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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1148448 
審判番号 取消2006-30109 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-01-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-01-25 
確定日 2006-11-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4161630号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4161630号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成8年9月4日に登録出願、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年7月3日に設定登録されたものである。
また、被請求人が本件商標の使用であるとして「靴下」に使用している商標は、別掲(2)のとおりの構成からなるものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
請求人が調査したところによると、本件商標は、商標権者若しくは使用権者によって、その登録に係わる指定商品「履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について少なくとも過去3年以上継続して使用されている事実を発見できなかった。
よって、本件商標の登録は、上記指定商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証の1の広告物(ダイレクトメールポストカード)は、被請求人の主張によれば、複数の業者が共用できるように、出所欄が空白とされ、特定の使用者名が明記されていないものである。そうとすれば、乙第1号証の1は、使用者が特定されていないことから、被請求人の商品を識別するための商標とはいえない。
また、乙第1号証の1に記載されている標章は、楕円輪郭中央に欧文筆記体の「S」を図案化したマークを上段とし、その下部に「SOMES(Eの文字には仏語におけるアクサン記号の如き記号が付されている。以下同じ)」の欧文字を表示しているが、この表示は、本件商標と同一性を欠き、相違することは明白である。「図柄」と「文字」の結合商標を上下2段形成に分離表示したものが社会通念上同一といえる範囲の範疇に入るとする被請求人の主張は、商標の使用を毀損する行為であり認めることができない。
更に、乙第1号証の1は、平成18年1月31日に納品されたものであるとのことであるが、この日付は、本件審判の予告期間(平成15年1月26日ないし平成18年1月25日;以下同じ)外の期日を示すものであって、予告期間内の使用に該当しない。
乙第1号証の2の1及び2は、その何処にも、本件商標に関わる印刷物であるか明記も示唆もされていない。この納品書は、登録商標の表示がない限り、使用を証明するものとはいえない。
また、乙第1号証の2の1及び2は、日付が2006年(平成18年)1月31日となっており、これは、予告期間外の期日のものであるから、乙第1号証の広告物は、前記の予告期間外の使用に該当し、使用を立証していない。
乙第1号証の3は、商品「靴下」の踵部側部側に、乙第1号証の1に表示されている標章と同じ標章が表示されているが、上記したとおり、本件商標の使用といえるものでない。さらに、乙第1号証の3は、撮影日が平成18年3月25日となっており、予告期間外の期日のものである。
(2)乙第2号証の1は、FAXの送付票であり、本件商標が何処にも明示されていないし、本件商標の使用と無関係の証明である。また、乙第2号証の2の請求書に表示されている「3123-29/1500メモリアルギフト」は、製品番号で表示されたものであって、本件商標を表示するものでない。このように、乙第2号証の1は、単に靴下の取引があった事実を立証するものにすぎない。
また、乙第2号証の2は、「3123ー29/1500メモリアルギフト」の株式会社未来堂宛の請求書で、この請求書の何処にも、本件商標に関わる商品であるか明記も示唆もされていない。上記同様に、単に靴下の取引があった事実を立証するものにすぎない。更に、乙第2号証の3についても同様である。
(3)乙第3号証の1のFAX送付票は、単に、株式会社テライ大阪商品センターに商品を送ったことの事実を立証するにすぎない。また、乙第3号証の2の納品書にも、商品番号「3123-29/1500メモリアルギフト」のみで、本件商標に関わる商品であるか明記も示唆もされていない。乙第3号証の3も同様に、株式会社未来堂宛の請求書であるが、何処にも、本件商標に関わる商品であるか明記も示唆もされていない。そして、乙第3号証の1ないし3に表示されている日付は、いずれも上記の予告期間外の期日のものである。
