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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 122
管理番号 1152180 
審判番号 取消2005-30632 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-05-30 
確定日 2007-02-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第2077738号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2077738号商標(以下「本件商標」という。)は、「ART」の文字を横書きしてなり、昭和58年7月8日に登録出願、第22類「短ぐつ、長ぐつ、婦人ぐつ、オーバーシューズ」を指定商品として昭和63年9月30日に設定登録され、その後、平成10年9月22日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張の要旨
請求人は、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定商品のいずれについても継続して過去3年以上使用していなかった。
また、本件商標については、専用使用権通常使用権の設定登録はなされていない。さらに、本件商標について通常使用権者も存せず、これらの者によって本件商標が上記商品について使用された事実はない。もとより、被請求人が本件商標を使用していないことについて、正当な理由を有する余地はない。
以上のとおり、被請求人は、本件商標を使用していなかったものであるから、商標法第50条の規定により、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
2 第1弁駁の理由
(1)被請求人は、乙第1ないし第5号証を提出しているが、これらの乙号証によっても、本件商標が継続して過去3年以内に通常使用権者によって、実質的に使用されていることは立証されていない。
乙第2号証により、本件商標権者が、大阪市浪速区所在の有限会社八千代(以下「八千代」という。)に通常使用権を許諾していることは認められるとしても、通常使用権者であるとされる八千代が継続して過去3年以内に本件商標を使用していたことを示す証拠は提出されていない。
乙第3号証は、商品の写真であって、これが実際の商品として市場におかれたものであるか否かは不明であり、市場における流通を示す証拠資料ではない。使用の時期、使用者も不明であり、通常使用権者の過去3年以内の使用を示すものではない。
乙第4号証は、織りネームの加工に関する記述であって、本件商標をその指定商品に使用していることを直接に示す内容ではない。
乙第5号証は、有限会社ボンレーヌ(以下「ボンレーヌ」という。)が自ら及び通常使用権者が使用していることを同社が報告するものであるが、この種書面は、関係先に容易に作成を要請できるものであることは首肯されるところであるし、この記載を裏付ける資料もない。
請求人は、ボンレーヌ、さらには、通常使用権者であるとされる八千代が本件商標を使用している事実の有無について、インターネットの各種検索エンジンを通じて検索したが、ボンレーヌは抽出できても、同社が本件商標を付した商品を扱っていることの記事は全くなかった。そもそもボンレーヌが靴類を扱っていることすら確認できなかった。八千代に関する記事は全くない。
(2)乙第1ないし第5号証は、それが市場において使用されていたことを示すものではない。請求書、納品書、社内帳簿なども一切提出されていない。
密接な関係にある取引業者に自己の有利な内容を記載した書面作成を依頼し、相手方も安易にこれに捺印することは、経験に照らして容易に想定されることである。乙第5号証のみをもって、使用の時期、使用商品、使用者が立証されているとはいえない。
(3)本件商標の指定商品は、旧第22類「短ぐつ、長ぐつ、婦人ぐつ、オーバーシューズ」のみであって、包括概念である「はき物」全部を包含するものではなく、その一部を指定商品とするにすぎない。
