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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
管理番号 1155495 
審判番号 不服2005-14646 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-01 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 商願2004-68201拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「スーパー保湿目薬」の文字を標準文字で書してなり、第5類「目薬」を指定商品として、平成16年7月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『スーパー保湿目薬』の文字を書してなるところ、ドライアイ(乾いた眼)に潤いを与え乾きを緩和する目薬が製造・販売されていることは、広く一般に知られているところであるから、これは、全体として『優れた保湿効果を有する目薬』であることを認識させるにとどまるものであり、これをその指定商品中『保湿効果を有する目薬』について使用するときは、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
請求人は、過去の登録例(第1号証ないし第11号証)を挙げ、本願商標についても、商標全体の構成を総合的に考慮した上で、自他商品識別力の有無を検討すべきであるとし、本願商標が登録されるべき理由を要旨以下のように述べた。
(1)本願商標は、商標全体が外観上まとまりよく横一連に記載してなるものであって、しかも、本願商標の構成中「スーパー」の文字は、例えば、「スーパー銭湯」(露天風呂やサウナなど複数の入浴施設を備えながら、入場料が比較的安価である大型銭湯の総称)、「スーパー抗原」(さまざまな種類のT細胞と非特異的に結合し、免疫応答を引き起こす抗原)、「スーパー大回転」(スキーで、滑降と大回転の中間的種目)のように、何らかの日本語と結合することにより、単なる「優れた」の意味を超え、全体で一体となって、新たな一つの意味合いを生み出すという性質も有するものであり、またそもそも、「スーパー」なる語は「優れた」なる意味合い以外にも、「スーパーマーケット・スーパーストアの略」「スーパーインポーズの略」等複数の意味合いを有するものであって、ただ一つの意味に特定し得るものでないことからすれば、本願商標は「スーパー保湿目薬」全体でいかなる意味を表しているのか明らかではないといえ、指定商品との関係においても、特定の意味合いを有しない造語として理解するのが自然である
そうすると、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、本願商標「スーパー保湿目薬」を見た者は、まず最初に、そのまとまりある外観に印象づけられるとともに、本願商標を、上記馴染みのある「スーパー銭湯」等の語と同様に、各部分が結合した、全体で一体不可分の、いわば造語的なものとして認識するのが自然であると思われ、本願商標を単に「スーパー」と「保湿」と「目薬」に区切って、「スーパー」から「優れた」なる意味合いが認識されることはない。
(2)また、本願商標の指定商品である「目薬」との関係で、「スーパー保湿目薬」なる語が商品の品質を直接表す語として一般的に使用されているか否かを調べたところ、そのような例は見当たらない。むしろ、目の湿り具合を保護する効果を表したものとしては、「保水効果のある」、「うるおい効果に優れた」等の表示が一般的に使用されているものである。
(3)以上より検討すると、本願商標「スーパー保湿目薬」は、「スーパー」「保湿」「目薬」それぞれ単独では、「優れた」等の意味合いを有するため、指定商品との関係である程度商品の品質を暗示する要素も含んでいると考えられるが、そもそも本願商標は全体で一連の造語的なものとして認識されることにより、指定商品との関係では特定の意味合いは認識されないとするのが自然であるため、ここから商品の品質等が直接理解されることはないものである。
そして、実際の取引の場においても、「スーパー保湿目薬」なる語が商標品の品質を表す語としてごく普通に使用されている例はなく、この点もあわせて考慮すれば、本願商標については自他商品識別力が認められ、登録されるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。

4 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「スーパー保湿目薬」の文字からなるものであるところ、これは、「スーパー」「保湿」及び「目薬」の各文字を一連に書したものと容易に認識されるものである。