(4)以上のように、乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも商標権者が予告登録前3年以内に本件指定商品について本件商標を使用していたことの証拠としては的確性を欠くかあるいは不十分なものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その取消しに係る指定商品中の「靴下」について使用している。これを証するため商品を掲載した広告物(ダイレクトメールポストカード)、取引伝票類の写を提出する。
(1)乙第1号証の1の広告物(ダイレクトメールポストカード)は、乙第1号証の2に示す納品書のとおり、平成18年1月31日に納品され、現在も使用を継続しているポストカード型のダイレクトメールによる広告物である。
三つ折状にて通常は相互に密着してポストカード大となり、この密着を解いて開くと商品広告の掲載面が現れる仕組みである。これをダイレクトメール用の広告物並びに手渡しによる広告物としても使用している。
その商品掲載面には、品番「3123-29」、商品名「メモリアルセット ソメスC/S3P」として、商品「靴下の3足セット」が掲載されており、その靴下には個々に「楕円輪郭中に筆記体のSを変形したかの如き曲線を表した図形」と「SOMES」の文字がワンポイント刺繍にて表されている。
被請求人は、満中陰志と通称される贈答品(葬儀香料)の販売を主な業務とする業者であって、多種多様の商品を取引するものであるが、本件商品はその商号を冠していることでも分かるとおり、被請求人のオリジナル商品である。
なお、この広告物は、被請求人が使用するのみでなく、被請求人が提供した得意先にても使用することを意図したものであるため、使用者を表わす「ご注文」の欄は空白としており、「ご注文」欄にその使用者の住所・名称・電話番号・FAX番号等を適宜印字、若しくはゴム印を押印して表示するものである。
乙第1号証の2の1及び2は、上記広告物(ダイレクトメールポストカード)についての旭堂印刷株式会社発行の納品書及び請求書であり、乙第1号証の3は、乙第1号証の1に掲載の商品「靴下」の細部を明らかにするために参考として提出する拡大写真である。
(2)乙第2号証の1ないし3は、被請求人より株式会社未来堂本社に本件商標を使用した商品「靴下」が納品された事実を示す納品受領書(写)及び請求書(写)である。被請求人は、前述のように、満中陰志と通称される贈答品(葬儀香料)の販売を主な業務とする業者であり、納品に際しては、取引先から示された贈答品注文主の注文内容に応じた様々な商品に合致するように調製したうえ、一括して運送業者に託して発送納品している。
提出の運送業者「佐川急便」による判取証明によって、2005年(平成17年)1月28日に被請求人から発送された貨物が「佐川急便」の送り状No.218-5311052にて運送され、取引先である株式会社未来堂本社が受け取ったことが受領印にて見てとれる。
しかして、この貨物中には、被請求人から株式会社未来堂宛て発行された2種の請求書(2005年1月29日付発行のNo11179個別請求書、及び2005年1月31日付発行の1ヶ月分一括請求書)の品番・品名欄又は商品名欄にて見てとれるとおり、品番「3123-29」の商品が含まれており、これにより、乙第1号証に示す広告物掲載の商品である品番「3123-29」の靴下の3足セットの取引があったことが確認できる。
(3)乙第3号証の1ないし3も乙第2号証の1ないし3と同様の取引書類である。
(4)以上をもって、被請求人が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用したことを立証するものである。

第4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証の1は、ダイレクトメールポストカードであり、商品掲載面には、複数の商品セットが掲載されているところ、その一つとして、品番「3123-29」、商品名「メモリアルセット ソメスC/S3P」として「靴下の3足セット」が掲載されており、その靴下には、別掲(2)に示したとおり、「楕円輪郭内に筆記体のSを変形したかの如き曲線を表した図形」と「SOMES」の文字がワンポイント刺繍にて表されている。そして、乙第1号証の3として、該「靴下」の拡大写真が提出されている。
乙第1号証の2の1は、2006年1月31日付の旭堂印刷株式会社が被請求人(商標権者)であるソメスインターナショナル株式会社宛てに発行した納品書(控)であり、商品名欄には、ダイレクトメールポストカード(版代込み)と記載されている。また、乙第1号証の2の2は、上記納品書に対応する請求書(控)と認められるものであり、日付は2006年1月31日であり、商品名欄には、ダイレクトメールポストカード(版代込み)と記載されている。
