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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 110
管理番号 1146737 
審判番号 取消2004-31633 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-12-24 
確定日 2006-10-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2121769号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2121769号商標(以下「本件商標」という。)は、「Presep」の文字と「プレセップ」の文字とを二段に書してなり、昭和61年4月14日に登録出願、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録され、その後、平成11年4月20日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の一部取消の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第14号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
ア 被請求人は、乙第1号証ないし同第6号証を提出して、試料前処理用固相抽出力ラム及び試料前処理用力ラムが、医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品分野における商品及び調剤用機械器具に使用されている旨を述べている。しかしながら、カラムは、「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」に属する商品であるとはいえないものである。
(ア)カラムの定義
カラムについて、「マグローヒル科学技術用語大辞典 改定第3版」(日刊工業新聞社)によると、「クロマトグラフ法において固定相を保持する管。移動相がこれを通過する」(甲第2号証)、また、「ステッドマン医学大辞典 改定第5版」(メジカルビュー社)によると「柱、列、カラム(通常、円筒状の垂直の物体、塊または構造)」と記されており(甲第3号証)、これらの説明から、カラムは、少なくとも医療機械器具及び調剤用機械器具に限定して使用されるものでないことが窺われる。
(イ)特許庁特許電子図書館の「商品・役務名リスト」の検索結果
「商品・役務名リスト」を調べたところ、「高速液体クロマトグラフィー用充填カラム」は、第9類「理化学機械器具」に係る類似群コード「10A01」と記されている(甲第4号証)。ここで、前記医学大辞典によると、「クロマトグラフィー」とは、「2相間の移動の差による化学物質や粒子(本来、色素やその他の着色化合物)の分離方法。」と記されており(甲第5号証)、その分離に際して「一相すなわち液体(液相)が二相すなわち固定相を充填したカラム」(甲第5号証)が使用されるが、それが即ち前記「クロマトグラフィー用充填カラム」である。
よって、充填カラムは、前述のとおり「理化学機械器具」であり、カラムの範疇に属する商品であると解されることから、被請求人の使用に係る商品が、医療機械器具及び調剤用機械器具であるということが証明されない。
さらに、乙第4号証中の「用途」の欄に「医薬品分析」と記されていることから、前記「商品・役務名リスト」にて、「薬品」及び「分析」をキーワードとして調べたところ、「薬品の検出及び分析装置」には第9類の「測定機械器具」を示す類似群コード「10C01」が記されており(甲第6号証)、このことから、カラムが「医薬品検出・分析」用の機械又は器具と解するとしても、第10類「医療用機械器具」に属する商品ではないといえる。
(ウ)厚生労働省が定める薬局等構造設備規則について
上記薬局等構造設備規則第1条第1項第8号に、薬局が備えるべき「調剤に必要な設備及び器具」が規定されているが(甲第7号証)、その中にはカラムなどの混合物の分離に使用する器具は含まれていない。一方、同条同項第9号には「試験検査に必要な設備及び器具」として薄層クロマトグラフ装置が記されている。「薄層クロマトグラフィー」が「薄層状の吸着剤を用いるクロマトグラフィー。」と記されていることから(甲第8号証)、クロマトグラフィ用の関連機械器具は、第9類に属する「試験検査に必要な設備及び器具」であり、第10類に属すると思料される「調剤に必要な設備及び器具」ではないものと解される。
以上述べたことから、「カラム」は、少なくとも第10類の「医療用機械器具」又は「調剤用機械器具」(10D01)ではなく、第9類の「理化学機械器具」(10A01)又は「測定機械器具」(10C01)に区分される商品であるものと解される。
(エ)乙第4号証「スピーディスクSPE(Mallinckrodt Baker,Inc.)」の記載について
特許庁特許電子図書館の「商標出願・登録情報」によると、上記Mallinckrodt Baker,Inc.(日本語名称「マリンクロット・ベーカー・インコーポレイテッド」)の所有する商標登録第4085734号商標は、第9類「カラム,その他の理化学機械器具」を指定商品としており(甲第9号証及び同第10号証)、第10類「医療用機械器具」を指定商品としていない。このことから、同社は、カラムを、医療用機械器具としてではなく、理化学機械器具として理解・認識しているものと思料される。
イ 以上述べたことを総合的に鑑みると、カラムは、本件審判請求に係る「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」ではないことが明らかになったものと思料する。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)本件商標は、以下のとおり本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人である商標権者により使用に供されている。
(ア)商標権者は、多様な用途で本件商標を付した商品を販売している(乙第1号証参照)。
