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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 109
管理番号 1143498 
審判番号 取消2005-30670 
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-06-08 
確定日 2006-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2038845号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2038845号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和60年7月30日に登録出願、第9類「油さし、その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年4月26日に設定登録され、その後、本件商標に係る商標権は、平成10年5月26日に商標権存続期間の更新登録がされ、有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「油さし、その他本類に属する商品、但し、かいばおけ、養蜂用巣箱、養鶏用かご、家禽用リング、セメント製品製造用型枠、管継ぎ手、金属製フランジ、ガスケット、パッキング、キー、コッタ、オイルフェンス、航路標識、調律機、マーキング用孔開型板、液体貯蔵槽、工業用水槽、液化ガス貯蔵槽、ガス貯蔵槽を除く」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記請求にかかる指定商品につき、継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
加えて、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、上記請求に係る指定商品につき登録の取消しを求める。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)被請求人の「オイルジョッキ」について
被請求人は、長年の間オイルジョッキなどの製品の製造販売を業として行っており、「オイルジョッキ」は本件商標の指定商品に含まれるものであると述べているが、「オイルジョッキ」は、総合カタログ(乙第3号証)及びその写真(乙第6号証)によればポリ容器であり、価格・形状からみてこれは、「機械器具」でもないし、機械器具専用の部品・附属品とも思われず、「プラスチック製包装容器」(18CO9)に属する商品と考えられる(甲第3号証)。
この点に関する被請求人の立証は不充分であり、オイル専用の容器であることは明らかであるが、特定の機械器具専用のオイルジョッキであれば、どのような機械器具あるいはその部品又は附属品として販売されているかの立証がなされるべきであり、販売先の株式会社イトー(以下「イトー」という。)が更にどのような購入者(一般消費者か機械メーカーか)に販売しているのかも不明である。
被請求人の提出に係る乙号証からは、特定の(特殊な)オイルジョッキではなく、汎用性のあるポリ容器の形状をしたオイルジョッキであるから、これは、請求に係る指定商品には含まれないと判断せざるを得ない。
(イ)被請求人の使用する商標について
次に、総合カタログ第24頁の「ポリ容器」の登録商標と思われる第1853521号商標は、(昭和34年法)「第5類グリース、ワックス、その他本類に属する商品」を指定したもので(甲第4号証)、以下「万能ポリ容器」、「抗菌ポリ容器」、「オイルジョッキポリ容器」等と共に付された商標、及びイトー宛の請求書(乙第10号証、同第14号証、同第16号証、同第17号証)に付された商標は、いずれもこれらと同一のものと思われ、第9類の商品を指定した本件商標の使用ではない。
(ウ)むすび
以上、被請求人が提出した乙各号証は、本件商標の使用及び請求に係る商品への使用を客観的に推認し得るものとはいえない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第17号証を提出した。
(1)本件商標を被請求人が使用した事実
被請求人は、平成15年から平成17年にかけて、「オイルジョッキ(商品名「ボール(BALL)オイルジョッキ」又は「オイルジョッキ」)」に関するカタログに本件商標を付して頒布した。
また、被請求人は、平成17年5月18日、イトーに本件商標を付した「オイルジョッキ」を販売した。
ア 本件商標を付した「オイルジョッキ」に関するカタログの頒布について(ア)カタログの作成
被請求人は、自己の取扱商品を掲載したカタログの印刷を印刷業者である株式会社活英社(以下「活英社」という。)に依頼した(乙第3号証「印刷物作成証明書」)。
