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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1154000 
異議申立番号 異議2006-90272 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-06-12 
確定日 2007-02-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第4934911号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4934911号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4934911号商標(以下「本件商標」という。)は、「Ysh」の欧文字と「イッシュ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、2002年商標登録願第99458号(平成14年11月25日登録出願)の分割後の新出願として平成15年8月20日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年1月17日に登録をすべき旨の審決がなされ、同年3月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人「イヴ サン ローラン」(以下「申立人」という。)は、下記の3件の登録商標を引用する。
(a)登録第4126475号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成8年10月1日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年3月20日に設定登録されたものである。
(b)登録第3269549号商標(以下「引用商標B」という。)は、「YSL」の欧文字を横書きしてなり、平成5年12月21日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年3月12日に設定登録されたものである。
(c)登録第3355599号商標(以下「引用商標C」という。)は、「YSL」の欧文字を横書きしてなり、平成5年12月21日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月31日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標から生ずる「イッシュ」の称呼と引用商標Aから生ずる「イシュー」の称呼とは、共に3音よりなるものであるが、3音中、最も明瞭に発音される「イ」「シュ」の2音を共通にするものであり、聴者にとって両者間に彼此混同を生じさせるおそれが極めて強いものであり、指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標B並びに引用商標Cとは、何れも欧文字3文字にて構成されており、かつ、第1文字、第2文字を共通にするので、外観において極めて類似している。また、本件商標から生ずる「ワイエスエイチ」の称呼と引用商標B及び引用商標Cから生ずる「ワイエスエル」なる称呼とは、語頭から第5音までも共通にするものであって、称呼においても類似するものである。
申立人は、世界的に著名なフランスのデザイナーであり、「YSL」は、「イヴ・サン・ローラン(Yves Saint Laurent)」を識別する標章として我が国においても著名な商標である(甲第5号証、甲第6号証)。
したがって、本件商標がその指定商品について使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれが強いものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
(4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前述1のとおりの構成からなるところ、当該構成中、片仮名文字部分は、欧文字部分の自然な読みを表したものとは認められないから、該片仮名文字部分に相応して「イッシュ」の称呼を生ずるほか、欧文字部分から「ワイエスエイチ」の称呼をも生ずるというのが相当である。
他方、引用商標Aは、別掲のとおりの構成からなることより、申立人主張の如く、その構成文字に相応して「イシュー」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「イッシュ」の称呼と引用商標Aから生ずる「イシュー」の称呼とを比較するに、両称呼は、申立人主張のとおり、確かに、「イ」と「シュ」の音を共通にしているということができる。
しかしながら、本件称呼における「イ」の音は、促音を伴っているため、比較的強めに発音され、これに続く「シュ」の音は、短く、かつ、弱く発音されるということができる。
これに対し、引用商標Aの称呼は、「シュ」の音に長音を伴うため、むしろ、語頭の「イ」の音よりも「シュ」の音が強く、かつ、長めに発音されるということができる。
そうとすれば、両称呼の語調・語感には著しい差異があり、全体としても3音という短い音構成からなることより、前記差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、本件商標と引用商標Aの両称呼をそれぞれ一連に称呼するも、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
その他、本件商標と引用商標Aとを類似するとすべき特段の理由は、見出せない。
したがって、本件商標と引用商標Aとは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標と引用商標B並びに引用商標Cとの類否について
本件商標は、前述1のとおりの構成よりなるから、該欧文字部分より「ワイエスエイチ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標B及び引用商標Cは、前述2のとおりの構成よりなるから、その構成文字に相応して、いずれも「ワイエスエル」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標から生ずる「ワイエスエイチ」の称呼と引用商標B及び引用商標Cから生ずる「ワイエスエル」の称呼とを比較するに、両称呼は、語尾部において「イチ」と「ル」の音の差異を有するものである。
しかして、本件商標の欧文字部分と引用商標B並びに引用商標Cは、いずれも一連の成語を形成するものではなく、アルファベット3文字を羅列してなるものであり、このような場合、発音に際しては、一気一連というよりも一文字一文字を区切って明確に発音するのが常といえるから、発音上のかかる事情と前記音の差異とを考慮すれば、両者は、称呼上相紛れることなく判然と区別し得るものである。
また、本件商標の欧文字部分と引用商標B並びに引用商標Cの外観についてみても、第3番目の文字において「h」と「L」の差異を有し、加えて、前者が大文字と小文字からなるのに対して、後者は、全て大文字で構成されているという相違点をも併せみれば、本件商標の欧文字部分と引用商標B並びに引用商標Cとは、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤るおそれはないものというべきである。
その他、本件商標と引用商標B並びに引用商標Cとを類似するとすべき特段の理由は、見出せない。
したがって、本件商標と引用商標B並びに引用商標Cとは、外観、称呼、観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
(イ)出所の混同について
上記したとおり、本件商標と引用商標B並びに引用商標Cとは、判然と区別し得る別異の商標というべきであるばかりでなく、申立人の提出に係る証拠をもってするも、本件商標に係る原出願の登録出願時(平成14年11月25日)において、「YSL」の文字を一連に横書きしてなる引用商標B及び引用商標Cが申立人の業務に係る商品を表す商標として、取引者・需要者の間において広く認識されていたと認めることはできない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が引用商標B及び引用商標Cを連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれもないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標A(登録第4126475号商標)

異議決定日 2007-01-30 
出願番号 商願2003-70796(T2003-70796) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (Y25)
T 1 651・ 271- Y (Y25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 山口 烈
鈴木 新五
登録日 2006-03-10 
登録番号 商標登録第4934911号(T4934911) 
権利者 株式会社ワイエムファッション研究所
商標の称呼 イッシュ、ワイシュ、ワイエスエッチ、ワイエスエイチ 
代理人 下山 冨士男 
代理人 秋元 輝雄 

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