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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 登録しない Y01
管理番号 1155493 
審判番号 不服2005-658 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-12 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 商願2003-66898拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「タフボンド」の文字を標準文字により表してなり、第1類「合成樹脂製管用の接着剤,合成樹脂製継手用の接着剤,ヒューム管用の接着剤,その他の接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」を指定商品として、平成15年8月7日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した登録第3129582号商標(以下「引用商標」という。)は、「ターフボンド」の文字を横書きしてなり、平成5年6月14日に登録出願、第1類「のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録され、申請(及び登録料全納)日を同17年11月11日とする商標権存続期間の更新登録がされているものである。

3 原査定の拒絶理由(要旨)
(1)拒絶理由1.
本願商標は、「タフボンド」の文字を普通に用いられる態様で表してなるところ、その構成中の「タフ」の文字は、日経新聞を読むための「カタカナ語辞典」(株式会社三省堂 2001年4月1日第1刷発行)によると、「耐久性がある、頑丈な」等の意味を有するものであり、またその後半部の「ボンド」の文字は「接着剤」を意味するものであるから、これをその指定商品中たとえば「合成樹脂製管用の接着剤」に使用しても、「頑丈な合成樹脂製管用の接着剤」の意味合いを容易に理解させ、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)拒絶理由2.
仮に、出願人が、上述の拒絶理由に不服であって、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得るとする場合であっても、本願商標は上記2の登録商標と同一又は類似であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)拒絶査定
本願は、上記(1)及び(2)の理由によって、拒絶をすべきものと認める。なお、出願人は、意見書において種々述べているが、理由1.に該当するが、たとえ、これに該当しないとしても、本願商標は理由2.によってさきの認定を覆すことはできない。
おって、本願商標と引用商標は、その構成文字に相応して前者よりは「タフボンド」、後者よりは「ターフボンド」の称呼を生ずるところ、両者は、「タ」「フ」「ボ」「ン」「ド」の音構成を同じくし、「タ」の音に長音の有無の差を有するものであるから、迅速を旨とする取引界にあっては、需要者・取引者が本件商標に接した場合、また、長音の発音の仕方によっては、かれこれ誤認混同を生ずるものである。してみると、本願商標と引用商標とは、外観及び観念において相違する点があるとしても、称呼において類似する商標と認められ、かつ、その指定商品も同一または類似のものである。
また、出願人は、意見書において、先の審決、異議事件等の例を挙げて述べているが、本件とは称呼される音構成も相違するものの事例であり事案を異にする。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできないものと認める。