平成15年8月頃、活英社は、被請求人からの依頼に応じて、カタログ10,000部を印刷し、同15年8月頃から平成17年にかけて、そのうちの9,200部を、被請求人の求めに応じて分納した。平成17年7月時点で、活英社は、残り800部のカタログを保管している(乙第4号証及び同第5号証「印刷物受取書」)。
(イ)カタログの頒布
活英社から納品されたカタログの頒布は、被請求人の営業担当者がトラスコ中山どの得意先に直接出向いてカタログを手渡した。
(ウ)カタログの「オイルジョッキ」
カタログの第25ページ最下段には、本件商標と商品「オイルジョッキ」が写真入りで掲載されている。また、写真の下には、その品番及び容量などの商品情報が一覧で掲載されている。記号「B」の列の商品情報を見ると、品番「NG-2」、容量「2L」及び一箱入数「30」と表記されている。
(エ)上のとおり、カタログが被請求人に分納されたことが証明される。分納されたカタログが被請求人により得意先に頒布されたことは社会通念上明らかである。
(オ)小括り
したがって、平成15年下旬から平成17年中旬にかけて、本件商標を付した「オイルジョッキ」に関するカタログを被請求人が頒布したという事実が社会通念上証明される。
イ 「オイルジョッキ」の販売について
(ア)「オイルジョッキ」
乙第6号証の写真の「オイルジョッキ」は、カタログ(第25ページを参照)の符号「B」の付された品番NG-2の「オイルジョッキ」である。
以下、「オイルジョッキ」とは、このオイルジョッキ(品番「NG-2」)のことを意味する。
「オイルジョッキ」は、オイルを入れる胴体にノズルが付けられたものである。その胴体側部下方にはシールが貼布されている。シールには、本件商標「BALL」とともに、商品名「オイルジョッキ」と品番「NG-2」と容量「21」と被請求人名が印刷されている。
(イ)イトーへの「オイルジョッキ」の販売
(a)平成17年5月19日、被請求人は、イトー物流部より他の商品とともに「オイルジョッキ」30個を受注し、同年5月20日、「オイルジョッキ」は、運送用箱に収納された状態で被請求人の小牧工場から出荷され、イトー物流センターの受領担当者に渡された(乙第7号証「発注書」ないし乙第13号証「配達受取書」)。これらの発注書、請求書(被請求人控)などには「オイルジョッキ」の「(品番)NG-2」、(商品名)「ボール オイルジョッキ」などの文字が表示されている。
(b)被請求人は、平成17年5月30に請求書をイトーに送付し(乙第14号証「御請求書」)、イトーは、同年6月25日に「オイルジョッキ」の購入代金を支払った。
(ウ)小括り
上のとおり、イトーの「オイルジョッキ」に関する発注書、受注モニターリスト、請求書(被請求人控)、送り状、貨物受取書及び配達受取書などの取引書類等(乙第7号証ないし同第17号証)により、被請求人は、平成17年5月20日、本件商標を付した「オイルジョッキ」をイトーに販売した事実が証明される。
なお、上に示した各書面に記載の商品名「ボールオイルジョッキ」について説明すると、「オイルジョッキ」とは、商品「オイルジョッキ」の一般的な名称であるため、その要部は「ボール」である。したがって、各書類にも、本件商標「ボール」が表記されていることも申し添えておく。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人が、本件審判の請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中「オイルジョッキ」について本件商標を使用した事実が証明される。
このため、本件商標は、取消されるべきではない。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであり、また、本件取消審判の予告登録は、平成17年6月27日にされたものであるところ、被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)被請求人は、活英社に乙第3号証に添付されている商品カタログ10,000部の作成を依頼し、活英社は、平成15年8月26日から同17年2月16日にかけて、800部を残し、9.200部を分割して納品した(乙第2号証ないし同第5号証)。
(イ)上記(ア)で納品された商品カタログには、表紙に「OHSAWA WAX」「ALL ITEMS CATALOGUE」「総合カタログ」と表示され、下方部に「大澤ワックス株式会社」の文字が表された該商品カタログの第25ページには、「オイルジョッキポリ容器」として「オイルジョッキ」の写真が掲載され、容量が1lから5lまでの5種類の「オイルジョッキ」が記載されており、そのうちの品番「NG-2は、容量「2l」の「オイルジョッキ」である。
