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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1154015 
異議申立番号 異議2006-90317 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-07-10 
確定日 2007-02-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第4941604号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4941604号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4941604号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示す構成からなり、平成17年9月7日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同18年3月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第2581213号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に示す構成からなり、平成2年6月26日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同5年9月30日に設定登録されたものである。
同じく登録第4760376号商標(以下「引用商標2」という。)は、「THE SIMPSONS」の文字を標準文字で表してなり、平成15年3月17日に登録出願、第3類、第9類、第16類、第20類、第21類、第25類、第27類、第28類、第30類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品又は役務を指定商品及び指定役務として、同16年4月2日に設定登録されたものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(2)理由の要点
ア 商標法第4条第1項第7号
本件商標は、米国のみならず日本においても周知・著名なアニメの名称「The Simpsons」と類似する。商標権者は、アニメの名称「The Simpsons」と類似する本件商標を偶然に採択したのではなく、アニメ「シンプソンズ(Simpsons)」の名を誤解して命名したことに由来する。したがって、本件商標は、前記アニメに依拠してこれを盗用した登録出願をし、登録を受けたものといわざるを得ない。このことは、「Simsons」は、「Simpsons」から「p」の文字を除外したに過ぎない態様からも明らかである。
本件商標の登録を有効として維持することは、米国のみならず、少なくとも日本においても周知・著名なアニメの名称「The Simpsons」、「ザ・シンプソンズ」の信用力、顧客吸引力を無償で利用するに等しい結果を招来し、客観的に公正な商品に関する取引秩序を維持するという商標法の目的に合致しない。
さらに、「市場のアクセス改善のためのアクション・プログラム」の一環として、これを重視し積極的に対応した「外国標章等の保護に関する処理指針」が設けられた。
これらを総合考慮すると、本件商標は、米国や日本において周知・著名なアニメ「The Simpsons」と類似する関係にあるものと認められる以上、本件商標は、他人(申立人)の著名な標章を盗用したものと十分に推認でき、また、本件商標中の「Simsons」の由来を考慮すれば、著名な標章の盗用と十分に認められるものと考えるのが自然である。
イ 商標法第4条第1項第10号
「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」については、商品化事業が営まれており、日本においても、フィギュア(人形)、マグカップ、Tシャツ、筆記用具、かばん、時計、キーホルダー、カレンダー、おもちゃ等、種々の商品が販売され、その結果、「ザ・シンプソンズ」や「The Simpsons」の文字は、単に、アニメのタイトルということのみならず、種々の商品について使用される商標としても、既に周知・著名のレベルに達している。そして、使用された商品の中には、本件商標の指定商品と同一又は類似のものも含まれている。本件商標は、「ザ・シンプソンズ」や「The Simpsons」と類似するものであり、本号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第11号
本件商標は引用商標1及び2と類似する。また、引用商標1及び2は、いずれも、本件商標の先願先登録商標に該当し、両商標の指定商品も同ー又は類似の関係にある。
エ 商標法第4条第1項第15号
「The Simpsons」及び「ザ・シンプソンズ」は、単に、アニメの名称として米国や日本において周知・著名なものであるのみならず、種々の商品の商標としても本件商標の登録出願前に周知・著名なものとなっており、また、本件商標が「ザ・シンプソンズ」や「The Simpsons」と類似する関係にある。
本件商標を使用した指定商品は、申立人の商品であるか、あるいは同人との間に親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある。
オ 商標法第4条第1項第19号
「The Simpsons」及び「ザ・シンプソンズ」は、周知・著名であり、商標権者は、このアニメの名称「The Simpsons」と類似する本件商標を偶然に採択したのではなく、アニメ「シンプソンズ(Simpsons)」の名を誤解して命名したことに由来することは、上述したとおりである。したがって、本件商標は前記アニメに依拠してこれを盗用した登録出願をし、登録を受けたものといわざるを得ない。
そうとすれば、本件商標は、他人の周知・著名な商標と類似するものであって、不正の目的をもって登録出願をし、登録を受けたものである。
カ むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲(1)のとおり、二本のスティック状の図を交差させた図形を挟んで、左に「Sim」、右に「sons」の文字を配した構成からなるものであるから、該構成文字に相応して「シムソンズ」の称呼を生じ、これからは、特定の観念は生じないものというのが相当である。
