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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 103
管理番号 1152045 
審判番号 取消2006-30167 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-02-07 
確定日 2006-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第2693641号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2693641号商標(以下「本件商標」という。)は、「NUDE」の欧文字と「ヌード」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成3年9月6日登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類 」を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録され、その後、平成16年8月31日に商標権存続期間の更新登録がされ、平成17年6月1日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について、使用をしていないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁の理由において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、通常使用権者によって、本件商標の指定商品に属する商品「おしろい」について、本件審判請求前3年以内において使用されている旨述べ、かかる事実を立証するものとして、乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
しかしながら、被請求人の提出に係る上記乙第1号証ないし乙第10号証は、いずれも商標法第50条にいう、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用の事実を証明するに足るものではない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証について
乙第1号証ないし乙第3号証に関しては、被請求人及び通常使用権者間の通常使用権許諾契約の成立及び契約期間更新の是非並びにその有効性について、請求人はこれを争うものではない。
乙第4号証に関し、被請求人は「『フェイスパウダー』について使用している事実を示す容器のコピーであり…『アウェイク ルースパウダーA02(フェイスパウダー)』の記載と共に、品番02の後に『Nude』と本件使用商標が表示されている」旨述べている。
確かに、本件商標の使用される「化粧品」を取り扱う業界において通常行われている商品名称の表示方法にかんがみれば、乙第4号証に示された当該商品(フェイスパウダー)の包装容器における「アウェイク(ルースパウダーA02)」の表示については、これが「商品の名前(商標)」を表したものと理解・認識することには、さほど困難を伴うものではない。
しかし、「Nude」については、若干大きな文字を用いて表示されているとしても、上記「アウェイク(ルースパウダーA02)」の文字部分との関係では、常にこれらと不可分一体の態様で表示されているとはいい難いものであり、「Nude」の文字についても「アウェイク(ルースバウダーA02 )」の表示と同様に「商品の名前(商標)」として理解・把握されるとは必ずしもいい得ないものである。
ところで、標章の使用の定義は、商標法第2条第3項各号に列挙されているものであるところ、商標法にいう「登録商標の使用」とは、形式的にこれら使用態様の一に該当することをいうのではなく、商品の出所表示としての使用、すなわち、自他商品の識別標識としての使用をいうと解する。
この点において、後述するとおり、通常使用権者は、その業務に係る商品の出所表示として、他人の業務に係る商品とを区別するべく「Nude」の語を用いて「フェイスパウダー」なる商品の取引に当たっているとはいい難く、むしろフェイスパウダーなる商品の色を識別するための標識として使用しているにすぎないと考えられるものである。
乙第5号証は、「AWAKE MAKE-UP LINE」と称された商品パンフレットと見られるところ、その表紙において「AWAKE(やや図案化してなる)」の文字が顕著に表示されていることよりして、掲載された一連の商品は、「AWAKE」という商標(ブランド)に係るものであることが容易に理解できるものであり、「ルースパウダー5色」なる商品はその中の一種としてラインナップされていることがわかる(事実、請求人の調査したところによれば、通常使用権者は「AWAKE」を化粧品に係る商標(ブランド)として大々的に展開している。甲第1号証)。
このことは、乙第6号証ないし乙第8号証(被請求人提出に係る出荷伝票)における記載からも明らかである。すなわち、各伝票の左下に「*** AWAKE ***」と表示されていると共に、各商品名の語頭部分には、商標「AWAKE」の省略形と思しき「AW」の文字が統一的に表示されているところから、当該伝票は、「AWAKE」シリーズの各種商品に係るものであって、その商品の一つとして「ルースバウダーA」と表示されている。
