の錯覚や印象上の間違いを引き起こすことは十分に考えられる。
このような次第で、本件商標と申立人の所有する商標とは、同一・類似の商品・役務を指定しており、両商標は称呼上、観念上、記憶上、印象上明らかに類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号によって拒絶されるべきものである。
2 商標法第4条第1項第19号について
申立人の商標は、日本国内のみならず世界各国で商標登録出願され商標登録を受けている(甲第19号証及び甲第20号証)。そして、これらの商標は「CRIME SCENE INVESTIGATION」を商標の重要な構成要素として世界各国において数年来にわたって刑事捜査番組としてテレビ放映をされ、北アメリカ、オーストラリア、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、イギリス、オランダにおいて記録的な高視聴率をあげてきた(甲第21号証ないし甲第25号証)。また、これらの商標は犯罪捜査に関係のあるビデオゲーム、ボードゲーム、トレードカード、玩具、衣類においても用いられてきた(甲第21号証)。例えば、英国における商標「CSI:」「CRIME SCENEINVESTIGATION」の使用状況は、別紙のとおりである(甲第26号証及び甲第27号証)。
このように、申立人に係る商標は「CRIME SCENE INVESTIGATION」を商標の重要な構成要素として日本国のみならず世界の重要な国々においてテレビ放映されてきた著名商標である。本件商標は、申立人の商標と同一・類似の商品・サービスの提供を企図したものであり申立人の著名商標の出所表示機能を稀釈化させることを目的として、あるいは申立人の取得した著名商標としての名声を毀損させることを意図したものであることは明らかである。本件商標は不正の目的をもって商標登録出願および商標登録された類似の商標である。
申立人の所有する商標は、外国においては極めて著名であり、商標の重要な構成要素「CRIME SCENE INVESTIGATION」もまた同様である。申立人の日本を含む世界各国でのこれまでの商標の使用状況からすれば、本件商標は申立人の所有に係る商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等に只乗り(フリーライド)するだけでなく申立人のこのような信用、名声、顧客吸引力等が毀損させられることは明らかである。したがって、本件商標登録名義人は「不正の目的をもって使用する」に該当することは明らかである。
このような観点からも、本件商標は、また商標法第4条第1項第19号に定める「他人の業務に係る商品又は役務と表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同ー又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するもの」に該当することは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号によっても拒絶されるべきものである。
3 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に該当するので、その登録を取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記第1のとおり、「CRIME &」、「INVESTIGATION」及び「NETWORK」の欧文字を三段に横書きしてなるものである。
他方、引用商標は、別掲のとおり、黒地の横長長方形に、「CSI:」の文字と記号を大きく白抜きし、その下に該「CSI:」の文字の六分の一程度大きさの「CRIME SCENE INVESTIGATION」の文字を同じく白抜きしてなるものである。
そこで、引用商標についてみるに、引用商標の上記「CRIME SCENE INVESTIGATION」の文字部分は、同じ書体、同じ大きさで一体に表されており、これより生ずると認められる「クライムシーンインベスティゲーション」の称呼もやや冗長であるとしても、一連に称呼し得る範囲内のものというのが相当であって、ことさら中間部の「SCENE」の文字部分のみを省略して「クライムインベスティゲーション」の称呼をも生ずるとする理由は見当たらないから、この文字部分よりは、「クライムシーンインベスティゲーション」の称呼のみを生じ特定の観念を有しないものといわざるを得ない。
してみれば、引用商標の下段部の「CRIME SCENE INVESTIGATION」より、ことさら中間部の「SCENE」の文字部分のみを省略して「クライムインベスティゲーション」の称呼をも生ずるとし、これに対し本件商標の「CRIME &」、「INVESTIGATION」及び「NETWORK」の文字部分より、第一段目の語尾部における「&」及び第三段目「NETWORK」文字部分を省略し、その上で「クライムインベスティゲーション」の称呼をも生ずるとして、本件商標と引用商標とが称呼上類似するものであるとする申立人の主張は、少なくとも、本件商標より「クライムシーンインベスティゲーション」の称呼を生じないことからして、両者はその音構成、構成音数において明らかな差異を有し、称呼上十分聴別し得るものであるから、理由がないというべきである。
また、本件商標と引用商標とは、外観上は明らかに区別し得るものであり、観念においては比較のできないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記1のとおり、引用商標とは類似しない商標であって、申立人の商標の出所表示機能を稀釈化させることを目的、その名声を毀損させることを意図したものとはいえないものであるし、また、商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものでもないというべきである。
3 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標


異議決定日 2007-02-23 
出願番号 商願2005-35193(T2005-35193) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (Y091641)
T 1 652・ 263- Y (Y091641)
T 1 652・ 262- Y (Y091641)
T 1 652・ 222- Y (Y091641)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 石田 清
山本 良廣
登録日 2006-04-14 
登録番号 商標登録第4945303号(T4945303) 
権利者 エイアンドイー テレビジョン ネットワークス
商標の称呼 クライムアンドインベスティゲーションネットワーク、クライムインベスティゲーションネットワーク、クライムアンドインベスティゲーション、クライムインベスティゲーション、クライム、インベスティゲーション、ネットワーク 
代理人 江藤 聡明 
代理人 福田 秀幸 

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