• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y0942
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y0942
管理番号 1150067 
審判番号 不服2005-3837 
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-03 
確定日 2006-12-18 
事件の表示 商願2004- 48873拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1.本願商標
本願商標は、「電子私書箱」の文字を標準文字により表してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成16年5月27日に登録出願されたものである。

第2.原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『電子私書箱』の文字を表してなるところ、該文字は電子メールを一時保管する擬似的な郵便箱の意味合いを有するものであるから(平成9年7月25日(株)技術評論社発行『最新インターネット用語事典』参照)、これを本願指定商品・指定役務中『電子メールを一時保存し管理するために使用する電子計算機・電子計算機用外部記憶装置・その他の電子応用機械器具,電子メールを一時保存し管理するために使用する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子メールを一時保存し管理するために使用する電子計算機の貸与,電子メールを一時保存し管理するために使用する電子計算機用プログラムの提供』等の商品・役務について使用しても、単に商品の品質、用途・役務の質、用途を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3.当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号、及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標の「電子私書箱」の文字に関して、下記の事実が認められる。したがって、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した。 記
1.各種情報
(1)「最新 インターネット用語事典」(平成9年7月25日 株式会社技術評論社発行)の303頁の「電子私書箱」の項に「電子メールの管理システム。メールボックスとも。インターネットやパソコン通信でやり取りする電子メールは、いったんプロバイダ(回線接続会社)のプライベートディスクか、ホスト局のディスクにプールされる。当然、通信の秘密は守られる。」との記載。
(2)「最新2002年版 標準パソコン用語事典」(2001年8月6日 株式会社秀和システム発行)の385頁の「電子私書箱」の項に「電子メールシステムにおいて、ユーザーが自分宛ての電子メールを受け取るポストのようなもの。メールボックスともいう。実際に箱があるわけではなく、自分宛てにメールが届いているかどうかを参照したり、メールを閲覧する機能を指す。」との記載。
(3)「日経パソコン用語事典2004年版」(2003年9月16日 日経BP社発行)の951頁の「メールボックス」の項に「電子メールでメールアカウントごとに割り当てられている仮想的な郵便箱のこと。メールサーバーのハードディスク上にあり、あたかも私書箱のように各ユーザーあてに届いた電子メールを預かり、要求に応じて受け渡す。」との記載。
(4)「KDD、パソコン私書箱を申請(情報ファイル)」(1986.08.01 朝日新聞東京朝刊8頁)の見だしのもと「国際電信電話(KDD)は31日、コンピューターに利用者ごとのメールボックス(私書箱)を設定し、そこに送られたメッセージを受け手が好きな時に取りだせるサービスを、郵政相に許可申請した・・・国際テレックスサービスの付加サービスとして、メールボックス機能を持たせるもの。」との記載。
(5)「NTT、91年度から新通信サービス向け実験開始 メディア変換など」(1990.11.01 朝日新聞東京朝刊8頁)の見だしのもと「前半の実験テーマのひとつにあがっているメディア変換通信は、パソコン通信サービスを高度化したもの。コンピューター内の『電子私書箱』に送られてきた文書を、受け手側は、好みに応じて、合成音声で読み上げてもらったり、ファクシミリで取り出したり、パソコン画面に表示したりできる。」との記載。
(6)「テレコム高度利用推進センター、MHS推進懇談会設立。電子メールの国際標準化へ」(1991.05.08 日刊工業新聞7頁)の見だしのもと「・・・国際標準に準拠した電子メールであるMHS(メッセージ通信システム・・・)のアプリケーション開拓を主な狙いに・・・電子メールはネットワークの持つ蓄積交換機能を利用、パソコン、ファクシミリ、テレックスなどの端末同士で情報交換を行う。受取人が都合の良い時にメッセージを取り出すメールボックス機能のほか、同報通信、時刻指定通信、メディア交換などの諸機能がある。」との記載。
(7)「特許庁、ぺーパーレスシステム構築計画順調。電子出願、月平均約95%。V2開発急ぐ」(1992.01.28 日刊工業新聞7頁)の見だしのもと「請求があると、その電子ファイルをいったん出願などデータファイルから発送データファイルに転送し、電子メールボックス方式で申請人に提供する。メールボックスはいわば電子私書箱。こうした手の込んだ仕組みを採用するのはデータの守秘のためで、ハッカー侵入やデータベースを破壊する行為を完全にシャットアウトできる。」との記載。
(8)「NTT、仮想会社発案の電子私書箱を商用化」(1996.04.06 日刊工業新聞1頁)の見だしのもと「VYC上のワークステーション(WS)サーバが一個人の複数の電子メール番号を本人に代わって管理してくれる。いわば『電子私書箱』で、あらかじめサーバにはシステムの構築やユーザー登録、サービス設定、システム運用などのソフト機能を蓄積すれば、メール発信者はどこからでもアクセスでき、同サーバに届くメールは自動的に送信先に仕分けされる。転送先の変更や一時停止なども自由にできる。」との記載。
(9)「大日本印刷、10月から会員制インターネット私書箱サービス。日替わりで情報提供」(1996.09.27 日刊工業新聞9頁)の見だしのもと「・・・ファッションや趣味などユーザーが興味を持つ情報を日替わりでインターネット上の個人用ウェブ画面に提供する会員制の電子私書箱サービス・・・ウェブメール(特許出願中)は会員登録したユーザー個々に電子私書箱としてウェブページを用意し、会員はそれをインターネット上のダイレクトメールを受け取るポストとして利用できるシステム。」との記載。
(10)「成長誇示、一方で防戦も WTO会議で東南アジア諸国(アジア発)」(1996.12.12 朝日新聞東京朝刊12頁)の見だしのもと「各国代表の演説原稿や発表資料がいつでも引き出せるようにし、会議参加者全員に、特設の電子私書箱を用意して、電子メールをやり取りできるようにした。」との記載。
(11)「野村総研、総務省や企業9社とメッセージインフラの社会実験を開始」(2001.09.04 日刊工業新聞8頁)の見だしのもと「実験は、メッセージの受取人である個人が、メッセージ・コンテンツの種類ごとに受け取りを希望する媒体やその媒体アドレスをあらかじめ電子私書箱サーバに登録していく。これにより差出人から電子データで送られたメッセージを電子私書箱サーバで自動変換して、希望する媒体で受け取ることができるようになる。」との記載。
(12)「ぴあ、電子チケットサービスが好調-私書箱機能が奏効」(2003.11.17 日刊工業新聞8頁)の見だしのもと「・・・インターネットによる購入者の80%が電子私書箱『・・・(デジポケ)』を利用するなど、利便性が受け入れられたようだ・・・デジポケは購入した電子チケットを保管する電子私書箱。保管したチケットは携帯電話、ICカードにダウンロードできるほか、まとめ買いしたチケットを仲間に配信する『転々流通』もできる。」との記載。
(13)マルチメディア・インターネット事典(http://www.jiten.com/dicmi/docs/k19/19665s.htm)の「電子私書箱」の項には、「メッセージ自動分類システム/企業からの各種取引書類などのメッセージを、普遍的な『ユニバーサルアドレス』に送信すると、それぞれの指定された受信媒体に自動変換し、必要とするアドレスに自動送信するサーバー・システムの俗称。電子政府構築に向けた実験の一環として、総務省は野村総合研究所と共同で、2002年1月から3ヶ月間の予定で、企業からの各種取引書類などのメッセージを、電子私書箱サーバーを用い、電子メディアによって個人に送付する社会実験を実施することを2001年9月3日に発表した。」との記載。
(14)東芝ファイナンス株式会社(http://www.toshiba-finance.co.jp/service/net/documents/pob.htm)のホームページには、「ネットビジネス事業部/電子私書箱」の項に「書類をFAXやスキャンデータで受け、電子私書箱に保管します。」、「・送られてきたデータはイメージデータに変換され、電子私書箱へ保管されます。/・イメージデータは電子私書箱にアクセスして閲覧取得することができます。」との記載。
2.以上のような実情を総合的に勘案すると、「電子私書箱」の文字は、「自分宛てにメールが届いているかどうかを参照したり、メールを閲覧する機能を有する電子メールシステムにおいて、ユーザーの自分宛て電子メールを受け取るポストのようなシステム。メールボックス。」の意味合いで使用され、一般的に使用されているものと認められる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、例えば「電子応用機械器具、電気通信機械器具、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供」等について使用した場合、これに接する需要者は、全体として、前記システム、いわゆるメールボックス機能を有する商品及び前記システム、メールボックス機能に関する役務であると認識するにとどまり、単に商品の品質、機能及び役務の質を表示するものにすぎないものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品及び役務について使用するときには、商品の品質、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるので同法第4条第1項16号に該当すると言わざるを得ない。

