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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
審判 全部申立て  登録を維持 Y18
管理番号 1155796 
異議申立番号 異議2005-90141 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-03-25 
確定日 2007-04-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第4825816号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4825816号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4825816号商標(以下「本件商標」という。)は、「THEORY OF EVOLUTION」の欧文字を横書きしてなり、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金」を指定商品として、平成16年5月13日に登録出願、同年12月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4744077号商標は、「Theory」の欧文字を標準文字により表してなり、第14類及び第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年2月22日に登録出願、同16年1月30日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4413156号商標は、「Theory」の欧文字を標準文字により表してなり、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年6月17日に登録出願、同12年9月1日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4436425号商標は、「THEORY」の文字を標準文字により表してなり、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年12月2日に登録出願、同12年12月1日に設定登録されたものである。以下、これらを一括して「引用商標」という。

3 申立人の主張
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第8号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)引用商標の周知・著名性
商標「THEORY」は、被服の分野、特に若い女性を対象にした洋服等の分野では、周知・著名のブランドである。1997年にニューヨークで申立人であるTHEORY LLCによって発表され、ストレッチ素材の抜群の着心地の良さと洗練されたルックスで瞬く間に注目を集め、バーグドルフ・グッドマン、バーニーズ・ニューヨークなどの一流百貨店で販売されている。日本へは、1998年にその販売代理店リンクインターナショナルを介して導入された。
また、申立人は、かばん類、洋服その他ファッション関係の商品を中心に登録第4413156号ほか2件の商標権を有している(甲第2号証)。
日本における「THEORY」ブランドの詳細については、インターネット上のホームページに示されているが、北海道、東北、関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州に販売店舗を有し、全国的に展開している。この点は、該ホームページの写しからも明らかである(甲第3号証参照)。
ちなみに、平成11年度から平成15年度までの売上高及び宣伝広告費は、以下のとおりである。
売上高 平成11年度 約7,367万円
平成12年度 約6億1,976万円
平成13年度 約30億7,198万円
平成14年度 約69億6,161万円
平成15年度 約115億6,057万円
宣伝広告費 平成14年度 約8,820万円
平成15年度 約3億1,815万円
上記から判明するように、THEORYブランドは、過去4年で急成長をしたものであり、アパレル分野では最も注目されているブランドといっても過言ではない。
甲第5号証ないし甲第9号証に示すように、引用商標は、多くの女性誌に掲載され、大きな特集が頻繁に組まれる周知・著名商標である。
提出した証拠方法に示すように、2001年(平成13年)から2004年(平成16年)のみの雑誌掲載を見ても、ほとんど毎月なんらかの女性誌に「THEORY」が特集・掲載されているなど、その掲載回数は大変に多く、また、特集では、その雑誌のメインモデル(例えば、「oggi」の長谷川理恵)が着用して数ページにわたり掲載されているものもあり、その取り上げ方は、雑誌において非常に大きい比重を占めるものである。
そのような取上げ方は、無名のブランドについては決してなされることのないもので、既に平成14年ないし平成15年には、引用商標の「THEORY」が、「働く女性の服の代名詞」・「OL御用達ブランド」といったイメージを持つ洋服ブランドとして、20代から30代の女性で知らない者はないといっても過言でないほどに、その地位を確立していた周知・著名商標といえるものである。
また、甲第10号証(「THEORY」掲載雑誌一覧表)は、BRIOやGainer等の男性誌、40代以上が読者層の多くを占める家庭画報、ミセス、婦人画報等のミセス誌など幅広く掲載されていることを示す。
したがって、引用商標は、実際に「THEORY」の洋服を購入する20代、30代の女性層を中心に、それ以外の幅広い世代で男女を問わず著名性を獲得しているということができる。
さらに、本件商標の指定商品である「かばん類」についても、甲第9号証に示されているようにTheoryブランドが頻繁に女性誌に掲載されている。
してみれば、引用商標「THEORY」は、本件商標の登録出願時である平成16年5月13日には、かばん類、被服等に関して、既に周知・著名性を獲得していたことは明白である。
(2)商標法第4条第1項第11号
本件商標の構成は、「THEORY」と「EVOLUTION」の各文字を「OF」でつなげており、「THEORY」と「EVOLUTION」とが明瞭に区別して認識される構成となっている。
また、指定商品との関係で両文字が観念的に結合しているものではない。
さらに、引用商標は、かばん類の分野で周知商標であり、その自他識別力は強く、本件商標の要部は「THEORY」の部分にあるから、「セオリードライブ」(審決注:「セオリーオブエボリューション」の誤りと思われる。)の全体称呼のほか、要部の「THEORY」より「セオリー」の称呼が生じる。
他方、引用商標は、その構成から「セオリー」の称呼が生ずるものである。
よって、本件商標は、引用商標と称呼上類似し、両者の指定商品も抵触するから商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号
上記(1)から、引用商標「THEORY」が「かばん類、被服」について周知著名であることは明らかである。
そして、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは類似すること、また、申立人は、日本において多角化を積極的に行っていること、さらに、引用商標「THEORY」が若い女性、特にOLの間では周知・著名であり、本件商標は、第18類の「皮革、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」等を指定商品とするものであって、ハンドバック等ファツションアイテムの一つとして販売されているから、若い女性層が主な需要者・消費者といえるものである。
してみれば、周知著名な引用商標と類似の本件商標に接する需要者・消費者は、引用商標を連想、想起し、本件商標の指定商品が申立人の、若しくはそのブランド「THEORY」と何らかの関係があると誤認をすることは必定であり、混同が生じるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号
ブランド「THEORY」は、申立人会社の「THEORY LLC」から「Limited Liability Corporation」の略である「LLC」を捨象したものであり、「THEORY」は、著名な略称として認識されている。