ところで、上記乙第5号証において、被請求人の指摘に係る「ルースパウダー5色」なる商品は、その表示並びに商品見本の写真よりすれば、「5色展開からなるルースパウダー(フェイスパウダー)」であることは容易に理解できるものである。この点、乙第5号証における商品見本の写真において、「01」?「05」の数字と共に、「Ivory」「Nude」等の文字が併記されているところ、これらの文字が、5色展開からなる商品において「色」を識別するための記号又は標識として用いられている事実が看取できるものであり、「Nude」は、その内の1つを表すと見られるものである。
そうすると、被請求人は、乙第5号証において「品番別の個々の商品の識別標識として『Nude』の表示がなされて」いると述べているところ、このような使用方法からは、「Nude」の表示が単に「ルースパウダー」なる商品の「色」を区別するための標識として使用されているものと考えるのが自然であって、「自他商品の」識別標識として使用しているとはいい難く、また、これに接する需要者・取引者をして直ちにそのように理解・把握されるとは、考えられないものである。
さらには、乙第6号証ないし乙第8号証において、商品名として「AWルースパウダー #002」の品名が認められるところ、「Nude」の部分を省略した記載となっていることにかんがみれば、通常使用権者自身が「Nude」の語を、フェイスパウダーの自他商品の識別標識としてではなく、「02」や「#002」の記号と共に、「色(種類)」を区別するための名称と認識しているからにほかならない。
乙第9号証においては、「[メーカー]アウェイク」や「アウェイクの商品一覧」の表示がみられ、「アウェイク」については、商品の出所表示と理解できる。また、乙第10号証は、通常使用権者の提供に係るウェブサイトの表示画面を印刷したものと見られるが、その表示画面の左最上部には、やや図案化された「AWAKE」の文字が顕著に表されている。かかる表示方法は、電気通信回線を通じて商品の販売・役務の提供等を行う際における、通常用いられている出所表示としての商標の使用態様といえる(甲第1号証においてもこれと同様の態様を以って「AWAKE」の文字が統一的に使用されている)。
これに対して、「Nude」の文字は、商品の色見本の下方にごく小さく表示されている関係で、商品の色を識別するための標識として使用されていると理解されるにとどまる。
そうすると、乙第9号証及び乙第10号証においても、自他商品識別標識としての機能を果たすべく使用されているのは、「アウェイク」や「AWAKE」であって、「Nude」の文字については、そのように使用されているとは、認めることができない。
してみると、たとえ、通常使用権者が「Nude」の語を自他商品の識別標識として使用している旨主張しているとしても、そのように使用しているとは、客観的に理解・把握することはできず、これに接する需要者・取引者をして「Nude」の語をもって商品の取引に当たる可能性は極めて低いといわざるを得ない。よって、被請求人の主張には理由がなく、認められるべきではない。
(2)結び
以上詳述したとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第10号証は、いずれも商標法第50条第1項にいう、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用を証明するに足るものではなく、本件商標は、取り消しを免れない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、以下に述べるように、指定商品について本件審判請求前3年以内において使用しているものである。
(1)被請求人は、平成9年7月1日、株式会社コーセー(以下「通常使用権者」という。)との間において本件商標について商標使用許諾契約書をもって通常使用権許諾の契約をなし(乙第1号証)、その後、平成14年3月5日付けの契約更新の申し入れ(乙第2号証)に対し、平成14年3月20日付けの通常使用権許諾契約更新の通知書(乙第3号証)により、平成19年6月30日迄の5年間の更新がなされ、現在、その契約は有効に存続している。
(2)乙第4号証は、「フェイスパウダー」について使用している事実を示す容器のコピーであり、容器の裏面に製造元として、通常使用権者である「株式会社コーセー」の記載があり、「アウェイク ルースパウダーA02(フェイスパウダー)」の記載と共に、品番「02」の後に「Nude」(以下「本件使用商標」という。)と表示されている。
また、パンフレット「AWAKE MAKE-UP LINE」(乙第5号証)においても「BASE MAKE-UP」の項にルースパウダー5色とし、品番02と共に品番別の個々の商品の識別標識として「Nude」の表示がなされている。
この商品は、日本各地のデパートにおいて取扱い販売されているものである。配達日2005年4月28日付けの西武・札幌店への出荷伝票(乙第6号証)には、「AW ルースパウダーA #002」との品名が認められ、これは、「Nude」の部分を省略した記載となっているが、上記に示した乙第4号証及び乙第5号証の商品と同一の商品であることは、明らかである。
本件使用商標を付した商品は、本件審判請求後も製造、販売されており(乙第7号証及び乙第8号証)、本件使用商標は、現在に至るまで通常使用権者によって使用されている(乙第9号証及び乙第10号証)。