乙第2号証の1は、運送業者である佐川急便による判取証明(送り状No.218-5311052)であり、依頼主欄には「ソメスインターナショナル(株)」とあり、届け先欄には「(株)未来堂本社」とあって、受領印欄には確認印が押されており、依頼物品が2005年1月28日に配送されたものである旨記載されている。
乙第2号証の2は、ソメスインターナショナル株式会社が株式会社未来堂に宛てた2005年1月29日付の請求書(No11179)であり、品番・品名欄には、「3123-29/1500メモリアルギフト」と記載されている。
乙第2号証の3は、ソメスインターナショナル株式会社が株式会社未来堂に宛てて発行した2005年1月31日付の1ヶ月分一括請求書であり、その年月日欄の「01/29」の欄には、乙第2号証の2の請求書ナンバーである「11179」が記載されており、商品名欄には「3123-29/1500メモリアルギフト」と記載されている。
乙第3号証の1ないし3も乙第2号証の1ないし3と同様の書証であり、乙第3号証の1は、運送業者である佐川急便による判取証明(送り状No.218-5053301)であり、依頼主欄には「株式会社テライ大阪商品センター」とあり、届け先欄には「(株)未来堂 川口営業所」とあって、受領印欄には確認印が押されており、依頼物品が2006年1月28日に配送されたものである旨記載されている。
乙第3号証の2は、ソメスインターナショナル株式会社が株式会社未来堂に宛てた2006年1月28日付の納品書(No12063)であり、品番・品名欄には、「3123-29/1500メモリアルギフト」と記載されている。
乙第3号証の3は、ソメスインターナショナル株式会社が株式会社未来堂に宛てて発行した2006年1月31日付の1ヶ月分一括請求書であり、その年月日欄の「01/28」の欄には、乙第3号証の2の請求書ナンバーである「12063」が記載されており、商品名欄には「3123-29/1500メモリアルギフト」と記載されている。
(2)上記において認定した乙各号証に被請求人の主張を総合してみれば、以下のように認められる。
(ア)被請求人は、「ダイレクトメールポストカード」(乙第1号証の1)に、品番「3123-29」、商品名「メモリアルセット ソメスC/S3P」として商品「靴下の3足セット」を掲載しており、その靴下には、「楕円輪郭内に筆記体のSを変形したかの如き曲線を表した図形」と「SOMES」の文字からなる商標を表示していることを認めることができる(乙第1号証の1及び3)。
しかして、該商標は、本件商標とは、図形部分と文字部分の配置は異なるが、社会通念上同一と認められる範疇のものであり、使用に係る商品「靴下」は、取消請求に係る本件商標の指定商品中の「被服」の概念に属する商品である。
該ダイレクトメールポストカードについて、被請求人は、乙第1号証の2の1及び2(納品書及び請求書)に示すとおり、2006年1月31日に旭堂印刷株式会社により納品されたものである旨述べており、該納品書及び請求書に格別不自然なところも見当たらないから、該ダイレクトメールポストカードは、被請求人の主張するとおり、2006年1月31日に旭堂印刷株式会社により納品されたものとみるのが相当である。
しかし、2005年1月29日付の請求書(乙第2号証の2)には、既に、品番「3123-29」のメモリアルギフトの記載があり、2006年1月28日付の納品書(乙第3号証の2)にも引き続き同じ記載があることを認めることができる。
そうとすれば、被請求人における商品の取引形態をも併せみれば、乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードと同種のものは、少なくとも2005年1月以降には既に、取引に供されていたものとみるのが自然であり、被請求人の主張を善解すれば、乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードは、既に存在していた乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードと同種のポストカードの改訂再版に係るものとして、2006年1月31日に旭堂印刷株式会社により納品されたものとみるのが相当である。
(イ)そして、乙第2号証の2及び3の請求書によれば、被請求人は、2005年1月28日に、コード番号が「3123-29」の「1500メモリアルギフト」を株式会社未来堂へ販売しており、これは、ダイレクトメールポストカードに掲載されているコード番号「3123-29」の「1500メモリアルギフト」と符合しているものである。また、乙第2号証の1の佐川急便の判取証明は、配送した商品の内容までは確認できないものの、乙第2号証の2及び3の請求書の日付からみれば、上記商品の配送に係る判取証明とみるのが自然である(なお、欄外に記載されている「川村家様分です」の記載と乙第2号証の2の備考に記載されている「川村澄夫様」の記載とは符合しているが、判取証明の欄外の記載を誰が書いたのか明らかでない。)。
