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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1146584 
審判番号 取消2005-30685 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-06-13 
確定日 2006-10-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第1922823号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1922823号商標(以下「本件商標」という。)は、「OXYGEN」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年12月17日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品として、同61年12月24日に設定登録、その後、指定商品中の「防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」についての一部取消し審判が確定し、その抹消登録が平成11年8月11日になされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成17年6月29日にされたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のとおり述べた。
1.請求理由
本件商標は、その登録日以降今日に至るまでの3年以上、商標権者及び使用権者のいずれによっても、いずれの指定商品についても使用されていないことは、請求人の調査により明らかである。
したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきである。
2.弁駁の要点
(1)乙第1号証の1ないし3は、単に「hiphopshow」なる名称の展示会が開催された事実を示すのみであって、本件商標に係る商品が出展された事実を示すものではない。
被請求人は、乙第1号証の1の左下の春夏物のコレクションに係る招待状に、「本件商標及び社名の千里貿易有限会社」の文字が掲載されていると主張するが、同招待状に記載されている文字は、極めて不鮮明であり、本件商標及び千里貿易有限会社の文字は読み取れない。
したがって、乙第1号証の1ないし3からは、被請求人が如何なる商品を出展したか不明であるばかりか、果たして被請求人が本件商標に係る商品を出展したかさえ立証し得るものではない。
(2)乙第2号証の確認書には、2002年4月25日と思われる日付が記載されている。
本件審判請求の予告登録日は2005年6月24日であり、本件審判事件においては、2002年6月26日〜2005年6月23日の間における本件商標の使用が立証されるべきである。然るに、当該確認書は2002年4月25日の日付に係るものであり、更には問題となっている「hiphopshow」6月展は、乙第1号証の1の右下に掲載されている東京会場2002年6月10日-11日、大阪会場2002年6月17日-18日に開催された展示会を意味するものと推測される。
したがって、乙第2号証は、本件審判請求の予告登録前3年間における本件商標の使用に係るものではない。
(3)乙第3号証のカタログには、印刷時期等が記載されておらず、これらカタログがいつ頃誰に対してどの程度頒布されたのか不明であり、該カタログによっては、本件商標が商品「被服」に本件審判請求の予告登録前3年の間に使用されたことを立証することはできない。
(4)乙第4号証ないし乙第9号証の証明書は、いずれも同一内容の文書であり配布先が任意に作成したものでないことは明白である。そして、証明書には、「同カタログに記載されている商標OXGENの全商品が展示されていたことに相違ありません。」との文言があるが、証明書の日付である平成17年9月の時点で、3年も前に開催された展示会における展示物の全てを記憶又は記録しているなどは到底あり得ないことである。
この点、被請求人は、「展示会は商談の場であるから、カタログに掲載されている商品が展示会に展示されているのが当然であるから、仮にカタログに掲載されている商品が展示会に展示されていない場合、バイヤーならばそのことは明確に記憶していると考える。」と述べている。
しかしながら、乙第1号証の「hiphopshow」のみでも年間3回は開催されており、バイヤーはその他にもこの種の展示会に数多く見学に行っているものと推測される。そうした中で3年も前に開催された展示会の出展物全てを正確に記憶しているなどは到底期待できないことである。
更には、乙第4号証ないし乙第9号証の証明書には、代表取締役の押印がなされているものもあるが、これらの会社では代表取締役自らがバイヤーとして各展示会を見に行っているのであろうか。
他方、取引など何らかの関係がある相手であれば、被請求人が作成した書式に記名捺印を依頼することは容易でもある。即ち、乙第4号証ないし乙第9号証の証明書は、被請求人の発意で作成されたものであり、極めて信憑性に欠けるものであると言わざるを得ない。
したがって、乙第4号証ないし乙第9号証は、到底本件商標の使用を立証するものとはなり得ない。
(5)乙第10号証ないし乙第12号証の請求書(控)は、被請求人が任意に作成することが出来る書類であって、請求書(控)写しである以上後から改竄することも可能である。他方、請求書に記載の商品に係る商品注文書など、発注者側から受け取った書類等のより客観性がある書証が提出されていない。
したがって、乙第10号証ないし乙第12号証については、その信憑性に疑問が持たれる。
(6)乙第13号証の1ないし3の写真は、被請求人も認めるとおり、写真の日付は、いずれも本件審判請求が予告登録された2005年6月24日以降のものであるから、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年間に使用していたことの立証とはならない。
その上、乙第11号証の請求書(控)によれば、OXYGEN商品に係る売上日は2003年3月27日となっており、ビルボードは2年以上に亘ってOXYGEN商品の在庫品を抱えていたこととなり、乙第11号証の信憑性は益々疑わしいものとなる。
(7)上述のとおり、乙第10号証ないし乙第12号証はその信憑性に欠け、本件商標に係わる商品がそれぞれの請求書の宛先会社に販売されたことを立証することはできない。そして、乙第14号証ないし乙第16号証の当座勘定照合表又は取引明細証明書は、単に請求書の宛先会社との間で送金・入金があったことを示すのみであるから、乙第10号証ないし乙第12号証と同様に、本件商標に係る商品がそれぞれの請求書の宛先会社に販売されたことを立証するものではない。
(8)乙第17号証及び乙第18号証のコマーシャルインボイス及びコンファメイションは、これらの書類には本件商標は一切表示されていない。僅かに、乙第18号証には「Oxygen」の文字が手書きで記載されているが、これは被請求人が本件審判事件における答弁書提出に備えて書き加えたものと推測される。