現在の第25類「履物」について、その細目をみると、上記に完全に対応する「短靴,長靴,婦人靴,オーバーシューズ」が明記され、これと並列して、「サンダル靴、運動靴、ハーフブーツ」が列挙されている。すなわち、例えば「サンダル靴,運動靴,ハーフブーツ」は、本件商標の指定商品旧第22類「短ぐつ、長ぐつ、婦人ぐつ、オーバーシューズ」とは別の商品であって、その概念には包含されていないのである。
ここにおいて、被請求人が使用しているとされる「婦人パンプス」は、舞踏会用に履くものであって、本来別概念である「運動用特殊靴」に包含され、本件商標の指定商品ではない。これを広く解してもせいぜい「運動靴」であって、旧第22類「短ぐつ、長ぐつ、婦人ぐつ、オーバーシューズ」の概念には包含されない。
次に、被請求人は、「ブーツ」について使用しているというが、現在の第25類が「短靴,長靴,婦人靴,オーバーシューズ」と並列して、「ハーフブーツ」を列挙していることからして、「ハーフブーツ」についての使用は、旧第22類「短ぐつ、長ぐつ、婦人ぐつ、オーバーシューズ」についての使用ではなく本件指定商品についての使用ではない。
最後に、被請求人が使用しているとされる「サンダル」も、「サンダル靴」であって、本件指定商品についての使用ではない。
3 第2弁駁の理由
(1)乙第7号証に示す商標は、「ARTComfort」であって、「ART」の文字中に切り込んだ態様で、入り込んで「Comfort」が表示されていて不可分一体になっていること、「A・R・T」と中点を有していることから、本件商標と同一性を有するものでなく、本件商標の使用を示すものではない。
(2)乙第8号証の4に示す商標も、前記と同様であって、貼り付けたラベルも不自然で実際の商品か否か疑問であり、少なくとも、実際の商品に使用されていたことを証明するものではない。
(3)乙第9号証の1の証明書なるものも、使用する商標を直接に示すものではないし、「ブランドARTにて、参画、出店している」という不明瞭な内容に止まる。
(4)乙第10号証の納品書の記載は、「A・R・T」と中点を有していることから、本件商標と同一性を有するものでなく、単なる社標としての表現であって、自他商品・役務の識別標識たる商標の使用を構成するものではない。
(5)被請求人が提出した請求書、納品書なるものは、商品と関連づけられていない。
(6)以上のとおり、被請求人が提出した乙各号証によっても、本件商標をその指定商品のいずれかについて継続して過去3年以上商取引の対象としての実体を備えた継続使用があったことは立証されていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び審尋に対する回答の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第12号証(枝番を含む。)、検乙第1ないし第3号証を提出している。
1 答弁の理由
本件商標は、以下に述べるように、通常使用権者によって使用されたもので、請求人の主張は失当である。
(1)本件商標の通常使用権者について
(ア)被請求人は、遅くとも本件商標の登録出願当時(昭和58年7月)には靴の製造、販売を業として営んでいた。被請求人は、当初、個人事業主として営業を行っていたが、靴の製造及び販売業務のさらなる拡大化及び合理化を図るために、平成15年9月18日に定款を定め、かつ同月30日に靴の製造及び販売を主たる目的として、八千代を設立した(乙第1号証の1及び2)。被請求人は、同社設立時から現在に至り、その代表取締役を努めている。
(イ)また、被請求人は、当然のことながら、これまで個人事業主として蓄積してきた販売ルート、知的財産権及びこれらに付随する営業ノウハウ等の一切を八千代において継続して活用し、上記業務の拡大化及び効率化を図る意思を有していた。したがって、被請求人は、八千代の設立時、八千代に対して自らが所有する本件商標の全範囲(存続期間中、全指定商品について、日本全国での本件商標の使用)を内容とする通常使用権を許諾したことになる。乙第2号証として、かかる事実を証明する被請求人の陳述書を提出する。
(ウ)以上の事実より、少なくとも平成15年9月30日から同17年7月22日までの間、八千代は本件商標の通常使用権者ということができる。
(2)本件商標の使用について
(ア)本件商標の通常使用権者である八千代(以下「本件通常使用権者」という。)は、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、婦人パンプス、ブーツ及びサンダルについて本件商標を使用した。
