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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z20 |
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管理番号 | 1146834 |
審判番号 | 取消2005-31221 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-12-22 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-10-05 |
確定日 | 2006-08-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2296206号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2296206号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和63年2月8日に登録出願、第20類「屋内装置品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年1月31日に設定登録され、その後、同12年10月24日に商標権存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成12年12月27日に第14類「貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて」、第20類「家具,葬祭用具」、第21類「花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」及び第27類「敷物,壁掛け(織物製のものを除く。)」に指定商品の書換登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の商品の区分第20類の指定商品中「葬祭用具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 ア 請求人が、本件商標の使用状況を現実に調査した結果、美術品あるいは宝石、貴金属に属する商品の販売はされているが、「葬祭用具」と思われるものは見当たらなかった。このことから、本件商標の商標権者は、日本国内において継続して3年以上にわたって本件商標をその指定商品「葬祭用具」について使用していないものであることは明らかである。 イ 本件商標には、その商標登録原簿(甲第1号証)から明らかなように、登録された専用使用権者、通常使用権者、質権者等の記載がないので、これらの者が存在するとは認められない。 請求人が調査した範囲においては、未登録の通常使用権者が存在するとは考えられない。 したがって、商標権者以外の者が、指定商品「葬祭用具」について本件商標を使用している事実はないものである。 ウ また、本件商標を、その指定商品中「葬祭用具」について使用しないことについて正当な理由があるとも思われない。 (2)答弁に対する弁駁 商標法第2条第1項第1号によれば、商標とは、商品について使用するものとされており、商品に対してその商品が自他識別できるように付され「使用」されなければならないものであり、商品に付して使用する場合の「使用」の形態については、商標法第2条第3項第1号ないし同第8号において定めている。 これらの規定に基づいて、答弁書の理由を検証する。 ア 乙第1号証ないし同第5号証について 乙第1号証ないし同第5号証のパンフレットをみると、本件商標は、これらのパンフレットの表紙にただ一か所表示されているのみである。そして、これらのパンフレットの内容をみると、各種の商品がアトランダムに配置され表示されている。しかし、どれ一つの商品についても本件商標の表示はなされていないのである。また、被請求人の主張の如く、乙第1号証、同第3号証及び同第4号証には「御りん」(「りん」は、「金」へんの漢字からなる。以下同じ。)、同第2号証には「御りん」と「数珠(念珠)」、同第5号証には「香立て」が記載されている。しかし、これらの商品のいずれにも、本件商標は「商品について」使用されてはいないのである。 前記したように、本件商標は、単に乙第1号証ないし同第5号証のパンフレットの表紙の一か所のみに表示されているのみで、いずれの商品に使用しているのか不明なのである。これは、明らかに商品に関して使用しているものということができないものである。 また、「パンフレット」が本件商標の取消対象の商品であれば、本件商標を使用しているということができる。しかし、本件商標の取消対象の商品は「葬祭用具」である。その「葬祭用具」に本件商標は一つとして使用されていないのである。さらに、パンフレットに記載されている被請求人が指定した商品は、いずれも限定品であり、作者が明示されていたり、実際に使用できない純金製の商品であったり、実質的には美術工芸品のパンフレットにほかならない。 イ 乙第6号証について 被請求人は、乙第6号証は商品の保証書用紙で、商品「数珠(念珠)」、「香立て」あるいは「御りん」の包装用箱に同梱され、若しくは、購入者に直接手渡されるなどと主張している。 