したがって、乙第17号証及び乙第18号証の記載内容からでは、輸入された商品に本件商標が付されていたのかどうか定かではない。
また、商品の譲渡又は引き渡しを目的とする輸入のみが、商標法第2条第3項第2号における「輸入」に該当するところ、本件審判事件においては上述のとおり、乙第1号証ないし乙第16号証によって未だ本件商標に係る商品「被服」の譲渡又は引き渡しの事実が立証されていない。
したがって、仮に、乙第17号証又は乙第18号証における「輸入」の事実があったとしても、商標法第2条第3項第2号にいう「輸入」に該当しないものであるため、本件商標の商品「被服」に係る使用を立証するとはいえないものである。
(9)乙第19号証の写真は、本件審判請求の予告登録日である2005年6月24日より後である2005年7月21日に撮影されたものである。
したがって、乙第19号証は、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年間に使用していたことの立証とはならない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号含む。)を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標は、被請求人である商標権者自身によって本件商標の指定商品「被服」について継続して使用されている。
乙第1号証の1は、被請求人が本件商標を付した衣服を出展した、2002年6月に開催されたホリデーコレクション(通称、HIP HOP SHOW 6月展と呼ばれている。)、また、2002年9月に開催された春夏物コレクションにおける「hiphopshow」のそれぞれの招待状をインターネットより入手したものである。
そもそも、[hiphopshow」は、同インターネットの2005年春夏物の招待状を掲載している関連頁(乙第1号証の3)より明らかなように、ヒップホップスタイルのインポートブランドの衣料品、例えばドレスシャツ、ポロシャツ、デザインデニムなどを一堂に集めた展示会である。
(2)乙第2号証は、被請求人が、HIP HOP SHOW 6月展に出展する際に、本件商標を付した衣服について事務局より送付された確認書である。その確認書には、出展社名の項目のところに被請求人の名称が掲載され、また、出展ブランド名の項目のところに本件商標が掲載されている。 したがって、被請求人は、HIP HOP SHOW 6月展に本件商標を付した衣服を出展していたと考えるのが相当である。
(3)乙第1号証1の左下の春夏物のコレクションについても、被請求人は本件商標を付した衣服を出展している。当該招待状のデザインは、展示会で展示される各種商品のロゴ及び出展企業名が印刷されているが、本件商標のロゴおよび被請求人の名称が当該招待状に掲載されている。
したがって、被請求人は春夏物のコレクションの[hiphopshow」においても、本件商標を付した衣服を出展していたものである。
(4)乙第3号証は、上記の春夏物のコレクションの「hiphopshow」において、来場しているバイヤーに頒布した自社で製作したカタログである。
当該カタログには、本件商標と2003年度の春物を意味する2003 SPRINGが一体的に記載されており、また、その下方には展示会に出展された商品が掲載されている。
(5)乙第4号証ないし乙第9号証は、上記カタログを春夏物コレクションの「hiphopshow」において、バイヤーに頒布したことを立証するための配布先による証明書である。
(6)乙第10号証ないし乙第12号証は、上記カタログに掲載されている衣服を仕入れていることを示す請求書(控)である。
(7)乙第13号証の1ないし3は、乙第11号証にかかるビルボードが購入した商品の販売状態を示す写真である。
(8)乙第14号証ないし乙第16号証は、上記乙第10号証ないし乙第12号証の請求書に対応する入金の事実を示す当座勘定照合表または取引明細証明書である。
(9)乙第17号証は、被請求人が上記カタログに記載されている商品番号の商品を輸入していることを証明するコマーシャルインボイスおよびコンファメイションである。
(10)乙第18号証は、上記カタログに記載されている商品番号の商品が被請求人によって輸入されていることを証明するコマーシャルインボイス及びプロフォーマインボイスである。

第4 当審の判断
1.被請求人提出に係る乙第3号証、乙第3号証の1及び2(商品カタログ)には、本件取消請求に係る指定商品中に含まれる「被服」に属するものと認められる「JACKET」、「JEANS」及び「SHORT」等の商品名、本件商標「OXYGEN」及び「oxygen」の文字、「2003年 SPRING」の文字並びに被請求人である「千里貿易有限会社」の英文字表記と認められる「SENRI BOEKI CORPORATION」等の文字が掲載されている事実が認められるところ、「2003年SPRING」(2003年春)は、本件取消審判の請求の登録日(平成17年(2005年)6月29日)前3年以内に該当する。
2.また、同じく乙第4号証ないし乙第9号証は、上記商品カタログの配布先(株式会社ハローウィン外5社)の証明書であるが、展示会開催期間:2002年9月12日〜13日の日付は、本件取消審判の請求の登録日(平成17年(2005年)6月29日)前3年以内に該当する。
3.さらに、同じく乙第10号証ないし乙第12号証は、請求書の控であるが、各請求書の控には、本件商標、被請求人の名称、「締日」及び「御支払予定日」の日付として、「05年2月20日」「05年3月20日」「03年4月20日」「03年5月20日」の日付が記載されている。そして、これらの年月日は、本件取消審判の請求の登録日(平成17年(2005年)6月29日)前3年以内に該当する。
4.以上を勘案すれば、商標権者(被請求人)は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる「被服」に属するものと認められる「JACKET」(上着、ジャケット、ジャンバー)、「JEANS」(ジーンズ)及び「SHORT」(短ズボン、半ズボン)等について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものといわざるを得ない。
5.したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-05-23 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-12 
出願番号 商願昭59-130269 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井岡 賢一 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 1986-12-24 
登録番号 商標登録第1922823号(T1922823) 
商標の称呼 オクシゲン、オキシゲン 
代理人 神林 恵美子 
代理人 秋山 重夫 

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