(イ)乙第3号証の1ないし7は、いずれも本件通常使用権者によって製造された前記婦人パンプス等を撮影した写真である。乙第3号証の1ないし6には、婦人用パンプス、ブーツ及びサンダルの中敷き部分(足の裏と接触する部品)に明瞭に本件商標を含む織りネームが縫製によって付されている。
(ウ)また、乙第3号証の7のサンダルには、マーク違いの例として、いわゆる金判と呼ばれる金色のスタンプにより、中敷き部に本件商標が印字されている。さらに該サンダルの靴底部には、本件商標の文字と実質的に同一視しうる文字が金型によって成型されている。
(エ)本件通常使用権者は、平成16年6月から同17年4月までの間に、乙第3号証の1ないし7に示される婦人パンプス、ブーツ及びサンダルを日本国内で製造した。本件通常使用権者は、靴を製造する際、靴を構成する各種の部品(靴底、中敷き、表革等)を外部から仕入れ、これらを自社工場で一体に組み付ける加工を行う。
乙第3号証の1ないし6の靴等に用いられている織りネームが縫い付けられた前記中敷きは、本件通常使用権者が専門の業者に加工を依頼し、その全数を引き取ったものである。この事実は、乙第4号証によって立証される。
(オ)乙第4号証は、大阪市浪速区敷津西在の赤坂昌俊氏(赤坂商店代表)による証明書である。赤坂氏は、平成16年6月から同17年4月頃までの間に、本件通常使用権者から本件商標を含む織りネームを少なくとも6,000枚受領し、本件通常使用権者の指示に基づいて、その織りネームを靴ないしサンダル等の中敷きに縫い付け、その中敷き全数を本件通常使用権者に引き渡した事実を証明している。そして、織りネームが付された中敷きは、本件通常使用権者によって前記乙第3号証の1ないし6のパンプス、ブーツ又はサンダルに組み入れられたものである。かかる行為は、日本国内において、本件商標を指定商品に付する行為に他ならず、本件通常使用権者による本件商標の使用に該当する(商標法第2条第3項第1号)。
(カ)乙第5号証は、靴の販売を業としているボンレーヌの代表者田中孝司氏による証明書である。田中孝司氏は、平成16年6月から同17年4月頃までの間に、乙第3号証の1及び2並びに乙第3号証の5及び6に示される本件商標が付されたパンプス、ブーツ及びサンダルを、本件通常使用権者から購入した事実を証明している。かかる行為は、本件通常使用権者が、日本国内において本件商標を付した指定商品を譲渡する行為に他ならず、本件商標の使用に該当する(商標法第2条第3項第2号)。
(3)結び
以上述べたように、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件通常使用権者が、その請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていたことは明らかである。したがって、請求人の主張は理由が無く、本件審判は成り立たないものと確信する。
2 審尋に対する回答(第2答弁)の理由
当審において、職権により「請求人の提出に係る弁駁書に対して、被請求人は何の手続もされていない状況ですが、前記弁駁書について何か意見あるときには、意見の内容を具体的に述べた書面を早急に提出されたい。」を内容とする審尋を発し、これに対して、被請求人は次のように理由を述べている。
(1)被請求人の製靴業務についての実情
被請求人を含め大阪の西成区や浪速区といった下町に集中している製靴業者の殆どは、個人や家族を単位とした小規模零細企業であり、インターネットや商品カタログといったメディアを用いて定番商品を大々的に大量販売することは極めて稀であって、季節毎の流行に合わせて試作したサンプル靴を靴卸問屋や小売店、さらには百貨店のバイヤー等に直接持ち込んで商談するといった営業スタイルが主流である。
(2)被請求人が製靴業務を行っている事実の立証
(ア)乙第6号証は、被請求人の製靴工場を撮影した写真であり、靴の製造を含めて現実の多くの取引をこの工場で行っている。また、写真中の「八千代製靴」の看板は、被請求人が八千代を設立する以前の商号であって、この名残りである。
(イ)乙第7号証の1ないし3に示されるように、被請求人は、製靴業界刊行物である「月刊レザー」(2003年暑中号、2004年3月号及び2005年3月号)に、「高級婦人靴製造」として「八千代製靴」又は「有限会社八千代」の名称で広告を行っている。