(イ)その中で、種々の試料の前処理用固相抽出力ラムとして、本件商標を同一の形態で表記したラベル(乙第2号証)を貼付した商品(乙第3号証)(以下「本商品」という)を医療分野を含む広い市場で販売している。本商品と同種の試料前処理用固相抽出力ラムのアプリケーションノート(乙第4号証)には、尿、血清、血漿等を試料とした数多くの「医薬品・臨床分析」の適用例が明記されており、本件商標が「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」分野における商品に使用されていることが明らかである。
(ウ)また、商標権者は、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影装置)用放射性薬剤を病院医師などの需要者自らが製造することができる製品(乙第5号証)を販売しているが、この製品の試料前処理用力ラムとして本商品も使用されるものである。したがって、本件商標は、「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」分野における調剤用機械器具として使用されるものである。
(エ)乙第6号証の本商品のサンプル配布先一覧によると、本件審判請求の登録日前3年間に、本商品のサンプルが医科大学、薬剤師会、製薬会社等に配布されていることは明らかである。本件商標を付した商品は、医療分野のユーザーに使用されている。
(2)以上のとおり、被請求人が、本件審判請求に係る指定商品「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」について本件商標を本件審判請求の登録日前3年間に使用している事実は、立証されたことになる。
したがって、本件審判における取消理由は、成り立たない。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標を表記したラベルを貼付した種々の試料前処理用固相抽出力ラムを医療分野を含む広い市場で販売しており、本件商標が「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」分野における商品に使用されていることが明らかである旨主張するので、以下検討する。
(1)乙第1号証は、被請求人の総合カタログ(平成16年2月1日発行)の抜粋(写し)であり、本件商標の欧文字部分「Presep」及び片仮名部分「プレセップ」が丸にRの記号とともに多数表示され、試料前処理用 10個×5 38,000(本体価格)などが掲載されている。
(2)乙第2号証は、前記種々の試料の前処理用固相抽出カラムに貼付するラベルの見本と認められ、「Presep」及び片仮名部分「プレセップ」が丸にRの記号とともに表示されている。
(3)乙第3号証は、試料前処理用 固相抽出カラム プレセップ-Cシリーズのカタログであり、充てん剤別カラムの写真とともに、商品説明として「HPLC、GC分析などの試料の前処理として用いられる固相抽出法は、簡便で溶媒使用量も少ないなどの利点から、従来の液-液溶媒抽出法に代わって多く使用されるようになり、環境分析、食品分析に関する公定法でも多く採用されています。」などの記載がなされている。
(4)上記において認定した事実に被請求人の主張を総合してみれば、被請求人は、医療の分野を含む幅広い分野で、各種の試験研究や分析に使用される試料前処理用の固相抽出カラムを製造販売しているものであって、これらの各種カラムは、請求人が「少なくとも医療機械器具及び調剤用機械器具に限定して使用されるものでないことが窺われる。」と主張するように、確かに各種の用途に使用されるものが含まれるものではあるが、医療の分野において尿や血清等を試料として扱われていることから、「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」の範疇に属する商品として使用されているものと認めて何ら差し支えないものというのが相当である。
また、請求人は乙第4号証についても言及しているが、これは乙第1号証ないし同第3号証により認定し得る事実を補強する資料としての価値は認められるものである。
さらに、請求人は乙第5号証及び同第6号証についても言及しているが、これらの証拠には、請求人がいうように商標が付されていない、証明する期日の記載がないなど、本件商標の使用を直接証明するものはないとしても、前記乙第4号証と同様に乙第1号証ないし同第3号証により認定し得る事実を補強する資料としての価値は認められるものである。
そして、現実に使用されている商品は、商標法におけるいずれの商品の類似群に属するかについて、その判断が極めて困難な商品も存するのが実情であり、特に不使用取消審判の場においては、登録商標の使用されている当該商品の実質に即して、それが真に複数の商品類似群に属する多面性を有する商品であれば、当該複数の商品類似群に属する商品について登録商標が使用されているものと扱っても差し支えないというべきであり、このように解しても、不使用取消審判制度の趣旨に反することにはならないものというべきである。
(5)まとめ
してみれば、被請求人の取り扱いに係る商品「試料前処理用固相抽出カラム」は、取消請求に係る「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」の範疇に属する商品として使用されていたものといわなければならず、前記カタログの記載からすれば、本件商標と社会通念上同一とみられる商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人により使用されていたものというのが相当である。
したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る「医療機械器具、医療機械器具の部品および附属品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-08-31 
結審通知日 2006-09-05 
審決日 2006-09-19 
出願番号 商願昭61-38067 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (110)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 英世涌井 幸一 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 長柄 豊
寺光 幸子
登録日 1989-03-27 
登録番号 商標登録第2121769号(T2121769) 
商標の称呼 プレセップ 

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