(3)本件商標は、前記第1のとおり「NUDE」と「ヌード」の文字よりなるものであり、本件使用商標は、「Nude」の欧文字よりなるものであるが、本件商標における片仮名文字部分「ヌード」は、欧文字部分「NUDE」の読みに相当するものであり、本件商標と本件使用商標とは、それぞれより生ずる唯一の自然称呼「ヌード」を共通にするものであるから、本件使用商標の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標として認識される商標の使用である。
(4)したがって、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標を、通常使用権者によって、本件商標の指定商品に属する商品「おしろい」について、本件審判請求前3年以内において使用していたことは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 請求人は、本件審判において、株式会社コーセーが本件商標の通常使用権者であること、本件使用商標が本件商標と社会通念上同一の範囲内のものであること、使用に係る商品「おしろい」(以下「本件おしろい」という。)が請求に係る本件商標の指定商品の範疇に属するものであること及び使用の時期が本件審判の請求の登録(平成18年2月21日)前3年以内であることについては、争うことを明らかにしていない。
2 そこで、本件おしろいにおける本件使用商標の使用が本件商標の使用に当たるかどうかについて、以下検討する。
乙第4号証は、おしろい(フェイスパウダー)の容器と認められる写真であるが、その底面には、「アウェイク ルースパウダーA 02」「<フェイスパウダー> 25.5g 4,000円」「02 Nude」等の記載がある。
乙第5号証は、「AWAKE MAKE-UP LINE」と題するカタログであるが、「ルースパウダー 5色 各4,000円」と記載があり、その説明には、「毛穴やシワに粉が落ち込みにくい粉おしろい」と記載があり、その見本写真が5つあり、それぞれ写真の横に「01 Ivory」「02 Nude」「03 Buff」「04 Sand」「05 Beige」の記載がある。
乙第6号証は、配達日を05年4月28日とする送品伝票であり、No8の項の品名欄に「AW ルースパウダーA #002」数量欄に「3」の記載があるほか、単価、金額等が記載されている。
以上の事実よりすれば、通常使用権者は、2005年4月頃、ルースパウダーA #002」3個を西武・札幌店に納品したことが認められ、該商品には、「Nude」の商標が使用されていたものと認めることができる。
そうすると、本件通常使用権者は、本件審判の請求の登録(平成18(2006)年2月21日)前3年以内に、請求に係る指定商品中の「おしろい」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと見るのが相当である。
3 請求人の主張について
請求人は、「本件使用商標は、商品の色を識別するための標識として使用されていると理解されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たすべく使用されているとは、認めることができない。また、そのように使用しているとは、客観的に理解・把握することはできず、これに接する需要者・取引者をして「Nude」の語をもって商品の取引に当たる可能性は極めて低いといわざるを得ない。」として、商標の使用には当たらない旨主張している。
しかしながら、本件使用商標は、おしろいの容器及びおしろいの広告(カタログ)に付して使用されているものと認められることは、前記のとおりであり、加えて、商標法第50条所定の「登録商標の使用」は、商標がその商品について何らかの態様で使用されておれば十分であって、識別標識としての使用(すなわち商品のかれこれ識別など商標の本質的機能を果たす態様)に限定しなければならない理由はないものと解される(東京高裁 平成3年2月28日 平成2年(行ケ)第48号)から、本件使用商標が商標の使用に当たらないということができない。
4 結び
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「おしろい」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-07-28 
結審通知日 2006-08-03 
審決日 2006-08-17 
出願番号 商願平3-93626 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (103)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 恵美中村 俊男 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 内山 進
藤平 良二
登録日 1994-08-31 
登録番号 商標登録第2693641号(T2693641) 
商標の称呼 ヌード 
代理人 岡村 憲佑 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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