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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 104 |
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管理番号 | 1145137 |
審判番号 | 取消2005-31470 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-11-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-12-02 |
確定日 | 2006-10-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2263790号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2263790号商標(以下「本件商標」という。)は、「DAITO」及び「ダイト」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和63年2月23日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として平成2年9月21日に設定登録され、その後、平成12年9月26日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者又はその使用権者のいずれによっても使用されていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。 (2)弁駁の理由 (ア)被請求人は、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である旨主張している。 しかしながら、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められない商標である。以下に理由を述べる。 (イ)使用商標の態様 使用商標は、別掲1ないし3(使用商標(1)ないし(3))の態様よりなるものであって、欧文字を主体とする「DAITO」の部分及び「ダイト株式会社」の片仮名漢字文字を横並びの一連のものとして表示している。 そして、「DAITO」の部分の「D」と「ITO」の間に記された図案化部分は「A」を図案化したものと推測され、当該商標を看るものにとって注意を喚起されるポイントとなっている。 また、文字のサイズは、「DAITO」の文字の「D」の文字のみが他の文字よりもやや大きく表示されているが、「AITO」の文字、それに連続する「ダイト株式会社」の文字はほぼ同サイズに表示されている。また、使用商標(1)及び(2)は、「ダイト株式会社」の文字については色彩を変え、縁取りした文字として表示されている。 (ウ)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 使用商標は、「A」の文字を相当に図案化した「DAITO」及び「ダイト株式会社」の文字を一連に横書きしてなるものであり、一体性を有している。 したがって、本件商標の「DAITO」及び「ダイト」の二段併記された本件商標とは全く異なる外観態様を有している。 また、使用商標の「DAITO」の文字は図案化され、使用商標(1)及び(2)は異なる色彩の施された「A」の部分を有し、かつ「D」の文字部分のみをやや大きく表記した構成を有するのに対し、本件商標は、非常に一般的な書体で表示されているにすぎない。上記使用商標の図案化された「A」の部分は、看者をして注意を喚起させるポイントであることは否定し難い所であり、この部分の有無は両者の識別性において大きな相違点である。 したがって、両商標には同一性はなく、使用商標は本件商標に対して識別性に影響を与える範囲での修正がなされていることは明らかである。 さらに、使用商標構成中の「ダイト株式会社」の文字は、被請求人の商号であり、「ダイト株式会社」の文字全体をもって一つの識別標識として機能を果たす、いわゆる商号商標であり、「株式会社」の文字が法人の種別であるとしても、「ダイト株式会社」から「株式会社」の部分を除外して同一商標の使用を主張することには妥当性はなく、「ダイト」と「ダイト株式会社」が社会通念上同一の商標であるということはできない。 また、商標法第50条第1項に例示された、登録商標と社会通念上同一と認められる商標である「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」を考慮しても、各乙号証の使用商標はこの様な同一性の有る商標の例示レベルを明らかに超えるものであり、登録商標の使用がなされているものではない。 (エ)以上のとおり、各乙号証に示された使用商標は本件商標に対して社会通念上同一性を有さず、本件商標の使用は証明されていない。 3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。 本件商標は、商標権者により、本件商標の指定商品中「化粧品」に属する商品「クリーム」に関し、継続して、本件審判の予告登録の日(平成17年12月21日)前3年以内に、日本国内において使用されており、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 (ア)本件商標が使用されている商品「クリーム」(以下「本件商品」という。)の包装用容器には、「Q10」、「cream」、「潤源」、「ヒアルロン酸 コラーゲン配合」、<クリーム>、「35g」等の文字が記載され、その包装用箱には、これらの文字に加え、使用方法、成分、注意事項等が記載されている(乙第1号証及び乙第2号証)。 (イ)本件商品に関するパンフレットには、上記包装用容器及び包装用箱の写真が掲載されると共に、「Q10」、「cream」及び「潤源」の文字が目立つように記載され、また、「あなたの肌に潤い・ハリ・ツヤ」、「若々しく美しい肌ケアをサポート」等の文字や商品の説明文が記載されている。さらに、説明文の下段に、使用商標が、やや大きく表示されている(乙第3号証ないし乙第6号証)。 (ウ)上記(イ)にいうパンフレットについては、平成17年3月20日及び同年7月20日に株式会社薬日新聞社から被請求人に対して納入代金の請求がされた(乙第7号証及び乙第8号証)。また、本件商品は、上記パンフレットを付してトモエ仁盛堂薬品株式会社及びイワタ薬品株式会社に販売され、前者に対しては平成17年9月30日締で、後者に対しては同年11月20日締で被請求人から請求書が発行されており、これら被請求人発行の請求書には、使用商標が大きく表示され、その下部に住所等が小さく記載されている(乙第9号証及び乙第10号証)。 (2)以上の認定事実によれば、本件商品は、その包装用容器及び包装用箱の記載並びにパンフレットの記載内容からして化粧品の範疇に属する商品「クリーム」と認められるほか、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間内に、本件商品を販売すると共に本件商品に係るパンフレットを頒布していたことが認められる。そして、そのパンフレット及び取引書類といい得る請求書には、使用商標が表されていることが認められる。 (3)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 登録商標は、商取引の実際においては、例えば、書体を変更したり、他の文字等を付記する等その表示態様について少なからぬ変更が加えられて使用されることがむしろ通常であるから、その変更により外観が必ずしも登録商標と酷似するとはいえない商標であっても、それが登録商標の表示態様において基本をなす部分を変更するものでなく、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるときは、その商標の使用をもって「登録商標の使用」とみるべきである。 これを本件についてみると、本件商標は、「DAITO」の欧文字及び「ダイト」の片仮名文字を2段に書してなるものであって、「ダイト」の称呼を生ずるものである。 一方、使用商標は、「DAITOダイト株式会社」の文字を一連に書してなるところ、「DAITO」と「ダイト株式会社」とは、欧文字表記と片仮名漢字表記の差異を有することから、両者は外観上判然と区別し得るものである。 そうとすれば、使用商標の「DAITO」と「ダイト株式会社」とは、それぞれ独立して自他商品の識別標識となり得るものであり、「DAITO」の部分より「ダイト」の称呼を生ずるものである。 そして、使用商標の「DAITO」の部分の1文字目の「D」の文字が「AITO」の文字より多少大きく、また、2文字目の「A」は、横線を有さず、中央部に三角形の図形を有するものであるとしても、この程度の変更は、登録商標の使用に当たって通常一般に行われるところであって、本件商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるというべきである。 また、本件商標と使用商標は、「DAITO」のアルファベットの配列及び「ダイト」の称呼を共通にするものである。 そうとすれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一といい得るものである。 (4)以上を総合勘案すると、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者によって、その指定商品に属する「クリーム」について使用されていたものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 使用商標(1) (色彩は、原本参照) 2 使用商標(2) (色彩は、原本参照) 3 使用商標(3) |
審理終結日 | 2006-07-28 |
結審通知日 | 2006-08-03 |
審決日 | 2006-08-22 |
出願番号 | 商願昭63-18339 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(104)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 沖 亘 |
特許庁審判長 |
高野 義三 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 中村 謙三 |
登録日 | 1990-09-21 |
登録番号 | 商標登録第2263790号(T2263790) |
商標の称呼 | ダイト |
代理人 | 特許業務法人松田特許事務所 |
代理人 | 江藤 聡明 |