• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y03
管理番号 1153982 
異議申立番号 異議2005-90408 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-08-12 
確定日 2007-02-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第4862851号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4862851号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4862851号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年12月9日に登録出願され、第3類「化粧品」及び第5類「医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成17年5月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録第3194477号商標(以下「引用商標」という。)は、「ゼロ」及び「ZERO」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成5年10月13日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として平成8年9月30日に設定登録、平成18年8月29日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現在、有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由の要旨
本件商標と引用商標は、「ゼロ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似する商品であるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、その登録は取り消されるべきものである。

4 取消理由
当審において、平成18年6月1日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、やや図案化されているとしても、「XERO.」の文字を表したものと容易に認識し把握されるものである。そして、「XERO」の綴りからなる語自体は英和辞典等には見られないものであり、かかる場合、我が国において最も普及している外国語である英語の発音に倣って称呼されるというのが自然であるから、例えば、英単語の「xerography」、「xeroradiography」、「Xerox」がそれぞれ「ゼログラフィ」、「ゼロラジオグラフィ」、「ゼロックス」と発音されるように、本件商標も「ゼロ」と称呼されるものというべきである。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「ゼロ」の称呼を生ずること明らかである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品中、第3類「化粧品」は、引用商標の指定商品に包含されるものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものである。

5 商標権者の意見
上記4の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べた。
本件商標は、指定商品「化粧品」、「薬剤」などとの関係から、「クセロ」又は「キセロ」の自然な称呼を生ずる。他方、引用商標は、片仮名「ゼロ」と欧文字「ZERO」を二段併記の商標であるから、この商標の識別力は極めて弱いものと考えられる。また、仮に、本件商標から「ゼロ」の称呼を生ずるとしてもその観念・外観が大きく異なるから、本件商標と引用商標とは十分に区別できるものであり、出所について混同を生ずるおそれは皆無である。してみれば、本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品」について使用しても商標法第4条第1項第11号に該当しないものであるから、本件登録異議申立は理由がないものである

6 当審の判断
(1)本件商標の称呼について
商標権者は、指定商品「化粧品」、「薬剤」などとの関係から、「クセロ」又は「キセロ」の自然な称呼を生ずる旨述べているが、前記4の取消理由で述べたとおり、「XERO」の綴りからなる語自体は英和辞典等には見られないものであり、かかる場合、一般的に、特定の読みを持たない欧文字から成る商標の称呼を特定する場合にあっては、これに接する需要者、取引者は、自己の知り得た外国語の知識を基に、当該商標の読みを特定して称呼する場合が多いということができる。そして、我が国における英語教育の状況等にかんがみれば、本件商標においても自己の有する英語の知識に従って、当該文字の配列となるべく似たような文字の配列から成る英単語を探し出し、称呼を特定する場合が多いというべきである。これを本件商標についてみれば、本件商標を構成する「xe」が共通する英語である例えば、英単語の「xerography(ゼログラフィ)」、「xeroradiography(ゼロラジオグラフィ)」、「Xerox(ゼロックス)」等の英語が想起されるから、本件商標からは、「ゼロ」の称呼をも生ずるものというべきである。
そうとすると、指定商品「化粧品」、「薬剤」などとの関係から、請求人が主張するように、引用商標から「クセロ」又は「キセロ」の称呼が全く生じないとまでいうことはできないとしても、「ゼロ」の称呼によって取引に資されない格別の事由も明らかでないから、この点を述べる商標権者の意見は採用できない。
(2)そして、商標権者は、仮に、本件商標から「ゼロ」の称呼が生ずるとしても、本件商標と引用商標は、その外観・観念ともに大きく異なることから、両商標が相紛れるおそれは全くない旨述べているが、本件商標と引用商標は、前記(1)のとおり「ゼロ」の称呼をも共通にすること、本願商標と引用商標の「ZERO」の文字を対比すると、両者は、強く印象に残るような特徴を有するというほどの書体ではないし、共に欧文字4文字からなり、そのうち本件商標の語頭の「X」の欧文字がやや図案化し、最後に「.(ピリオド)」が付与しているのみで、該以外の「ERO」の欧文字は、同一であるから、外観上、顕著な差異を有しているとまではいえないこと、「ゼロ」と発音、称呼したときは、数の零、皆無を想起する場合もあると考えられるから、観念において顕著な差異を有しているとまではいえないこと、及び、「化粧品」の一般的取引等において、口頭による対面取引のほかにも電話等による取引がされる場合を否定する特殊な取引の実情が存するという理由は見出せないことから、本件商標と引用商標は、「ゼロ」の称呼を共通にする類似の商標であり、外観上及び観念上その称呼の類似性に影響を与えるような顕著な差異を有しないから、両商標に接する取引者、需要者は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、この点を述べる商標権者の意見は採用できない。
(3)以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも採用し得るものでなく、その他、前記認定を覆すに足りる事由及び証左は見出せない。
してみれば、本件商標と引用商標は、商標において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中、第3類「化粧品」は、引用商標の指定商品に包含されるものであるから、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品については、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであって、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 本件商標

異議決定日 2006-12-21 
出願番号 商願2002-104043(T2002-104043) 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (Y03)
最終処分 取消  
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 井岡 賢一
中村 謙三
登録日 2005-05-13 
登録番号 商標登録第4862851号(T4862851) 
権利者 杏林製薬株式会社
商標の称呼 ゼロ、エックスエロ、キセロ 
代理人 岸田 正行 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 
代理人 木村 吉宏 
代理人 水野 勝文 
代理人 小谷 武 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