(ウ)乙第8号証に示されるように、被請求人は、大阪府及び大阪市主催の靴デザインコンペOSAKAへ少なくとも3年連続として試作メーカーとして参加し、いずれも佳作を受賞しており、被請求人の製靴技術は、関係者から高く評価されている。
(3)本件商標を付した婦人靴をボンレーヌに譲渡したことの立証
(ア)乙第5号証の図1で示された婦人靴は、乙第10号証(納品書)において、品名「120」、販売単価「7560円」(税別)で表されており、色違いとして、黒、Nサンド及びワインが含まれる。そして、平成15年10月4日から同17年5月17日までの期間に、被請求人は、品名「120」の婦人靴をボンレーヌに155足納品している。
(イ)乙第5号証の図2で示された婦人靴は、乙第10号証(納品書)において、品名「177」及び「187」で表されている(色は、黒、サンド、コーク及びダークブラウン)。そして、平成16年12月6日から同17年4月14日までの期間に、被請求人は、品名「177」及び「187」の婦人靴をボンレーヌに135足納品している。
(ウ)乙第5号証の図3-1及び2で示されたブーツは、乙第10号証(納品書)において、品名「665」で表されている(色は、黒及びチョコ)。そして、平成15年11月20日から同17年1月21日までの期間に、被請求人は、上記ブーツをボンレーヌに96足納品している。
(エ)乙第5号証の図4で示されたサンダルは、乙第10号証(納品書)において、品名「サンダル」で表されている。そして、平成17年5月17日に、被請求人は、上記サンダルをボンレーヌに277足納品している。
(4)指定商品について
乙第12号証(広辞苑写し)に示されるように、「パンプス」の本来的な意味としては、舞踏会用の靴であったかもしれないが、現在の製靴業界の通常の取引概念においては、締めひもや留め金のない婦人靴の一般的な総称であることは、乙第12号証に示された意味内容からも明らかである。
また、乙第5号証の図3-1及び2に示された「ハーフブーツ」は、ブーツの概念に包含されることは紛れもない事実である。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の1及び2は、八千代の定款及び同社の登記簿の写しと認められ、役員の項には本件商標権者の氏名が記載されている。また、乙第2号証は、本件商標権者による陳述書であるところ、これらの書面及び被請求人の答弁によれば、八千代は、本件商標に係る通常使用権者と認めて差し支えないものである。
(2)乙第3号証の1ないし7は、婦人用のパンプス、ブーツ及びサンダルを撮影した写真と認められるところ、乙第3号証の1ないし6に示された婦人用のパンプス、ブーツ及びサンダルには、いずれもその中敷き部分に、「ART」の文字とこれを囲むような装飾図形及び筆記体による「Comfort」の文字とが併記された「織りネーム」が縫いつけられており、さらに、乙第3号証の7に示されたサンダルには、中敷き部分に「ART」の文字(但し、アルファベット1文字「A」は横線部を欠いており、各文字間には中点を有している。)が筆記体による「Confort」の文字と共に印字され、その靴底部に同様の「ART」の文字が刻印されていることが認められる。そして、これらの「ART」の文字は、いずれも本件商標と社会通念上同一といい得るものである。
(3)乙第4号証は、大阪市浪速区敷津西在の赤坂商店代表赤坂昌俊が平成16年6月から同17年4月頃までに前記(2)にいう「織りネーム」を約6,000枚受領し、婦人用のパンプス等の中敷きに縫いつける加工を行い、平成16年6月頃から同17年4月頃までに上記加工した中敷きを3,000足分八千代に引き渡したことを証明する2005年7月15日付の「証明書」であり、「織りネーム」の写真が掲載されている。
(4)乙第5号証は、大阪市住吉区殿辻在のボンレーヌが上記(2)にいう婦人用のパンプス、ブーツ及びサンダルを平成16年6月から同17年4月頃までの期間に、八千代から700足購入したことを証明する2005年7月22日付の「証明書」である。
(5)乙第10号証は、八千代が平成16年2月21日から同17年5月17日までの期間に、商品をボンレーヌに納品したことを証する納品書の写しであり、これには、本件商標と社会通念上同一といえる「ART」(但し、アルファベット1文字「A」は横線部を欠いており、各文字間には中点を有している。)の文字、「Ladies Shoes」の文字、本件通常使用権者である「有限会社八千代(一部、「八千代製靴」の旧名称で記載されている。)」の文字、品名、靴のサイズ(21と1/2?25)、単価等が印刷されている。そして、品名の項には「120 黒ラム」又は「サンダル」等の記載があり、靴のサイズの項には納品数、単価の項には「7560」等の金額が記載されている。