第4.請求人は、上記第3.の「職権証拠調べ通知書」に対して、何ら意見を述べていない。

第5.当審の判断
本願商標は、前記のとおり「電子私書箱」の文字を表してなるものである。
そして、「電子私書箱」の文字については、平成18年9月6日付け証拠調べ通知書により通知したとおり、「自分宛てにメールが届いているかどうかを参照したり、メールを閲覧する機能を有する電子メールシステムにおいて、ユーザーの自分宛て電子メールを受け取るポストのようなシステム。メールボックス。」の意味合いで使用され、一般的に使用されているものと認められる。
そうすると、本願商標は、指定商品及び指定役務中、例えば「電子応用機械器具、電気通信機械器具、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供」等について使用した場合、これに接する需要者は、全体として、前記システム、いわゆるメールボックス機能を有する商品及び前記システム、メールボックス機能に関する役務であると認識するにとどまり、単に商品の品質、機能及び役務の質を表示するものにすぎないものと認められる。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品及び役務について使用するときには、商品の品質、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるので同法第4条第1項16号に該当すると言わざるを得ないから、登録することができない。
したがって、本願商標が自他商品識別力を有しなく、商品の品質、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるとの趣旨をもって、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-10-23 
結審通知日 2006-10-27 
審決日 2006-11-07 
出願番号 商願2004-48873(T2004-48873) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y0942)
T 1 8・ 13- Z (Y0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 長柄 豊
寺光 幸子
商標の称呼 デンシシショバコ、シショバコ 
代理人 工藤 雅司 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