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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y42
管理番号 1145259 
異議申立番号 異議2005-90362 
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-07-21 
確定日 2006-09-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第4856677号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4856677号商標の指定役務中、第42類「電子計算機の貸与」についての登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4856677号商標(以下「本件商標」という。)は、「T-CON RENTAL」の欧文字を標準文字で書してなり、平成14年12月25日に登録出願され、第42類「計測器の貸与,電子計算機の貸与,理化学機械器具の貸与」を指定役務として、同17年4月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4837183号商標(以下「引用商標」という。)は、「T-Com」の文字を標準文字で書してなり、平成12年9月22日に登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同17年2月4日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標が引用商標と称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、その指定役務も同一又は類似の役務である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、取り消すべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1ないし第9号証を提出している。

4 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成18年5月16日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。
(1)本件商標と引用商標との類否についてみるに、本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「T-CON」の文字部分と「RENTAL」の文字部分との間には、一文字分の間隔が開けられており、視覚上明瞭に、「T-CON」と「RENTAL」とに分離して看取されるばかりでなく、「RENTAL」の語は、「貸与」等の意味を表す英語として知られていることに加えて、貸与等の役務を表すために広く用いられている語である。そして、「T-CON」と「RENTAL」の文字部分とを結合することにより、その構成全体をもって特定の親しまれた意味合いを理解・認識させるものともいい難く、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならないとする格別の事情も見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、その構成中、自他役務の識別標識としての機能を果たすのは「T-CON」の文字部分にあるものというべきであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、前半の「T-CON」の文字部分に着目して取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、該「T-CON」の文字に相応して、単に「ティーコン」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標は、前記2のとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して、「ティーコム」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「ティーコン」の称呼と引用商標から生ずる「ティーコム」の称呼とを比較するに、両者は共に4音構成からなり、識別上重要な要素を占める語頭音を含む「ティーコ」の音を共通にし、異なるところは末尾の「ン」と「ム」の音にすぎない。
しかして、該差異音の「ン」と「ム」の音は、共に鼻音であって、響きの弱い音であり、かつ、語尾に位置していることとも相俟って、その差異が全体としての称呼に及ぼす影響は決して大きなものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此聞き誤まるおそれのあるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標といわなければならない。
そして、本件商標の指定役務中の「電子計算機の貸与」は、引用商標の指定商品又は指定役務中、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)その他のデータ処理機器及び情報処理装置の貸与」と同一又は類似のものである。
(2)したがって、本件商標の指定役務中の「電子計算機の貸与」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

5 商標権者の意見
商標権者は、取消理由に対して要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第62号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の称呼は、4音構成からなる比較的短い称呼であり、1音の相違は語尾音であっても重要である。
本件商標より生ずる「ティーコン」は、「ティー」と「コン」と区切って発音され、かつ「ティー」の部分にアクセントがあって、2シラブル4モーラである。一方、引用商標の称呼は「ティー」「コ」「ム」と区切って平板状に発音され、3シラブル4モーラである。
よって、両者は音声学・音韻学上明瞭に区別することができる。
単に「ン」と「ム」という個々の音の共通性を微視的にみるのではなく、これらが構成する語から生ずる発音全体に及ぼす影響を考慮して称呼の類否を判断すべきである。
(2)「〇〇コン」と「〇〇コム」の称呼を有する商標が称呼非類似として併存登録されている。
(3)本件商標は、平成14年12月頃より「電子計算機の貸与」について全国的に使用され、今日に至るまで引用商標と役務の出所につき混同、誤認を惹起したことが全くない。

6 当審の判断
(1)上記4の取消理由通知で示したとおり、本件商標は、その構成中後半部の「RENTAL」の文字が、「貸与」等の意味を表す英語として知られていることに加えて、貸与等の役務を表すために広く用いられている語であることより、自他役務の識別標識としての機能を果たす部分と認められる前半部の「T-CON」の文字部分に相応して「ティーコン」の称呼をも生ずるというべきであり、他方、引用商標は、その構成文字「T-Com」に相応して「ティーコム」の称呼を生ずるものである。
そして、「ティーコン」と「ティーコム」の両称呼は、ともに4音構成からなり、識別上重要な要素を占める語頭音を含む「ティーコ」の音を共通にし、異なるところは末尾の「ン」と「ム」の音にすぎないものの、この差異音とて、共に鼻音であって、響きの弱い音であり、かつ、語尾に位置していることとも相俟って、その差異が全体としての称呼に及ぼす影響は決して大きなものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此聞き誤まるおそれのあるものといわなければならないから、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標といわざるを得ない。
(2)この点について、商標権者は、語尾が「〇〇コン」の文字よりなる商標と「〇〇コム」の文字よりなる商標とが区別して登録された事例を挙げて、本件商標も同様に扱われるべきである旨主張しているが、商標の類否の判断は、各商標につき個別に判断されるべき性質のものであるから、商標権者が主張するような事例があるというだけでは、本件商標と引用商標との類否の判断を左右することにはならず、先の取消理由を覆すに足りない。
(3)取引の実情を示すものとして提出された証明書、陳述書は、いずれも商標権者が予め用意した画一的文面の証明書、陳述書用紙中に商標権者の求めに応じて証明日及び証明者を記載したものとみられるところ、これよりは、本件商標がその役務の取引者、需要者間において、引用商標と役務の出所につき混同、誤認を引き起こしていないことを証明したものとは認められないものである。
(4)したがって、本件についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、指定役務中「電子計算機の貸与」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ないから、同第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務である「計測器の貸与」及び「理化学機械器具の貸与」については、引用商標の指定役務とは非類似の役務と認められ、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-07-24 
出願番号 商願2002-109286(T2002-109286) 
審決分類 T 1 651・ 262- ZC (Y42)
最終処分 一部取消  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 井岡 賢一
久我 敬史
登録日 2005-04-15 
登録番号 商標登録第4856677号(T4856677) 
権利者 東芝ファイナンス株式会社
商標の称呼 テイコンレンタル、テイコン、コンレンタル、コン、シイオオエヌ 
代理人 浅野 勝美 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 

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