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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y03
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y03
管理番号 1150358 
異議申立番号 異議2005-90081 
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-02-14 
確定日 2006-12-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第4817024号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4817024号商標の指定商品中「目のまわりに用いられる化粧品以外の化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品「せっけん類,香料類,目のまわりに用いられる化粧品,歯磨き」についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4817024号商標(以下「本件商標」という。)は、「アイスアイカラー」の片仮名文字と「ICE EYE COLOR」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成16年3月8日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成16年11月12日に商標権の設定登録がされたものである。

2 引用商標
登録異議申立人の引用に係る登録第4316030号商標(以下「引用商標」という。)は、下段に掲示する構成態様からなり、1996年12月13日ドイツ連邦共和国にした商標出願に基く優先権を主張して、平成9年5月23日に登録出願され、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品(頭髪用化粧品を除く。),歯磨き」を指定商品として、平成11年9月17日に商標権の設定登録がされたものである。

<引用商標>


3 登録異議申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は証拠(甲第2号証(引用商標に係る商標公報)ないし甲第4号証)から明らかなように商標法第4条第1項第11号及び同第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものであるとして申し立てた理由は、要旨次のとおりである。
本件商標は、上記のとおりの構成文字よりなるところ、構成中の「アイカラー/EYE COLOR」は、目を大きく見せたり、目元に立体感を持たせることにより表情をつける化粧品であるから、品質表示といえ、自他商品の識別力は「アイス/ICE」の部分にあるといえる。
なお、化粧品メーカー各社(クリスチャン・ディオール、シャネル、アナスイ、コーセー等々)より、上記の用途を有する「アイカラー」が販売されており(甲第3号証:「アイカラー」に関するインターネット情報)、庁IPDLデータより、「アイカラー」が単独で登録されている事例はないことからも(甲第4号証の1ないし6:登録商標に係る特許庁データ)、この部分に識別力がないことは明らかである。
一方、引用商標の場合、「4711」(図形部分)と「ICE」を上下二段で表記しており、上段の部分は、「ICE」の部分に比べて3分の1程度の大きさに過ぎない。したがって、引用商標の「ICE」の部分にも、自他識別力はあると判断する。
よって、共に「ICE」の文字を有する両商標の称呼は「アイス」を共有することにより、称呼上類似する商標といえる。

4 取消理由
当審において、平成18年4月4日付で商標権者に対し通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
申立人の提出に係るインターネット情報(甲第3号証)によれば、「アイカラー」及び「EYE COLOR」の文字(語)は、化粧品を取り扱う業界において、アイシャドウなどの目のまわりに用いられる化粧品を指称するものとして、各社が使用して広く浸透している状況が認められる。
してみると、本件商標をその指定商品中、「目のまわりに用いられる化粧品」に使用する場合、構成中の「アイカラー」及び「EYE COLOR」の文字部分は、商品の品質ないし用途を表すものと理解され、自他商品識別標識としての機能を有しないか極めて弱いものであって、本件商標の構成において商品の識別標識として強くその機能を果たすのは、前半部の「アイス」又は「ICE」の文字部分にあるといわなければならないから、本件商標はその指定商品中の「目のまわりに用いられる化粧品」について使用するときは、「アイス」又は「ICE」の文字部分が取引指標として認識され、支配的な印象をもって商取引に資されるとみて差し支えないものである。したがって、本件商標は、単に「アイス」(氷)の称呼及び観念をも生ずるものである。一方、引用商標は、上掲のとおりの構成にあって顕著に表された「ICE」の文字部分が独立した取引指標として認識され、かつ商取引に資されるものといえるから、引用商標からも単に「アイス」(氷)の称呼及び観念を生ずるものというのが相当である。
そうしてみると、本件商標と引用商標とは、上記の称呼及び観念を共通にすることのある類似の商標であり、また、引用商標の指定商品中には「目のまわりに用いられる化粧品」を含むから、両者は同一の商品について使用するものといわなければならない。
上述したように本件商標は、構成中の「アイカラー」及び「EYE COLOR」の文字が「目のまわりに用いられる化粧品」を表すものと理解され、本件商標の指定商品中「化粧品」については、商品の品質ないし用途を表すものと理解されるから、上記の化粧品以外の「化粧品」に使用する場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
以上のとおり、本件商標は、指定商品中の「目のまわりに用いられる化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、これ以外の「化粧品」については、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるとしなければならない。