そしてまた、乙第3号証の2の納品書及び同号証の3の請求書によれば、被請求人は、2006年1月28日にも、コード番号が「3123-29」の「1500メモリアルギフト」を株式会社未来堂へ販売しており、上記したところと同様、これもダイレクトメールポストカードに掲載されているコード番号「3123-29」の「1500メモリアルギフト」と符合しているものである。また、乙第3号証の1の佐川急便の判取証明についても配送した商品の内容までは確認できないが、乙第3号証の2及び3の納品書・請求書の日付からみれば、上記商品の配送に係る判取証明とみるのが自然である(なお、依頼主欄の記載は「株式会社テライ大阪商品センター」となっており、被請求人であるソメスインターナショナル株式会社との関係が明らかではないが、乙第2号証の1の判取証明も乙第3号証の1の判取証明も、いずれも、FAX送付票の送付先が「株式会社テライ大阪商品センター」であることからすれば、被請求人の関連会社と推認し得る。)。
(ウ)以上、乙各号証を総合してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成18年2月10日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている「靴下」(コード番号「3123-29」)が掲載されているダイレクトメールポストカードを取引に供していたものと推認され、かつ、該ダイレクトメールポストカードに掲載されている「3123-29」のコード番号に相応する「靴下」を株式会社未来堂へ販売したものと認められる。
(3)請求人の主な反論について
(ア)乙第1号証の1の広告物(ダイレクトメールポストカード)には、使用者が特定されていないことから、被請求人の商品を識別するための商標とはいえない旨の主張について
確かに、乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードには、使用者を特定する表示は見当たらない。しかしながら、被請求人の主張によれば、被請求人は、満中陰志と通称される贈答品(香典に対する返礼品)の販売を主な業務とする業者であって、該ダイレクトメールポストカードは、被請求人が使用するのみでなく、被請求人が提供した得意先にても使用することを意図したものであるため、使用者を表わす「ご注文」の欄は空白としており、「ご注文」欄にその使用者の住所・名称・電話番号・FAX番号等を適宜印字、若しくはゴム印を押印して表示するものであるとのことであって、被請求人が主張しているような業務形態の場合においては、やむを得ない使用状態というべきである。そして、該ダイレクトメールポストカードは、乙第1号証の2の1及び2(納品書及び請求書)により、現に被請求人に納品されているものであるから、被請求人により使用されているダイレクトメールポストカードとみるのが相当である。
(イ)乙第1号証の2の1及び2の納品書・請求書には、本件商標に係る印刷物であることが明記も示唆もされておらず、また、該ダイレクトメールポストカードが納品されたとする平成18年1月31日は、本件審判の予告期間内の使用には該当しないものである旨の主張について
確かに、乙第1号証の2の1の納品書の記載事項からみれば、納品されたものが乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードであったことを具体的に特定する記載までは見当たらない。しかし、一般的な取引における納品書や請求書の記載事項に照らしてみれば、通常見られるような取引書類であって格別不自然なところはないから、被請求人から印刷依頼された乙第1号証の1のダイレクトメールポストカードの納品に伴い、旭堂印刷株式会社が被請求人に宛てて発行した納品書・請求書とみるのが相当であり、これを否定するに足る証拠(例えば、他のダイレクトメールポストカードに係る納品書である旨の証明)の提出もない。
また、該ダイレクトメールポストカードの納品日は、平成18年1月31日とされているところ、本件審判は平成18年1月25日に請求されているが、その予告登録は、商標登録原簿の記載によれば、平成18年2月10日になされている。そうとすれば、商標法第50条第2項に規定されているように、「その審判の請求の登録前3年以内に」使用をしていたことを証明すればよいのであるから、該ダイレクトメールポストカードの納品は、本件審判についての要証期間内のものといわなければならない。
(ウ)該ダイレクトメールポストカードの靴下に表示されている商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえないものである(乙第1号証の3の写真に表示されている商標についても同様)旨の主張について