(ウ)胴部の下方に「オイルジョッキ」、品番「NG-2」、容量2lと記載された「オイルジョッキ」の写真(乙第6号証)には、被請求人の名称「大澤ワックス株式会社」の文字が記載されると共に、本件商標と同一の認め得る商標が表示されている。
(エ)被請求人は、平成17年5月18日に、イトーから30個の「NG-2 オイルジョッキ」の注文を受け(乙第7号証及び同第8号証)、同月20日に発送した(乙第10号証ないし同第13号証)。
(オ)被請求人は、平成17年5月30にイトーに対し上記商品の代金を請求し(乙第14号証)、イトーキから同年6月25日に上記代金の入金があった(乙第15号証及び同第16号証)。
(2)以上の各事実によれば、平成15年8月26日から同17年2月16日にかけて納品された被請求人の商品カタログには、本件商標と社会通念上同一と認めれられる商標が表示された「オイルジョッキ」が掲載されており、分割して納品されたその部数及びイトーの「オイルジョッキ」の注文書には品番のほかに「容量」、10桁以上の「コード」が記載されていることからすれば、この商品カタログは、イトーをはじめ取引業者に配布されたものと推認することができる。
(3)そして、被請求人は、平成17年5月20日にイトーに対し、本件商標が表示された「オイルジョッキ」を販売したものと認められる。
また、被請求人の「オイルジョッキ」は、「1l」の小型のものから「5l」の大型のものまで5種類あり、これらの「オイルジョッキ」は、一般家庭で用いられるのみならず、機械類等の製造工場、運送会社、ガソリンスタンドなど産業用、業務用にも使用されるものと判断するのが相当である。
そうすると、請求人の品番「NG-2」の「オイルジョッキ」は、本件取消し請求に係る指定商品に含まれる商品であるといわなければならない。
(4)請求人は、被請求人の「オイルジョッキ」は、総合カタログ(乙第3号証)及びその写真(乙第6号証)によればポリ容器であり、価格・形状からみてこれは「機械器具」でもないし、機械器具専用の部品・附属品とも思われず、「プラスチック製包装容器」(18CO9)に属する商品である旨主張する。
しかしながら、被請求人の上記商品は、掲載されている写真によれば、「オイルジョッキ」そのものであって、単なる「プラスチック製包装容器」とは認め難い。しかも上記のとおり、その用途に着目すれば、産業用、業務用とみることも可能なものということができるから、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
また、請求人は、総合カタログ第24頁の「オイルジョッキポリ容器」等と共に付された商標、及びイトー宛の請求書に付された商標は、昭和34年法の第5類「グリース、ワックス、その他本類に属する商品」を指定商品とする第1853521号登録商標と同一のものと思われ、これは本件商標の使用ではない旨主張する。
確かに、該商品カタログには「登録番号」として上記登録番号が記載されている。しかしながら、この登録番号は、該商品カタログに掲載されているオイル、ワックスなどの商品の商標の登録番号として特に例示されたものであることは、被請求人の商品「オイルジョッキ」が、第1853521号の指定商品に属する商品でないことから明らかというべきである。しかも、乙第6号証の写真の「オイルジョッキ」の胴部には本件商標と同一と認め得る商標が表示されているのであるから、請求人の上記主張も採用することができない。
(5)してみれば、本件審判の予告登録前3年以内に、本件商標は、商標権者である被請求人により請求に係る指定商品に含まれている「オイルジョッキ」について使用されていたといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中請求に係る指定商品について取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本件商標


審理終結日 2006-04-07 
結審通知日 2006-04-13 
審決日 2006-04-25 
出願番号 商願昭60-78564 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (109)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 照雄 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 伊藤 三男
山本 良廣
登録日 1988-04-26 
登録番号 商標登録第2038845号(T2038845) 
商標の称呼 ボール 
代理人 岡田 英彦 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 犬飼 達彦 
代理人 加藤 義明 
代理人 太田 直矢 

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