したがって、本件商標は、申立人の著名な略称を含むものであって、申立人の承諾を得ることなく登録されたものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、上記のように申立人所有の著名商標「THEORY」と類似するものであり、本件商標権者が引用商標である著名ブランド「THEORY」を知得することなく、無関係に又は偶然に本件商標を採択したとは到底考えられず、引用商標を流用したものといわざるを得ない。
よって、本件商標権者は、明らかに申立人の著名商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で使用するものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第8号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。
1997年にニューヨークにおいて、申立人「THEORY LLC」により「THEORY」ブランドが発表されたこと、日本へは1998年にその販売代理店リンクインターナショナルを介して導入されたこと。
そして、北海道、東北、関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州に販売店舗を有し、全国的に展開しており、平成11年度から平成15年度までの売上高及び宣伝広告費は、平成11年度は約7,367万円、同12年度は約6億1,976万円、同13年度は約30億7,198万円、同14年度は約69億6,161万円、同15年度は約115億6,057万円であること。
また、広告宣伝費についても、平成14年度は約8,820万円、同15年度は約3億1,815万円であること。
以上のことから、「THEORY」は、過去4年で急成長をしたものであり、アパレル分野では最も注目されているブランドということができる。
また、女性誌にも多数広告が掲載されている事実が窺われるものである。
してみれば、引用商標は、特に若い女性を中心とする分野において、洋服等のブランドとして広く認識されていたと判断するのが相当である。
なお、上記のことは、件外無効2004-89129号の審決取消訴訟事件(平成18年(行ケ)第10106号)の判決においても、同様に判示されていることから、これを首肯し得るものである。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、前記1のとおり、やや太字で「THEORY OF EVOLUTION」の欧文字を同じ書体、同じ大きさで一連に横書きしてなるものであるところ、前半部の「THEORY」の文字は、「理論」等を意味する語として比較的親しまれた語ということができ、また、後半部の「EVOLUTION」の語は、さほど親しまれた語ということはできないが、「発展、進展、進化」等を意味する語である。
しかして、両語を所属、関連等の意を表す前置詞の「OF」で結合した本件商標は、全体として「進化論」を意味する成語であり、このことは、研究社 新英和大辞典(株式会社研究社1995年発行第5版)の「the theory of evolution」の項目ほか多数の英和辞書に掲載されていることからも是認できるものである。
また、上記「進化論」を意味する「THE THEORY OF EVOLUTION」又は定冠詞「THE」を略した「THEORY OF EVOLUTION」の語は、インターネット情報によれば、不特定多数の者が使用しており、たとえば、一例をあげると以下のとおりである。
(ア)The Theory Of Evolution 「それは、車との一生を記す、長く廣大なプロジェクト」 ( http://www4.ocn.ne.jp/~every/)
(イ)GLAY進化論 THE THEORY OF EVOLUTION
(http://www.geocities.jp/tekko_kun/top.html)
(ウ)the theory of evolution 「美しくなるための情報や知識・・」
( http://ameblo.jp/assistant-future/)
(エ)A Theory of Evolution 「はてなダイアリー」
(http://d.hatena.ne.jp/asin/B000003RH2/naturalcolora-22)
(オ)theory of evolution
( http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ango/3589/theory-top.htm)
そうすると、本件商標は、上記のとおり、同書、同大に横書きされ、かつ、これより生ずる「セオリーオブエボリューション」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、該文字が「進化論」を意味する成語であることをも考慮すると、本件商標からは「セオリーオブエボリューション」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標「theory」、「THEORY」からは、「セオリー」の称呼及び「理論」の観念を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その構成音数を著しく異にするから、称呼上相紛れるおそれはなく、また、両者の観念についても上記のとおりであるから、明らかに異なるものである。
さらに、両商標は、外観上も互いに区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、このことは、引用商標が女性用被服等において、広く認識されていることを考慮しても、前記の理由により、両商標が類似するとまではいえないものと判断するのが相当である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号
前記(2)に示したとおり、本件商標と申立人が女性用被服等に使用して周知・著名となっている「THEORY」商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しないものであるから、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するということはできない。
また、前記のとおり、本件商標と申立人の「THEORY」商標とは、その外観はもとより、称呼及び観念においても著しく相違するものであるから、両者は、別異の商標と認識されるものというべきである。
さらに、本件商標の指定商品は、「皮革,かばん類,袋物」等であり、申立人が「THEORY」商標を使用して周知・著名となっているとする女性用被服とは、同一の商品でもない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものと誤信し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(4)商標法第4条第1項第8号
前記(2)で述べたとおり、本件商標は、同書、同大、一連に横書きしてなり、全体として「進化論」を意味する一体不可分の成語からなるものである。
したがって、申立人の著名な略称を含む商標とは認識されないものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号
本件商標と引用商標は、非類似であること前記(2)のとおりであり、また、本件商標は、英和辞書等にも記載されている成語であるところから、これが不正の目的や申立人の引用商標をフリーライドしたものということはできないものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第8号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-03-19 
出願番号 商願2004-48714(T2004-48714) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (Y18)
T 1 651・ 23- Y (Y18)
T 1 651・ 271- Y (Y18)
T 1 651・ 25- Y (Y18)
T 1 651・ 26- Y (Y18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
山本 良廣
登録日 2004-12-17 
登録番号 商標登録第4825816号(T4825816) 
権利者 株式会社トーマスアンドトーマス
商標の称呼 セオリーオブエボリューション 
代理人 中山 健一 
代理人 松原 伸之 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 高部 育子 
代理人 村木 清司 
代理人 橋本 千賀子 

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