確かに、該ダイレクトメールポストカードの靴下に表示されている商標は、「楕円輪郭内に筆記体のSを変形したかの如き曲線を表した図形」を上部に表し、その下に「SOMES」の欧文字を表した構成からなるものであり、図形と文字の位置関係において、本件商標と同一の構成からなるものとはいえない。しかしながら、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、図形の位置を欧文字部分の左側から上部に変えたことにより、商標から受ける印象に格別の差異を感じさせるものとはいえないから、本件商標と社会通念上同一と認識し得る商標と認めて差し支えないものというべきである。
(エ)乙第2号証の1のFAXの送付票には、本件商標が何処にも明示されておらず、また、乙第2号証の2及び3の請求書に記載されている「3123-29/1500メモリアルギフト」の表示は、製品番号で表示されたものであって、何処にも、本件商標に係る商品であることが明記も示唆もされていない。このことは、乙第3号証の1ないし3についても同様であり、加えて、乙第3号証の1ないし3に表示されている日付は、いずれも、予告期間外の期日のものである旨の主張について
確かに、乙第2号証の1及び乙第3号証の1の各判取証明には本件商標の表示はないが、この種の商品配達証明書に個別の商標まで表示されるということは、むしろ一般に行われているものとはいえないところであり、商品取引の流れを把握する書類としては充分なものというべきである。
また、乙第2号証の2、3の請求書及び乙第3号証の2、3の納品書・請求書には、いずれも「3123-29」なる製品番号が表示されているのみであって本件商標の表示はないが、このような製品番号による表示の仕方も各種請求書・納品書において通常見られるところであって、不自然なものとはいえない。そして、この「3123-29」という製品番号は、ダイレクトメールポストカードに掲載されている製品番号と符合するものであるから、被請求人と株式会社未来堂との間において、ダイレクトメールポストカードに掲載されている「3123-29」なる製品番号で示されている「靴下」についての取引が2005年1月29日及び2006年1月28日にあったものとみるのが相当である。
更に、乙第3号証の1ないし3の判取証明・納品書・請求書の日付の点については、前述したところと同様、いずれも、本件審判についての要証期間内のものである。
そうとすれば、請求人は、乙各号証のそれぞれについて反論しているが、被請求人の提出に係る乙各号証をそれぞれ個別にみた場合には、本件商標の使用の事実を証明するものとして、必ずしも的確なものとはいえないとしても、乙各号証を総合してみれば、本件商標の使用の事実は証明されているものとみるのが相当であるから、請求人の上記各主張は、いずれも採用できない。
(オ)なお、請求人は、請求の趣旨において、「商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消す・・・」旨記載しているが、請求の理由においては、「・・・本件商標は、その登録に係わる指定商品『履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴』について少なくとも過去3年以上継続して使用されている事実を発見できなかった。よって、本件商標の登録は、上記指定商品について・・・取り消されるべきである。」旨述べており、取消を求める範囲が一致していない。
しかして、商標法第50条による取消審判において、登録の取消を求める商品の範囲は、請求の趣旨の項の記載によって定まるものと解されるから、本件審判は、請求の趣旨の項に記載されているとおり、本件商標に係る全ての指定商品についての登録の取消を求める請求といわなければならない。

(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る本件商標の指定商品中の「靴下」について使用していたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 本件商標



別掲(2) 被請求人が「靴下」に使用している商標



審理終結日 2006-09-28 
結審通知日 2006-10-04 
審決日 2006-10-17 
出願番号 商願平8-99974 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福島 昇梶原 良子 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 久我 敬史
澁谷 良雄
登録日 1998-07-03 
登録番号 商標登録第4161630号(T4161630) 
商標の称呼 ソーメス、ソームス、サムス 
代理人 藤田 典彦 
代理人 藤田 邦彦 
代理人 福田 進 

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