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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 取り消して登録 Y0117
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 Y0117
管理番号 1146669 
審判番号 不服2004-13719 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-01 
確定日 2006-11-14 
事件の表示 商願2003-70445拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「UENO LCP」の欧文字(標準文字)を書してなり、第1類及び第17類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年8月19日に登録出願され、その後、指定商品については、平成16年2月23日の手続補正書により第1類「液晶ポリマー樹脂」及び第17類「液晶ポリマー樹脂系基礎製品」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『上野』の氏を看取させる『UENO』の欧文字と、指定商品との関係でプラスチックの素材である液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer)の略称である『LCP』の文字を標準文字で書してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、『上野』の氏が我が国において決して珍しくなく、むしろありふれたものであることからすれば、単にその商品が『上野』なる氏を有する者によって製造販売されたものであることを表示するにすぎないから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。また、前記「液晶ポリマー(LCP)」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第16号に該当する。」と認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり、「UENO」と「LCP」の文字を1字分の間隙をあけて書してなるところ、「50音別 個人名 ハローページ」(NTT東日本発行)によれば、「上野」の氏を有する者が多数存在することが認められ、そして、日常の商取引において、氏を表す場合、必ずしも漢字のみによることなく、ローマ文字で表す場合も決して少なくないということができる。
そうすると、構成中、「UENO」の文字部分は、ありふれた氏の「上野」をローマ文字で表したものと容易に認識し、理解し得るというのが相当である。
また、構成中、「LCP」の文字部分は、「液晶ポリマー」(Liquid Crystalline Polymer)の略称と認められる。
してみれば、本願商標を構成する両文字は、商取引上、上記それぞれの意味合いを離れ、これを常に不可分のものとして観察し得るような、まとまりのある熟語的な意味合いを生ずるといった事情があれば格別、そのような事情の認められない本願商標にあっては、これをその指定商品について使用した場合、これに接する者は、該文字よりは、ありふれた氏(「UENO」)と商品名(「LCP」)とを結合したものと認識し、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
よって、本願商標を商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであった。
しかしながら、請求人(出願人)は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであると主張し、証拠方法として、第1号証ないし第36号証を提出するとともに、前記のとおり、その指定商品を第1類「液晶ポリマー樹脂」及び第17類「液晶ポリマー樹脂系基礎製品」に補正しているので、以下、この点について検討する。
まず、請求人(出願人)が、その製品について使用している商標「UENO LCP」は、その構成において本願商標と同一の商標といい得るものである(甲第3号証)。
そして、請求人(出願人)は、独自に開発した液晶ポリマー樹脂及びその基礎製品を遅くとも1988年には製造を開始し、以来、16年以上にわたり本願商標をその商品に使用してきていることが認められる(第1号証ないし第3号証、第34号証)。また、同人は、業界紙や外部向け技術資料等へも本願商標を液晶ポリマー樹脂及びその基礎製品に使用して定期的に広告宣伝等している(第26号証ないし第29号証、第36号証)。
我が国における液晶ポリマーの製造業者は数が少なく、10数年前はもとより、現在においても8〜9社程度と限定されており(第4号証ないし第6号証)、その中で、請求人(出願人)の生産量は2000年上期の時点で年間推定1500トンとなっており、業界の上位に位置していることが認められる(第6号証)。
そうすると、上記のとおりの請求人(出願人)による本願商標の使用の状況及び本願指定商品は数多い製造業者が存在する消費財ではなく、限られた業者のみが製造する生産財であり、限られた需要者間でのみ流通する商品であることを併せ勘案すれば、本願商標は、請求人(出願人)による長年にわたる使用の結果、現在においては、取引者、需要者間において、請求人(出願人)の業務に係る商品(液晶ポリマー樹脂及びその基礎製品)を表示する商標として認識することができるに至っているものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、上記商品について、商標法第3条第2項に規定する要件を満たしているものということができるから、これを登録すべきものとする。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2006-10-27 
出願番号 商願2003-70445(T2003-70445) 
審決分類 T 1 8・ 16- WY (Y0117)
T 1 8・ 272- WY (Y0117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 修木村 一弘 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 佐藤 松江
岩崎 良子
商標の称呼 ウエノエルシイピイ、エルシイピイ、ウエノ 
代理人 樋口 豊治 
代理人 西津 千晶 

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