(6)乙第11号証は、平成16年3月4日から同17年5月4日までの期間に、ボンレーヌに対し、代金を請求したことを証する請求書(控)の写しであり、これには、税込合計金額、摘要、金額及び当月請求額の各項目があり、日付、請求書枚数及び請求金額等の記載がある。
(7)検乙第1及び第2号証は、八千代が平成15年9月21日から同17年10月20日までの期間に、商品をボンレーヌに納品したことを証する納品書の現物(乙第10号証を含む。)であり、請求書及び納品書2枚の3枚がセットで一冊の綴りとなっているものである。
(8)検乙第3号証は、八千代が平成16年3月4日から同17年9月20日までの期間に、ボンレーヌを含む複数の商売相手に対し、代金を請求したことを証する請求書(控)の現物(乙第11号証を含む。)であり、請求書及び請求書(控)の2枚がセットで一冊の綴りとなっているものであり、これには、「有限会社八千代」のスタンプ印があるものが含まれており、社印の押印もされたと認められるものが含まれている。
2 以上の認定事実を総合すれば、通常使用権者である八千代は、「ART」の文字からなる商標を婦人ぐつに付して販売していたものとみるのが自然である。また、前記1(5)の納品書に印刷された「Ladies Shoes」の文字及び「靴のサイズ」によれば、八千代の取扱に係る商品は婦人ぐつであって、婦人ぐつは、デザイン別種類により「ハイヒールパンプ、中ヒールパンプ、フラットパンプ、フラットサンダル、ハイヒールサンダル」に大別され、「商品大辞典」(株式会社東洋経済新報社発行、昭和44年3月10日第1刷)によれば、これらは「パンプス」「サンダル」と称されている実情をも勘案すれば、上記1(2)の婦人用のパンプス、ブーツ及びサンダルを撮影した写真と同一又はこれらに類する商品が取引されたと推認し得るものであり、その時期は平成15年9月4日から同17年10月20日までと認められる。そして、上記「ART」の商標は、本件商標と社会通念上同一といい得るものである。
そうすると、通常使用権者は、本件審判請求の登録日である平成17年6月15日前3年の期間内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を取消請求に係る指定商品中「婦人ぐつ」について使用していたことを証明したものと認めることができる。
なお、請求人は、第2弁駁書において、平成18年5月29日付けで被請求人宛てに発した「審尋書」は、商標権者側を有利にするものであって、制度趣旨に反する違法な手続である旨、主張している。
しかしながら、上記審尋書の内容は、請求人の第1弁駁書に対して意見があれば提出すること、なければ審理を終結する旨の通知にすぎず、当事者の主張・立証を十分に尽くさせたうえで審理を終結すべき審判制度の趣旨にかなったものであり、請求人の主張するような被請求人側を有利にするようなものではないし、また、一方の側に立って具体的な立証をすすめるものでもない(なお、上記審尋書のコピーは平成18年9月14日に送付した。)。
したがって、請求人の上記主張は是認できない。
3 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-09-08 
結審通知日 2006-09-14 
審決日 2006-09-26 
出願番号 商願昭58-64654 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (122)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 広石 辰男金子 茂 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 久我 敬史
澁谷 良雄
登録日 1988-09-30 
登録番号 商標登録第2077738号(T2077738) 
商標の称呼 アート 
代理人 苗村 正 
代理人 住友 慎太郎 
代理人 高橋 康夫 
代理人 市之瀬 宮夫 

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