しかし、乙第6号証は、本件商標の使用ではなく、単に類似商標の使用であり、かつ商品が何一つ表示されていない。このことは、明らかに本件商標を使用していないことを如実に示しているものである。 また、上記の商品は、肌身に付けて使用されるものであろうか。乙第6号証の<注意>をみれば明らかな如く、前記の商品に使用される保証書ではない。本件商標が使用されていないことは、このことからも明らかである。 ウ 乙第7号証ないし同第10号証について 被請求人は、本件商標を表示した包装用紙を「念珠」の包装に使用しているから、本件商標の使用だと主張していると思われる。 しかし、包装用紙による「念珠」包装用箱の包装は、単に当該商品とは関係のない包装用箱の外装の美観を増長させるためのものであって、当該商品を表示し、かつ、当該商品を識別できるものではなく、「商品について」使用しているものということはできない。なぜなら、商品「数珠」を購入する際に、商品選択の識別を商品の購入後の包装用紙で行うことはないからである。 本件商標が「数珠」に使用されているというごとができるのは、例えば、「数珠」を包装する包装用箱に本件商標が表示されているのであれば、あるいは商品「数珠」について本件商標を使用していると認めることもできる。しかし、被請求人の提出した乙号証の包装用箱には本件商標が全く表示されていない。 したがって、乙第7号証ないし同第10号証は、何ら本件商標の使用を証明するものにはなりえず、単にラッピング作業を表示するのみである。 エ 乙第11号証について 乙第11号証も、乙第1号証ないし同第5号証と同様で、パンフレットの表紙にのみ一か所、本件商標を表示しており、パンフレットに記載されている各種の商品については全く使用されていない。 取消対象商品が「パンフレット」であるのであれば、本件商標が使用されているということはできる。しかし、本件取消対象の商品は、「パンフレット」ではなく「葬祭用具」である。この「葬祭用具」に本件商標は全く使用されていない。 したがって、乙第11号証も本件商標の使用の証明にはならないものである。 また、乙第11号証に付着しているハガキに本件商標が表示されているが、これも「商品について」使用しているということはできないものである。さらに、本件商標と社会通念上同一の商標を表示していると主張しているが、これらの商標も「商品について」使用していると認められる態様ではないものである。 これ故、乙第11号証は、何ら本件商標の使用を証明するものではない。 オ 以上から明らかな如く、被請求人の主張した、乙第1号証ないし同第11号証の各証拠は、いずれの一つも本件商標の使用を証明するものとは認められず、また、本件の指定商品「葬祭用具」に使用しているとも認められないものである。これ故、被請求人は、本件商標を商品「葬祭用具」に使用していることを証明できていないことは明らかである。 (3)以上のとおり、本件商標は、その指定商品「葬祭用具」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第11号証を提出した。 (1)使用の概要 本件商標は、商標権者により、本件商標の指定商品中「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」に関し、継続して、本件審判の請求の登録の日である平成17年10月19日前3年以内に、日本国内において使用されており(乙第1号証ないし同第11号証)、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。 (2)使用事実 まず、本件商標が、商品の広告媒体であるパンフレット(乙第1号証ないし同第5号証)に、また、本件商標と社会通念上同一の商標が、商品の取引書類の一種である保証書(乙第6号証)に、各々使用されていることは明らかである。 また、本件商標は、商品の包装用紙にも表示されており、現実に当該包装用紙で包装された状態で取引されているものである(乙第7号証ないし同第10号証)。 次に、本件商標が、その指定商品「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)、香立て及び御りん」について使用されていることも明らかである(乙第1号証ないし同第5号証並びに乙第7号証ないし同第10号証)。なお、「数珠(念珠)、香立て及び御りん」が、「葬祭用具」に属することは明白な事実で、証明あるいは説明を要するものではない。 さらに、商品パンフレットは、平成15年(2003年)ないし平成17年(2005年)に継続して制作・印刷され、頒布されていた(乙第1号証ないし同第5号証)。この期間は、本件審判の請求の登録の日前3年以内に該当している。 なお、本件商標が、商標権者所在地において使用され、頒布されたパンフレット(乙第1号証ないし同第5号証)が日本語で記載されていることから、当然日本国内で頒布されたと認められ、日本国内で使用されていた事実も明らかである。 (3)以上、本件商標は、商標権者により、その指定商品中「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)、香立て及び御りん」に、本件審判の請求の登録の日前3年以内に、日本国内において継続して使用されており、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。 