5 商標権者の意見
上記4の取消理由通知に対する平成18年5月24日付の商標権者の意見は、要旨次のとおりである。
「ICE」は、「氷、冷たい、冷やす」等の意味を有する語であり、商品「化粧品」との関係では商品の品質を表すものとして、同様の意味を有する「COOL/クール」と共に、化粧品業界において広く知られ、用いられている語であって、そのことは各化粧品について各メーカーの使用例から明らかである。また、「ICE」を含む複数の登録商標が存し、いずれも「ICE」を共通とするにもかかわらず、互いに類似するとはされておらず、さらに、「ICE」を含む商標が拒絶されている例がある。
そして、引用商標は、「ICE」の部分が大きく目立つ態様で表記されているとしても、商標の出所表示機能は、なにも文字の大きさにより決定されるものでなく、その部分が商品の普通名称や品質を表示するに過ぎない場合には、需要者等は当該部分によっては、当該商品の出所を認識し得ないことは明らかである。
また、本件商標は、上記のとおり、まとまりよく表現され、視覚上一体的に看取することができ、全体の称呼「アイスアイカラー」も淀みなく一連に称呼されるものであって、構成全体をもって一体不可分の造語と認識し、把握され、かかる称呼のみが生じるものであり、殊更に「アイス/ICE」の部分を分離抽出する特段の事由はないから、両商標が類似しているとはいうことができないものと思料する。

6 当審の判断
(1)本件商標は、上記1のとおり「アイスアイカラー」と「ICE EYE COLOR」の文字とを上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字は、次の(2)及び(3)に述べるように指定商品(化粧品)との関係を考慮せずにみれば、「氷、冷たい、冷やす」等の意味を有する「アイス/ICE」、同じく「目」等の意味を有する「アイ/EYE」及び「色、色彩」等の意味を有する「カラー/COLOR」の各語、すなわち、その構成各文字は、いずれも我が国で良く知られ馴染まれている外来語ないし英単語といえるものであり、観念上において各文字(語)間に主従の関係になく、それぞれを二段に羅列したものと把握されるものである。そして、その構成全体からは、各語のそれぞれの意味を越えて熟語的な意味合いまでを生じるということはできず、全体としては、特定の意味合いを有しない造語的な商標とみるのが自然である。
また、本件商標の構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで書されており、視覚上においては各文字間に軽重の差はなく、一体的に構成されているものと看取できるものであって、これに相応して生じる「アイスアイカラー」の称呼も格別冗長という程のものでなく、一連に平滑、流暢に称呼し得るといって差し支えないものである。
(2)しかしながら、上記4の取消理由のとおり、その指定商品中の「化粧品」との関係にあっては、本件商標の構成中「アイカラー/EYE COLOR」の文字部分は、アイシャドウなどの目のまわりに用いられる化粧品を指称するものとして、化粧品メーカー各社が使用しその業界において広く浸透している状況にあるといえるところから、当該化粧品を表したものと認識される場合があること決して少なくないものといわなければならない。
したがって、本件商標をその指定商品中「目のまわりに用いられる化粧品以外の化粧品」について使用した場合、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(3)また、「アイス(ice)」の文字(語)は、商標権者の提出に係る証拠によれば、直ちに特定商品の品質等を具体的に表すものとまでいえないとしても、化粧品メーカー各社が他の語と組み合わせて、当該商品のヒンヤリ感などを暗示させるが如くに使用している状況等が窺えるものであり、「化粧品」との関係においても「冷たい、冷やす」等の意味をもって認識し理解されるものというのが相当であり、本件商標のかかる構成にあっては、「アイス/ICE」の文字部分が独立して自他商品の識別標識として機能するものということはできないから、上記4の取消理由において認定した、本件商標は、単に「アイス」(氷)の称呼及び観念をも生ずるものであるとの理由は撤回せざるを得ない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、共に「ICE」の文字を有するとしても、前者を化粧品について使用した場合、その構成中「アイス/ICE」の文字部分は、需要者等をして「冷たい、冷やす」等の意味をもって把握されるに止まり、独立した取引指標と認識して商取引に資されるということはできないものである。したがって、本件商標から「アイス」の称呼が生じることを前提に引用商標と称呼上類似する商標といえるとの申立人の主張は採用できないから、両商標は、称呼において類似するものとはいえず、その他、外観及び観念においても類似しないものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「目のまわりに用いられる化粧品以外の化粧品」については、需要者等が商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標とすべきであるから、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであって、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
しかしながら、本件登録異議申立てに係る指定商品中「化粧品」以外の商品については、本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとの具体的主張をしていないばかりか、これらに該当するとすべきと認定するに足りる証拠は見出せず、必ずしも商品識別の機能を有しないものということはできない。また、上述したとおり、引用商標と類似するとの事情はないといえるから、本件登録異議の申立にかかるその余の指定商品「せっけん類,香料類,目のまわりに用いられる化粧品,歯磨き」については、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-10-13 
出願番号 商願2004-21162(T2004-21162) 
審決分類 T 1 651・ 272- ZC (Y03)
T 1 651・ 26- ZC (Y03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 井岡 賢一
中村 謙三
登録日 2004-11-12 
登録番号 商標登録第4817024号(T4817024) 
権利者 株式会社資生堂
商標の称呼 アイスアイカラー、アイスアイ、アイス、アイシイイイ 
代理人 加藤 義明 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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