そして、本願商標を構成する「スーパー」の文字は、「超…」「上の」「より優れた」(広辞苑第5版)等を意味する平易な外来語であって、かかる意味合いのもと、商取引においては、商品・サービスの品質等を誇称表示する語として一般に採択、使用されているものであり、また、「保湿」の文字は、「乾燥しすぎないように、湿度を一定の範囲内に保つこと。」(広辞苑第5版)を意味する平易な日常語である。さらに、「目薬」の文字は、本願商標の指定商品そのものを表示するものである。
(2)ところで、原査定の拒絶の理由(前記2)にも示されているとおり、ドライアイ(乾いた眼)に潤いを与え乾きを緩和する目薬が製造・販売されていることは、広く一般に知られているものと認められるところである。このことは、以下の新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられるものである。
ア 2001年6月11日付け日本経済新聞(夕刊)には、「目が乾くゴロゴロする…、ドライアイ対策??小まめに点眼を(タウン・ビート)」の見出しの下に、「ドライアイは症状が軽い場合は目薬で治る。涙の代わりになる目薬は開発されていないが、保湿成分であるヒアルロン酸入りの目薬を眼科で処方してもらえば、普通の目薬より効果があるという。」との記載がある。
イ 2002年2月25日付け山形新聞(朝刊)には、「山形大学附属病院開院25周年 125万県民の健康を守る(9) 眼科」の見出しの下に、「パソコン操作やテレビゲームなどと関係があるとみられる眼精疲労と目が乾くドライアイは、頭痛や肩こり、めまい、色感覚異常などの原因にもなり、ビジネスマンは気を付けたい。楽な姿勢での操作や周囲の照明を明るくしてコントラストを強くしないほか、細切れに作業を休み、視線をそらすことが大事。保湿性の高いヒアルロンサン系の目薬服用も効果があるという。」との記載がある。
ウ 2002年9月11日付け日刊スポーツ(東京日刊)には、「連載 最新治療法(27)ドライアイ(2)目薬や涙点プラグで涙量調節」の見出しの下に、「涙の分泌が低下して起こるドライアイも、今は治療法が随分進歩している。治療の基本は、目薬の点眼である。人工涙液(生理食塩水)や保湿成分であるヒアルロン酸を含んだ目薬を頻繁に点眼して、涙不足を補う。」との記載がある。
エ 2004年4月21日付け産経新聞(東京朝刊)には、「『ドライアイ』 大敵は乾燥、涙の質も関与 目の違和感続くなら眼科医へ」の見出しの下に、「ドライアイの治療は、少なくなった涙を補充する目的で、保湿剤(ヒアルロン酸など)や粘稠剤(メチルセルロースなど)の入った目薬を使うのが一般的だ。」との記載がある。
オ 2004年12月23日付け産経新聞(大阪朝刊)には、「【開発秘話 私たちの挑戦】ロート製薬 ドライエイド(下)」の見出しの下に、「高粘度かつ、さし心地の良いドライアイ用目薬。プロジェクトの最大の壁は、いかに最適の粘度を実現するかにかかっていた。・・・粘度を高めることは『ヒドロキシエチルセルロース』と呼ばれる保湿効果のある薬剤を配合することで実現できたが、問題は粘度調整だ。」との記載がある。
カ 2005年10月21日付けFujiSankei Business i.には、「【健康 かかる前に】乾燥期のドライアイに要注意 日頃の注意で大きな防止効果」の見出しの下に、「ドライアイ 涙の減少や質の変化によって、目の表面に障害が生じる疾患。目が乾くだけでなく、目の表面が傷ついて感染症にかかったり、視力が落ちることもある。専門医では保湿効果のある点眼薬や、涙点に栓をする涙点プラグ、自己血清点眼などによる治療が一般的。」との記載がある。
キ 2006年8月17日付け化学工業日報には、「ファイザー、充血や疲れに効く目薬発売」の見出しの下に、「ファイザーの『バイシンモイスト』で、このほど発売した。血管を収縮させる塩酸テトロヒドロゾリンに加え、保湿成分のヒアルロン酸ソーダを配合し、目にうるおいを付与する。市場調査で、充血とかわきを訴える生活者が八割に達しているとして製品化。」との記載がある。
ク 「職場ですぐできる『ドライアイ』対策-ニュース-nikkei BPnet」と題するウェブページ(http://www.nikkeibp.co.jp/archives/356/356523.html)には、小見出し「治療法は?」の下に、「『人工涙液』といって、涙の代わりとなる目薬を使うことが一般的で、ヒアルロン酸という保湿効果の高い成分が入ったもので目の表面の傷を治します。」との記載がある。
ケ 「しぶや眼科クリニック<さいたま市・小児眼科・ドライアイ>」と題するウェブページ(http://www.e-doctors-net.com/saitama/shibuya/index.html)には、小見出し「ドライアイの治療法」の下に、「目薬:眼科で処方される目薬の中には、保湿効果の高いものがありますので、市販の目薬を頻繁に点眼しないと不快な方は、眼科診療をお勧めします。」との記載がある。
コ 「目の病気について【病気・症状】」と題するウェブページ(http://www.kenko-s-net.com/b-me.html)には、小見出し「○ 角結膜乾燥症(ドライアイ)」の下に、<治療法>として「処置としては、涙の成分に近い人工涙液の目薬や、防腐剤を含まない保湿効果に優れた目薬を利用して、乾燥している部分をなくすことです。」との記載がある。