4 審判請求の理由(要旨)
(1)本願商標が理由1.に該当しないことについて
本願商標は、「タフ」の文字が「頑丈な」を、「ボンド」の文字が「接着剤」の意味を有するため、指定商品との関係ではある程度商品の品質を暗示する要素も含んでいるとも考えられるが、本願商標は、全体で一連不可分の造語的なものとして認識されることにより、指定商品との関係で何らかの意味合いは認識されないものとするのが自然であるため、ここから商品の品質が直接認識されることはないものと思料する。また、実際の取引の場においても、接着剤を取扱う分野において、「タフボンド」なる語が上記意味合いを直接示す成語としてごく普通に使用されている例はない以上、本願商標については自他商品識別力が認められ、登録されるのが相当であると思料する。したがって、本願商標は、指定商品中「合成樹脂製管用の接着剤」等に使用しても、単に商品の品質が認識されるものではなく、十分に自他商品識別力を発揮し得るものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものではないものと思料する。
(2)本願商標が拒絶理由2.に該当しないことについて
本願商標は「タフボンド」の文字を一連に横書きした構成からなり、実際の取引の場においては「タフボンド」全体で一つの造語的なものと認識され、ここから「タフボンド」一連の称呼のみを生じるものと思料する。そして本願商標は、特定の意味が理解されない造語的なものであるため、特に何らかの観念は生じないものと思料する。
一方、引用商標は、片仮名文字「ターフボンド」を横一連に記載した構成からなるものであり、構成文字に相応して「ターフボンド」の称呼を生ずるものであって、観念については、仮に「ターフ」と「ボンド」に区切るとすれば、「ターフ」から「芝生」の意味が、「ボンド」から「接着剤」の意味が認識されなくもないものであるが、「ターフボンド」全体で特に何らかの観念は生じないものと思料する。
そこで、両商標の類否を検討するに、先ず両商標から生じ得る称呼を比較すると、両者は語頭の「タ」音に長音「ー」を伴うか否かの差異を有するものであるが、かかる差異は、称呼上明瞭に発音され聴取される語頭に位置するものであるため、全体の構成音数が5音ないし6音程度の短い音構成からなる両称呼においては、かかる差異が称呼全体に及ぼす影響は決して少なくないものと思料する。特に本願商標は、これを称呼した場合には、第1音の「タ」音を軽く発音し、続く「フ」音を高く(強く)発音するのに対し、引用商標は長音を伴うことにより、本願商標とは逆に「タ」音が強く「ター」と発音され、続く「フ」音はこれに添える程度で弱く発音されるため、上記長音の有無の差異は、両称呼について全体の抑揚に影響を与えるものといえる。しかも、わが国では「タ」と「フ」の間に長音を有するか否かでその意味するところが「丈夫な」と「芝生」という全く異なったものとして認識されることも考えると、両商標が「タフボンド」「ターフボンド」全体で一連一体のものとして称呼されるとしても、第一音に長音を伴うか否かの違いは容易に聴別しうるものと思料する。加えて、本願商標は全体の音数が5音で「タフボンド」と一気に称呼されるのに対し、引用商標は長音も含めて6音構成からなることで、「ターフ」と「ボンド」の間に息の段落をおいて二段階に称呼されやすいことから、これら音数の差異も相俟って、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の語調語感は異なり、互いに相紛れるおそれはないものと思料する。
してみれば、両商標は上述のとおり、称呼上類似するものではなく、また観念については「タフボンド」も「ターフボンド」も全体では特定の観念を生じないため比較すべくもなく、さらに外観についても長音の有無の違いは容易に区別し得るものと思料さるので、両商標は称呼・外観・観念を総合的に判断して、非類似の商標であると思料されるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料する。
なお、仮に本願商標が自他商品識別力に乏しく、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断される場合であっても、その場合には本願商標から商品の出所が識別できない以上、本願商標と引用商標との関係で、商品の出所につき混同を生じることはありえないものと思料する。

5 当審の判断
本願商標は、「タフボンド」の文字を書してなるところ、該構成文字は全体として特定の語義を有しない一種の造語といえるものである。そして、該文字に相応して「タフボンド」の称呼を生じるものというのが相当である。
一方、引用商標は、「ターフボンド」の文字を書してなるから、該文字に相応して「ターフボンド」の称呼を生じるものであり、該構成文字は全体として特定の語義を有しない一種の造語というべきものである。
そこで、本願商標より生ずる「タフボンド」の称呼と引用商標より生ずる「ターフボンド」の称呼とを比較するに、両者の差異は、語頭音「タ」における長音の有無にすぎず、その相違する後者の長音は、その前音である「タ」の音の母音の延長として発音され、これが一音節の長さより短く発音される場合も決して少なくないところである。そうすると、両称呼は、該長音自体が明確には聴取され難い音であるうえ、他の音構成を悉く同じくし、これが全体として特定の語義を有しない一種の造語であることと相俟って、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいとはいい難く、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、聴感相紛らわしく、該称呼において類似するものというべきである。
そして、両商標の構成文字は、何れも片仮名により表してなるところ、これが図案化されているような特異な書体からなるものでなく、全体として特定の語義を有しない一種の造語であるという以上は、その構成において長音符号の有無の違いは、その識別性に大きな影響を及ぼすものといい難く、外観において近似するといわなければならない。また、観念については「タフボンド」も「ターフボンド」も全体では特定の観念を生じないため比較すべくもないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼において互いに紛れ易く、外観においても近似し、かつ、観念については比較することができないものであるから、両者はその出所について混同を生じさせるおそれのある類似の商標といわなければならない。また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するといわなければならない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-01-12 
結審通知日 2007-01-22 
審決日 2007-02-06 
出願番号 商願2003-66898(T2003-66898) 
審決分類 T 1 8・ 26- Z (Y01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 久美枝 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 小林 和男
岩本 和雄
商標の称呼 タフボンド、タフ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 

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