4 当審の判断 (1)本件商標は、別掲のとおり「en」の文字(「e」の文字の上部にアクサン記号が付されている。「en」の文字については以下同じ。)と「エン」の文字とを二段に書してなるものであるところ、被請求人は、商標権者が本件商標をその指定商品中「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)、香立て及び御りん」について使用していると述べ証拠を提出するので、以下検討する。 ア 乙第1号証ないし同第5号証は、「Excellent Collection」「2003 Autumn」(乙第1号証)、「Excellent Collection」「2004 Spring」(乙第2号証)、「SPRlNG COLLECTION」「2005 春の新作クラフトコレクション」(乙第3号証)、「SUMMER COLLECTION」「2005 夏の新作クラフトコレクション」(乙第4号証)又は「Excellent Collection」「2005 Autumn」(乙第5号証)と題された商品パンフレットであり、これらの表紙には、これらの文字と共に「日鉱美術工芸株式会社」の文字及び別掲(2)に示した商標(円図形内は白抜きで表された「en」の文字部分を除き彩色されており、その色彩は各乙各号証により異なっており、別掲(2)に示した商標の色彩は例示である。以下、これらの商標を一括して「被請求人商標」という。)が表示されているものであって、これらのパンフレットには、商品「御りん」(乙第1号証、同第3号証及び同第4号証)、「御りん及び数珠(念珠)」(乙第2号証)又は「香立て」(乙第5号証)が掲載されているものである。 イ 上記事実によれば、これらの商品パンフレットは、いずれも商標権者の一である「日鉱美術工芸株式会社」の取扱商品が掲載されているものであって、これに掲載されている商品「御りん、数珠(念珠)及び香立て」は、本件審判の取消請求に係る指定商品「葬祭用具」に属する商品と認められる。 そして、乙第1号証ないし同第5号証には「2003 Autumn」、「2004 Spring」、「2005 春の新作クラフトコレクション」、「2005 夏の新作クラフトコレクション」又は「2005 Autumn」の文字が表示されており、商取引の経験則に照らせば、これらの商品パンフレットは、2003年(平成15年)の春期、2004年(平成16年)の春期又は2005年(平成17年)の春、夏、秋のいずれかの時期あるいはその前後の時期に、これらに掲載されている商品「御りん、数珠(念珠)、香立て」その他の商品の広告、宣伝のために我が国において取引者、需要者に頒布されたものと推認することができる。 次に、別掲(1)に示した本件商標と別掲(2)に示した被請求人商標とを対比すると、本件商標は、多数の横線が白抜きで配された円図形内に「en」文字が白抜きで表されているのに対し、被請求人商標は、彩色された円図形内に白抜きで「en」の文字を表してなるものであり、両商標は、円図形の表現方法に差異を有することが認められる。しかしながら、共に円図形内に「en」の文字が表されているという商標の基本構成において共通しており、これらの差異により社会通念上の同一性が損なわれるものとは認められない。 そうとすれば、被請求人商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが相当であり、これらの商品パンフレットに掲載されている商品「御りん、数珠(念珠)、香立て」その他の商品について自他商品の識別標識としての機能を十分に果たしているものといわなければならない。 以上によれば、乙第1号証ないし同第5号証により、商標権者が、我が国において、上記時期に、本件商標を取消請求に係る指定商品に含まれる「御りん、数珠(念珠)及び香立て」について使用していた事実は、証明されているといわなければならない。 (2)まとめ してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を取消請求に係る指定商品「葬祭用具」の範疇に含まれる「御りん、数珠(念珠)及び香立て」について使用していたものといわなければならない。 したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品「葬祭用具」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審決日 | 2006-06-27 |
出願番号 | 商願昭63-11879 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z20)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 茂久 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
小林 薫 寺光 幸子 |
登録日 | 1991-01-31 |
登録番号 | 商標登録第2296206号(T2296206) |
商標の称呼 | 1=エン |
代理人 | 特許業務法人松田特許事務所 |
代理人 | 丸山 幸雄 |