サ 「広報くるめ 平成13年6月15日号」と題するウェブページ(http://www3.city.kurume.fukuoka.jp/shisei/01_6_15/mail/mai01.htm)には、「また、ドライアイのための保湿効果の高い目薬もあります。まずは専門医に相談ください。」との記載がある。
(3)そうすると、いずれも平易な語である「スーパー」と「保湿」に、商品名である「目薬」を付けた「スーパー保湿目薬」という語について、これに接する取引者・需要者は、その構成全体から、商品「目薬」のうち、「より優れた保湿効果を有する(保湿成分を配合した)目薬」であることを表示したものであると容易に認識するものというべきである。
(4)したがって、本願商標をその指定商品である「目薬」のうち、「保湿効果を有する(保湿成分を配合した)目薬」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品の品質又は効能を誇称表示したものであると認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
また、本願商標を前記商品以外の指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
(5)請求人は、前記3のとおり、本願商標が登録されるべき理由を述べているが、かかる請求人の主張については、次のとおり、いずれも採用することができない。
ア 請求人は、前記3(1)のとおり述べ、本願商標は、「スーパー保湿目薬」全体でいかなる意味を表しているのか明らかではないといえ、指定商品との関係においても、特定の意味合いを有しない造語として理解するのが自然である旨主張する。
しかし、「スーパー保湿目薬」又は「スーパー保湿」という語について、「スーパー」の部分が「より優れた」程の意味を超えて、全体で一体となって、新たな一つの意味合いを生み出していると認めるに足りる証拠の提出はなく、その他、上記の語について、取引者・需要者が常に一体不可分のものとしてのみ把握するといった特段の事情を見いだすことはできない。そうとすれば、本願商標に接する取引者・需要者において、本願商標を構成する「スーパー」「保湿」「目薬」の各語に着目した観察と認識が生ずるのは、むしろ当然というべきであって、その結果、たとえ、「スーパー」の語に「優れた」なる意味合い以外に、「スーパーマーケット・スーパーストアの略」「スーパーインポーズの略」等の意味があるとしても、指定商品「目薬」との関係においては、取引者・需要者は、「スーパー」の語を「より優れた」程の意味合いで理解し、商標全体からは「より優れた保湿効果を有する(保湿成分を配合した)目薬」という意味合いを容易に認識するものというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願商標の指定商品である「目薬」との関係で、「スーパー保湿目薬」なる語が商品の品質を直接表す語として一般的に使用されている例は見当たらず、むしろ、目の湿り具合を保護する効果を表したものとしては、「保水効果のある」、「うるおい効果に優れた」等の表示が一般的に使用されているものである旨主張する。
しかし、商標法第3条第1項第3号は、取引者・需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)と判示されている。本願商標は、商品の品質又は効能を誇称表示したものであって、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであることは、上記のとおりであるから、たとえ、目の湿り具合を保護する効果を表したものとして、「保水効果のある」、「うるおい効果に優れた」等の表示が一般的に使用されているとしても、それらの事実は、上記判断の妨げにはならないというべきである。
したがって、請求人の上記主張も採用することができない。
(6)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-01-18 
結審通知日 2007-01-22 
審決日 2007-02-02 
出願番号 商願2004-68201(T2004-68201) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y05)
T 1 8・ 272- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 田村 正明
小林 和男
商標の称呼 スーパーホシツメグスリ、スーパーホシツ、ホシツメグスリ、ホシツ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 

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