他方、引用商標1は、別掲(2)のとおり、二重円輪郭の最内側に両親と子供2人と赤ちゃんの家族5人の人物をアニメタッチで描き、その上部外側の輪郭線に沿って「THE SIMPSONS」の文字を配してなるものであり、また、引用商標2は、「THE SIMPSONS」の文字からなるものである。
そして、引用商標は、いずれも各構成文字に相応して「ザシンプソンズ」の称呼を生じるものであるが、「THE」が定冠詞であることとも相俟って、簡略して単に「シンプソンズ」と称呼されるものと認められ、アニメのタイトル名(「ザ・シンプソンズ」)として看取されるものである。
そこで、上記「シムソンズ」と「シンプソンズ」の称呼を対比するに、両者は、その構成音数を異にし、第2音で「ム」と「ン」、中間で「プ」の音の有無の差異を有するものであり、当該「プ」の音は、唇を閉じて発する破裂音(p)と母音(u)の結合された強く響く音であるから、かかる音の有無の差異が称呼全体の音感に与える影響は決して小さいものとはいえず、他の差異とも相俟って、これらを一連に称呼するときは語感・語調が異なり、判然と区別し得るものである。
また、「シムソンズ」と「ザシンプソンズ」とを比較しても、前記と同様に、両称呼は相紛らわしいものとはいえないから、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標とは、外観構成において顕著な差異を有するものであるから、相紛れる余地はないというべきであり、また、観念においては比較することができないものである。
してみると、本件商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標と類似する商標には該当しないものというべきである。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第19号について
前記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標と判断されるものであり、また、本件商標とアニメの名称として周知・著名と主張する「ザ・シンプソンズ」や「The Simpsons」とをみても、同様に判断されるものである。
してみると、各条項の他の要件(商品の類否、不正の目的等)について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第19号に該当するということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標、さらには「ザ・シンプソンズ」や「The Simpsons」(以下「引用商標等」という。)と本件商標とは、非類似の商標と判断されるものであり、これらを更に関連づけてみなければならない格別の理由も見いだせないから、結局、本件商標は、全く別異の出所を表示する商標というべきものである。
してみると、本件商標の登録出願時、引用商標等が我が国においてアニメの名称として広く認識されるに至っていたものであるとしても、本件商標を指定商品に使用した場合、需要者が引用商標等を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものと誤信し、その出所を混同するおそれがあったとはいえないと判断されるものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
商標の構成自体において公序良俗に反するおそれのある商標はもとより、商標の構成自体においてはそうでなくても、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し容認し得ないような場合にも、本号に該当するものとするのが相当である(東京高裁 平成18年12月26日・平成18年(行ケ)第10028号事件判決26頁参照)。
しかして、申立人は、本件商標をして、偶然に採択したのではなく、アニメ「シンプソンズ(Simpsons)」の名を誤解して命名したことに由来し、前記アニメに依拠してこれを盗用した登録出願をし、登録を受けたものであるという。
甲第4号証及び甲第5号証によれば、ソルトレークオリンピックに出場したカーリング女子日本代表のチーム名が「シムソンズ」であり、そのチーム名を題名とした日本映画が制作され、その配給等に商標権者が係わっていることが認められる。また、甲第4号証には、「シムソンズ」命名の由来として「その名前の由来は米国アニメ『シンプソンズ』の名を誤解して命名してしまったことからという。」との記載、甲第5号証には、「和子が決めたチーム名は『シムソンズ』。アニメのタイトルから思いついた・・・」との記載が認められる。
上記に徴すれば、本件商標は、その名称の採択の緒においては引用商標等と全く無関係であるとはいえないが、その構成態様の顕著な相違からすれば、引用商標等とは全く別異のものというべきであり、申立人の提出に係る全証拠によっても、引用商標等の名声や信用等を毀損するおそれがあると認められるものではないし、引用商標等の名声や信用等に明らかに依拠してこれを盗用したものであるとみることもできない。
してみると、本件商標は、採択の経緯を含め、その登録出願の経緯において、著しく社会的妥当性を欠くものがあったとはいえず、当該商標登録が商標法の予定する秩序に反して是認し得ないものに該当するということはできないと判断するのが相当である。
また、商標の構成自体において公序良俗に反するとすべき点も見当たらないから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号には該当しない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1) 本件商標

別掲(2) 引用商標1

異議決定日 2007-01-29 
出願番号 商願2005-84097(T2005-84097) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (Y25)
T 1 651・ 271- Y (Y25)
T 1 651・ 22- Y (Y25)
T 1 651・ 222- Y (Y25)
T 1 651・ 25- Y (Y25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 鈴木 新五
久我 敬史
登録日 2006-03-31 
登録番号 商標登録第4941604号(T4941604) 
権利者 株式会社ドリームステージピクチャーズ
商標の称呼 シムサンズ、シムソンズ 
代理人 谷口 登 

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